2009年04月08日

同僚女「おーい、おとこ。起きろ、起きろー」その2

146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/07(火) 23:39:27.03 ID:K/cjTthi0
――駅前のカフェ

新人女「はい、ですね。はい」にこにこ
男「……ん。新人女さんは、おうちはどこ?」
新人女「総武線ですよ〜」

男「そか。近くて良いね」
新人女「千葉ですから、田舎ですよー。わたしも、
 一人暮らししたいです」

男「いや。実家が楽だよ。いろいろサービス付きだし」
新人女「そうですか?」

男「多少は慣れた?」
新人女「はい」

男「んじゃ、午後からはパソコン使おうか」
新人女「はい」にこにこ
男「嬉しそうだね」

新人女「パソコンの方が手が荒れませんから」
男「ああ。そっか。了解」



150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/07(火) 23:45:40.45 ID:K/cjTthi0
――午後

男 カタカタカタカタ
新人女 カタカ

新人女「あのぅ先輩」
男「なに?」

新人女「ここの操作なんですけれど」
男「あー。うん。……こう。で、正規表現で置換」
新人女「正規表現?」

男「えっとuni的な言い回しでワイルドカード」
新人女「ワイルドカード?」

男「ふむ」
新人女「難しいです。やって見せてもらって良いですか?」
男「見ててね」

男 カタカタカタカタ ガガガガガガガ タンッ!

男「こんな感じ」
新人女「はぁい」にっこぉ



154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/07(火) 23:49:51.85 ID:K/cjTthi0
男 カタカタカタカタカタ
新人女 カタカ

新人女「……んっと」
男「……」

男 カタカタカタカタカタ
新人女 カタカ

新人女「……ぇーっと」

男 カタカタカタカタカタ
新人女 カタ

男「……」

男 カタカタカタカタカタ

男「……」

男 カタカタカタカタカタ

男 カタカタカタカタカタ



156 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/07(火) 23:50:43.85 ID:JNZ2nB5hO
SEでプロマネやってた頃を思い出すな
もう2度と開発には戻りたくないわ

支援



157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/07(火) 23:53:00.17 ID:K/cjTthi0
男「どうしました?」
新人女「えっと、さっきのが」

男「正規表現?」
新人女「はい」

男「判らない?」
新人女「はい」
男「そか」

新人女「もう一度やってもらって良いですか?」
男「聖闘士は一度見た技を忘れない」ボソリ

新人女「え?」

男「いや。まぁ、一括置換ってのは手早く楽するための技なんだよ。
 置換する条件は判る?」
新人女「日付と顧客グループと担当地域の組み合わせですよね」
男「うん、そう」
新人女「それは判ります」

男「じゃ、ファイル先頭から、手作業で打ち直していって」
新人女「!?」



161 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/07(火) 23:57:31.50 ID:K/cjTthi0
新人女「だって、ファイル14メガありますよ!?」

男「14メガのが1セットで12個。それが30セットでしょ?」

新人女「あ、はい……。でも、さっきのやってもらえれば、
 1分くらいで」

男「大丈夫、まだまだ陽は高いから」
新人女「でも」

男「がんばろうね」にこっ

新人女「え。あの……」

男 カタカタカタカタカタ
新人女 カタカ

新人女「……」
男「……」

男 カタカタカタカタカタ
新人女 カタカ

男 カタカタカタカタカタ
新人女 カタカ



165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 00:03:25.08 ID:vIdZBssS0
――61時間経過 18:00 会社作業室

男「お疲れ様」
新人女「え?」

男「もう18時だよ。上がる時間だよ。お疲れ様。
 がんばったね。これ、ホットチョコね」

新人女「……ありがとうございます」

男「肩こった? どれくらいいったかな?」

新人女「えっと。…………二つ目のファイルの、
 まんなかくらい、です」
男「ん……」

新人女「遅くてすいません」
男「――」

新人女「……」
男「……」

新人女「……」
男「恥ずかしい?」



168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 00:06:41.55 ID:vIdZBssS0
新人女「はい……」
男「じゃ、早くなるよ。仕事も覚える」にこっ
新人女「え?」

男「これ、あんちょこね」
新人女「あ……はい?」

男「このノートの、オレンジの枠の内側よめば、ずいぶん
 仕事覚える。うちのチームの新人ガイダンスに使う資料ね。
 ツールの使い方とか、コマンドの詳説とか、Tipsとか
 まとめてあるから」
新人女「はい」

男「読んできて覚えろ、とは言わないけれど。
 読めば確実に仕事は早く、ミスが減って、上達するよ。
 『恥ずかしい気持ち』と『もっと楽をして簡単に仕事を
 終わらせたい気持ち』があるなら、ちゃんと上手くなるから」

新人女「はい……」
男「じゃぁ、今日はあがってね」

新人女「でも……わたしの分」
男「新人が仕事進まないのは当たり前です。
 計算済みだから心配無用。仕事をあがって、
 休養して。ああ、チョコ飲んでね」

新人女「はい。――すみません」

男「また明日ね」にこっ



173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 00:08:32.39 ID:U0WGHoROO
男かっけええええええ


175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 00:09:03.55 ID:V3PvkJPc0
あれ?男がかっこよくみえるな・・・気のせいか


179 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 00:10:10.54 ID:vIdZBssS0
――65時間経過 22:00 会社作業室

女「揉んだ!?」
男「入ってくるなり、第一声がそれですか。先輩」

女「柔らかかった? 処女だった?」
男「揉んだだけで判るかよ」

女「うち判るよ」
男「どんな異能力だよ!?」

女「小さい頃にね」
男「ん?」
女「泉の精霊が『指先から無限に唐揚げが出てくる能力』と
 『揉んだだけで処女か非処女か判る能力』のどっちかを
 あげるって言ってきて」
男「小話かよ」

女「それで後者を選んだのだ」
男「よりにもよって」

女「あれはうちの人生最大の失敗やったん。正解を選べば
 唐揚げが無限に出せたのに……」

男「がっかりした顔してるよ、この人」



181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 00:14:54.43 ID:vIdZBssS0
女「で、どう? 彼女」
男「あー」

女「使い物になる?」
男「さぁ。それは神様仏様の領分だしさ。ただまぁ」
女「?」

男「ウチのチームに突っ込まれたからには、
 ぬるいままのうのうと仕事をするのは無いね。
 成長して一人前になるか、逃げ出すかのどっちかでしょ」
女「鬼だ!」

男「ただのマネジです」

女「型にはめたの?」
男「言葉悪いなぁ」
女「イわした? 奥歯がたがたイわしたった?」
男「えー」

女「男はけっこう紳士だからなぁ。……へたれとも言う」
男「言いたい放題言われてるなぁ。」

女「そか? 野放しにはしないでしょ?」

男「昔のあんちょこ渡して、きっちり言っておいたよ」



183 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 00:18:50.79 ID:vIdZBssS0
女「ふぅん」
男「あ、信用してない?」
女「うん、信頼はしてるけど、信用はしてない」
男「結構へこむね、そう言われると」

女「まぁ、二人きり作業はちょっと心配というか」
男「なにが?」

女「何でもない。……仕事の能率はどう?」

男「新人だし、しかたないんじゃない? あのくらいは。
 池袋のチームでは甘やかして放置してたんだと思うよ。
 スキルは、まぁ、ないね。でも派遣のスキルシートなんて
 基本は嘘八百だしね〜」

女「まぁね」

男「普通レベルの仕事は出来るようになるよ。その後の
 ハートの強さは、こればっかりは神様お釈迦様だ」
女「ん。ウォリアーは才能だからねっ」

男「先輩、才能あふれてるね」
女「うち褒められた?」にぱぁ

男「たぶん」



191 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 00:25:46.75 ID:vIdZBssS0
女「じゃぁ夜食食べ行こ?」
男「なんでそこで『じゃぁ』で接続?」

女「褒めるのは言葉だけでは良くない」
男「え?」

女「ラーメンをおごるべき!」
男「えぇー?」

女「ラーメン、ラーメン♪」
男「はいはい」
女「さー。柴犬にいこー。どうせ今日も泊まるんでしょ?」
男「先輩は帰ってくださいよ」
女「えー」

男「帰らないならラーメン付き合いませんよ」
女「んー。判った。マネジに従う」
男「約束ですよ」
女「ほいほい」



194 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 00:28:58.94 ID:vIdZBssS0
―― 22:30 駅前ラーメン「柴犬」

男「豚骨焦がしネギ入りで」
女「うちもそれー」

男「んー。なんかパソの前を離れると、急に身体が重くなる」
女「疲れたまってるね」
男「まだいける」

女「まだいける、と思えるうちに次の手を打たないと」
男「全くですね」

女「……」
男「なんです?」

女「男は……ちょっと頑張りすぎかな?」
男「先輩に言われたくはないですね」

女「そか。えへへへ」

親父「トンコツ焦がしネギ二丁、お待ち」とんっ!



196 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 00:32:29.17 ID:vIdZBssS0
男「美味いっすね……。ずずず」
女「うん、あったかー……ずず」

男「ずず……ん。……んまっ」
女「ずるずる……。香ばしさが良いね」
男「ですねぇ〜」

女「ずっず……」
男「ぷはぁ。ごちそうさまっ!」
女「早っ!?」

男「あぁ。先輩はゆっくりで良いですよ。自分のペースで」
女「なんか上からの目線?」

男「考えすぎでしょ。食事ですよ」
女「速度で負けると焦るのはうちも職業病かも」

男「ゆっくりでいいすよ。食事くらい」
女「ずる……そか。……えと、男は……」



201 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 00:35:56.23 ID:vIdZBssS0
男「なにさ」
女「仕事してないとき、何してる? 家で、とか」

男「寝てる」
女「うちも」

男「……」
女「……」

男「何の話?」
女「そういう話じゃなくて!」

男「どういう話?」
女「趣味とか? ですよ。ほら、リア充でしょ、男は」
男「ぇー。そんなこと言われても。んー。2chとかかなー」

女「おー、Vipper仲間だっ!」
男「びぷ?」

女「……早まった」



204 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 00:40:08.05 ID:vIdZBssS0
男「まぁ、2chでレシピ聞いて、シチュー作るのは楽しいな」
女「料理好きなの?」

男「料理って言うか、シチューね」
女「なんでシチュー限定なの?」

男「シチューって時間かかるじゃない。下手すると下煮で
 2時間とか言われるんだよ」
女「うん」

男「それってさ、お休みじゃないと出来ない訳じゃない?
 大きな鍋をとろ火にかけてさ、ことことしながら
 2時間もぼーっとする訳じゃない。
 俺の中では、それってすごく贅沢って言うか、
 憧れの休日の姿なんですよ」

女「ああ、うん。なんか、判った気がする」

男「そういう気分だよ」
女「うん。いいよね、ゆっくりしたお休みって」
男「まぁ、大半は疲れ切って寝ちゃって終わるんだけどね」
女「目が覚めたら日が暮れてて、建ててたお休み予定
 全然出来ないとかね」

男「そうそう。あはは」
女「ははははっ」



215 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 00:48:00.64 ID:vIdZBssS0
――駅前

女「駅まで送ってくれるなんてどういう風の吹き回し?」
男「送ったんじゃなくて監視に来たの」
女「ぇー」

男「そうじゃないと、また終電終わったくらいに
 こっそり会社に戻ってきたりするでしょ」
女「ぶーぶー」

男「抗議したってダメ。先輩ウォリアでしょ。
 体調管理も仕事のうちですよ。まったく」
女「男は泊まるくせに」

男「俺はマネジなのでいいのです」
女「一人で残業代稼ぐ気だ」

男「ちゃんとラーメンで還元したでしょ? そもそも、
 どうせ上限で切られるよ。きっと」
女「それはそっか」

男「んじゃ、また明日ー」
女「男も仮眠はちゃんとね。言ったからには自分の
 体調管理もしないとあかんからねー」

男「合点承知〜」



221 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 00:51:48.50 ID:vIdZBssS0
――修羅場74時間経過 7:30 会社作業室

新人女「おはようございますっ」
男「おはようございまーす」

新人女「早いですね。あ、もしかして泊まり、ですか?」
男「うん。あ。ごめんね、むさ苦しくて」
新人女「いえ、あの……すみません」

男「? ああ。違うよ。新人女さんのとは、別件だよ」
新人女「ほんとですか?」

男「うん、ほんとほんと。隠してもしょうがないから言うけれど、
 今、たまたま三つの現場が重なっちゃってるんだ。
 それでちょっと修羅場になってるの。だから新人女さんとは
 関係なく忙しいんだよ」

新人女「それって、あの。池袋のこともですか?」
男「池袋のチーム解散ね」
新人女「はい」

男「そだね。そっちの現場もあるからね」
新人女「……すみません」



222 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 00:55:01.46 ID:vIdZBssS0
男「入ったばっかりだもん。関係ないって」
新人女「……」

男「それに、大丈夫だよ。新人女さんは、女性だし。
 今のこのキチガイ沙汰には巻き込まないようにするから、
 ちゃんと定時で上がってもらえるようにするよ」

新人女「あ、はい……。でも申し訳ないです」

男「いまは、得点をたたき出せるプレイよりも、
 自分のゾーン守れるディフェンスから身につけよう。
 基本が大事だよ。失点無ければ、B男とかC男とか、
 女先輩とか得点あげて、仕事減らしてくれるから」

新人女「はい……」

男「じゃ、今日もお願いします」
新人女「はい」

男「んじゃ、どうしようかな」
新人女「昨日の続きで良いですか?」

男「それいこか」
新人女「はい」



223 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 00:59:08.66 ID:vIdZBssS0
男 カタカタカタカタカタ
新人女 カタカタ

新人女「……んっと」
男「……」

男 カタカタカタカタカタ
新人女 カタカタ

新人女「……32ページ」

男 カタカタカタカタカタ
新人女 カタカタ

男「……」

男 カタカタカタカタカタ
新人女 カタカタ

新人女「……」
男「……」

男 カタカタカタカタカタ
新人女 カタカタ



229 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 01:02:56.66 ID:vIdZBssS0
新人女「あの……」
男「はい。どうしました?」
新人女「1セット、終わりました。見てください」

男「はい、了解」
新人女「……」

男 カタカタカタカタカタ

男「ん。良いみたい。引き続きどうぞ」
新人女「はい……」

男 カタカタカタカタカタ
新人女 カタカタ

男「……」
新人女「……」

男 カタカタカタカタカタ
新人女 カタカタ

男「……」
新人女「……」



232 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 01:06:10.63 ID:vIdZBssS0
――お昼

新人女「あの、先輩」
男「はい?」

新人女「お昼――ですけど」
男「ああ」

新人女「どうしましょう?」
男「えーっと、そんなに緊張しなくて良いよ?
 話しかけても急に怒ったりはしないよ」

新人女「はい。それはそうですけど」
男「?」

新人女「お昼とか、どうされますか?」

男「んーっと(俺はカロリーメイトあっから昼食無しで
 いけるけど、これはもう一日くらいは
 付き合うべきなんだろうな。マネジとしては)」

男「了解。じゃ、サンドイッチ屋さんいこか。
 商店街にあるんだよ。ホットサンドが美味しいよ」

新人女「はい、ありがとうございますっ」
男「いえいえ、とんでもない」



233 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 01:06:21.92 ID:J/gWqGvD0
2人とも無言になるタイミングが多いのが気にかかる


235 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 01:07:25.22 ID:eL17sTstO
仕事なんてそんなもんだ


236 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 01:10:45.39 ID:vIdZBssS0
――お昼 サンドイッチ屋

男「どう?」
新人女「綺麗だし、美味しいですね」
男「割とリーズナブルだしねー」
新人女「はい」にこっ

男「食べれないものとか、あるのかな?」
新人女「ピクルスとか、納豆とか……なまことか?」

男「サンドイッチで危険性があるのは、ピクルスくらいかな」
新人女「そうですね。チーズのは美味しいですよ」

男「ここのはどれも美味しいよ。……桜舞ってるね」
新人女「綺麗ですね〜」

男「昼間に外に出るのは久しぶりなんで、
 景色白くぼやけすぎだ」
新人女「忙しいのですね」

男「ぼちぼち」
新人女「……もぐもぐ」

男(食う速度、遅いな。つか、これが女性の通常速度か?)
新人女「……もぐ」

男「そういえば」



238 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 01:15:05.41 ID:vIdZBssS0
新人女「はい?」

男「マニュアル、読んだみたいだね」

新人女「はいっ」ぱぁっ

男「仕事の速度、すごくあがったよ。午後もあのペースで
 行くと良いよ。今の作業は、慣れれば早くなるし」

新人女「はいっ」にこっ

男「……。やっぱり仕事中とか緊張してる?」
新人女「いえ、はい」
男「?」

新人女「その、先輩は、張り詰めた空気ですし。マネージャー
 ですし……。その……。仕事、ですし」

男「ああ……、別に怒ってる訳じゃないよ」

新人女「はい……」

男「学生時代バイト経験とかは?」
新人女「あ。それは結構あります」



242 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 01:17:51.53 ID:vIdZBssS0
男「それでも緊張するもの?」

新人女「いろいろ親切にしてもらうことばっかりだった
 気がします。わたしも甘えてばかりで……」

男(まぁ、この娘の容姿だとそうもなるのかなぁ)

新人女「……」

男(あれ? ちやほやしろって暗に言われたのか?
 馬鹿いうな。ここは泣く子も気絶する地獄の
 ブラック企業Aチームだぞ。釘指すかっ)

男「じゃぁ、今度は自分の守備範囲は守れるように
 がんばろうね。仕事は出来るようになると楽しいよ」

新人女「はい、よろしくお願いしますっ」ぺこっ

男「あれ?」

新人女「??」

男「いや……。じゃぁ、午後は午前の続きで。」
新人女「はいっ。……あの、ペース、頑張ってあげますので」



292 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 02:00:45.16 ID:vIdZBssS0
――修羅場81時間経過 17:00 会社作業室

男「はい……。40%ってとこです。はい、はい……。
 それはスケジュール的に無理です」

男「現状でチーム全体の残業時間が週平均200時間
 越えてるんですよ? ……ですから、200越えです。
 援軍を5人よこしてなんとかですよ。2チーム分の労働です。
 ――はい? それは営業の方で処理してください。
 これ以上は逆さに振っても無理です」

男「判りました。できあがってる分も届けるついでで。
 いえ、30分くらいでつきます。はい、はい。
 ――お願いします。出来れば営業の担当の方も」

男「伺いますので、よろしくお願いします」

ガチャン

新人女「……」
男「あー」
新人女 ビクッ
男「そう緊張しないで。ごめんね、予定変更になった。
 俺はこれからヘッドクォーターに報告と説明に行かなきゃ
 ならないから、今日は切り上げよか」

新人女「あ、いえ。その」
男「ん?」



301 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 02:08:29.82 ID:vIdZBssS0
新人女「わたし、定時まで」
男「あぁ。切り上げてOKだよ。一人だと、
 判らないこともあるでしょ」

新人女「……あの。やっていきます。あとは、流れ作業ですし。
 今忙しいのは判りますから」

男「……」
新人女「……」

男(なんにせよ、メンバーのやる気をそぐのは愚策だよな……)

男「了解。18時だったらこの事務所の人、まだ残ってるはずだから。
 挨拶して、タイムカード押してあがれば平気だからね。
 ヘッドクォーターは短縮#1だから、何か起きたらそっちに
 電話かけて俺を呼び出してね」

新人女「わかりました」
男「では、よろしくお願いします」

新人女「はい」
男「いってきますねー」
新人女「いってらっしゃいませ」

ガチャン



305 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 02:12:19.71 ID:vIdZBssS0
新人女「えっと……。がんばろ」

新人女「ファイル出して、マクロは32bで……」

新人女「……」

新人女 カタカタ

新人女「……」

新人女 カタカタ

新人女「……こう、かな」

新人女 カタカタ

新人女「……」

新人女 カタカタ

新人女「……出来た。もういっこ……」



308 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 02:16:18.89 ID:vIdZBssS0
――修羅場82時間経過 18:00 会社作業室

新人女「時間、だけど……もう一個」

新人女 カタカタ

新人女「……もう一個」

ガチャ

女「やぁ、男くん! 元気に揉んでる? 吸ってる?
 ま、ま、まさかそれ以上のことまで!? きゃー」

新人女「えっ? あ」
女「あ」

新人女「……」
女「……」

新人女「お、お疲れ様です」
女「お疲れ様です……って。男くんは?」

新人女「ヘッドクォーターに報告と交渉だとかで。えっと
 電話がかかってきて」

女「……そか。了解。どう? こっちの仕事は慣れた?」
新人女「ちょっとだけ、はい」



316 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 02:21:10.78 ID:vIdZBssS0
女「見て良いかな?」
新人女「はい、お願いします」

女 カタカタカタカタカタ

新人女「……早い」
女「?」

新人女「いえ、あの……。どうでしょう?」
女「このファイルを32bで処理してるんだよね?」
新人女「はい」

女「エラーは? 例外処理でよく止まるでしょう?」
新人女「判る分は、指示通りに処理をたいていは、元データの
 入力ミスですよね?」
女「だね。住所が抜けてるとか、郵便番号の不一致とか」

新人女「それは、直して。判らない部分は部分は、こっちに。
 データ番号控えて、処理待ちにしてます」

女「おけおけ」にこっ
新人女「はい?」

女「出来てるじゃん! さすが!」
新人女「良かった」にこっ

女(さすが男くんだな。……二日でここまで調教するのかぁ。
 うちも今度ばかりは見誤ってたよ〜。いや、恐れ入るやん)



319 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 02:26:42.83 ID:vIdZBssS0
新人女「緊張しましたー」
女「そう? バックアップとってあるよ。ファイル壊れても、
 ある程度は平気な状態で仕事してるでしょ?」

新人女「いえ……」
女「ん?」

新人女「マネージャーさんが」
女「男が?」
新人女「初日に、すごく冷たい顔で。……怖かったので」
女「えー!? 男が〜?」

新人女「いえ。その……私が甘えていたりしたので。仕事も
 出来なくて。……足手まといなので当たり前なんですけど」
女「でもそれはねー」

新人女「……」
女「新人だから当たり前やん」
新人女「いえ、でも。今、忙しいそうですし。ちゃんと状況も
 説明してくれたし……それに」

女「?」

新人女「ちゃんと数えてくれたので……」

女「数?」



326 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 02:30:21.36 ID:vIdZBssS0
新人女「一人前にはほど遠いんですけど、数のうちというか
 戦力として数えてくれたので……」

女(この修羅場だもの。そりゃ猫の手でも借りたいよなー。
 死にかけゾンビでもそこにいれば使いたおさないと)

新人女「結構バイトしてるはずなんですけれど、わたし。
 ちゃんと戦力として数えてもらったのは初めてというか。
 ……仕事できないの、こんなに恥ずかしいとは思わなくて」

女「うん」

新人女「なんか、格好悪さに落ち込んだというか。
 今までのバイト先でも、本当は笑われてたのかと思うと……。
 それで、本当に落ち込んで。今日はずっとぼろを出さないように
 緊張してしまって……」

女「そか」
新人女「……」

女「ん。時間だよ」

新人女「あの、はい」ちらっ
女「ん〜。覚悟は判ったけれど、残業は許可できないな。
 それを許可できるのはマネジの男くんだけだしね」



328 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 02:33:58.67 ID:vIdZBssS0
新人女「ですよね」

女「今日は、仰山仕事した?」
新人女「え? あ、はい。手がぱんぱんです」

女「じゃラーメン行こう」
新人女「?」

女「ラーメンだよ。食べに行くんだよ、夜ご飯」
新人女「えっと」

女「判んないかなぁ。一杯頑張って仕事をした人間は
 美味しいご飯を食べる権利があるんよ。
 働かざる者食うべかざるという言葉は、逆に言えば
 ちゃんと働いた子は、おなかいっぱい食べて良いって事なんよ」
新人女「は、はい?」

女「新人さんさ。女の子の同僚とご飯食べた経験少ないでしょ?」
新人女「はい……」

女「うちウォリアだからねっ。男くんの弟子を
 もてなすのになんの否やがあろうかっ」



333 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 02:38:27.42 ID:vIdZBssS0
女「さ。いくよー」
新人女「はいっ」

女「マニュアルもらった?」
新人女「はい。あれがあって助かりました」

女「あれな」
新人女「?」

女「うちと男くん――マネジでつくったんよ」
新人女「……」

女「そのころ、男もうちもまだ中堅でさ。その時のマネジは
 なんかほんとーにどうしようもないヤツでさ。
 仕事もしないで、新人いじめばっかりしてさ。
 上に無理難題言われてるは判るけどさ。そのいらいらを下とか
 新人にぶつけてさ。
 それで、人が居着かないでどんどん辞めて行ってさ――」

新人女「……」
女「で、うちらが新人を守ろうって作ったマニュアルなんよ。
 だからちょっと古いんだけどね〜。そこは勘弁してね」

新人女「いえ。大事なことが大事なこと順に書いてあって
 判りやすいです」

女「あははは。普通のマニュアルって、アルファベット順とか
 開発者の書きたい順だもんね〜」



335 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 02:39:02.10 ID:3+EBAzs60
これ読んでると今の会社がどれだけ幸せかわかるな・・・・支援


336 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 02:42:02.76 ID:vIdZBssS0
―― 19:00 駅前ラーメン「柴犬」

女「ここだっ」
新人女「わー」

女「ごめんねー。汚いし狭いんだけどさ。
 ここらじゃね。ここのトンコツラーメンが一番美味いんよ」
新人女「はい」

女「豚骨焦がしネギ〜。えーっと。一緒で良い?」
新人女「はい」
女「を、ふたつ」

親父「あいよ」ぼそっ

女「愛想もないけどね」
新人女「ですね」くすっ

女「ずっ……♪ んまー」
新人女「ず、ちゅ……」

女「どう?」
新人女「美味しいですよ?」

女「よし、合格」
新人女「?」



341 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 02:45:25.78 ID:vIdZBssS0
―― 19:30 駅

女「んじゃ、お疲れ様!」
新人女「はい。……女さんは?」

女「あー。うちは会社にまだ用事残ってる」
新人女「はい」

女「では、また明日! 明日は池袋に出るんで
 あえるかどうかは判らないけれど」
新人女「はいっ」

女「今度、一段落したら飲み会やろー!
 歓迎会くらいはちゃんとするよ〜」
新人女「ありがとうございます」ぱたぱた

女「……」

女「……」

女「男はあの娘と二人っきりなのかぁ……。なんかなぁ」

女「しかしっ! ウォリアはそう言うことを
 感じたり思ったりしないのだっ!!」

女「邪魔なファイルはゴミ箱に捨てて消去っと」



349 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 02:50:16.15 ID:vIdZBssS0
みんな次々に落ちてくな。
かくいうおいらも寝ます。テキストが怪しくなってきた。
残ってればちゃんと続き書くよー。支援してくれた人、
ありがとね(´∇`)ママレードサンド、やる。
感想書いてくれたひと、超あんがとね。マーガリンサンドもやる。

あ、あと。よい子のみんなと約束だ!
普通の会社のSEやPGはここまで奴隷じゃないです!!
これはフィクションです。社会は良いところよ?
マジアンシンシテヘイキダヨ。タブン。

ではでは!



352 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 02:52:49.79 ID:eL17sTstO
>>349
乙!!さぁ後は定期的に保守をしようかね



469 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 10:53:19.25 ID:vIdZBssS0
暇つぶしに置いておくお。全く読まなくて良い解説(1)

出向先の会社:
 男達が派遣されている先の会社。業務用のアプリ開発や
データベースの作成を受注している。
 お茶の水に本社(司令部/ヘッドクォーター)、
 神楽坂(男+新人女がいる)と池袋(いまは、女+B+C)に
作業事務所あり。そのほか、クライアントの会社で作業をする
ことも。正直かなりブラック。
 統括部、営業部、開発部、データ管理部があるが、働いている
人間の半分以上は派遣社員。社長が二代目(つまり創業者の息子)
で、どんぶり勘定+ワンマン経営。

派遣会社A:
 男達が所属している会社。実はそんなにブラックじゃない。
男、女、新人女、B男、C男はここの所属。解散した池袋チーム
も他二名はここの所属だった。派遣先のブラック会社は
派遣の人件費を極端に値切っている。そのため、新人女のような
スキルの怪しい新兵を送ってごまかす対応をせざるを得なかった。

派遣会社B:
 本編では全く登場しないが、背景としては結構面白い位置の
派遣会社。池袋チームのマネジはここの人間だった。
 実はブラックの開発班(プログラマ)は、ほぼ全員B社の派遣。
PGに強い派遣会社なのだ。逆にデータ入力はあまりに派遣先が
派遣社員に酷い扱いをするので、人件費交渉で高い金額をふっか
けて、スタッフを引き上げた。派遣会社にも実は戦略がある。
 この作戦が(男達は知るよしもないが)今回の惨劇の原因の
一つとなってしまった。



471 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 10:57:04.96 ID:vIdZBssS0
全く読まなくて良い解説(2)

男達の業務内容:
 業務用のデータベースを移行する際のデータ処理がメイン。
顧客情報をあるデータベースから別のデータ形式に変換して
再入力している。専門的な開発のスキルは必要ないけれど、
精神的タフネスが要求されるハードな仕事。

 変換マクロでさくっとうまくいけば良いけれどデータに欠落が
あったりするとトラブルが発生する。そしてトラブルはほぼ確実
に毎回起きている。一つのクライアントにつきだいたい十日ほど
作業に使っている(規模により様々)

 変換作業はチームで動いていて2チーム制だったが池袋チームが
つぶれたので、いまは男達のチームしか動いていない。
 以前は変換作業のマネジは正社員がやっていたが、正社員にも
(作業がつらくて)不評だったために、派遣に押しつけている。
 そんな事情もあって、男の立場は準正社員的に見られている。

 データベースの仕様はクライアントごとに違うために、
一回の受注ごとに最適手順は違う。
 そのため、営業部(クライアントから直接話を聞いてるはずで、
仕様に詳しいはず。はずってのも当てにならないけど)や
開発部(実際データベースやアプリをプログラムしている。
本当は変換マクロやツールも開発してくれるはず)と協力して
仕事を進めなくてはならない。
 だが実際には、営業部(正社員中心)と開発部(技術畑)の
発言力が強く、データ管理部にしわ寄せをあつめる現状になっている。



475 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 11:20:27.00 ID:5RkigCm0O
そこまで考えて書いてるのか・・・!
かなわんな

マクロが全然使えないデータってどんなんだ?
(´・ω・`)



476 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/08(水) 11:29:18.84 ID:vIdZBssS0
>>475
そもそも顧客側の持ってるデータが紙媒体で
その入力(入力は在宅バイトが別経由で処理することが多い)に
不備があってぼろぼろだとか。
顧客側のデータベースが支店ごとに全部違う形式だったとか。
データ移行の際だから、顧客情報のチェックをしようとか
クライアントが言い出してダイレクトメールを顧客に出したら
3割くらい戻ってきたor変更があったとか。

いやそれ以前に開発側の作った新しいデータベースがうんこだとか。
データに問題がないのに1024件ごとに勝手にハングアップする
クソマクロを送ってよこしたとか。

この話において、男も女も開発ではないですが
簡単なマクロやツールなら書けます。
とはいえその技術は現場で独学で身につけた物。
サバイバルの産物。ユーザーインターフェースや仕様書という
意味ではダメなレベルです。
「目の前のトラブルを切り抜ける道具を自分で作る」仕事で
PGとしては非常にアンバランスなスキルを持ってるという設定。
もっとも開発班のPGは見栄えは良くても中の構造がうんこな
データベースを組み立てたりするのですが……。

本来は3倍の給料をもらっていてもおかしくない
現場の戦争豚である男と女の話です。




同僚女「おーい、おとこ。起きろ、起きろー」その3へ続く

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