October 07, 2007

jammin' Zeb 「Smile」


jammin' Zeb インフォメーション No.2


きょうは、
10 / 17 に発売される、
ジャミン・ゼブの記念すべきデビュー・アルバム、

「Smile 」

について、
プロデューサーの立場から、
詳しくお話したいと思います。


 SMILE


収録曲は、全12曲。

うち「ア・カペラ」が、3曲。


そして、バックのサウンドは、
すべてアコースティック。

シンセサイザーはもとより、
エレキ・ベース、エレキ・ギターの類いも、
一切使っておりません。

“ナチュラルな響き”に趣きをおくことで、
彼らの美しい声やハーモニーを、
より楽しんでいただけるのではないか、

これが、全体のサウンドにおける、
最大のテーマでしたから。


ヴォーカルのレコーディングも、
4人同時に行ないました。

ソロ(リード・ヴォーカル)も、
基本的には同時です。

こうしないと、
共通のグルーヴ感や、
全体の一体感が出ないからです。

彼らのライブをご覧になった方は、
お分かりでしょうが、
彼らのもうひとつの持ち味は、
“若さ”と“エネルギー”ですから、

ただ美しいだけではつまらない。

あのライブの熱気とグルーヴを再現するには、
どうしても4人同時で録音しなければ、
意味がない。

これには、
一人づつ録音するより、
はるかに困難とリスクを背負いますが、
まずは立派にやってのけたと思います。


こうして、

若さと、みずみずしさと、

そして何よりも、
彼らの持ち味である、
“清潔感”と“楽しさ”に満ち溢れた、

とても美しいアルバムが出来ました。

ブックレットも、
美しい写真が満載ですよ。

どうぞお楽しみに。


そして、これから、
このアルバムを引っさげて、
精力的なライブ活動に向かう彼らですが、

まずはその鑑賞の手引きとして、
個々の楽曲について、

私なりの解説をしてみようと思います。



  ★☆★ ━━━━━━━━━━━━━ ★☆★



01. HOW HIGH THE MOON
 lyrics: Nancy Hamilton
 music: Morgan Lewis
 arrangement: Shun Miyazumi

 エラ・フィッツジェラルドの熱唱でもお馴染みの、
 有名なスタンダード・ナンバー。
 快適なテンポで、グイグイ突き進んでいく、
 爽快なビッグ・バンドの手法を取り入れたアレンジで、
 特に渾然一体となったクライマックスは、
 実にスリリング。

 ジャミンが初めて取り組んだ記念すべき楽曲です。
 ソロはコージローで、時おりスティーヴがからみます。


02. IT HAD TO BE YOU
 lyrics: Gus Kahn
 music: Isham Jones
 arrangement: Shun Miyazumi

 前半は、ジョージ・シアリング・スタイルの、
 エレガントなダンス・ミュージックの雰囲気。
 そして後半は、一転してビッグ・バンドのごとく、
 ゴージャスにスイングしながらクライマックスを迎える、
 という美しくドラマチックな構成になっています。

 甘くセクシーなレンセイのリード・ヴォーカルも、
 若さに似合わず、極めて完成度の高いものです。


03. BYE BYE BLUES
 lyrics & music: Frederick Hamm, David Bennett,
        Bert Lown & Chauncey Gray
 arrangement: Greg Volk

 快速テンポで聴く者を圧倒する、
 驚愕のア・カペラ・ナンバーです。
 このあたりの爽快さも、まさにジャミンの真骨頂。
 通常はバリトンを歌うケースが多いスティーヴが、
 ここでは、すさまじい高音のファルセットで、
 ぐいぐいメンバーを引っ張っています。

 ライブではアンコールで歌われることが多いですね。
 いつも強力な低音でコーラスを支えるシモンが、
 最後に見せる超ロング・ノートも聞きものです。


04. SMILE
 lyrics: John Turner & Geoffrey Parsons
 music: Charles Chaplin
 arrangement: Shun Miyazumi

 喜劇王、チャップリンが自ら作曲。
 名画『モダン・タイムス』の公開以降、
 全世界で愛され続けている名曲です。

 通常はバラードで演奏されますが、
 ここでは、ボサノバと16ビートを混合した、
 新しい感覚のリズムに挑戦してみました。
 前半は、コージローとスティーヴのソロを中心に。
 後半はフォー・フレッシュメンばりの、
 美しいコーラス・ワークを、たっぷりと聴かせます。


05. YOU RAISE ME UP
 lyrics: Brendan Graham
 music: Rolf Lovland
 arrangement: Shun Miyazumi

 フィギュア・スケートの荒川静香さんが、
 トリノ・オリンピックのエキシビジョンで、
 この曲をバックに美しく舞い、
 日本でも一躍有名になりました。

 ジョシュ・グローバンやケルティック・ウーマン
 のバージョンが有名ですが、
 レンセイのリードを中心としたジャミン・バージョンも、
 感動的な美しさに満ちあふれています。


06. WHEN WE MAKE A HOME
 lyrics: Richard Wittenmyer
 music: Sadao Watanabe
 arrangement: Shun Miyazumi

 ジャズ・サックスの大御所、渡辺貞夫さんは、
 実は膨大な数の「歌もの」も作曲されております。
 そのなかから、“これはジャミンに合いそうだな”
 と思ったこの曲を、アレンジしてみました。

 歌詞は「もしも〜私が〜家を建てたなら〜♪」
 と、まさにあんな内容ですね。
 暖かくて、アット・ホームな雰囲気は、
 リードを歌うコージローにぴったり…?


07. YOU'VE GOT A FRIEND IN ME
 lyrics & music: Randy Newman
 arrangement: David Harrington
 Additional lyrics by Holly and David Harrington

 ディズニー映画『 TOY STORY 』のテーマ・ソング。
 映画のなかでは、主人公たちが一緒になって歌う、
 というシーンが印象的ですが、
 ならばと、ジャミンもア・カペラで挑戦。

 メンバー4人が交互に、ソロにバックに、
 出たり入ったりの見事な七変化を見せます。
 誰がどこを歌ってるか、当ててみてください。


08. TAKE THE "A" TRAIN
 lyrics & music: Billy Strayhorn
 arrangement: Shun Miyazumi

 デューク・エリントン楽団のテーマ・ソング
 として、あまりにも有名な楽曲ですね。
 カバーも、数えきれないほどありますが、
 ここではラテン・ビートと4ビートの融合、
 という新しいスタイルでアレンジしてみました。

 スティーヴのソロに始まり、
 時にはトランペット・セクションの如く、
 時にはサックス・セクションのソリの如く、
 そして豪快な、迫力たっぷりの全体演奏の如く、
 とこれまた、ビッグ・バンドさながらの爽快さで、
 スリリングに展開していきます。


09. OVER THE RAINBOW
 lyrics: E.Y.Harburg
 music: Harold Arlen
 arrangement: Shun Miyazumi
 
 映画『オズの魔法使い』のなかで、
 ジュディ・ガーランドが熱唱して以来、
 全世界を魅了した、あまりにも有名なスタンダード曲。

 ここではコージローをリードにした、
 バラードで演奏されますが、
 間奏では一転して、
 またもや豪快なビッグ・バンド・スタイル。
 そして再びバラードに戻り、
 感動的なクライマックスを迎えます。


10. WHEN I FALL IN LOVE
 lyrics: Edward Heyman
 music: Victor Young
 arrangement: Shun Miyazumi

 『80日間世界一周』や『マイ・フーリッシュ・ハート』
 などで有名な大作曲家、ビクター・ヤングの名曲です。
 ほとんどの場合、美しいバラードで演奏されますが、
 ここでは誰もやっていないであろう、
 ゴスペルを基調とした、ファンク・フィーリングで、
 大胆にアレンジしてみました。

 いきなりの4声コーラスでテーマが始まり、
 メンバーひとりひとりがソロを取る第二パート、
 カシオペアばりの強烈なリズム・コーラス・ワークで
 圧倒する第三パートを経て、
 感動的な最終章へと突入していきます。
 ライブでも、最後に演奏することが多く、
 いつも大変な盛り上がりをみせています。


11. WHEN YOU WISH UPON A STAR
 lyrics: Ned Washington
 music: Leigh Harline
 arrangement: Aaron Dale

 これも有名なディズニー楽曲ですね。
 映画『ピノキオ』の主題歌で、
 1940年度のアカデミー賞作曲賞に輝きました。
 邦題は『星に願いを』

 これまたスティーヴを最高音に、
 極めて難度の高い、
 ア・カペラ・コーラスを聴かせます。
 それにしても、彼の音域の広さは、
 本当に驚くべきものがあります。


12. EVERYTIME YOU GO AWAY
 lyrics & music: Daryl Hall
 rhythm arrangement: Yoichi Murata

 アルバムの最後は、ボーナス・トラック的な一品。
 ホール&オーツ、ポール・ヤングなどがヒットさせた、
 1980年代を代表するヒット曲のひとつ。
 
 ジャミンのレパートリーとしては異色ですが、
 こうしたポップスでも、
 非凡なヴォーカルを聞かせられるのも、
 彼らの魅力といったところでしょうか。
 特に、Aメロを歌うシモンのパワフルなリードは、
 実に豊かな大器の片鱗を感じさせます。



さて、最後に、
ミュージシャンと、
レコーディング・データです。


  ★☆★ ━━━━━━━━━━━━━ ★☆★


jammin' Zeb are : Kojiro, Steve, Lensei, Simon


Musicians:

Piano: Shun Miyazumi( M-1, 2, 5, 6, 8, 9, 10 )
Fender Rhodes Piano: Shun Miyazumi( M-4 )
Hammond B-3 Organ: Yasuharu Nakanishi( M-12 )
Bass: Tetsuyuki Kishi( M-1, 2, 4, 5, 6, 8, 9, 10 )
Bass: Vagabond Suzuki( M-12 )
Drums: Akihito Yoshikawa( M-1, 5, 6, 8, 9, 10 )
Drums: Jeremy Gaddie( M-2, 4 )
Drums: Yasuo Sano( M-12 )
Guitar: Yama-Ani( from "sen no kotori" )( M-4 )
Percussion: You Hatakeyama( M-2, 4, 6, 7, 10 )
Sax: Taka Kawashima
       ( M-4 Tenor, M-5 Soprano, M-6 Alto )


  ★☆★ ━━━━━━━━━━━━━ ★☆★


PRODUCED BY SHUN MIYAZUMI


Associate Producer: Shoji Yuasa


Recording Engineers:
Takashi Sudoh, Ryuichi Misawa, Rie Mimoto

Mixing Engineer: Takashi Sudoh

Recorded & Mixed at:
ZERO STUDIO, ZAK STUDIO, SUNRISE STUDIO,
Sony Music Studios Tokyo, KAOS Studio

Assistant Engineers:
Toshiaki Ueda ( ZAK STUDIO ),
Ryohei Kurihara ( ZERO STUDIO ),
Nobuyuki Murakami ( Sony Music Studios Tokyo )

Mastering Engineer: Hiroshi Kawasaki

Mastered at:
FLAIR Mastering works / Victor Studio

A&R Producer: Sumio Jono

Art Direction & Design: Manabu Koyama
Photography: Yuki Kawanoto
Styling: Tatsuhiko Marumoto
Hair and Makeup: Hirotaka

Sales Promotion: Akihiko Tsuchiya

Supervisors: Koji Niwa, Seiji Fueki

Artist Management: SHUN CORPORATION

Special Thanks:
All Of Me Club,
KAOS ( Akinori Kumata & Ayumi Okada ),
Shigeo Kurimoto,
Koichi Tsuruyama ( "A-TRAIN" )


  ★☆★ ━━━━━━━━━━━━━ ★☆★


(お問合せ)

 ビクターエンタテインメント洋楽部
         03-5467-6601




さ、『ジャミン伝説』のはじまりだ…。



SHUN MIYAZUMI


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jammin' Zeb インフォメーション | 2007 エッセイ

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コメント一覧

1. Posted by asa   October 07, 2007 02:26
ま、待ってまーす。発売日。
曲の解説、よいです。
聴くに、歌うに、参考になります。
2. Posted by SHUN MIYAZUMI   October 07, 2007 17:54
気に入っていただいたようで、良かったです。
また折に触れて、
他の曲解説も更新しますね。
増える一方で、大変ざますけど…。
(ホントは嬉しい悲鳴)
3. Posted by ayu   October 08, 2007 12:11
解説を読んで、どきどきしてきました。
期待がますます膨らみます。
発売日が待ち遠しくてたまらない!!です♪
4. Posted by SHUN MIYAZUMI   October 09, 2007 17:39
私もayuさんのコメントを読んで、
どきどきしてきました。
気に入ってもらえると嬉しいのですが…。
(ちょっと謙虚に)
近々、膨大なライブ・スケジュールを、
アップする予定です。
お楽しみに。
5. Posted by asa   October 10, 2007 10:47
宮住さん、緊急連絡!!!

ビクターエンターテイメントのアルバム紹介で、SimonさんとLenseiさんのプロフィールが逆になってます!

仕事中にCHKしたのが大バレですが、敢えて、コメントします!
6. Posted by SHUN MIYAZUMI   October 11, 2007 11:54
ほんとですねー。
大至急直すよう手配しました。
ご指摘、感謝でございます…。
7. Posted by megumin   October 22, 2007 04:09
丸ビルで聴きました。透明感があり、それでいて感じさせられる力強さ。初めて聴く音楽のようでした。CDに解説が無かったのはわざとでしょうか。このブログを読んで再度聴くと、また違ったように感じるかもしれませんね。今後の活躍を楽しみにしています。
8. Posted by SHUN MIYAZUMI   October 22, 2007 18:13
meguminさん

ありがとうございます。
ジャミンのほうのブログ(ZEBLOG)にも、
彼ら独自の楽曲解説がありますよ。
これもなかなか楽しいものです。
今後とも、よろしくお願いしますね。
9. Posted by 断食娘。   August 10, 2008 16:42
ここが「『ジャミン伝説』のはじまりだ」のはじまりですかな\(^O^)/

"DREAM"の1曲毎の解説も、楽しみにしております
TV出演も「ドカドカ」よろしくです
食べ物番組とのコラボなぞ、各方面喜ばれるかなぁ

新アルバムリリースを機に、ビクターさんの公式HPバージョンアップを切に願う次第でございます<(_ _)>
10. Posted by MAMI   August 10, 2008 21:39
断食娘。さん、ありがとうございます。
宮住さま、私も“Dream”解説を楽しみにさせていただきたいと思います。
お待ちしております! よろしくお願いします
11. Posted by MAMI   August 10, 2008 21:42
最後になんだか変な絵文字が入ってしまいましたようで。。。
失礼しました。 取消してくださいませ。

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