October 02, 2010

無責任流芸術論 その4


ようやく秋らしい気候になってきましたね。


今朝は久しぶりに、
「駒沢公園」を散歩してきました。

なんとも清々(すがすが)しい気分です。


いいですねえ、秋。

特に今年は猛暑の連続でしたから、
いつもの年よりよけいに有難みを感じます。


「スポーツの秋」

「読書の秋」

「食欲の秋」

「芸術の秋」



そうだ、忘れてはいけない。

「芸術」だ。


「芸術とはなにか」だ…。

……。



前回のコメントの中に、
やや結論めいたものがあったので、
これはノンビリもしていられなくなりました。

先を急がねばなりませんね。


じつは私も、

同じような考えを持っておりましたから。



つまり、

「芸術」とは、

本来無責任なものではないか。



なぜ、そう思うかといいますと、

最初に私が提起した3つの命題。


1.「芸術」とはなにか?

2.「芸術」と「そうでないもの」の境界線はどこか?

3. それを決めるのは誰か?


この問いに、
明確に答えられる人がいないからです。


もしも、明確に答えられる人がいたら、
その人もまた、
極めて無責任な人ではないかと、

逆の意味で、私は尊敬します。


ええ、私は「無責任崇拝者」ですから。



かつて、
「無責任教育講座」でも触れましたが、

芸術家の大半は、
崇高な「無責任」の発想にもとづいて、
作品を作り続けたはずです。


「だって、やりたかったんだも〜ん。」

この発想です。


でも、これでいいんです。

あとは受け手の問題です。


受け手もまた、

無責任に評価していればいいのです。



さらには、

その芸術家と受け手の間を仲介する、
「評論家」という名の先生たちや、
「評論」という行為。


これがまた、

なんとも無責任な存在ではないか、
と、私は思いますね。


あっ、誤解のないように言っておきますが、

私は、「評論家」や「評論という行為」を、
断じて否定するものではありません。


芸術の発展のために、
彼らがいかに貢献してきたかは、
歴史を見ればわかることです。

彼らの慧眼(けいがん)と正しい紹介により、
どれほどの埋もれた才能が開花したことか…。


しかし、一般的に見れば、

他人の作ったものに「ああだこうだ」と言う、
「評論」というのは、
そもそもが無責任な行為と思われがちです。


でも、それはそれで、

いいのではないでしょうか。


作り手も受け手も無責任な「芸術」という分野を、
仲介、紹介する「評論」という分野だけが責任を持て、
というのは酷です。


むしろ、

この「評論家」の先生こそは、大いに開き直って、
“究極の無責任”であって欲しい、
というのが、

私の持論です。


作り手の無責任と、
受け手の無責任を超える度量と実力が必要な、
「これぞ無責任!」の旗手でなくてはならない。

私は、そう思います。


だからこそ、

「無責任の3大原則」は、

絶対に守ってもらわねばなりません。


無責任の3大原則:

1.人を傷つけない
2.人に迷惑を与えない
3.人に損害を与えない


これをクリアしない「無責任道」は、
まだまだ未熟です。

私なんぞは、
まだまだ道半ばですから、
この「究極の無責任」には到底到達しておりません。



さて、

このシリーズの一回目で、
私は2人のクラシックの評論家先生を、
ご紹介しました。

もう一度、思い出してみましょう。


一人目は、
一刀両断のもと、
作品をバッサリと評論する先生。

「ベートーヴェンの第9は、ずばりコレだ。
 これ以上の名演を、私は未だ知らない。」

「モーツァルトの○○は、これがベストだ。
 この曲は、これ1枚あれば事足りる。」
 

そして、
クラシック音楽のビギナーだった頃の私は、
この先生の言葉を信じて、

ずいぶんつまらない物を、
たくさん買わされてしまいました。


この先生が正しいかどうかは別にして、
少なくとも私にとって、

「3.人に損害を与えない」

という原則には違反しているわけですから、


私は、この先生は、
まだまだ「無責任」を極めてはおらんなあ、
と言いたい…。


どうせなら、ここまで言って欲しかったですね。


「ベートーヴェンの第9は、ずばりコレだ!

 この演奏の良さがわからない者は、
 はっきり言ってベートーヴェン、
 いや、そもそもクラシック音楽などを、
 聞く資格はない。

 私は、自分こそが、
 世界で唯一、本物を聞き分けられる耳を持ってると、
 自負している。

 しかるに、
 私が推薦したレコードがつまらない、
 と苦情を言う輩(やから)の、なんと多いことか。

 そんな輩は、
 自分には芸術を理解する能力が無い、
 と自ら認めているようなものだ。
 哀れとしかいいようがない。

 そんな奴らは、
 くだらない商業音楽を聞いておればいいのだ。

 だから、ごく稀(まれ)に、
 私のことを褒めてくれる人に出会うと救われる。

 この連中だけが、
 私が神に使(つか)わされた、
 真の音楽の伝道師であることを、
 理解している人たちだ。
 
 そんな私が言うのだから間違いはない。

 第9は、ずばりコレだ!!」



ここまで言われたら、
仮にその作品がハズレでも、
私は怒りません。

むしろ「自分の耳は神の使者に勝った!」
と、誇らしく思うでしょう。

もちろん、それが素晴らしかったら、
永遠にこの先生を崇拝し、
人に薦めてまわるでしょうね。



もう一人は、
ハイドンのチャーミングな音楽を、
ヘーゲルの哲学書よりも難解な文章で紹介した、
あの先生です。


「ソナタ形式における諸問題ー
 即ち1楽曲内での2主題性、
 各主題を連結する経過部の有機的な進行、
 小結尾部の確立、」

「主題の楽想展開的即ち
 有機的な分解と再結合による立体的な展開部、
 再現部における省略と演釈の方法」

「2主題の葛藤に対する統一的な意味を持つ結尾部
 (しかも結尾部は展開部の膨張と共に、
  主調確立という調的な意味においても、
  亦その重要さを増すべき性質のものであった)。」


……。



クラシック音楽の評論家は、

その作曲家や作品を正しく紹介すると同時に、

クラシック音楽を食わず嫌いの人たちに、
一人でも多く、その素晴らしさを教えてあげるのが、
使命ではありますまいか。

一人でも多く、
クラシック・ファンを増やすのが、
仕事ではないのでしょうか。


でも、こんな紹介をされたら、

みんな引いちゃいますよね。


「クラシック聴こうと思ったんだけど、
 なんだか難しそうな音楽だなあ…。
 やめとこかな…。」

「そうね、ハイドンて、
 もっとわかりやすい音楽だと思ってたんだけど、
 ちょっと私には無理だわ…。」



だから私は、

この先生も、

「究極の無責任」には、

まだまだ到達していないのではないかと思います。



えっ?

でも、3大原則には違反してないじゃないか、

ですって?



たしかに、

「1.人を傷つけない
 3.人に損害を与えない」

これはクリアです。


でも、

「2.人に迷惑を与えない」


これは、どうでしょうね?



私は、この評論、紹介によって、

一番迷惑を被(こうむ)っているのは、


当の、ハイドンさんではないかと、


思うのですが…。




(つづく)





7〜9月のジャミンと私は、

北の方にご縁がありましたね。


アラスカやロシアは言うまでもなく、

山形、仙台、金沢etc.


で、どうやら、

来月からは、

中京地区あたりから風が吹いて来そうです。

そよそよ、そよそよ…。



さ、五線紙もいっぱい作りました。

明日からは、

せっせせっせと書いていかないと、

この秋、冬を乗り越えられません。


やりますからね。


飲んでる場合じゃありませんよ…。

誘惑に負けてはいけませんからね…。


だから、みなさん、

誘わないで下さいね。


ほんとに…。


誘っても、ちょっとだけですよ。

ほんの一杯だけですよ。



ええ、


本当に…。



じゃ、ちょっとだけ…。


……。



SHUN MIYAZUMI

woodymiyazumi at 20:36コメント(16)トラックバック(0) 
2010 エッセイ 

トラックバックURL

コメント一覧

1. Posted by    ni-na   October 02, 2010 22:54
 更新ありがとうございます。

 無責任…実はとっても難しいことなんだ、と分かってきました。とっても勉強になります。

 だから、きっと、無責任に、「やっとお酒の美味しい季節になりました。味覚の秋は、美味しいお酒とともに…」なんて言ってはいけないのでしょう…。(笑)
2. Posted by ちゃこ   October 03, 2010 00:48
うまい! 座布団5枚! 
失礼しました

え〜、また難しいんですか〜、と思っていたら「ベートーヴェンの第9は、ずばりこれだ!」で、ぐふふふふふ♪ 楽しませていただきました(笑)

あのキョーレツな文章は快復しかけのしんどさと一緒にしっかりインプットされてますのでもうご勘弁を〜  までフリーズです

もう来ないと思っていた秋がやっと来ましたね。いい季節です
どんなに暑かろうと急に寒くなろうと、変わらず私たちを楽しませてくださってありがとうございます ♪♪♪
3. Posted by JUPITER-8   October 03, 2010 14:24
5 クラシックの評論でよく「精神性」と言う単語を目にしますが、あれ一体何でしょうね?スピリットとはまた違うんでしょ。未だに意味が解りません(苦笑) それで敷居が高いと思ってしまうのかも知れませんね…(^^;)
4. Posted by 只野 通行人   October 03, 2010 20:57
5 ま、自分と好みの方向性が合う、評論家とかジャーナリストを見つけるのも手でしょうね。
僕の場合は、
Mr.ピーター・バラカン、
Mr.マーク・ラパポート、
立川直樹さん、
宮住俊介さんが信頼できますね。
それでも人間ですから、違う場合もある…。
だからこそ面白い。
5. Posted by SHUN MIYAZUMI   October 03, 2010 22:20
あれまあ…?
ギャグのつもりで始めたシリーズなんですが、
まじめな芸術論になりそうな気配…。

いけませんねえ。
失礼しました。

ピーターさんなんかと比べたら、彼怒りますよ。
「一緒にすんな」てね。

いやいや、一介の無責任な音楽屋がやることじゃ、
ありませんでしたね。
こんなものは、とっとと終わらせましょう。

といっても、アレンジに追われて時間がない…。

と言いながら、
ついつい「ばらの騎士」なんか観てる私って…。

(これ、いいなあ♪)
6. Posted by mariko   October 04, 2010 12:04
こんにちは。

「無」から何かを生み出して芸術作品にまで高めることのできる人って尊敬しちゃいます。
アートでもスポーツでも極めることの美しさって理屈抜きに感動を呼びますね。

難しい芸術論はともかくとして食欲の秋の私には「花より団子」、「名月よりお酒」。

やっと秋らしい風を感じるようになってきたと思ったら雨が多いですね。
12日は三越屋上でのライヴ。
ぜひ晴れますように。

「晴れ男」さん、出番ですよ。




7. Posted by 栞   October 05, 2010 08:25
宮住先生、おはようございます。

いよいよ、今年の金木犀が香りはじめました。

『無責任流芸術論』‥マジメに論じてはいけないのですね?
ではでは、ほんのちょこっとだけ。(笑)

実は私、今回は『責任流芸術論』だと睨んでおります。

なぜなら「無責任の3大原則」を果たしたら、作り手も受け手も評論家も、責任のあるプラスの言動をとることになるから。

‥と、この辺だとセーフですか?(笑)

でもやっぱり、楽しむことがいちばんですよね♪
芸術も、お酒も‥(悪魔のささやき 笑)
8. Posted by mariko   October 05, 2010 17:40
あらあら、栞さんたら。。。
貴女も(いける口ですね)?

最近、月末金はお忙しいのですか?
ご無沙汰してますね。

そう、金木犀は百日紅(サルスベリ)からバトンタッチして秋の訪れを香りで知らせてくれます。でも芳しい柑橘の香りは開花の瞬間だけ。完全に開ききってしまったらほとんど匂いはしません。
春の桜と同様にいさぎよい金木犀が好きです。
9. Posted by 栞   October 05, 2010 23:10
>marikoさま

私、正体は明かしていないつもりだったのですが、
見抜かれていたのですね。。。(ドキドキ)

それでは、これからよろしくお願いします
10. Posted by SHUN MIYAZUMI   October 06, 2010 00:38
ようやく1曲書き上げたので、
息抜きに、ちょいと失礼します。

私、「秋」「お酒」と聞くと、
まっさきに思い浮かべるのが、

「土瓶蒸し(どびんむし)」


「すだち」をちょいとたらして、
ぐびぐび。

くぁ〜、たまりませんなあ〜〜。

食通日本が生んだ、最高の逸品ですね、あれ。

誰かご馳走してください。
11. Posted by あん   October 06, 2010 23:46
1曲完成♪♪ おめでとうございます!!

それは、土瓶蒸しに値しますね♪
(*^_^*)
いつか、粋なお店で偶然出会うことがありましたら、ぜひおごらせてください。
( ^^) _旦
・・・しかし、私の行くような飲み屋に
土瓶蒸しがあっただろうか?
(やはりおごる気なし?) 


いつも素敵な音楽をありがとうございます。  
新曲ご披露楽しみにしています。
♪♪♪ 
12. Posted by ちゃこ   October 07, 2010 03:58
>只野 通行人さまに一票♪
特に最後の方なんて
以前、薦めてくださったものを視聴してよかったので "ここは娘が誰かの名前で登録してるのかなぁ? 金額がさまざまなのって?! も〜、ダウンロードなら得意なのに?!" と、結局またこんど に。そんなある日、銀座のY野楽器 に.....見つからず 
でも同じ組み合わせの があったので、その中から一枚を "案外、これいいかも"(コラッ!) ハイ、その時しみじみそう思いました
そして、私メからも すみません、こんなものしかなくて(爆)
せっかくいいムードなのに、しょうもない事を思い出しましたよ
和食で、一年間お世話になったN.Z.と邦人のペア家族と会食した時にぎんなんが箸から落ちてころがったんです。
その頃、体調をくずしていてアルコールは控えてたので、少し頂いただけでとても気持ちがよくなってしまって...それが土瓶蒸しだったことを今、思い出せました(笑)
帰国の荷物を送り出した後はホテルで2,3日過ごすのですが、ちょうどXmasの一週間前でキャンセル待ちが多く、予約した便を逃すと帰国できないと言われていたので不安でした。
娘たちとなんとかぶじに発て 途中、つれあい&チームスタッフと合流するため(同時帰国が命)モアンな国にトランジット→わりと近くのへ。
好奇心旺盛な父子は町へ...疲労困憊ぐみは空調が効かないので中々寝付けず、ハッと気が付けば離陸30分前空港のカウンター前には人影もなく「もう出た?」と恐る恐るドアをあけると沢山の乗客が...観光ぐみは戻ってから寝るかって
13. Posted by 只野 通行人   October 07, 2010 19:41
5 >ちゃこ賛江
それは何の盤だったですかね? 無責任にも思い付きでいろんな作品を書いてきたので…。
最近、コンビニで買ったDVDで「世界の料理ショー」というのがあります。
昔から何度も再放送されてきたので、御覧になった方も多いと思います。
司会のMr.グラハム・カーが思い付きと言うか、適当と言うか、軽妙なトークを交えながら料理を作っていきます。
やっぱり日本にはないモダンさとゴージャスさがあるんですよね。
14. Posted by HIRO   October 07, 2010 22:45
お仕事、ごくろうさまです。ステキな新曲、めいっぱい期待しています。

いままでで、1番おいしかった土瓶蒸しは…産婦人科に入院していた時にだされたものでした。町の小さな病院ですが、お食事がおいしいというので…あわびやさざえも出ました!お酒は出ませんよ!ん?もしかして、出産で疲れきっていたから、おいしかった?
料理も芸術も、受け手の身体や精神状態で大きくかわるということですか?
ジャミン・ゼブの音楽は大好き!
15. Posted by ちゃこ   October 08, 2010 03:02
>只野通行人さま

あいすみません これまでもいろいろ教えて下さってますが、

>ま、自分と好みの方向性が合う評論家とかジャーナリスト〜〜〜
に、僭越ながら1票を投じさせていただきました。
そして、只野さまご推薦の4人目のお方が(笑)薦めてくださったは、やはりよかった♪ ということなのですが これまでも、後で読み返すと自分でも何を言おうとしたのか解らなかったり 勘違いしてると思われそうなことを書いてたり...です


それから『ばらの騎士』ん?コミック?!と思いましたが、アレですよね まだ続いてたんですね、お気に入りの方でした?(笑)
16. Posted by 只野 通行人   October 08, 2010 06:42
5 >ちゃこ賛江
なるほど、なるほど。
僕が最初の最初に宮住さんの御名前をアルファ・レコードのクレジットで立て続けに見かけた頃は謎の人物でしてね。
カシオペア、YMO、なんとタモリまで! この人はどんな人なんだろう?
その内、風貌も見る事ができ、カシオペアの向谷さんからは「宮住さんには全幅の信頼を置いている」とのコメント。
そりゃ、ジャンルを超えたクロスオーバーを作って来られた方ですからね。
しかも高品質。
リスナーとしてもリスペクトせずにはいられませんよ。





コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星