September 22, 2007

タモリ3「戦後日本歌謡史」その5 (最終回)


19日(水)は、
jammin' Zeb を引き連れて、
前橋に行ってきました。

ジャミン・ゼブ初遠征です。


「音羽倶楽部」という、
小高い丘の上にある、軽井沢を思わせるような、
美しい景観に囲まれた、
素晴らしいクラブ・ハウス。

その建物の奥にある、
円形の、美しいダイニング・ルームが、
コンサート会場。


音羽倶楽部 ‘ソサエティ’
約100人の会員のみなさんの暖かい拍手と、
スタッフのみなさんの、
至れり尽くせりのサポートのおかげで、
本当に素晴らしいライブとなりました。

ピアノは私で、
競演が、はたけやま裕(PER)と岸徹至(B)。


コンサート終了後は、
スタッフのみなさんと、楽しい打ち上げ。
そして、クラブハウス内のホテルで、
みんなでそのまま一泊。


お天気にも恵まれ、
楽しい遠征となりました。

みなさん、
ありがとうございました。

また行きますよー。



さて、長々と続いたタモリ話も、

いよいよ最終回。


タモリ3 「戦後日本歌謡史」その5(最終回)


販売元のビクターに断られ、

レコード会社数社からの
猛烈な抗議が続くものの、

アルファはへこたれない。


いろんな試行錯誤を繰り返したのち、

ついに、
大手レコード店チェーン「新星堂」が、
販売をしてくれるところまで、
こぎつけてしまいました。

そして、
発売後1ヶ月あまりで、
3万枚近く売ったといいますから、

全国規模、全レコード店で売ったら、
すさまじい数字になったのでは、
ないでしょうか。


さあこれで事態は、

いよいよ泥沼に…。


レコード会社数社は、
ついに訴訟の準備を始めるとともに、

「日本著作権協会(JASRAC)」と、
「日本レコード協会」に、
抗議文を提出。

これに同意した両協会は、
アルファに対し、
発売中止を求める要望書を提出。


これに対してアルファは、

「当初の予定通り、
 法廷闘争も辞さず。」

「パロディという新しい文化を認めさせる、
 絶好のチャンス!」

と、あくまで徹底抗戦の構え。


「レコード・コレクターズ 9月号」には、
社長の村井邦彦さんの、
こんなコメントも掲載されています。

「レコード発売は文化事業であり、
 時代を映す鏡でありたいと思う」

「‘パロディや川柳は読み人知らずで、
 宴会などで歌うべきもの’
 という意見もあるが、
 現代は川柳を作りたくなるような
 時代なんだよね」

(ともに、『朝日新聞』81年11月21日付夕刊)


村井さんが、
そんな事を言ったのは、
ついぞ知りませんでしたが、

その村井さんのもとには、

実際パロディされながらも、
好意的なご友人の作家の方たちから、
激励の電話があった、
と聞きますし、

私のもとにも、
数多くのミュージシャンから、
同様の電話がありました。

とりわけ、

曲の改変を担当した、
鈴木宏昌(コルゲン)さんなどは、

「裁判になったら、俺も戦うぞー。」
と、やけに張り切ってましたし、

大瀧詠一氏も、

「俺もずいぶんパロディをやったけど、
 こんなスゴイことをやられたら、
 もうお手上げだよ。(笑)
 これを世に出せないなんておかしい。
 いざとなったら俺も一緒に戦うから。」

といった内容の電話を、
私にくれました。

これも「レココレ」にありましたね。


さあ、面白くなってきた。

ワクワク…。


アルファの中には、
「もうやめたほうがいいのでは…。」
という消極的な意見も出始めてましたが、

若い私は、

「イケイケ〜〜。」

て感じでしたね。


困ったやつ…。



ところが事態は、
思いがけず、

あっというまに終焉を迎えることに…。


「唯一の取り扱いルートである新星堂が、
 レコード会社数社からの申し入れを受けて、
 ギブアップしてしまったため、
『タモリ3』は事実上廃盤となってしまう。」

 (レコード・コレクターズ 9月号)


そうか、
今度は「新星堂」に圧力がかかったのか…。

さらに、
こんな話も聞きました。

ビクターに対し、
他のレコード店から、
猛烈なクレームが来たらしいのです。

その理由が、
けっこう笑えるのですが、

「そんなに面白くて、
 かつ売れてる商品だったら、
 なぜ新星堂だけに売らせる。
 うちにも売らせろ。
 じゃないと、今後ビクターの商品は、
 扱わないよ。」


「……。」



もうダメですね。

パロディ論争とはなんの関係もない、
ビクターの販売部や新星堂まで、
巻き添えになってしまったようです。


こうして、
この稀代の問題作は、

「幻のレコード」として、

市場から消え去ってしまいました。



あれから25年か…。


「レコード・コレクターズ」の、
『アルファの宴』という特集は、
私の若かりし日の記憶を、
鮮明に呼び起こしてくれました。


今にして思えば、

村井さんとしては、
この論争を法廷まで持ち込んで、
パロディ文化の存在と、その意義を、
もっともっと、
世に問いたかったのではないか。

仮に敗訴するにしても、
多額の違約金を払うにしても、

そこまではやりたかったんじゃないかな。


私はそう思います。



今、あの騒ぎを思い出してみて、


あのときのアルファの主張は、
本当に正しかったのか、

このアルバムは名盤だったのか、
はたまた愚作だったのか、

実のところ、
私には未だにわかりません。

(‘迷盤’であったことは確かですが;…)


ただ言えることは、

私には、
とてつもなく面白かったということ。

今もって「ありゃ最高だよ」
と言ってくれる人がたくさんいること。

これより数年後に、
嘉門達夫さんが、
「替え歌」を花開かせたこと。


これらを考えると、

一応の存在意義は、
あったのでしょうね。


そして、はっきり言えることは、

あれは、
「アルファ」でしか作れなかった、

ということです。


アルファというのは、

そういう新進気鋭の会社であり、
レコード業界の革命児であり、
常に新しいものにどん欲で、
冒険を恐れない。


つまりは、
『タモリ3 戦後日本歌謡史』
が問題児だったのではなく、

アルファそのものが、

問題児であったわけです。


新しいものは、
つねに敵をつくる。

トラブルもいっぱい起きる。

事実ほかにもいろいろありました。

(いずれ折りをみてお話しますが)


しかし、
それに立ち向かう、
若さとエネルギーがありましたね。

面白い会社でした…。



連載『アルファの宴』も、
そろそろ終わりが近づいてる、
と聞きました。

この取材を受けた、
あるいは、この特集を読んだ、
かつての幹部や社員は、
みな一様に、

あの面白かった時代を、
感慨深く思い出していることでしょう。


「レコード・コレクターズ」誌と、
ライター田山さんに深く感謝して、

ひとまずこの稿を、

閉じたいと思います。


謝謝…。



(おわり)



現代。

パソコンの普及と、
インターネット時代になって、

著作権なんて、
完全に無法地帯になってますよね。


それに比べると、

『タモリ3 戦後日本歌謡史』
をめぐる攻防なんて、

可愛いもの。

そう思いませんか?


ということは、

そろそろ復活が許されてもいいのでは…。


どうでしょう?


だめ?



(誰に向かって言ってる…?)



SHUN MIYAZUMI


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コメント一覧

1. Posted by 只野 通行人   September 22, 2007 18:26
5 私のリクエストという訳では無かったのですが、レココレ掲載と時期も合い、感謝感謝です。
一つだけ質問です。YMOとかカシオペアの作品はレギュラーの発売をしている。しかし、タモリ氏の1、2を含め、ほとんどのALFA作品は限定でしか復刻されず、埋もれてしまっている名作、個性的な作品も多い。ALFAの旧作を再び世に出す状況は無理なのでしょうか? ALFAは音楽人間に夢を与え続けてくれました。
2. Posted by SHUN MIYAZUMI   September 22, 2007 22:09
いつもご愛読ありがとうございます。
心暖まるコメントも…。

実は私も、只野さん同様、
ALFAの旧作をすべてCD化して欲しいと、
願ってるひとりなのです。
なぜならば、「タモリ3」以外にも、
私が手がけたものの多くが、
未だCD化されてないから。

ま、かなり近くに、その原盤を所有している会社が
あるので、しょっちゅうアタックしてみますがね。
噂では、3枚ほど復活の準備があるとか…。
そしたらすぐに、このブログでご案内致します。
3. Posted by 只野 通行人   September 23, 2007 06:33
5 本当に有り難うございます。今もあるのか、レコードマンスリーという小冊子のALFAの新譜広告を見る度、知ってる名前、まだ知らない名前、麻上冬目? 九十九一! クリス・モスデル! まるでクリスマスプレゼントを貰った子供のように、嬉しかったものです。深町純、Quark聞きたいなァ・・・。
4. Posted by asa   September 24, 2007 04:50

このシリーズが終わり、
ちょっぴり寂しいです。
でも、次が楽しみ。

J'Zの活動の場が、いよいよ
日本全国へ広がってきましたね。
いつか、日本も飛び出して…!
おおっ!!!
(あ、一人で先走ってしまいました)

若さ全開、でも経験は豊富なJ'Zですから、
大丈夫と思いますが、
体調と喉の調子を気遣って、
どうか
常にベストコンディションで
ご自身たちも楽しんで
音楽活動に取り組まれますよう。
5. Posted by SHUN MIYAZUMI   September 24, 2007 15:32
九十九一(つくもはじめ)か。
なつかしいな…。
どうしてるんだろ?
あれも高平さんの紹介でした。

asaさんも、
ご愛読ありがとうございます。
これからも、面白いネタを探して、
どんどん書きますからね。
そして、
J’Zの動きが日に日に活発化してきております。
近々ドバっとインフォの予定。
乞うご期待!
6. Posted by さみゅえる   January 27, 2008 00:07
5 タモリ氏の他のレコードは持っていないのですが,なぜか「タモリ3」だけは持っている私は変?。
当時,オールナイト日本で,タモリ氏自身が1度だけ(だった様な気が…)全曲をオンエアされていた記憶があります。
真夜中に一人で聞いてて,ヒィヒィ云いながらお腹をよじって笑ってました。速攻で入手しました。ホントに懐かしいですね。
7. Posted by SHUN MIYAZUMI   January 27, 2008 18:21
さみゅえるさん>

はじめまして。
「タモリ3」だけお持ちとは、お珍しい。
先日、友人のお宅の新年会にお呼ばれしたのですが、
なんと彼は、1、2、3とすべてアナログで所有。
しかも帯付きの貴重なものばかり。
高く売れるのだからやめたほうがいい、
と固辞したのですが、
「どうしても」とおっしゃるので、
サインをしてきました。
変なところで脚光を浴びてますなあ、
タモリ…。
8. Posted by びー   January 29, 2008 05:09
5 こんにちは。このタモリ3は、オールナイトニッポンでタモリさんがゲリラで流していたのをテープに録って聴いていました。特に放浪三年生が大好きでしたね。
 当時パロディーで歌謡曲をカバーしていたこの「タモリ3」と同時期に同じくオールナイトニッポンで番組の合間にかかっていた「近田春夫とハルヲフォン」の「電撃的東京」がお気に入りでした。こちらの内容はまったく正統派で歌詞はそのままで、アレンジがロック調だったと思います。このアルバムでは「東京物語」が特に好きで小林さんのリードギターのブリティッシュぶりが最高でした。
 何かの雑誌で読んだのですが、近田さんはこのアルバムでベーシストがプレイしていたオクターブ奏法はロッドスチュアートの「Do Ya think I'm Sexy?」より先だった。とコメントしていました。
 ほんと「スネークマンショー」やら「みのもんたのカムトゥゲザー」やらラジオ無しでは語れない時代でしたね。
9. Posted by SHUN MIYAZUMI   January 29, 2008 16:07
ぴーさん>

こんにちは、ようこそ。
ほんとに、
ラジオの深夜放送が全盛の頃は、
POPSが一番華やかでしたね。

もっとも、
こうして見ず知らずの方と、
やりとりができる今のインターネット時代も、
それはそれで捨てがたい気もしますがね…。

またお越し下さい。
10. Posted by 赤壁周庵   February 24, 2008 04:30
5 初めまして。私も「タモリ3」だけ持っている口です。これをカセットテープにダビングして、レンタカーで北海道を巡った新婚旅行の車内で何遍も聴いていました。嫁さんには大受けで、8年経った今でも「顔さえまともに見なければ〜」なぞと口ずさみ合っては大笑いしています。
「タモリ」「タモリ2」「タモリ/ラジカル・ヒステリー・ツアー」は最近、CD復刻されましたが、「タモリ3」は無理だったみたいですね。残念です。
11. Posted by SHUN MIYAZUMI   February 24, 2008 19:55
赤壁周庵さん>

はじめまして。
「タモリ3」を書いたおかげで、
随分いろんな方がお見えになり、
嬉しい限りです。
この分だと、
復活の日も近い?

だめかな…?
12. Posted by 赤壁周庵   February 26, 2008 06:40
5 宮住様

おはようございます。
先のコメントで書き忘れがありまして、またお邪魔しましたm(__)m

大笑いしたあとで、嫁さんが「これ、ずいぶんと手間暇かけてるんやねえ・・・」と、しみじみと云うてました。
そうだよ、と応えて、このブログを見せてやりたいのですが、このところパソコンの前に座りたがらないので、話だけして聞かせています。

と、まあそれだけのことなんです、書き忘れ再訪、とはいっても。

ヤフオクで1万円前後で取り引きされている「タモリ3」。是非、復活して欲しいです・・・

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