2009年06月01日

ハルヒ「もう生きててもいい事ない……」その1

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 01:21:08.03 ID:J3Ebqg2N0
ハルヒ「勤めてた会社が倒産するなんて……」

ハルヒ「どうしよう、……無職なんて」

ハルヒ「両親が死んでもう二年……あたしひとりぼっちなのに」

ハルヒ「26歳独身無職……もういや……」

ハルヒ「……」

ハルヒ「阪急宝塚線がいいかな……」



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 01:22:20.58 ID:J3Ebqg2N0
〜駅・ホーム〜

『電車が通過します、白線の内側までお下がりください』

ハルヒ「……」

フラフラ

ハルヒ「惨めな人生だったなあ」

ハルヒ「……さよなら」

よろよろ

???「お、おい、ちょっとあんた!」

がしっ

ハルヒ「!?」

???「危ないだろ!死ぬ気かよ!」

ハルヒ「は、離してっ」

プァーン

ハルヒ「あ……電車行っちゃった……」

???「はー、まったく何考えてんだ……命を粗末にするなよ!」



8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 01:23:45.18 ID:J3Ebqg2N0
ハルヒ「何よ、人の気も知らないで!あたしの勝手でしょ!?」

???「何があったか知らんが、早まっていい事なんか……あれ?」

ハルヒ「あ……」

???「お、お前まさか……!」

ハルヒ「あんた……キョンなの?」

キョン「ハルヒ、お前こんな所で何を……」

ハルヒ「あんたこそ……あの、ええと」

キョン「……」

ハルヒ「はは、何か恥ずかしい所見られちゃったわね……」

キョン「何があったんだよ、いったい……?」

ハルヒ「……」

キョン「まあ、立ち話で済むようなことでもないか。そうだな、お前どうせこの後予定なんかないんだろ?ちょっと付き合え」

ハルヒ「何であんたが勝手に決めるのよ」

キョン「今から死のうって人間に後の予定なんかあるのか?」

ハルヒ「……ないけど」



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 01:25:08.20 ID:J3Ebqg2N0
〜キョンのマンション〜

ハルヒ「何であんたの家なんかに……」

キョン「別にそこらの喫茶店でもよかったんだが、人前じゃ話しづらいこともあるかと思ってな」

ハルヒ「……」

キョン「それに、さっきまで線路に飛び込もうとしてた人間だからな。急に逃げ出して車道に飛び出されても困る」

ハルヒ「しないわよ、そんなこと」

キョン「説得力のかけらもないぞ、それ」

ハルヒ「ははは」

キョン「笑えないっての……」

ハルヒ「……」

キョン「ほら、とりあえず入れ。あんまりきれいな所じゃないがな」

ハルヒ「……おじゃまします」



11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 01:26:20.54 ID:J3Ebqg2N0
ハルヒ「何よ……意外と広い部屋住んでるのね」

キョン「ああ、駅から少し遠いからな、家賃もそんなに高くないんだ」

ハルヒ「……あっそ」

キョン「はー、今日も一日お疲れ様っと。ああ、今着替えてくるからその辺座っててくれ」

ハルヒ「あんた、まだ6時よ?こんな時間に帰れる会社なんかある?」

キョン「市役所づとめでね、まったりとさせてもらってるよ」

ハルヒ「ふーん……あんたらしいわね。面白みがなくて」

キョン「悪かったな!別に悪くないぞ、公務員も」

ハルヒ「……」

キョン「冷蔵庫の中にあるもん、適当に飲んでてくれて構わんからな」

ハルヒ「……いいわよ、別に」



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 01:27:45.40 ID:J3Ebqg2N0
キョン「はー、じゃあ悪いが俺はビールでも飲ませてもらおう。よっこらせっと」

ハルヒ「おっさんくさいわね」

キョン「お互い若者ってこともないだろ、もう」

ハルヒ「まだ26でしょ!あと四年は20代よ!」

キョン「ああ、やだやだ。これだから女は……」

ハルヒ「……」

キョン「なあ」

ハルヒ「……何よ」

キョン「お前は今日、まだ4年も華の20代を残したまま死ぬ所だったんだぞ」

ハルヒ「……うるさい」

キョン「おかしいだろ、そんなの。お前が自殺なんかするようなタマか?」

ハルヒ「……」

キョン「話せる事だけでいい、理由を教えてくれないか?」



15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 01:29:04.21 ID:J3Ebqg2N0
・・・・・・・・・・・

キョン「そうか……親御さんが……」

ハルヒ「夫婦で休日に買い物に出かけてたみたいでね、居眠り運転のトラックと衝突して」

キョン「なんで言ってくれなかったんだよ、その時……」

ハルヒ「それどころじゃなかったのよ、急なことだったし……それに」

キョン「……?」

ハルヒ「もう長い間連絡取ってなかったし、あまりあんたに関係のあることでもないから……」

キョン「あのなあ」

ハルヒ「ひどかったのよ、事故。ニュースでも当時チラッとやってたんじゃないかな」

キョン「(昔のこいつだったら、あの力があったら……こんな事故起こらなかっただろうに……)」

ハルヒ「身元確認のために、って亡骸見せられたけど、拷問でしかなかったわね」

キョン「……」



16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 01:30:41.97 ID:J3Ebqg2N0
ハルヒ「別にそれだけが理由じゃないけど……どれくらいかな、多分大学を卒業した頃から」

キョン「?」

ハルヒ「なんかツイてないというか、身の回りで碌な事がなくてね」

キョン「……」

キョン「(こいつの力がなくなった頃からだな……反動みたいなものなんだろうか)」

ハルヒ「挙句の果てに、あたしの勤め先潰れちゃってね、不況のあおりを受けて」

ハルヒ「まあ、割と裏で汚いこともやってたみたいだし、遅かれ早かれ潰れてはいたんでしょうけど」

キョン「そうか……」

ハルヒ「いいことなんかひとつもないのよ、私の人生」

ハルヒ「現に今、楽になろうと思ってもあんたに止められちゃったわけだしね、ふふ」

キョン「そんな考えはよせ……辛いことばっかりじゃないだろ、生きてれば」

ハルヒ「収入もない、身寄りもない。ひとりぼっちで寂しく生きていく人生のどこが楽しいのよ」

キョン「……」

ハルヒ「あたしが何したって言うのよ……うう……ひっく」

キョン「ハルヒ……」



18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 01:31:54.82 ID:J3Ebqg2N0
ハルヒ「ぐす……ごめん」

キョン「なんでお前が謝るんだよ、らしくないな」

ハルヒ「ひぐ……ぐすん」

キョン「でも大変だったんだな……いや、おれがこんなこと言うと失礼かもしれんが」

ハルヒ「……」

キョン「俺にはお前がどんな気持ちであのホームに立ってたのか、到底理解できないかもしれない」

ハルヒ「……そんな大層なもんじゃないわよ。ただ、もう楽になりたかったの」

キョン「でもな、俺は悲しいぞ」

ハルヒ「何よ、別にあたしが死んだって、あんたがあの場に居なきゃ一生知らないことでしょ」

キョン「そんな話じゃない。その、なんだ……辛いことがあったらその都度相談してくれればよかったんだ」

ハルヒ「……できるわけないでしょ、そんなの。あんたには関係ないんだから」

キョン「関係あるだろ……友達じゃないのか?もっと頼ればいいんだよ!」

ハルヒ「……で、でも」

キョン「いつからお前は他人に気を使うようになったんだ?もっとわがままだっただろう、昔は」

ハルヒ「……」



19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 01:32:05.11 ID:nJ+w/reeP
読んだこと無いんだけどハルヒって関西の話だったの?阪急宝塚線って


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 01:35:15.83 ID:rh+1EHeZO
>>19
兵庫の話だったはず



20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 01:33:17.11 ID:J3Ebqg2N0
キョン「仮にも高校で3年同じ部活で過ごしたわけだし、な」

ハルヒ「SOS団……か、懐かしいわね」

キョン「俺だけじゃない、古泉だって、長門だって、朝比奈さんだって、心配してたんだぞ?」

キョン「お前、メールも電話もあんまり返さないんだし」

ハルヒ「……悪かったわね。でも、嫌だったのよ」

キョン「な、なんで」

ハルヒ「自分のしょぼくれた姿をあんた達に見せたくなかったの。いつも元気でなんでもできる団長でいたかったのよ」

キョン「そんなつまらん意地を張って……」

ハルヒ「それに、みんなが立派に生きてるのを見るのが辛かったのかもね。自分だけ取り残されていくみたいで……」

キョン「そんなことないに決まってるだろ」

ハルヒ「……自分でも馬鹿だったと思うけど、本当にそういう気分になるものなのよ」

キョン「……」



24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 01:34:29.53 ID:J3Ebqg2N0
ハルヒ「……」

キョン「……お前もそんな顔をすることがあるんだな」

ハルヒ「だから言ったでしょ。昔のあたしじゃないの……こう不幸が続けば、誰だって参るわ」

キョン「……」

ハルヒ「もうそれも終わると思ってたのに……」

キョン「ハルヒ!」

ハルヒ「よりによってあんたに……こんな情けない姿見せて……」

キョン「でも、俺はよかったよ」

ハルヒ「なにがよ!」

キョン「あの場に出くわして、お前が死ぬのを止められて、本当によかった。またこうしてお前と喋ることができたんだから」

キョン「俺たちの知らない所で勝手に自殺なんかされたら、これから先とてつもない後悔をすることになってただろう」

キョン「俺に何かできることはなかったのか、ってな」

ハルヒ「何よ、勝手な正義感持ち出して……」

キョン「なんでもいいさ、お前が助かったんだ。友達だから何かしてやりたい、それはそんなにおかしなことか?」

ハルヒ「……うう……ひっく……ばかきょん」



27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 01:35:58.85 ID:J3Ebqg2N0
ハルヒ「ぐすっ……うっ……ううっ……」

キョン「なあ、ハルヒ。お前はさっきひとりぼっちって言ったが、俺たちが居ちゃ、だめか?」

ハルヒ「うぇ……ひっぐ……」

キョン「誰かに八つあたればいい、愚痴をこぼせばいい。一人で溜め込むより、その方がよっぽどましだ」

ハルヒ「う……ひっく……うわぁぁぁん」

キョン「辛かったな、ハルヒ」

ぎゅう

ハルヒ「あたっ……あたしっ……ふあ……んで……こわく……てぇっ」

キョン「大丈夫だ。大丈夫、なあ?」

ハルヒ「これから……ひっく……どうし……よって……わからなくって……うぇ」

キョン「ゆっくり考えればいいさ、そんなに急がなくていい」

ハルヒ「う……ん……ぐずっ……うん……」



31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 01:37:14.48 ID:J3Ebqg2N0
ハルヒ「……わ、悪かったわね、取り乱して」

キョン「いいさ、少しは楽になったか?」

ハルヒ「……まだ、わかんないけど」

キョン「……そっか」

ハルヒ「で、でも……その、辛いときはまた相談するから」

キョン「何にもわかってないな、お前は」

ハルヒ「?」

キョン「辛くなくたっていつでも相談すればいいんだ、それこそくだらない事でもなんでもいい」

ハルヒ「あ……」

キョン「そういうのが友達ってもんだろ」

ハルヒ「……きょ、キョンのくせにえらそうなこと言うじゃない」

キョン「悪かったな!」

ハルヒ「……ありがと」ぼそっ

キョン「ん?なんか言ったか?」


ハルヒ「……なんでもないわよ」



41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 01:45:18.04 ID:J3Ebqg2N0
ハルヒ「き、今日はもう帰るわ」

キョン「おお、そうか。なんなら飯でも食ってけばいいのに」

ハルヒ「いいの。もう時間も遅いし」

キョン「そうか、なら、駅まで送ってってやるよ」

ハルヒ「いいわよ、別に!」

キョン「まあそう言うなって」

ハルヒ「あ……もう、いいって言うのに……」

キョン「ほら、鍵閉めるから早く出ろ」

ハルヒ「ま、待ちなさいよ!バカキョン!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ハルヒ「……ねぇ、ちょっと」

キョン「あー?なんか言ったかー?」

ハルヒ「いいの!?原付二人乗りなんかして!」

キョン「この時間は警察も張ってないからいいんだ、この辺りは」

ハルヒ「そういう問題じゃないでしょうが!」



45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 01:51:05.67 ID:J3Ebqg2N0
キョン「バスももう終わったからな!こんな長い距離歩いたら足が棒になっちまうよ!」

ハルヒ「だから見送りなんかいいって言ったのに!」

キョン「いてっ!?あ、危ないだろバカ!……いいからちゃんと掴まっとけ!」

ハルヒ「何よ……もう」

ぎゅっ

〜駅・ホーム〜

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「……ちょっと」

キョン「なんだよ」

ハルヒ「なんでわざわざホームまでついてくんのよ」

キョン「また飛び込まれても困るからな」

ハルヒ「だから!そんなことしないって言ってんでしょ!」

キョン「はは、どうだか」

ハルヒ「〜〜っ!」



49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 01:56:25.80 ID:J3Ebqg2N0
ハルヒ「あんたストーカー?」

キョン「バカ言え」

ハルヒ「フン」

キョン「落ち込んでるときに、一人で考える時間を作りすぎないほうがいいんだ」

ハルヒ「……え?」

キョン「電車に乗ってる間は、することがないだろ?」

キョン「……それこそ、景色をとか、中吊り広告を眺めるくらいで」

ハルヒ「はあ」

キョン「人間、そう言う時ほどいらない事ばっかり考えちまうもんなんだ」

キョン「落ち込んでる時は特に、な」

ハルヒ「……そうかもね」

ハルヒ「……あれ?」

キョン「どうした」

ハルヒ「あんた、今の口ぶりからだと、まさかこのまま電車乗る、とか言い出すつもりじゃないでしょうね」

キョン「なんだ、よくわかってるじゃないか」



54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 02:01:55.78 ID:J3Ebqg2N0
ハルヒ「バカ!変態!ストーカー!」

キョン「お、おい!あんまり大きな声を出すんじゃない!」

ハルヒ「あんたどこまでついてくる気よ!」

キョン「お前が電車降りたらそのまま折り返して帰るさ。入場券しか買ってないからな」

ハルヒ「相変わらずドケチね」

キョン「お前に変な気を起させないためにここまで来たんだ、それで充分だろう」

ハルヒ「……フン」

キョン「それともなんだ、家までついてきて欲しかったのか?」

ハルヒ「ち、違うわよ!」

キョン「だから声が大きい!周りの人がこっち見てるじゃないか!」



58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 02:10:56.50 ID:J3Ebqg2N0
〜電車内〜

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「……なんか喋んなさいよ」

キョン「ん、そうだな」

ハルヒ「あんたそのためについてきたんでしょ、バカみたいに」

キョン「さっきから何回バカと言うとるんだお前は。語彙が少ないぞ」

ハルヒ「……うるさいわね」

キョン「喋れと言ったり、うるさいと言ったり。全くお前は……」

ハルヒ「なによ!」

キョン「いや、やっぱりハルヒなんだ、と思ってな」

ハルヒ「……」

キョン「すまん、なんだかちょっとホッとしてしまった」



71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 02:23:00.43 ID:J3Ebqg2N0
ハルヒ「……」

ハルヒ「勝手に一人で懐かしんでんじゃないわよ、まったく」

キョン「ああ、そうだ。今度またSOS団で集まらないか?」

ハルヒ「え……?」

キョン「みんなお前のこと、心配してる」

ハルヒ「みんなはどうしてるの?」

キョン「長門は今大阪でプログラマーやってるはずだ。古泉は東京で銀行員」

ハルヒ「へえ……みんな立派になってるのね」

キョン「朝比奈さんは海外にいるから、簡単には会えないかも知れないが……とりあえずみんなに連絡してみよう」

ハルヒ「……いい」

キョン「……?」

ハルヒ「やっぱり、みんなに今のあたしのこんな情けない姿、見せられないもの」

キョン「ハルヒ……」

ハルヒ「ごめん……」

キョン「……そっか」



77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 02:30:49.23 ID:J3Ebqg2N0
ハルヒ「……あ、あたしここで降りないと」

キョン「なら俺も降りないとな」

ハルヒ「……ねえ、キョン」

キョン「ん?」

ハルヒ「……」

キョン「どうかしたのか?」

ハルヒ「……」

キョン「おい、ハルヒ。とりあえず降りないと」

ハルヒ「……」

キョン「扉閉まっちまうぞ、……ってああ!」

プシュー

ハルヒ「……」

キョン「は、ハルヒ?」



79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 02:37:50.84 ID:J3Ebqg2N0
キョン「……」

ハルヒ「……ご、ごめん。その、ぼーっとしてて」

キョン「……?」

キョン「ま、まあ次の駅で引き返せばいいが」

ハルヒ「……あ、そ、その」

キョン「?」

ハルヒ「なんかお腹空かない?」

キョン「まあ、そうだな」

ハルヒ「次の駅で一回降りて、ご飯食べましょうよ」

キョン「なんだよ、俺入場券で来たってのに……大体飯食ってけってさっき俺が言ったじゃないか」

ハルヒ「こ、細かいことはいいのよ!ほら、降りるわよ!」

キョン「いてて、引っ張るな!なんなんださっきから、まったく!」



84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 02:43:58.77 ID:J3Ebqg2N0
キョン「んー、どこがいいかねえ。何か食いたいもの、あるか?」

ハルヒ「(なんであたし、自分の駅で降りられなかったのかしら)」

ハルヒ「(本当は別に大してお腹も空いてないのに)」

ハルヒ「(……怖かったの?また一人になるのが……置いていかれるみたいで……)」

キョン「……おい、無視すんなよ」

ハルヒ「え?あ、ああ……どこでもいいわよ」

キョン「安い所がいいな、なるべく」

ハルヒ「……あんた、今でもモテないでしょ」

キョン「余計なお世話だよ!」

ハルヒ「やあねぇ、みみっちい男って」

キョン「金を使わずに済むなら、それにこしたことはないじゃないか」

キョン「大体な、俺がこんな性格になったのも、元はと言えばお前が高校の時にさんざっぱら俺に奢らせたせいなんだぞ!」

ハルヒ「はあ?」

キョン「少ない金をやりくりする術を、俺は血反吐にまみれながら体得したんだ……そうせざるをえなかった」

ハルヒ「な、何も泣かなくてもいいでしょ……」



86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 02:49:52.65 ID:J3Ebqg2N0
キョン「あ、ここでいいだろ」

ハルヒ「ファミレス?……まあ、いいけど」

キョン「ここは安いからな!」

ハルヒ「あっそ」

〜店内〜

キョン「ミラノ風ドリアひとつ」

ハルヒ「はやっ!あたしまだ決めてないわよ!」

キョン「ここに来て他に頼むものがあるのか?」

ハルヒ「あのねえ……あ、じゃあたらこスパゲッティのシシリー風で」

店員「かしこまりました。ご一緒にドリンクバーなどは……」

キョン「結構です」

ハルヒ「(はやっ!)」

キョン「俺は水が大好きなんだ」

ハルヒ「……誰も聞いてないわよ」



91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:00:06.21 ID:J3Ebqg2N0
ハルヒ「……」

キョン「どうした、全然食ってないじゃないか」

ハルヒ「え?……ああ」

キョン「ハルヒ……?」

ハルヒ「べ、別になんでもないのよ」

キョン「なんでもないってことがあるか」

ハルヒ「ただ、その……これからどうしようかなって」

キョン「……ふむ」

ハルヒ「とりあえず失業保険の申請に行かないと……」

ハルヒ「あんまり貯金もないし……もっと家賃の安い所に引っ越しとかも考えなきゃ」

ハルヒ「当然次の職だって探さなきゃいけないし」

キョン「忙しくなるなあ」

ハルヒ「そういうのも色々わずらわしくなって、今日は線路に飛び込もうとしたわけだけど」

キョン「……おい」

ハルヒ「ご、ごめん……もうこんなこと言わないわよ」



93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:06:09.23 ID:J3Ebqg2N0
キョン「し、しかしまあ、失業保険だってそんなにたくさんはもらえないんだろう?」

ハルヒ「詳しくはわからないけど、そうでしょうね」

キョン「引っ越したって、この辺だとどうしても家賃はそこそこになるだろうに」

ハルヒ「がんばって五万……くらいかしらね」

キョン「敷金・礼金も考えなきゃならんし、引越し代だって少しはかかる」

ハルヒ「ちょっと!頭が痛くなるようなこと言わないでよね!」

キョン「ああ、すまんすまん」

ハルヒ「はー……まったく」

キョン「……」

ハルヒ「……何よ」

キョン「なあ、お前さ」

ハルヒ「?」

キョン「次の職が決まるまで、ウチに来るか?」

ハルヒ「!?」



94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:07:36.60 ID:tb32jeVH0
ほう


96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:10:53.81 ID:M9K1fsfX0
ほほぉ


103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:23:25.81 ID:J3Ebqg2N0
ハルヒ「あ、あんた何言ってんのよ!」

キョン「いや、まあ……何か手助けできればなと思ってのことなんだが」

ハルヒ「だ、だだ、だからって」

キョン「まあ幸い俺の家はそんなに狭くもないし、物も少ない」

キョン「へんな所に住んで何万も家賃払うよりはいいかと思ってな」

ハルヒ「ぐぐ……」

キョン「嫌ならいいけどさ、利点ばかりじゃないわけだし」

ハルヒ「……」

キョン「ただ、なんとなくほっとけなくてな。なんだか、今のお前を見てると」

ハルヒ「何よ、安い同情なんかしてほしくなんか……」

キョン「俺の勝手だろ」

キョン「安い同情だと思ってくれたっていい。結果的にお前が助かればそれでいいんだ」

ハルヒ「なによ……かっこつけちゃって……なによ……うっ……ばかきょん」

キョン「お前はそうやってすぐ強がって、一人の殻に篭るからな。無理やりにでも助けてやる奴がいたって、罰は当たらないさ」

ハルヒ「ぐすっ……ううっ……うぇっ……」



109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:32:30.03 ID:J3Ebqg2N0
〜電車内〜

キョン「おい、もう泣き止んでくれよ」

ハルヒ「もう泣いてないわよ……ぐす」

キョン「とりあえず顔拭け、ほら」

キョン「なんか俺が悪者に見えるだろ、隣で女の子が泣いてたら!」

ハルヒ「ん……」

『次は○○〜○○〜お出口は右側です』

キョン「ほら、もうお前は降りる駅だぞ」

ハルヒ「……うん」

キョン「まあ、さっきの件なら、俺は一向に構わないからな。変な遠慮はするなよ」

ハルヒ「……うん」

キョン「困ったときはお互い様だ。また、連絡するよ、近いうちにな」

ハルヒ「……」

『○○、○○です。足元にお気をつけください』



115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:36:09.01 ID:J3Ebqg2N0
キョン「……おい、ハルヒ?」

ハルヒ「……」

キョン「ほら、降りないと」

ハルヒ「……」

プシュー

キョン「あ……」

ハルヒ「……あ、あの」

ハルヒ「忘れ物、した」

キョン「はあ?」

ハルヒ「アンタの家に、その……携帯」

キョン「(……じゃあ、お前のポケットに入ってるそれは、なんなんだ?)」

キョン「……そうか」

ハルヒ「……ごめん」

キョン「何も謝るこたないだろ。仕方ないさ、無いと困るしな」

ハルヒ「う、うん」



119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:41:36.96 ID:/0qM/RfWO
このハルヒじれったくてむかつく
泊まりたいなら素直に言えばいいじゃん



122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:43:59.87 ID:IMCCfJVgO
>>119
お前今までハルヒの何を見て来たんだ



121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:43:32.59 ID:J3Ebqg2N0
〜キョン宅〜

キョン「あったか、携帯」

ハルヒ「え!?……あ、うん、あった」

キョン「そうか、よかった」

ハルヒ「……」

キョン「今から駅戻って、ギリギリ終電間に合うくらいだな」

ハルヒ「……あ、あの」

キョン「……」

ハルヒ「あ、あたし……ほんとは」

キョン「知ってる」

ハルヒ「!?」

キョン「携帯はずっとお前のポケットに入ってたしな」

ハルヒ「……その……うん」



129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 03:49:38.52 ID:J3Ebqg2N0
ハルヒ「あの……その、あたし」

キョン「そうだな、今夜一晩くらい、寝ずに話に付き合ってやるよ」

ハルヒ「あ……」

キョン「久しぶりに会ったんだ。尽きない話だってあるさ」

ハルヒ「……悔しいけどあんたの言った通りかもしれないわね」

ハルヒ「駅に着いたとき、一人で放り出されるのが……ちょっと怖かった」

キョン「いくらお前が強くたって、人間一人じゃ生きられないようにできてるからな」

キョン「んー、何かツマミあったかな……ちょっとコンビニでも行くか」

ハルヒ「……うん」



160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 04:32:38.78 ID:J3Ebqg2N0
ハルヒ「そんでね、それから……」

キョン「ははあ、お前らしくもない」

ハルヒ「あたしだってトサカに来たわよ!でも、結局怒られるのあたしだし……」

キョン「まあ、社会ってのは理不尽にできてるからなあ」

ハルヒ「今思い出しただけでも腹が立つわ!」

キョン「まあいいじゃないか、もう会うこともないだろうし」

ハルヒ「会社潰れちゃったものね……」

キョン「い、いや、その、なんだ」

ハルヒ「でも、ほんとにそうね!もう二度とあいつの顔見ないで済むかと思えば、潰れてせいせいするわ!」

キョン「はあ」

ハルヒ「あー……あれ、もうビールなかったかしら」

キョン「なんだお前もう全部飲んだのか!?」

ハルヒ「うるはいわね……勝手でしょ、あたしの……」

キョン「俺の金で買ったんだが……」



168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 04:42:03.40 ID:J3Ebqg2N0
キョン「ったく、俺の分まで飲み干しやがって」

ハルヒ「あんた水が大好きなんでしょ、蛇口でもひねってなさいよ」

キョン「この……言わせておけば!」

ハルヒ「きゃ!ちょっと、あたしのチーかま返しなさいよ!」

キョン「問答無用!」

むしゃむしゃ

ハルヒ「あー!」

キョン「またつまらぬ物を食ってしまった……」

ハルヒ「何よ!なら食べなきゃいいでしょ!」

キョン「ぐわっ!首を掴むな!息ができん……」

ハルヒ「新しいの買ってきなさいよ!早く!」

キョン「わかった!わかったから手を離せっ!ぐぇ……そっちの川の向こうにコンビニなんかない……!」

ハルヒ「フン!」

キョン「やれやれ……」



171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 04:47:48.76 ID:J3Ebqg2N0
キョン「じゃあ行ってくる、他に欲しいもんないか」

ハルヒ「なんか甘いもの!二分で帰って来なさいよ!」

キョン「無茶言うなよ……」

バタン

キョン「はー、まったく」

キョン「まあでも、あの方があいつらしいわな」

キョン「辛気臭いよりかは、いくらかマシだろう」

キョン「……夜はまだ冷えるなあ」

・・・・・・・・・・・・・・・

キョン「ただいま」

キョン「おい、買って来たぞ……って」

ハルヒ「すー……すー……」

キョン「なんじゃそりゃ」

ハルヒ「くぅ……くぅ……」

キョン「俺は一体何しに行ってきたんだ、ちくしょう」



178 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/31(日) 04:55:14.76 ID:J3Ebqg2N0
キョン「あーあー、テーブルに涎たらして……」

キョン「おい、ハルヒ、起きろ」

ハルヒ「むにゃ……んん……」

キョン「起ーきーろ、ってのに」

ハルヒ「んん……うるさい……」

キョン「こんなとこで寝たら後が大変だぞ!ほら!」

キョン「風邪は引くだろうし、起きたときに背中やら腰やら痛くなるぞ!もう若くないんだから……」

ハルヒ「……すぴー」

キョン「……はあ」

キョン「仕方ないな……よっこらせっと」

ひょい

ハルヒ「んー……むにゃ」

キョン「とりあえず片付けの邪魔だからベッドで寝ててもらおうか」



ハルヒ「もう生きててもいい事ない……」その2へ続く

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この記事へのコメント
  1. Posted by ななし at 2009年06月01日 21:39
  2. これは萌えた
  3. Posted by ^p^ at 2009年06月02日 21:25
  4. 携帯からの文字化けが酷いです、管理人さん(´・ω・`)
  5. Posted by 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 at 2009年06月10日 22:13
  6. ちと気になった。

    佐 々 木 は ど こ 行 っ た ?
  7. Posted by 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 at 2009年06月11日 10:08
  8. 頭良いんだから、結構色々立ち回れると思うけどなあ…
    自分の感情と世渡りを切り離して云々とか、さ。

    あと、やっぱ身元確認で縫合されてない遺体とか見せてくれないよね。
    うん。見せちゃいけない。
  9. Posted by  アナログ21 at 2009年10月30日 15:35
  10.  微笑ましいですね。実際、職があっても苦しいのに、無職はなおさら苦しいよね。ハルヒ、ガンバレ!!