Windows 8 Consumer Previewの導入に取りかかりますが、あくまでもWindows 8 Consumer Previewは開発途中版であり、発見されていないバグが潜んでいる可能性は拭いきれません。そのため、既存のアプリケーションやデバイスが正常に動作しないケースや、万が一ファイルが破損する可能性もあります。あくまでも自己責任においてお試しください。
まずはおさらいから。前回も述べたようにWindows 8 Consumer Previewはセットアッププログラムを用いた導入方法と、従来のようにISO形式ファイルもしくは同ファイルから作成したDVD-R/USBメモリからとふたつの導入方法が用意されています。前者はアップグレードインストールが簡単に行えますので、複数のコンピューターを用意できない方は、こちらをお選びください。また、実機ではなく仮想環境上でWindows 8 Consumer Previewを試す場合は、後者のISO形式を用いた方が簡単です。
では、セットアッププログラムの手順を追いかけましょう。Webサイトからダウンロードした「Windows8-ConsumerPreview-setup.exe」を実行しますと、最初にハードウェアやソフトウェアの互換性チェックが行われ、Windows 8 Consumer Previewで使用できないアイテムが列挙されます。
筆者が試した環境ではレポートに「一部の機能が動作しない場合があります」「アプリは動作しません」「更新プログラムを入手する」「Windows 8 Consumer Previewで再インストールする」といった対処法が提示されました。バージョンアップなどの対処方法がない場合、Windows 8 Consumer Previewでは正しく動作しない可能性がありますので、同種のソフトウェアに乗り換えるかWindows 7を併用してください(図01~03)。
図01 セットアッププログラムである「Windows8-ConsumerPreview-setup.exe」を実行しますと、既存環境に導入されているソフトウェアやハードウェアの互換性チェックが行われます |
図02 チェック完了後は互換性に問題があるアイテムがカウントされます。そのまま進む場合は<次へ>ボタンをクリックします |
図03 図02の画面で「互換性のレポートを見る」をクリックしますと、問題が発生しているソフトウェアやハードウェアが一覧表示されます。必要であれば<保存>ボタンをクリックしてレポートを残しておきましょう。確認を終えたら<閉じる>ボタンをクリックします |
ここからWindows 8 Consumer Previewのインストールがはじまります。最初にプロダクトキーが表示されますので、別のテキストファイルなどにメモしておきましょう。そして、セットアップに必要なファイルのダウンロードがはじまります。所要時間はネットワーク環境やインフラの混雑状態によって異なりますが、筆者が試したときは20分ほどかかりました。ポイントはダウンロード完了後にはじまるインストールプロセス。最初に<今すぐインストール><他のパーティションにインストール><後でインストール>とみっつの選択肢が現れます(図04~06)。
図04 最初にプロダクトキーがランダムに生成されます。念のため同キーのメモを残してから<次へ>ボタンをクリックします |
図05 これでインストールに必要なファイルのダウンロードがはじまります。そのままお待ちください |
図06 ダウンロードを終えますと、インストールの操作をうながされます。通常は<今すぐインストール>が選択した状態で<次へ>ボタンをクリックしてください |
ひとつめは文字どおり通常のインストールですが、既存のWindows OS環境をベースにしたアップグレードインストールであることに注意してください。Windows XP上で実行した場合はユーザーアカウントとユーザーファイルが引き継がれ、Windows Vista上で実行した場合はOSの環境設定情報も引き継がれます。そしてWindows 7上で実行した場合は導入済みソフトウェアも引き継がれる一般的なアップグレードインストールとなります。ただし、Windows 8 Developer Preview上で実行した場合、Windows XPと同じくユーザーアカウントとユーザーファイルのみ引き継がれます。
ふたつめはDVD-R/USBメモリから起動するメディアを作成してから、異なるパーティションにWindows 8 Consumer Previewをインストールし、既存のWindows VistaやWindows 7とデュアルブート環境を構築するというもの。今回は検証していませんが、Windows XPはブートローダーが異なるため、本手順でデュアルブート環境を構築するのは難しいでしょう。そして最後の<後でインストール>は、Windows 8 Consumer Previewのインストールに必要なファイルを残したまま、セットアッププログラムを終了するというもの。再インストール時はデスクトップに残されたショートカットファイルを実行してください(図07~11)。
図07 <他のパーティションにインストール>を選択しますと、作成先としてUSBメモリ/DVD-Rの選択をうながされます。ここでは<USBフラッシュドライブ>を選択して<次へ>ボタンをクリックします |
図08 接続済みのUSBメモリが検出されます。間違いがなければ<次へ>ボタンをクリックします |
図09 USBメモリの初期化を警告するメッセージが表示されますので、<はい>ボタンをクリックします |
図10 これでUSBメモリにWindows 8 Consumer Previewをセットアップするためのファイルがコピーされます |
図11 完了後には異なるプロダクトキーが表示されます。本USBメモリからセットアップする場合は、このプロダクトキーをお使いください。最後に<完了>ボタンをクリックします |
Windows 8 Consumer Previewへアップグレードする その2
<今すぐインストール>を選択して先に進む場合、Windows 8 Consumer Previewのインストールが続きます。セットアップファイルの準備を終えますと、インストール時に更新プログラムの適用を行うか確認をうながされますので、通常はインストールする方法を選択してください。後はWindows 8 Consumer Previewのライセンス条項を確認に先に進むだけですが、本手順はアップグレードインストールとなるため、新しい環境に引き継ぐための選択をうながされます。通常はWindowsの設定や個人ファイルなどすべてを引き継ぐ項目を選択してください(図12~14)。
図12 インストール時に更新プログラムの適用を行うか確認をうながされます。通常は<オンラインで今すぐ更新プログラムをインストールする>を選択して<次へ>ボタンをクリックしてください |
図13 Windows 8 Consumer Previewのライセンス条項が表示されます。内容を確認し同意できるようであれば<同意します>をクリックしてチェックを入れてから、<同意する>ボタンをクリックしてください |
図14 続いてアップグレードインストール時に引き継ぐファイルや種類の選択をうながされます。通常は<Windowsの設定、個人用ファイル、アプリ>を選択してから<次へ>ボタンをクリックしてください |
今回の環境では、Microsoft Security Essentialsのアンインストールをうながされました。文字どおりWindows 8 Consumer PreviewではMicrosoft Security Essentialsが動作しないようです。図15のように操作をうながされた場合は、<アンインストール>ボタンをクリックして対象となるアプリケーションをアンインストールし、必要な場合はコンピューターを再起動してから、Windows 8 Consumer Previewのインストールを続けてください(図15~17)。
図15 環境によっては、事前に特定のアプリケーションを削除しなければなりません。その際は<アンインストール>ボタンをクリックします |
図16 アンインストール後に<リフレッシュ>ボタンをクリックしましたが、本環境では再起動が必要でした。<PCを再起動する>ボタンをクリックしてコンピューターを再起動します |
図17 コンピューター再起動後は自動的にセットアッププラグラムが起動します。<中断したところから続行します>が選択されているのを確認してから<次へ>ボタンをクリックします |
図17の画面が示すようにセットアップが続行できない場合は、デスクトップにあるショートカットファイルをダブルクリックして同じ手順を繰り返しましょう。準備を終えるとアップグレードインストールを開始できます。<インストール>ボタンをクリックしますと、そのままアップグレードインストールの準備がはじまり、完了後は自動的にコンピューターが再起動しますので、ここで離席しても構いません。なお、Windows 8 Consumer Previewスタートアップ時は、Windows 7ベータの壁紙に採用されていた熱帯魚のベタ(Betta)をイラスト化したものが現れます(図18~20)。
図18 一連の準備がこれで完了しました。<インストール>ボタンをクリックしてください |
図19 アップグレードインストールを行うための準備がはじまります。しばし待つことになりますが、準備を終えると自動的にコンピューターが再起動しますので、ここで離席しても構いません |
図20 再起動後はイタズラがきの熱帯魚「ベタ」のイラストが表示され、Windows 8の起動が行われます。この間、何度か再起動しますが正常な動作ですのでご安心ください |
一連のインストール作業が完了し、Windows 8 Consumer Previewが起動すると個人設定を行われます。今回はアップグレードインストールのため一部割愛されますが、配色やWindows設定、アカウント認証などを画面の指示に従って進めてください。なお、ここで既存のアカウントではなくMicrosoftアカウントに切り替えることが可能です。これまで.NET PassportからWindows Live IDと名称変更してきたMicrosoftのシングルサインオンサービスですが、今回から名称が変更されました。Windows 8の主力アプリケーションストアとなるWindows Storeを使用する場合は、同アカウントの申請を行いましょう。これでWindows 8 Consumer Previewへのアップグレードインストールは終了です。お疲れさまでした(図21~25)。
図21 一連の設定を終えると個人設定をうながされます。最初は背景色の選択ですが、後で再設定できますので、ここでは<次へ>ボタンをクリックしてください |
図22 続いてWindows 8 Consumer Previewの設定をうながされます。内容が多岐にわたるため、ここでは<簡単設定を使う>ボタンをクリックしましょう |
図23 アップグレードインストールのため、既存のユーザーアカウントに設定されたパスワードの入力をうながされます。正しいパスワードを入力してから<次へ>ボタンをクリックしてください |
図24 最後にMicrosoftアカウントの設定をうながされます。既存のWindows Live IDをお持ちの場合は、そのまま入力して<次へ>ボタンをクリック。既存のユーザーアカウントを用いる場合は<スキップ>ボタンをクリックしてください |
図25 これでWindows 8 Consumer PreviewのMetroデスクトップにたどり着くことができました。新しい世界をお楽しみください |
Windows 8 Consumer Previewを新規インストールする
今度はISO形式ファイルやUSBメモリを用いた新規インストール手順を紹介しますが、従来のWindows OSと同じくアップグレードインストールと新規インストールの差異は多くありません。まずは前述の手順や「Windows 7 USB/DVD Download tool」で作成したDVD-R/USBメモリからコンピューターを起動しましょう。Windows 7と同じようにセットアッププログラムが起動し、インストールする言語やキーボードレイアウトの選択をうながされます。続く手順もWindows 7のインストール時と同じく、プロダクトキーの入力やライセンス条項の同意、インストールの種類と進みます(図26~29)。
図26 最初に言語やキーボードレイアウトの選択をうながされます。日本語で使用する場合はそのまま<次へ>ボタンをクリックしてください |
図27 次にアクションの選択をうながされますが、インストールしか用意されていませんので、「今すぐインストール」をクリックします |
図28 最初にプロダクトキーの入力を求められます。Webページやツールが生成したプロダクトキーを入力して<次へ>ボタンをクリックしてください |
図29 同じくWindows 8 Consumer Previewのライセンス条項が表示されます。内容を確認し同意できるようであれば<同意します>をクリックしてチェックを入れてから、<同意する>ボタンをクリックしてください |
今回は新規インストールとして手順を解説しますが、Windows VistaやWindows 7とデュアルブート環境を作成する場合も「カスタム設定」をお選びください。図31で表示される内容から既存OSが導入されていないドライブを選択し、インストールを続行することでデュアルブート環境を構築できます。後の手順はアップグレードインストール時と似通っているため割愛しますが、相違点となるのが個人設定(図30~31)。
図30 次にインストール方法の選択を求められます。今回は新規インストールのため「カスタム設定」をクリックします |
図31 Windows 8 Consumer Previewをインストールするドライブを選択して<次へ>ボタンをクリックします。なお、既存OSとのデュアルブートを行う場合は異なるドライブを選択してください |
新規インストールでは、Microsoftアカウントによるサインインを前提としています。前述のとおりWindows Live IDから名称変更したMicrosoftアカウントを用いてWindows Storeにアクセスし、アプリケーションの購入や課金状況の管理を行うための拡張が行われました(蛇足ですが「Microsoft Your Account」は既に用意されており、購入履歴なども確認できます)。そのため、Microsoftアカウントの使用を前提としているのでしょう。また、同アカウントのセキュリティレベルを強化するため、通常の電子メールアドレスやSMS(携帯電話のメールアドレス)を用いたパスワード復元機能も用意されています(図32~35)。
図32 これでWindows 8 Consumer Previewに必要なファイルの展開がはじまります。完了後は自動的にコンピューターが再起動しますので、離席しても構いません |
図33 アップグレードインストールと同じように個人設定がはじまりますが、最初にMicrosoftアカウントを用いたサインインを求められます。同アカウントを入力して<次へ>ボタンをクリックしてください |
図34 続いてMicrosoftアカウントのパスワード入力を求められます。正しいパスワードを入力してから<次へ>ボタンをクリックしてください |
図35 最後にMicrosoftアカウントのセキュリティ確認情報の入力を求められます。必要な情報を入力して<次へ>ボタンをクリックしてください |
これでWindows 8 Consumer Previewのインストール手順に関する紹介は完了しました。次回はUI(ユーザーインターフェイス)が変化したMetroスタイルデスクトップや従来のデスクトップの操作方法などを紹介する予定です。Windows 8 Consumer Previewをインストールされた方は是非ご覧ください。