perfectblue

今回はリクエスト頂きました今敏作品の海外反応ということで、『パーフェクトブルー』のレビューをお届けいたします。リクエストありがとうございました!!

未だその夭逝が惜しまれる天才監督であり『パーフェクトブルー』も国内外の評価が高い作品でした。ご覧になった方も多いかもしれませんね。

Perfect Blue (2000)
56.99ドル
★★★★☆ (平均レビュー4.3 / 総レビュー数221)

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★★★★★「本当の霧越未麻は立ち上がってくれるだろうか?」Marc Ruby

竹内義和の小説を原作とした『パーフェクトブルー』は、あっと驚く予想外の展開のアニメだ。一般的なアクション映画というよりかはヒッチコック作品に近く、心理描写が恐ろしい場面の描写と同じくらい強く興味を引く。

霧越未麻はアイドル歌手で、人気のアイドルトリオであるチャムのメンバーだ。ここ数年間チャムの人気は絶頂だったが、未麻はチャムを去り女優に挑戦することを決心する。彼女は女優としての進退を決めるだろう第一作になるサスペンスドラマ『ダブルバインド』に役を得るが、彼女の古参のファンは面白くない。未麻が自分が作ったとされるWEBサイトを発見したことをきっかけに、事態は発展していく。

誰がこのWEBサイトを作ったにしろ、未麻についてあまりにも多くを知り過ぎており、未麻は自分が病的な執着を持ったファンにストーキングされていることを知る。直後、周囲の人々がむごたらしく死んでいき、未麻は自分が本当は誰なのか、何が現実なのか、どんどん混乱していく。監督の今敏は残酷にも、観客に対して何が本当なのかを示す手掛かりを少なくし、『ダブルバインド』や『パーフェクトブルー』、そして未麻の想像の区別をつかなくしようとしている。

本当に注目に値する作品だ。映像も音楽もとても手が込んでいる。映像は衝撃的なほど質が高く、ストーリーとのバランスがとれている。加えて、僕は特に想像力に富んだ色遣いが好きだ。もちろん、日本のアイドルタレントらしい音楽についても、今監督はこの映画を期待通りに仕上げている。

荒々しい、人の心をつかむ映画だ。暴力、殺人、レイプは視聴者の心をかき乱すよう周到に描写されている。僕にとってはそうじゃないが『パーフェクトブルー』で腹を立てる人もいると思う。見る前によく考えて。

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★★★★☆「印象的なヒッチコック系サイコスリラーアニメ」Daniel J. Hamlow 

アニメは世界滅亡も(AKIRA)、かわい子ぶったヒロインも(セーラームーン)、変態エロも(淫獣学園 La☆Blue Girl)、侍も(獣兵衛忍風帖)、機械論も(エヴァンゲリオン)表現できる。パーフェクトブルーはこういった既存ジャンルのどれにも当てはまらないという点で特徴的だ。
テクノポップトリオ・チャムのリードボーカルとして2年半の活動の後、21歳の霧越未麻は映画女優に転身するためのお別れライブを発表する。メンバーの一人は未麻のチャムからの卒業を大げさに話す。この転身はファンを驚かせるが、未麻本人はやる気だ。無垢なアイドルのイメージを息苦しく感じており、サイコスリラードラマ『ダブルバインド』の被害者の姉妹のような新しい自分に挑戦するいい機会だと考えている。田所は「アイドルに大衆にアピールできるところはない」と感じている。このドラマへの出演は未麻の今後の進退を決める重要な機会だ。

事務所の社長である田所による脚本家の渋谷とプロデューサーの手嶋への要請により、未麻の役は最初の「あなた、誰なの?」の一言からもっと過激な、ジョディー・フォスターが『告発の行方』で演じたようなトラウマになるようなシーン(卓球台の上ではなくストリップ劇場だが)を含む役まで増えるようになる。何にせよ計画されていたことだ。確かに未麻のイメージは変わった。しかしマネージャーでありかつてのアイドルだった日高ルミは慌て、そのシーンの間姿を消す。

未麻には他の問題があった。彼女は未麻の部屋というWebサイトを見つけたが、そこは未麻のサイトとされ、毎日の生活が細かく書かれていた。そこに本当に起こった事柄が書かれていたのを読み、彼女はおびえる。

この他にも未麻はチャムのリーダーだった、チャム時代の衣装を着ている自分の幻影にも悩まされる。"以前の" 未麻は現実の未麻を偽物だと責め立てる。また、歯並びの悪い背虫のストーカーが現れる。

その一方で、雑誌用に未麻のヌード写真を撮影していたカメラマンなど、未麻の新しいキャリアの売りだしに関わっていた人々はむごたらしく殺される。この作品では、今までのアニメでは描写されなかったような細かい描写がある。

よく分からないところがある。熱狂的なファンがいるにも関わらず、未麻の脱退があってもチャムがあまり売れていないのはつじつまが合わないように思う。普通は、人気のあるグループを主要メンバーが去るとき、セールスは変動するものだ(スパイスガールズやバナナラマなど)。
トリビア: 未麻が受けとったファックスに書いてあった「uragiri」とは"裏切り者"という意味だ。

ヒッチコックの『サイコ』に多大な影響を受けているが、暴力シーンや殺人場面は『氷の微笑』や『スクリーム』を思い起こさせる。現実と妄想の間の揺らぎは『めまい』(ヒッチコック)や『オープン・ユア・アイズ』だ。ダブルバインドは『羊たちの沈黙』に似ている。アップテンポなテクノポップとデュオになったトリオはバナナラマのコピーだが、音楽自体はペットショップボーイズの初期に似ている。メインボーカルが個人的な名声とお金のためにグループを抜けるのは、ピーター・セテラ(訳註: シカゴの元ボーカル)やボビー・ブラウンのようによくあることだ。そしてジョン・レノンやレベッカ・シェイファーのような、狂ったストーカーと化したファンのいたケースについてはこれ以上何もいうことはない。
こういったものが相互に絡み合い、非常に優れたスリラーを生みだした。トラウマになるような経験にも関わらず成長していく可愛らしいヒロインの未麻は応援したくなる。

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★★★★☆「パーフェクトブルーはパーフェクトなDVD」Shan Wickremesinghe

見る前に解説を読むな。キーポイントが台無しになる。ラストのことだ。オフィシャルサイトに行き、作品情報を読もう。オフィシャルサイトには、これは実写映画になる予定だったのが神戸の震災でダメになり、アニメになったと説明されている。

吹き替えの実写映画を見るのは好きじゃないが、この英語版の吹き替えはとてもよくできていてすっかり気にいった。日本語版で字幕あり・なしも収録されている。日本語字幕版も見る価値あり。印象が違う。いくつかのセリフが違う重要さに聞こえる。英語版の吹き替え、1時間1分32秒のところに間違いを見つけた。未麻は「高倉理香」というはずのところを「霧越未麻」と言っている。日本語版の音声と字幕で確認した。いくつかのややこしい点をすっきりさせる上で重要なポイントだ。

霧越未麻は女優になるため所属グループ"チャム"を抜けようとしているアイドル歌手だ。日本での歌手生命は短いことがすぐに分かる。ゼロから女優をはじめた彼女には、アイドル歌手のイメージから抜け出して転身を図る以外に道はない。誰かが彼女をストーキングしはじめ、恐ろしい手紙を送りつける。一人はマネージャーを襲う。さらに悩ましいことに、未麻は自分自身しか知らないはずの細かい生活の情報が掲載されているWEBサイト(未麻の部屋と呼ばれている)を見つける。事態は本当に恐ろしい方向に向かい、彼女の精神は衰弱していく。

女優としての彼女のキャリアに関わった人々が殺されていく。未麻は以前のアイドルとしての自分の幻影に脅かされており、その幻影は未麻が演じなければならなかった猥褻シーンに反対する。未麻はストーキングを受けているという幻覚に脅かされており、同時に殺人の幻覚も見ている。彼女は実際に殺人に関わっているのか、違うのか。もしくは、単に狂っているだけなのか。信じてくれ、本当にこういう映画なんだ。

ラスト30分で観客の足元をひっくり返すようなシーンが続く。何が真実で何がそうじゃないのかを問い続けるのは難しいがとても面白い。出来事は最終的に解決し、続くラストシーンを否定するものは何もないように思える。テーマ音楽はとても薄気味悪く、未麻がらせん状に下降する場面に全体的に合っている。殺人シーンの強烈さにぴったりの狂乱した感じの曲もまたよかった。

優れた映画であり一級のスリラー。最初の数分で、アニメを見ていることを忘れる。ひねりの効いたラスト、最後30分のどんでん返しと流線型のプロット。この3つは最近の作品である「マイノリティー・リポート」にはない。

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★★★★☆「パーフェクトブルー」Gregory D. Pauletti "gdpetti"

『千年女優』の監督によるとても素晴らしい映画。ストーリーは面白くとても現代的で、幻想や異常心理などを扱った他のアニメ作品よりは比較的ショッキングだ。とてもリアリティのあるストーリーで、若い女性歌手の映画女優への転身を描いている。
一点問題があるのは、もう一度見る気にはなれないところだ。しかしとてもよい映画だ。他のアニメ作品よりリアルで、多くのハリウッド女優の業界で成功しようと挑戦する人生そのままに見える。彼女は歌い始めたが、グループは彼女が去るまで売れない。タイミングの問題?ヒットソングが出ないとグループは存続の危機だが、いずれにしろそのような歌は最後には捨てられる。しかし彼女が転身し、経験不足や知識の不足や"成功する"もっと簡単な方法にも関わらず、多くの人がすることをし、対価を払い、経験から学んで自分の足で歩き出したところは好きだ。これは多くの人が聞いたり見たりしたがったりするような話ではない。現実はそんなものだ。

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★★★★★「本当に大好き」Mr. Kevin P. D'arcy "kp"

マルホランド・ドライブやインランド・エンパイアのようなデヴィッド・リンチ作品が好きならおススメだ。ダリオ・アルジェントが好きなら絶対に気に入る。

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とても長文のレビューを書く人が多くて驚きました。
他のサスペンス映画や、特にヒッチコック作品と対比させる人が多かったですね。
アニメっぽいレビューはあまりされていない印象でした。