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 弁護士・法曹プロパーの話題だと、関心を持つ読者も減るかもしれないが、大事なことでもあり、取り上げることにする。

日本弁護士連合会;

[IBA、国際法曹協会とは?]

 International Bar Association(IBA、国際法曹協会)は、1947年に設立され、世界各国の弁護士会及び個人の弁護士が加入する、世界最大の国際法曹団体です。
 IBAには、2012年時点で45,000名以上の個人会員と、150か国以上にわたる200以上の弁護士会が加盟しています。

 IBAの主な目的は、各国の弁護士会間の情報交換を推進すること、法曹の独立及び弁護士が干渉されることなく活動する権利を支えること、Human Rights Institute(IBAHRI、人権評議会)の活動を通じて人権擁護活動を行うことなどが挙げられます。

 その目的を実現するため、IBAは、各部門や委員会を通じた個人会員へのサービス提供、弁護士会(特に発展途上にある弁護士会)に対する支援活動、世界の弁護士に対する人権活動などを行っています。
 また、最大の組織であるLegal Practice Division(LPD)は、ビジネス法を含む法律実務における国際的なオピニオン・リーダーであり、最先端の法律問題につき、提言をし、セミナー、出版物を通じ会員に情報提供をしています。

 

[日弁連とIBAの関わり]

 日弁連は、1951年にIBAに加盟し、現在は団体会員として2名の理事(内1名は日弁連会長)を指名しています。
 年次総会及び年に2回開催される理事会への参加をはじめとして、IBAの活動に積極的に参加しています。

 IBAは、人権の保護、法の支配や弁護士の独立を目指す活動を世界的に推進していますが、それらの目的のために日弁連はアジア地域の重要なパートナーとして活動してきました。

 人権や公益活動をめぐる今日的な課題についての各国の経験など、IBAの活動やセミナーは個々の弁護士にとっても多くの情報を与えてくれます。
 また、ビジネス法を含む法律実務においては、IBAの活動への参加は最先端の情報、潮流の理解、指導的立場の実務家とのネットワーキング等のための貴重な機会を提供します。

 

[2014年IBA年次総会が東京で開催]

日本政府等関係機関による誘致活動の結果、2014年は東京においてIBA年次大会(IBA東京大会)が開催されます。
 IBA年次大会には、IBA会員を中心に弁護士、法曹関係者数千名(近年においては5,000名を超えてきています)が参加し、1週間の開催期間中に開会式、各委員会の分科会、レセプション等が行われます。
 法曹関係者にとっては極めて重大な国際的イベントです。

 

 

[世界と出会い・繋がる1週間ーIBA東京大会開催 日弁連会長 村越 進]

 本年10月、世界最大規模の法曹国際会議である国際法曹協会(IBA)年次大会が、日本において開催されます。
 世界中から約6,000名と見込まれる数の世界各国の弁護士、法曹関係者が、ここ東京にやってきます。

 IBAは、1947年に設立された、世界の200以上の弁護士会と、50,000以上の個人会員で構成される世界最大の法曹団体です。
 日弁連は、1951年に加盟し、同団体の目的である人権擁護、法の支配及び司法の独立が世界中にあまねく確立されるために、積極的にその活動に関与してきました。  

 今回のIBA東京大会の大きな特色の1つに、IBA年次大会が今日のようなスケールで開催されるように発展してから「東アジアで初の年次大会の開催」であることが挙げられます。
 リーガルマーケットが国際化していくなかで、アジアの法曹界に寄せられている期待、そしてその中で日本の弁護士の果たすべき役割というものを意識しながら、開催国の法曹団体として、日弁連も積極的に大会の開催を応援しています。
 他方でIBAも、日本の法曹の参加を促すため、年次総会では初めて、日英同時通訳付きのセッションを多数開催しています。

 さて、今後50年は日本で開催することはないとも言われているIBA年次大会。

私自身が弁護士登録をした頃には、日本でこのような規模の国際会議が開催されるとは、夢にも思っていませんでした。

 この大会が、多くの弁護士にとって、視野を広げ、また世界へのネットワークを築き・広げるチャンスになることを期待し、ご参加をお待ちしています。

日本弁護士連合会会長 村越 進

 

 

[IBA前会長 川村 明]

 2006年、ちょっとした行きがかりでIBAの事務総長選挙に担ぎ出された時、私は、率直に言って、IBAのこと、殆ど知らなかったと言っていいでしょう。
 全世界137加盟国弁護士会を相手の選挙運動に驚きましたが、結果はランドスライド的大勝利で当選しました。

 国名さえ初めて聞くような、見も知らぬアフリカの弁護士会長から、「アキラ、お前に投票するよ!」などと応援されると、私は自分の人気というより、日本人に寄せられている熱い信頼を実感しました。
 世界は日本人を待っている、
というような!

 その後、私は事務総長、副会長、会長とそれぞれ2年ずつ、IBAのトップ・リーダーシップを務めました。
 一度、選挙で大勝利をしているので、二度と対立候補は出てきません。
 自画自賛になりますが、その強い支持を背景に、私は、この巨大な世界法律家組織の改革を牽引したつもりです。
 まず、英米の大ローファームのビジネス・ローヤー中心から弁護士会中心へ、欧米マーケットから中近東やロシアのような新興国へ、そして、何よりもアジア太平洋へのシフトです。
 私はインドより東のアジアから出た最初の会長なので、この地区でのIBAへの関心を盛り上げることに貢献したと思います。

 時を同じくして、世界のリーガル・マーケットは大きくアジア太平洋地区にシフトしています。
 IBA大会が東京で開催されることになったのも、いわば歴史の必然です。今や、日本のマーケットの狭さをかこつようになった日本の若い弁護士のみなさん、IBA東京大会の機会に、世界にプロフェッショナルの新天地を拓いてもらいたいと思います。

IBA前会長 川村明

 

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何が言えるか?
*通常、一般人は「法の支配と言っても、それはその国に限られる」と思う人が多いだろう。

*そして、それは法に携わる弁護士でも、実際の状況は現時点で未ださほど変わらない。

*しかし、各国の弁護士は、法の支配という概念は普遍的だ・或いは普遍的であるべきだと強く認識しているはずだ。

*内心、弁護士の大半は弁護士の方が公認会計士より上だとか、法は経済より上だと思っているはずだ。
 それなら会計事務所にはbig4が有るが、1社で150か国に拠点を有する会計事務所の国際性に劣ってはならない。

*そのような思いを共有する各国の弁護士が相互に交流することは、真の法の支配・世界的な法の支配への前進に大いに役立つ。

*弁護士150ヵ国以上4.5万人超加入しており、規模も大きい。

*出席者約6000名見込みと多い(開会式出席は約130か国約4000人)。

*弁護士中心の法曹団体

*天皇、皇后両陛下も安部総理も出席。

*日本からもIBAの会長を出している。

*各国の法曹同士の交流・団結が深まれば、狭義の法の分野のみならず、多国間に関わる深刻な国際的な政治・経済問題も解決できることやヘルプできることが増えてくるだろう。

*とりわけ、日中韓の関係改善・緊張緩和にも資すると思う。
(政治家のみの責任と考えるべきではない。 政治家のみに任せておくべきではない)

*最初は顔を合わせ、意見交換するだけで良いと思う。

*国家エゴを出し合わない方が、結局、ずっとお互いにベターな世界を創り上げられる。

*国際司法裁判所、国際刑事裁判所、国際海洋法裁判所等の今後の発展、及び国際法の発展等に中核的な役割を果たすだろう。

*「国境なき医師団」がノーベル平和賞を受賞しているが、「国境なき弁護士団」或いは国際法曹協会がノーベル平和賞を取る時がいずれ来るだろう。

*弁護士資格相互承認、検事資格相互承認、裁判官資格相互承認も今以上に行われるようになるだろう。

*将来的には、多国間司法試験、多国間弁護士その他も話題に上がって来るだろう。




☆裁判官、検察官の国際団体については他日に待ちたい。
☆国際法、世界法については他日に待ちたい。