カテゴリ: 環境

北海道の井坂です。
今年5月G7広島サミットが広島で開催されます。
日本が議長国となるのは、伊勢志摩サミット以来、7年ぶりのことです。

G7サミットでは
広島での首脳会議(5/19~21)のほか、
東京では司法大臣会合(7/7)、
宮城県仙台市で科学技術大臣会合(5/12~14)などがひらかれ、
各分野の重要課題について議論されます。

私の住む北海道でも
気候・エネルギー・環境大臣会合が4月15~16日札幌で開催されます。

その北海道は
「ゼロカーボン北海道」を掲げ、
2050年までに温室効果ガス実質排出量ゼロを目指しています。
ZEROCARBON_LOGO_01
提供)北海道庁


ゼロカーボンとは?
人間活動によって排出される温室効果ガスの排出量と
森林等による吸収量を均衡させて
実質ゼロとなること。
ゼロカーボン説明イラスト
出典)北海道ホームページ


都道府県別のCO2排出量を見てみましょう。
上位10地点をグラフにしてみました。
2019年度都道府県別CO2排出量
環境省「部門別CO2排出量の現況推計 2019年度 都道府県別データ」を元に筆者作成

全国的にみても北海道は上位に入ります。

家庭ではどうでしょう。
家庭部門のCO2排出量、上位5地点です。
2019年度家庭部門CO2排出量
環境省「部門別CO2排出量の現況推計 2019年度 家庭部門データ」を元に筆者作成
東京に次いで全国2位です。

なぜ北海道はCO2排出量が多いのでしょうか。
〇広いため、車移動の距離が長い!
〇冬は暖房が必要不可欠!
この2つが要因と言われています。


しかし、北海道はゼロカーボンのポテンシャル
(=再生可能エネルギーを創り出すポテンシャル)が高いんです!
風力発電写真
筆者撮影
・風力発電
・太陽光発電
・中小水力発電 ともに導入ポテンシャルは全国1位!

酪農が盛んな北海道は
家畜の糞尿から電気を作る
バイオマス産業都市の数が全国1位でもあります。

私たちもゼロカーボンにチャレンジしてみましょう。
ゼロカーボンにチャレンジ@イラスト
出典)北海道ホームページ
身近なものから始められそうですね。

この中から私が気になったものを一つ。
【食】地元の食品や旬の食材をたべよう
地産地消です。

実は、
近年北海道でふぐの漁獲量が増えているのをご存じですか?

北海道でふぐ!?

そう、ふぐです!
2012年~2021年までの漁獲量をみてみると…
ふぐ類漁獲量
農林水産省「海面漁業生産統計調査より」筆者作成

北海道はマフグがとれているようですが、
この10年ほどで漁獲量が大幅に増えています。

都道府県別でみると
全国シェアの30%を北海道がしめています。

なぜ北海道でふぐが取れるようになったのか?
そのお味は?
詳しくは別の機会にお話ししましょう。

お住まいの地域の地産地消について調べると、
新たな発見があるかもしれませんね。

こんにちは、名古屋の太田です。

10月24日は国連の日。1945年のこの日、国際連合憲章が発効され、国際連合が正式に発足しました。この日を中心とした10月21日~27日は「国連週間」にもなっています。

国連は気候変動問題にも取り組み、気候危機に立ち向かうために、私たち一人一人ができる10の行動をホームページ上でも呼び掛けています。

その10の行動とは、

・家庭で節電する
・徒歩や自転車で移動する、または公共交通機関を利用する
・野菜をもっと多く食べる
・長距離の移動手段を考える
・廃棄食品を減らす
・リデュース、リユース、リペア、リサイクル
・家庭のエネルギー源をかえる
・電気自動車にのりかえる
・環境に配慮した製品を選ぶ
・声を上げる

というもので、日々の生活のなかに取り入れられるものばかりです。

世界ではなんと年間2300万人以上もの人が気候変動により避難を強いられています。

2050年には12億人になると言われており、このままでは将来、私たちも気候変動による難民となる可能性もあるのです。

世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑えるためには、世界のCO2排出量を2030年までにほぼ半分に、2050年ごろに実質ゼロにする必要があり、まったなしの状況です。

日本は気候変動による被害や損失のリスクが世界トップクラスとも言われています。
2100年には40℃を超える地点が全国で増え、外出も難しくなるかもしれません。

そんな気候変動と難民問題を一人でも多くの方に知ってもらうための取り組みが行われています。それがRE:VISION ART PROJECT、未来を描き換えるアートプロジェクトです。気候変動による難民支援のため、渋谷にアートウォールを作ります。

国連UNHCRに対する寄付者が増えれば増えるほど、私たちがいま、ともに行動を起こすことで実現できるかもしれない「理想的な未来」の姿を描いた作品が、徐々に浮かび上がるというしくみです。

こちらの作品に、私も気象監修として携わらせていただいています。アートウォールの公開は12月上旬からの予定です。

日本で暮らしていると便利で安全な生活を当たり前に思うかもしれません。
まずは関心を持ち、できることから始めてみませんか。

こんにちは、高橋です。

きょう7月18日は「海の日」です。
三連休最終日という方もいらっしゃると思います。

海の日は「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う国民の祝日」とされています。

ルーツや目的はそれぞれ違いますが、他の国にも海の日なるものがあるようです。

漁業や外国との貿易など、海は暮らしに密接に関わっています。
海の水が蒸発して雲になり、やがて雨や雪となって地上に降り、飲み水など生活用水の源になります。

地球のどこにいても、海と共に生きているといえそうです。
でも地球では今、大きな変化が起きている海があります。


それは「北極海」です。


■北極海の変化
北極域研究加速プロジェクト(ArCS II)によると、
地球温暖化の影響を受けて、北極の海氷流域面積は確実に減少傾向にある、とのこと。

北極海を覆う海氷の面積は一年の間に変化し、毎年2月下旬から3月上旬ごろに最大、9月中旬ごろに最小になります。(図1)
画像1 海氷域面積の変化
 
▲図1 出典:Arctic Data archive System

この年最小値の減少傾向が顕著です。(図2の赤色)

画像2 海氷域面積の年最大値・年最小値の経年変化
 
▲図2 出典:気象庁

海氷に覆われた北極海は長い間、通航できない場所でした。
しかし海氷の減少に伴い、2000年頃から夏期(6月後半~11月後半)は通航可能に。
これが「北極海航路」です。

■北極海航路の出現
国土交通省によると、この「北極海航路」は従来の「南回り航路」と比較して、
・極東~ヨーロッパ間の距離が短い(航行距離を約6割に短縮)
・海賊がおらず安全
・CO 2の排出量も削減
などのメリットがあるようです。
画像3 北極海航路

 
▲出典 国土交通省

ですが、船の管理費用が高額だったり、
安全に航行するための環境整備が不十分であるなどまだ課題もあります。

そのためまだ限定的な利用にとどまっていますが、
海上輸送の新しい選択肢として関心が高まっています。

各国が狙う北極海航路と資源
北極海航路の通航には隣接するロシアの航行許可が要るようです。
一つの国が通航をコントロールして影響力を持ちうる状況なのでしょうか。

また北極海周辺には莫大な量の石油や天然ガスが発見されていて、日本や中国、アメリカなど多くの国が北極海開発に参加しています。

北極海航路や周辺の開発は、世界情勢に大きな影響を与えそうですね。
各国さまざまな思惑があるのだと思いますが・・平和の海であってほしいです。

日本の「海の日」は少し特別?
ところで、冒頭で世界各国に海の日があるとお伝えしました。
国土交通省によると、国民の祝日にまでなっているのは日本だけだそうです。

日本を囲む海は「スポンジ」に例えられることがあります。
海という天然の要塞により、軍隊の侵攻など直接的な圧力にさらされることが少なかったという歴史があります。また海を挟んだ大陸の文明や文化をゆっくりと吸収し、日本独自の文化を花開かせてきました。漢字から作り出したかな文字もそのひとつです。

四方を海に囲まれ、海と共に文化や歴史を紡いできた日本ならではの祝日といえそうですね。
それでは皆さま、良い海の日を。
 
画像4
▲2021年夏 高橋撮影(秋田県秋田市)

<参考>
・「極東アジアの地政学」
・「教養として知っておきたい地政学」

こんにちは。
山口県の山崎です。

みなさん、春を感じる瞬間はどんな時でしょうか?

日が長いと感じた時、
小鳥のさえずりを聞いた時、
ダッフルコートからトレンチコートに変えた時、
桜が咲いた時
・・・
人によって感じ方は様々でしょう。


私が現在居住し、天気予報を担当している山口県では、秋吉台の「山焼き」春を告げる風物詩になっています。

 5月
    秋吉台   2020年5月撮影

秋吉台は山口県美祢市にある国内最大級のカルスト台地です。

山焼きは、昔は伸びた雑草を燃やすため、現在は学術的な価値の高い自然を次世代に引き継ぐために、毎年2月下旬に約1138ヘクタールに火を入れています。

目の前で担当者が火をつけ、炎が山一面に広がる光景は迫力満点。
黄金色の大地を炎が駆け上がる風景に山口県民の多くは“春”を感じます。

燃えている①

燃えている②
 

 
そして下の2枚は山焼き当日、ほぼ同じ方向の山焼き前後の写真です。
黄金色の台地漆黒へと様変わりし、新たな生命の息吹を感じます。
これから本格的な春に向けて、新緑の新芽が生長します。

 山焼き前
     山焼き前  午前10時ころ

 山焼き後
     山焼き後  午後4時ころ



さて、この秋吉台の山焼き。
もう一つ、魅惑の点が。こちらをご覧ください。

推計気象2022 
  (推計気象分布 2022年2月26日 正午)

これは山焼きが行われていた時間の推計気象分布です。
この日はよく晴れていたにも関わらす、秋吉台周辺で雨判定をしている領域があります。

推計気象分布は気象衛星による雲の観測データから天気を判別します。
山焼きの煙を気象衛星がとらえ、これを雨雲の誤認したものでしょう。

実は2年前の山焼きでも同様の事案が発生しています。
 推計気象2020
   (推計気象分布 2020年2月23日 正午)

推計気象をも惑わす山焼きですが、“春を告げる”ことは嘘ではありません。

 天気と最高気温
   (この先の各地の天気・予想最高気温) 


関東から西は連日15度近く、北陸も雪ではなく雨の日もありそうです。
土日は一時的な寒の戻りもありますが、そのご各地で本格的な春がやってくるでしょう。

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写真はすべて筆者撮影

こんにちは、名古屋の太田です。


この一週間ほどでぐっと季節が進みましたが、

先日、もっと寒~い南極への旅を疑似体験できるある場所に行ってきました。 

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それがこちら、名古屋港ガーデンふ頭にある「南極観測船ふじ」です。

全長100m、オレンジ色の船体はとても存在感があります。


南極観測船ふじは、南極観測を支援するために建造された日本初の本格的砕氷船で、

1965年から18年間活躍し、南極観測隊と食料や燃料、建築資材や観測機器など、

南極観測に必要な物資の輸送を行いました。


当時の食堂や…

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(机やいすは床に固定され、机の縁には食器が床に落ちないようストッパーがつけられています)

士官寝室や…

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理髪室…

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なんと医務室まで!乗船者約240人の健康を預かっていました。

盲腸の手術などもしていたそうです。

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臨場感がありすぎて、たまにいるマネキンに驚くこともしばしば。


南極観測なんて憧れる!という気持ちもありますが、その旅はとても過酷だったようです。


というのも、およそ5か月かけて東京から約1万4千キロ離れた南極の昭和基地に辿り着くためには、熱帯の赤道や荒れ狂う暴風圏を通過しなければなりません。

南極大陸を取り囲んでいる海域はほとんど一年中強風が吹き、

「咆える40度、狂える50度、叫ぶ60度」と呼ばれるほどの大波が立っているそうです。

この南緯60度を超えると氷海となります。


暴風圏を通過したのち南極へたどり着くためには、

とにかく氷を砕いて進むことが何よりも重要です。


私は船の先端に大きなプロペラでもついていて、砕きながら進むのかと思いましたが、

砕氷の方法はなんと…


船ごと体当たり!!


氷の厚さが約80センチ程度であれば、

船を前後左右に揺らしながら氷を割る“トリミング”という方法がとられます。


ところが南極周辺の氷はもっと分厚い。

氷が厚くて割れないときは、200mくらい後退した後に最大馬力で前進し、

氷に体当たりしながら氷に乗り上げ、
船の重みで氷を砕く「チャージング」航法で進みます

(現在はラミング航法と呼ばれています)。

最も多かった第13次隊では、6,737回も行ったそうです…!


暴風圏を通過するだけでも過酷なのに、

体当たりによる衝撃もものすごいものだっただろうなぁと想像できます。


南極の観測は当初は南極そのものを調べることが目的でしたが、

長年の研究の積み重ねにより、地球規模での大気中の二酸化炭素の増加傾向や、

南極海の海水温度の上昇などが解明され、人類の存続に関わる大切な役割を担い続けています。


現在の南極観測船は「しらせ(二代目)」で、今月10日に第63次隊が出発したばかり。

あまり大きく報道されることはありませんが、これからも南極観測船の活躍を見守りたいと思います。


運営会社:ウェザーマップ

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