2007年05月

2007年05月03日

写真のワークショップ始めます

 思いつきで始めた写真のワークショップは早いもので4年目になる。1度目の募集の時は、まだ「旅するカメラ」も出ていなくて、サイトに写真コラムと日記を書いているだけだった。
 「写真のワークショップ始めます。全8回、少人数制で撮影とプリントを繰り返し、露出計のないカメラでも撮影できるようになるのが目的です」2003年6月、WEB日記で告知してみた。しかし告知はしたものの、果たして集まるのいかどうか、さっぱり分からない。
 そもそも、どうして写真のワークショップを始めようと思ったかといえば、「写真文化の普及」などと大それたものではなく、娘が大きくなり土日にお相手をする必要がなくなって時間ができたからだ。土曜日は撮影の仕事もほとんどない。事務所も新しくしたし、大き目の暗室もある。そこの場所を使って何かやれないものだろうか。
 写真ギャラリーも考えたが人手と時間がかかり過ぎる。そんな時、ある写真家のサイトで「写真のワークショップを始めます」と募集をしているのを見つけた。その後ワークショップが始まった様子がサイトで綴られていた。写真の歴史から撮影実習まであってなんだか楽しそうだ。
 写真のワークショップと言えば賞を受賞したような知名度の高い写真家が、参加者の写真を講評するものだとばかり思い込んでいたが、もっとハードルの低いワークショップがあってもいいわけだ。
 当時、クラシックカメラブームで「ライカを買ったはいいが、露出が分からなくて使えない」と相談されることが多かった。ならば露出計を使わずに写真が撮れるワークショップというのはどうだ。
 告知後すぐに知り合いの女性が「写真をやってみたい」と言ってくれた。するとすぐに「コラムや日記を見ています」という女性から応募あった。たとえ参加者がひとりでもやろうと思っていたから嬉しかった。すると毎日のように「ローライを使いたい」「買ったライカM3で彼女を撮りたい」といった、メールや、遠く岐阜からの応募もあった。わずか2週間ほどで募集人員の8名は埋まってしまった。開始直前に仕事の都合でひとり減り、午前3人、午後4人で「ワークショップ2B」はスタートした。
 手探りで始めたワークショップ。1期の人達に教えたことも今思えば「感度分の16」一辺倒。とにかく全8回のうちに露出のことを分かってもらうことで精一杯だった。今では写真を撮ることだけではなく写真を見ることや見せることまで話はおよんでいる。
 1期目が終わる頃、「旅するカメラ」が出版された。これがきっかけでワークショップは軌道にのり、以後今まで定員をかけることなく続けることができている。8回だった日程は今では11回に増え、人数も午前6人午後6人となった。手狭になった場所は隣の部屋の壁をぶち抜くことで広げ、暗室は複数で使いやすいように大改造をし、ついには僕の仕事部屋は別に借りることになってしまった。
 4年間で20期、総参加人数は200名以上。これだけの人数になると、写真関係のイベントでは必ず2Bの関係者に会ってしまう。狭い写真の世界だから200名は巨大組織だ。毎月誰かが写真展をやっている。写真雑誌を見ればどこかに載っている。あまりの出没率の高さにに写真家田中長徳氏は、「2Bは悪の枢軸」と言っている(笑)
 200名もいると色々な人たちがいる。持ってくるカメラのバラエティも多種多彩。ライカだけでもA型からM8まですべてのモデルが揃う。中にはオリジナルのライカMPにブラックズミクロンを所有しているツワモノもいた。シリアル番号は一桁。まぎれもないライフ写真部スタッフに支給された本物である。
 かと思えば最初の講座の時に「それではいつも使っているカメラを見せてくさい」と言ったらテーブルの上にドンとリンホフテヒニカを置いた60台の女性もいた。「本当に使っているの?」と半信半疑で聞いてみたら屋久島を撮ったシノゴのポジを見せてくれた。屋久島に8回も通うベテランなのだ。
 シノゴで驚くのはまだ早い。11×14インチ、ほぼA3サイズのフィルムを使うカメラを2台!使っているものもいる。持っているのではなく、使っているのだ。11×14インチのカメラを触るとシノゴのカメラは小型カメラに思えてしまう。エイトバイテンすら小さく見える。彼は12×20インチのカメラを発注済みと聞いている。
 現役プロカメラマンも多い。プロの横でフィルムの入れ方もおぼつかない人が講座を聞いている。伝えたいことは一緒だし、初めての人にとって分からないことは隣のプロに聞けるメリットもある(笑)
 参加者は東京近郊だけではない。岐阜から始まり、名古屋、大阪、新潟、静岡、そして札幌から毎週飛行機でやってきたものもいる。これには驚いた。皆高額な交通費と時間をさいてワークショップにやってくるのだ。
 ワークショップがきっかけで写真を本格的に始め、カメラマンになったり、ついには写真集を出版したものもいる。
 名称は「渡部さとるワークショップ」ではなくてあくまで「ワークショップ2B」。2Bとは借りている部屋が2階のB号室なのだ。ワークショップの講座より、その後2Bという場所を使うことのほうが意味が大きい。実は11回の講座は2Bという場所を使うための共通言語を持つレクチャーなのだ。
 日曜日に2Bに来れば誰かがいて写真の話ができて暗室も使うことが出来る。新しく買ったライカを見せにきてもいいし、今取り組んでいるテーマの相談にきてもいい。それを横で見ているだけでもいいのだ。

 僕がワークショップの最後に皆に伝えている言葉がある。「焦らず、のめり込まず、ボチボチとのんびり、ずっと長く写真を楽しんでください。そのために2Bはいつでも開いています」

workshop2b at 07:35|この記事のURLTrackBack(0)