tenshinotamago

今回はリクエスト頂きました押井守『天使の卵』のレビューをお送りいたします。リクエスト誠にありがとうございました。

『天使のたまご』は押井守作品の中でも最も難解な作品として知られていますが、ファンの間での評価は高いようです。

Tenshi no tamago
★★★★★★★☆☆☆ (平均レビュー7.4 / 総レビュー数1,268)

-----------------------------
★★★★★★★★★★「人生で見た一番素晴らしい映画だよ!!」AgentSniff (スウェーデン)

この映画、「天使のたまご」は"Angel's Egg"と訳せるんだけれど、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』がアニメ界の2001年宇宙の旅だとしたら、『天使のたまご』はイレイザーヘッドだ。様々に興味深く解釈できるたくさんのシンボルが登場するが、物語にはシンプルな核がちゃんとある。
ストーリーは恐ろしい、ゴシックな美しい街に一人で暮らす少女の物語だ。世界は週末を迎え、その子は崩壊後の世界の遺跡に住んでいるように見える。少女は大きな卵の世話をしている。十字架のような武器を持った手に傷のある男が現れ、少女の保護を申し出る。

映像は忘れ難く、音楽には呆然とする。ラストはあいまいで、どういう意味なのか真剣に議論したい。

男の正体はこの映画でもっともゾクゾクする部分だ。彼はキリストなのか、それとも詐欺師なのか?

少しでもこのアニメに興味を持ったならぜひ見てほしい。映画ファンだと名乗りたい映画ファンもかならず見るべきだ。

今まで作られた中で最高の映画だということに疑いの余地はほとんどない。

----------------
★★★★★★★★★☆「とても深淵で挑発的な映像体験」crackdogx (アメリカ)

押井守監督の1985年作品「天使のたまご」は彼の作品をどのように定義したらいいかというテーマの好例だ。攻殻機動隊Ghost in the Shell、うる星やつらビューティフル・ドリーマー、パトレイバー、そしてアヴァロンといった後の作品のように、天使のたまごは美しく、不可解な(そして時にびっくりするような)イメージに満ち溢れた映像世界だ。物語には巨大な卵に強い独占欲を示す少女が登場する。彼女はその卵から美しい鳥がかえると信じている。彼女は暗く空虚な世界をさまよい、卵がかえる日を延々と待ち続けている。この世界が100年も1000年も、永遠に存在し続けているような気がする。この少女もまた永遠に存在し、待ち続け夢見続けている。

この世界では、一人の戦士(?)がさまよっている。彼の意志は不吉に見えるが、最後まではっきりしない。少女は最初はこの男を怖がっていたが、最終的には協力し合ってこの奇妙な世界を一緒にさまよう。ほとんどすべての押井作品がおびただしい数のキリスト教神話をモチーフにしている。天使のたまごが最もわかりやすい。重苦しい空気と沈痛な雰囲気に満ちており、映像的でストーリーはほとんどない。セリフは全体でも1段落程度で、残りはすべて雰囲気と緊張感の構築で成り立っている。しかしながら、それがこの映画の最大の強みだ。それらを説明するキャラクターがいなくとも、ノアの洪水、誕生、死と再生といったテーマのすべてが明白だ。観客は彼女の無垢さによって素朴な少女の世界に引きこまれる。卵がかえり、中に何がいるのかを知りたいと思うだろう。戦士の考えと彼の真意を知りたいと思うだろう。いくつかの問いには答えがあるが、ほとんどはない。

押井は賢明なので、この映画を短くまとめた(1時間とちょっとしかない)。予算の所為や脚本の所為だとしても、おかげで飽きずに済む。この映画は確かに万人受けしない。ほとんどの人はきっとはっきりしたプロットがないから混乱するだろうが、もし哲学的な、あるいは純粋な映像体験を楽しめるなら絶対に見るべき。

----------------
★★★★★★★★★★「純粋な想像力の驚くべき成果」kotatsu-neko (イギリス)

天使のたまご --Angel's Egg-- はとても珍しい映画だ。この映画はストーリーをはっきりと示さない。代わりに物語の意味はシンボリックなイメージで示され、解釈や理解は観客に委ねられる。
この映画は監督自身の信仰の喪失と、社会の神秘的な空想上の物事に対する盲目的な信仰をテーマにしているという考えもある。

天野喜孝のデザインと押井の全力のディレクションが合わさった映像は徹底的に美しい。音楽は菅野由弘で、これは彼が手がけたわずかな映画作品のうちのひとつだが、気品に満ち美しい。

映画は深淵で考えさせられ、とても美しい。映画という芸術形式に価値を認めるなら、天使のたまごを見て驚くべきだ。

----------------
★★★★★★★★★★「とても素晴らしい作品」Antti Moilanen (フィンランド)

この押井守の代表作(キャラクターデザインはかの偉大なる天野喜孝)はまさに、ダリやその他の偉大な芸術家の作品のように挑発的で芸術的だ。暗い雰囲気や不可解な出来事はキューブリックの2001年宇宙の旅を思い起こさせる。この映画にセリフはほとんどないが、わたしは素晴らしい決定だと思う。アニメが好きなら、特に押井守のスタイリッシュな「スローな雰囲気アニメ」が好きなら見るべき。これは知名度はとても低いが、アニメ史に残る偉大な古典だ。本当におススメ!

----------------
★★★★★★★★★★「代表作」duprecharley (フランス)

押井守と天野喜孝のオリジナル作品であり、この二人はとても有名だ。

このアニメにストーリーはないに等しい。幼い少女が不思議な卵を守っており、その卵に興味があるように見える男と出会う。脚本はそんなに長くなく、75分の映画の中で5分くらいしか喋っていない。

それで、なぜこの映画がそんなに素晴らしいのか?まず、映像が天野喜孝によって描かれた絵と同じくらい非常に優れており、我々は何も知らないにも関わらず、この暗い世界の色彩と雰囲気に動かされていく。この映画に「メッセージがない」から好きになれない人もいるだろう。時々は、自分自身で考えてみる必要がある。与えられたメッセージはなく、この映画が何を意味しているかを探し、作りだすのは観客の義務だ。

もう一度言うが、未知の芸術領域へ我々を導くのは明らかに映像の成果だ。デヴィッド・リンチ作品との関連性を感じる。
-----------------------------

アニメファンの人が見ているとは思っていましたが、割と普通に(?)前衛アート映画として受容されている感じでした。確かに天野喜孝の絵だと萌え系というイメージは全くないですね。