ninjascroll


今回は以前『パーフェクト・ブルー』のレビュー紹介をした際に引き合いに出されていた作品の一つ『獣兵衛忍風帖』のレビューをお届けします。リクエスト頂きまして誠にありがとうございます。

実は『獣兵衛忍風帖』という作品の存在を今まで知らなかったのですが、北米では"Ninja scroll"とのタイトルで大ヒットしたアニメ作品のようですね。制作はマッドハウスです。忍者を題材とした作品ですから、Ninja好きのアメリカ人にウケたのでしょうか。ご覧になったことがありましたら、ぜひご感想を教えて頂ければと思います。

Ninja Scroll [Blu-ray] (1993)
19.99ドル
★★★★☆ (平均レビュー4.4 / 総レビュー数447)
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★★☆☆☆「獣兵衛忍風帖10周年記念ワイドスクリーン……気をつけて!」George Matchneer

獣兵衛忍風帖は素晴らしい出来のアニメで、賞賛してもし足りないが、10周年DVDにはまちがったワイドスクリーンで収録されている--単に上下をカットしてワイドスクリーンに見せかけているだけだ。音質も元のフルスクリーン版DVDに比べていい訳じゃなく、単にDTSフォーマットに変換しているだけだ。端的に言って、さらにこれを買う必要はない。元のDVD以上の画質を期待するならお金のムダになる。はっきり言ってこの記念DVDはファンをバカにしている。

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★★★★★「壮大なスケールの物語」damocles1710@earthlink.net

最初にタイトルの話。日本語の元のタイトルを直訳すると「忍者獣兵衛の年代記」となる。
次に、この映画での「女嫌い」について。私の解釈では、これは本当ではない。陽炎はその身に呪いの悲劇を負った魅力的なキャラクターだ。彼女は物語の中できわめて重要な役割を果たすが、もっとも大事なのは、獣兵衛はとても道義心が強く心が純粋なので、他人のように陽炎を単なる武器や欲望の対象として扱わなかったというところだ。自分の人生を犠牲にしても(この意味は見ればわかる)。これが物語に厚みを与えている。

万人向けの作品ではないが、素晴らしい映画だ。非常に強烈だから、繊細な人は気をつけた方がいい。アニメーションは美しい。アクションは強烈で、良く考えられた演出であり、乱暴ではない。脚本は複雑で、よく書けている。

今まで見た中で最高のアニメ。

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★★★★★「武士道をブチ壊す」Marc Ruby

日本の漫画やアニメの一つの伝統は、17世紀初頭に徳川家に仕えた剣豪・柳生十兵衛三厳の伝説に基づいている。十兵衛は諸国をさすらい、時には将軍の隠密として働き、卓越した剣匠として悪を正したと伝えられている。日本における円卓の騎士のようなものだ。

『獣兵衛忍風帖』では、このような役割をさすらいの忍者である牙神獣兵衛が担当している。彼は山城藩に仕える(訳註: Wikipediaの記述によると望月藩のようですが、レビュー原文を優先します)くのいちである陽炎を救ったことで政争に巻き込まれる。陽炎を救うため、十兵衛は鉄斎に挑むことになる。鉄斎は悪役の忍者(鬼門八人衆)で、肌を石に変化させる能力を持ち、壁を一撃で砕く怪力だ。獣兵衛は勝利するが、鉄斎は復讐を誓い、獣兵衛は闇将軍をめぐる複雑な争いに深くかかわることになる。

この戦いの3人目の主要人物は濁庵、将軍の隠密だ。彼は死にそうなほど歳をとった男で、獣兵衛を猛毒に犯し、協力を迫る。濁庵は獣兵衛が殺したはずの宿敵・弦馬が生きており、鬼門八人衆こそが黒幕だと教える。獣兵衛、濁庵、陽炎は悪の忍者を倒し、村を壊滅させた黒幕の目的を暴こうとする。

陽炎は毒見役で、その結果、身体が致死性の毒で満ちている。彼女はキスしただけで相手を殺してしまうので、恋人を作ることができない。日本の歴史においてこのような女性は非人とされ、村から軽視されている。獣兵衛が陽炎を一人前の人間として扱うと主張することで、陽炎の世界を劇的に変え、また物語において単なるサムライ物とはちがう強い感情的な印象を創り出している。

映画の画質は美しく、日本の伝統的な美術観が繊細な感性によって反映されている。輪郭や色は力強い。暴力表現はもちろんあるがしっかり抑制されている。この作品は他のコンサバティブな日本アニメの伝統を代表する素晴らしい映画だ。歴史的な人物が描かれており、またずば抜けた芸術的価値もあり、見るべきだ。

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★★★☆☆「12年4月12日に発売されたBlu-Ray版について」N. Black 

Blu-Ray版のレビュー。この映画が昔のアニメだと知っているなら特に言うことはない。素晴らしい映画でブルーレイを買って嬉しかったんだが……だが!ただの4x3スクリーンでワイドスクリーンじゃない。HDテレビで見ると両側に黒い帯が出る。画質は普通のDVD(こっちも持っている)より向上していたが、僕は本物のワイドスクリーンのために20ドル払ったつもりだった。落ち込んだ。特典もないし!3つ星をつけたのはそんな訳で、作品そのものに対してじゃない。もしまだこの作品を持ってないならブルーレイ版がいいと思うが、もうDVDを持っているなら、よほどの大ファンじゃない限り買わなくていいと思う。

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★★★★★「素晴らしい移植とリマスタリング……Blu-Ray版について」Stephen M. Lerch

サラッとレビュー -- 暴力アニメや侍アニメが好きならぜひ買うべき。まさにそんな作品だ(監督の面白い字幕付き日本語コメンタリーが収録されている)。あと、記念DVDに収録されているのはニセのワイドスクリーン版じゃない(うん、4:3の映像も一緒に入ってる)。

明らかに子ども向けじゃない。

買う価値がある。

獣兵衛忍風帖は1993年のアニメだ。古典とされており、歴史や文化が好きならこの記念すべき作品を見るべきだ。

ストーリーは獣兵衛が日本政府の転覆をたくらむ旧敵との戦いに巻き込まれていくというもの。悪役はそれぞれ異なる力を持つ超人的な戦士たちの親玉になっており、獣兵衛は計画を阻止するため彼らと闘うことになる。

映像:

驚かないところはない。映像はデジタルリマスターされており、期待通り細部を保っていて、最高。他のデジタルアニメに時折あるようなやり過ぎの部分はない。セルの後ろにあったような影はそう悪いものじゃない。作られた過程がわかる。

音質:

日本語ステレオ音声がDTS-MAトラックに収録されている。聞いてみたがよかった。ステレオ分割がされていて、本当によかった。日本語のコメンタリーも確認した。通常の日本語トラックより音が大きかったが、音質はよかった。

英語音声は 5.1 DTS-MA。同様に音質はとてもよかった。音声にはたくさんの音が入っている -- 効果音は日本語トラックより多いくらいだった。英語の吹き替えは以前のDVDやVHSと一緒。今まで聞いた中で一番はっきりしていると思う。

特典:

トレイラーを気に入りますように。日本語コメンタリーを数に入れないなら、それだけだから。コメンタリーは見たり聞いたりするには悪くないが、驚くほどのものではない。

パッケージ:

ちゃんとしたジャケット絵の標準的なブルーレイケース。背面にまあまあの説明書きがついている。

総評:

特典ナシを気にしないなら、Sentai(訳註: Sentai Filmwork。北米でのライセンスを所有)はよくやった。10周年記念版に特典が入っていたらもっとよかったんだが、それはなかった。最小限リリースではあるが、品質は明らかだ。
最高の獣兵衛忍風帖が欲しいならこれは最高だし、特典がないことを気にしないなら買うべきだ。息の長い作品だから、新しいアニメのファンでもきっと面白いと思う。

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★★★★★「ひどいな……レイプシーンのことじゃなくて」Sebastien Forest "Sebster"

ワーオ!この作品が嫌いな人はレイプシーンの存在を指摘するね。
そんな人たちはこの映画が女性をどのように描き、彼女がレイプ被害者としてどう思ったかを強調する。
実際は……彼女は特異な忍者であり、現代社会に生きる気まぐれな人のように行動したりしない。
彼女は忍者として振舞っているんだと思う。
単純な例として、例えば誰かがムエタイのチャンピオンである女性をレイプしたら、そいつは暗い小道でケツを蹴られるだろうし、婦警さんをレイプしたら将来が断たれる。
誰かレイプされた人がいたとしたら少しの間神経質になるだろうし、レイプ被害相談センターに行くべきだろう。
もし忍者がレイプされて生き延びたとしたら、レイプ犯は彼女を生かしておくのは得策ではないと考えるだろう。
忍者は現代の兵士に似ており、上層部の命令に従う(忍者の生涯の忠誠はより厚く、死をも恐れないように見える)。だからくの一が現代人の考えるように振舞うとは考えにくいし、そもそもこれは現代より法も行き届いておらず、忠誠心も厚かった遠い昔の時代の出来事だ。ジェームズ・クラベルの小説(訳註: 1600年代の日本を舞台にした『将軍』という小説の著者)にはこんな例がもっと出てくる。
この映画を嫌う人は昔のアジアの文化を知らず、これを見るとうんざりしてしまうんだろうね。
他の好意的なレビューを読んで、ほとんどそうだと思ったよ……素晴らしくしっかりした映画、良くできたアニメーション、血みどろの戦い、個性的な悪役、ああそうそう、そこかしこにちょっとレイプ表現があるのは本当だ。

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特典がないことに対する怨嗟の声が強かったようですw
10周年記念のブルーレイなら、確かに特典は欲しいところでしたね。