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[ロイター]イタリア憲法改正
 イタリアのレンツィ首相は、4日実施された国民投票で、自身が提唱した憲法改正案が否決される見通しとなったことを受け、辞意を表明した。

 レンツィ首相は、テレビ中継された演説で、「極めて明確」な敗北の責任をとるとし、「わが政権はこれで終わる」と述べた。

 ユーロは対ドルで一時1年8カ月ぶりの安値をつけた。
イタリアの政局不安が国内銀行セクターに打撃となる恐れがあるとの懸念が高まった。

 首相は、5日午後に閣議を招集し、その後マッタレッラ大統領に辞表を提出する方針とした。

 レンツィ首相の辞任により2018年に予定されている総選挙が来年に前倒しされ、反ユーロを掲げる「五つ星運動」が政権を握る可能性がある。

 大統領は新たな首相を指名する前に各党の党首と協議を行う。
新政権は新たな選挙法の制定に取り組むことになる。

 41歳のレンツィ首相は政界の反主流派として登場し、時代遅れのイタリアを刷新し硬直的な官僚制度を破壊すると訴えて2014年に就任。
 だが、これまで行った改革の成果は限られる。
上院の権限を大幅に縮小して法案の成立を加速するための憲法改正が可決されれば最大の達成になるはずだった。

 憲法改正案の否決により政局が混乱すれば、大手モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)の再建が困難になり、政府の介入が必要になる恐れがある。
 ほかにも資本不足の銀行が存在するため、負の連鎖的に対する不安が強まっている。

 レンツィ首相の後継候補のひとりと目されるパドアン経済相は9日、憲法改正案の否決された場合、「48時間程度の混乱」はあっても金融市場に「地震」が起きる恐れはないと強調した。
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イタリア憲法改正反対 59.11%
イタリア憲法改正賛成  40.89%
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[ロイター] オーストリア大統領選挙
 オーストリアで4日行われた大統領選では、「緑の党」前党首で親欧州連合(EU)派のアレクサンダー・ファン・デア・ベレン氏が極右政党「自由党」のノルベルト・ホーファー氏に勝利した。

 事前の世論調査では接戦が予想されていた。
 英国のEU離脱をめぐる国民投票や
米大統領選と同様、大衆主義の波に乗って移民反対派のホーファー氏が勝利し、EU加盟国で初めてとなる極右系の国家元首が誕生するかどうかが注目されたが、実現しなかった。

 調査会社SORAによると、投票所で投票された票の99%の集計結果を含めた予測では、得票率はファン・デア・ベレン氏が53.3%、ホーファー氏が46.7%となった。
 誤差は0.4%ポイント。

ホーファー氏は、投票が締め切られて1時間もたたないうちに敗北を認めた。
 また、次の大統領選に再び出馬する意向を示した。

今回の選挙は5月に行われた大統領選決選投票の再投票。
 5月の投票ではファン・デア・ベレン氏が僅差で勝利したが、開票方法に問題があったとして当選は無効とされ、やり直しが決まっていた。
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アレクサンダー・ファン・デア・ベレン氏 51.7%
ノルベルト・ホーファー氏  48.3%

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何が言えるか?

[イタリア憲法改正]

*イタリアはこれまで日本以上に毎年のように首相が替わっていた。
 その弊害を正すための憲法改正国民投票だった。
(過去68年で63人目! 第二次世界大戦後、イタリア首相で任期を全うした人がいない。笑い)

*具体的にはイタリアは上院下院が全く同等の権限を有するため混乱を生じて来たが、上院の力を弱め、下院の力を強くすることを目指していた。
(日本でも衆参のネジレで一定の混乱は生じるが、衆議院の優越が有るので大丈夫)

*首相は憲法改正が否決されたら辞任すると表明したため、首相の信任投票の色彩が強まった。
 そのため、憲法改正賛成者がかなり減った模様。
(否決されたら辞任すると言わなければ可決した公算が高かった。 当初の世論調査の優位を見て首相は可決しそうだと思って「否決されたら辞任する」と言ったわけだが、求心力を上げるどころか甘く見て辞任することになった。)

*イタリアでは既成政治への不満はかなり強かったし、上院と下院の権限が同じであることがイタリア政治の混乱の元凶という一定のコンセンサスが有ったのに、憲法改正は大差で否決された。
 レンツイ首相はこの点を反省すべきだろう。

*イタリアはギリシャ同様に緊縮政策への国民の不満がかなり有った。

*しかし現行イタリア憲法はムッソリーニのような独裁者出現を防ぐことにウエイトが有った。
 国民の間にも憲法改正には一定の抵抗感が有った。

*イタリアはアフリカに地理的に近く、難民移民問題で一番苦しんでいた。

*イタリアは国民投票直前は投票動向への影響を避けるため、世論調査しなかった。

*イタリアはpigs の1つとされ、多額の不良債権問題に苦しみ、経済が弱いことが大きな課題となっていたが、憲法改正が否決され、混乱が続くことになった。
(但し、pigs のiはアイルランドという説も有る。)

*レンツイ首相は39歳の若さで首相に就任したが、自ら退路を絶ち、辞任することになった。

*イタリアにもEU 離脱を主張する極右の五つ星運動という政党が勢力を伸ばすか注目される。
(①今回もイタリアの不満の受け皿になっていた。首相はこの点を軽視した。
②コメディアンが作った五つ星運動はローマ市長も当選させている。再来年に予定される総選挙の前倒しを求めている。)


[オーストリア大統領選挙]

*オーストリア大統領選挙の注目ポイントは極右の大統領が誕生するか否かだったが、極右大統領候補は落選し、EU 財務派候補が大統領に当選。

*極右の伸長は単に閉鎖方向に向かっていると思うべきではない。
 真面目な貧しい勤労者との格差是正を念頭に置いている。

*オーストリアは大量の難民受入で国民の不満が高まり、極右候補の支持率が伸びていた。

*ヒトラーはオーストリア生まれ
(ヒトラーの母国・第二次世界大戦敗戦国なので、極右と反ナチスのせめぎあいがより強まった側面も有った。)

*オーストリアは永世中立国なので、極右が支配するのは本来馴染まない。

*最近よくポピュリズムという報道・コメントがなされるが、ポピュリズムとは大衆迎合主義という意味であり、民意・民主主義を否定・軽視し自分・自分達の主張を正当化する概念にしばしば使用されるいう側面も有するので注意するべき。

*極右候補の方が支持率が高いという報道も有り、アナウンス効果で国民に危機感が生じて実際の投票が減殺された。
(最近、トランプ氏が実際に当選したことも危機バネを強めた。)

*オーストリア新大統領の父親はロシア人、母親はエストニア人だ。

*来年、3月オランダ総選挙、4月5月にフランス大統領選挙、秋にドイツ等で選挙があるが、今回のイタリア憲法改正国民投票否決とオーストリア大統領選挙EU 残留派勝利は左右の綱引きに一定の影響が有るだろう。