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こんにちは。香川県の鈴木悠です。
きょう26日(月)は、広く高気圧に覆われてよく晴れている所が多くなっています。
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図①:26日(月)午前9時の雲の様子と気圧配置(提供:ウェザーマップ)

先日、この高気圧について素朴な質問をもらいました。

■質問「どうして高気圧のマークは青いの?」
普段、天気予報で何気なく見ている高気圧や低気圧のマークですが、質問者曰く、
高気圧は晴れをもたらすことが多いから太陽をイメージした赤低気圧は雨をもたらすことが多いので雨をイメージした青でもいいのでは?
とのこと。
言われてみればそうかもしれません。

気象予報士として働くうえで、マークの色など気にしたことがなかったのですが、この機会にその理由を調査しました。

なぜ高気圧は青、低気圧が赤なのか?
それは、ずばり…

■回答「分からない」
「え…?」
と思われるかもしれません。
適当に答えているわけではないんです!
私なりに、あらゆる手を尽くしました。
天気に関する本を読み漁り、地元気象台、気象庁本部、気象庁OB、全国の気象予報士の先輩・後輩など多くの方にご協力をいただき、聞き取り調査をしました。
その結果、「分からないということが分かった」のです。

■現段階で分かっていること
明確な理由は分かりませんでしたが、調査をして分かったことをお伝えします。
気象庁天気相談所によりますと、昭和56年に気象庁内部向けに発行された天気図記入指針というものに、
天気図などで色を付ける場合は、高気圧は青低気圧は赤にする
という記載があるそうです。
ただ、なぜ高気圧は青、低気圧を赤にするのか、その理由は示されておらず正確な理由については分からないということでした。

■推測される色に込められた意味
正確な理由は分からないとお伝えしましたが、推測される説の中で有力とされるものがあります。
それは、「高気圧は晴れて青空だから青で、低気圧は災害をもたらす場合があるため警戒を促す赤」だという説です。
デザインの観点から見ても、実は海外でも赤は警戒を促す色で、多くの国の天気図でも日本と同じ色合いなことが多いようです。
信号機も止まらないと危険なことを示すのは「」ですよね。
正確には分かりませんでしたが、このような意味合いも込められているのかもしれません。
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図②:高気圧に覆われて広がる青空と赤信号のイメージ(どちらも香川県高松市内で筆者撮影)

今週は天気が周期的に変化しそうです。
あす27日(火)は引き続き高気圧に覆われて青空の所が多くなりそうですが、28日(水)から29日(木)は前線や低気圧の影響で、雨の降る所が多いでしょう。
特に29日(木)は低気圧や前線の発達程度によって、東海地方を中心に大雨になるおそれがあります。
今週はこまめに予報を確認して、もしものときは早めに「危険」に気が付くようにしてください。
週間予報
図③:26日(月)午前11時気象庁発表の週間予報(提供:ウェザーマップ)

こんにちは。香川県の鈴木悠です。

3月11日を過ぎ、東日本大震災から10年が経ちました。
また、きょう3月15日未明には和歌山県で最大震度5弱の地震が発生しました。
地震は台風や大雨などと異なり、いつ・どこで・どれくらいの規模で発生するのか分かりません。
ですから、日ごろからの備えが大変重要です。

私は気象予報士であると同時に「防災士」でもあります。
先日、香川県高松市にある香川県防災センターに取材に行ってきました。

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写真①今回取材した香川県防災センター(筆者撮影)

こちらの施設では、実際の消火器を使用した消火体験コーナーや、暴風体験など身近な災害を疑似体験することにより、いざ災害が起きた時の心構えや備えを考えることができます。
その中でも、今回は「地震体験」をさせていただきました。

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写真②施設内にある地震体験コーナー(筆者撮影)
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写真③施設内にある地震体験コーナー(筆者撮影)

香川県防災センターでは、震度2から震度7までの地震を体験することができます。
私は東日本大震災の最大震度と同じ、震度7の揺れを体験させていただきました。

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写真④安全に考慮し、家具などはしっかりと固定をされているため、体験の際には机の下に身を隠す必要はないとのことです。今回は立ったまま机に捕まりながら地震を体験しました。

私は震度7の揺れを初めて体験しましたが、体験して感じたのは「揺れ始めたら自分の意志で体がまったく動かせない」ということでした。
部屋が縦にも横にも大きく揺れ、机にしっかりと捕まっていても、体をどこかに持っていかれそうになります。

私たち防災士は「揺れを感じたら身の安全の確保を!」とお伝えすることが多いです。
もちろんまずは身の安全を確保することが重要ですが、震度7ほどの大きな揺れの場合、私は「揺れ始めてからは体の自由が利かない」と体験をして実感しました。

ではどうしたらいいのか?

防災センターの方に話を伺うと「揺れ始める前、緊急地震速報が鳴ったらすぐに、身の安全を最優先に行動する」ことが求められるということです。

一般的に、緊急地震速報を発表してから強い揺れが到達するまでの時間は、数秒から長くても数十秒程度と極めて短いですが、その間に「物が落ちてこない・倒れてこない・移動してこない」空間に身を寄せましょう。
例えば、ご自宅なら頑丈な机の下に隠れたり、まくらや布団などで身を守ってください。
職場ならば、比較的物が少なくイスやコピー機などが移動してきにくいエレベーターホールなどに上着やカバンで身を守りながら移動するとよさそうです。
その後、揺れが落ち着いてから火の始末や出口を確保をしてください。

緊急地震速報が鳴ったら、思わず驚いて立ち尽くしてしまったり、どこで地震が発生するのかをすぐにスマートフォンなどで確認したくなってしまいます。
ただ強い揺れの場合は、その間に何もできないと大変危険な状態になってしまう可能性があると体験をして感じました。

私が住む香川県でも、南海トラフ地震によって最大震度7を観測する可能性があります。
災害への備えは、体験して初めて気が付くことが多いと改めて感じました。
もしお近くに災害を体験できる施設がある場合は、機会を見つけてご自身で体験をしてみてください。
きっと多くのことに気が付きます。防災士の私も、今回大変貴重な経験になりました。
そして「怖かった」で済ませるのではなく、「どう備えたらいいのか?」考えるきっかけにしていただければ幸いです。

こんにちは。

香川県の鈴木悠です。

1年前に「そばい」という香川県に伝わる雨の言葉についてブログでご紹介しました。

香川県西部では「すばい」と言うこともあるようです。

そばい・すばいとは、讃岐弁でにわか雨にわか雪のことを指しています。

日本付近が、きょうのような西高東低の冬型の気圧配置になるとき、日本海側では雨や雪が降りやすく、太平洋側では乾燥した晴れになることが多くなります。

9時の気圧配置と雲の様子
図1:令和2年11月30日午前9時の気圧配置と雲の様子(ウェザーマップ提供)

私が住む香川県は瀬戸内側になり、西高東低のときは瀬戸内海で再び雲が発達して、晴れ間があっても思わぬ弱い雨や雪が降ることがあります。

これを讃岐弁で「そばい」または「すばい」と言うそうです。

1年前はその語源までは行きつけなかったのですが、調査を進めると語源が分かってきました。

どうやら、にわか雨を表す意味の「そばえ」がなまった言葉なようです。

そばえ、そばえ、…そばいというように!

そばえという言葉は全国的に使われるようで、雨のことば辞典によると「日が照っているのに降る雨」で、漢字で書くと「日照雨」です。

そして「そばえ」の語源は「そばえる」で、漢字で書くと「戯える」です。

つまり、ふげることを意味していて、まさに日が照っていたのに空がふざけて雨を降らすというような様子を表しています。

これを昔の人はキツネに化かされたと思って、にわか雨のことを「キツネの嫁入り」と言ったりしているのかもしれませんね。

 

今週の日本付近は西高東低の気圧配置になる日が多くなりそうですから、一部の地域では「そばい」や「そばえ」の所があるかもしれません。


鈴木悠

【参考資料】
『さぬきのおもしろ四季ごよみ』香川県方言研究同好会(松林社)
『雨のことば辞典』倉嶋厚・原田稔(講談社)


こんにちは。
香川県の鈴木悠です。

香川県は、きのうから蒸し暑い!
高松では、きょう午前9時前から気温は25度以上の夏日になっています。
湿度もやや高いですから、屋外・屋内問わず熱中症に注意が必要です。

ことしは新型コロナウイルス感染拡大防止のために、例年と違ってマスクが手放せない特殊な夏になりそうです。

医療や福祉の専門家13人で作る「教えて!『かくれ脱水』委員会」によりますと、マスクをしていると…

① 体内に熱がこもりやすい
② のどの渇きを感じづらい

ということです。
図①
図①:マスクをつけて暑がる人の例

では、外出時にマスクを外していいのか?

厚生労働省が5月21日に発表した「新型コロナウイルス感染症対策の基本的方針」によると、緊急事態宣言が解除されたあとも、外出時・屋内にいるときに人と接するときは症状がなくてもマスクを着用するように呼びかけています。

マスクをしているときの熱中症対策とは?
上記の2点に対して「教えて!『かくれ脱水』委員会」によると…

① いつも以上に、涼しい所で体を休めるようにする
② いつも以上に、こまめに水分補給をする

ことが大切なようです。
図②
図②:日陰で休憩し、水分補給をする人の例

例えば、いつもは1時間に1回の水分補給だったら、ことしは30分に1回の水分補給にするなど工夫をしてください。

基本的には、例年通りの熱中症対策と大きくは変わらないようです。

(基本的な熱中症対策については冨永気象予報士の記事もどうぞ)


今週は全国的に蒸し暑い日が多い予想

きょうからしばらくは、西日本を中心に最高気温は25度以上の夏日になる日が多いでしょう。

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図③:この先の予想最高気温(℃)(令和2年5月25日午前11時 気象庁発表)

マスクをしていると自分が思っている以上に、熱中症のリスクが高まります。

ことしは例年以上に、熱中症対策を徹底してくださいね。

鈴木悠

【参考】
教えて!『かくれ脱水』委員会ホームページ

NHK特設サイト 新型コロナウイルス 感染予防と熱中症

厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針

こんにちは。
香川県の鈴木悠です。

香川県は標高の高い所から葉が色づき始め、今はイチョウが見ごろを迎えている所が多くなっています。

香川県でイチョウと言えば、四国八十ヶ所霊場の社寺が有名です。
例えば、さぬき市にある第88番札所・大窪寺のイチョウです。
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写真①:大窪寺のイチョウ(2019年11月8日、鈴木悠撮影)

大窪寺のイチョウは高さ約26m、幹の太さは約7m30㎝の大木です。
香川県の保存木にも指定されています。
この日は、黄色の葉が鮮やかでした。
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写真②:大窪寺のイチョウ(2019年11月8日、鈴木悠撮影)

徳島県との県境にある第66番札所・雲辺寺のイチョウはまだ緑色の葉が多く、見ごろは11月下旬ごろになりそうでした。
こちらのイチョウは(写真③・④)は「大師乳銀杏(たいしちちいちょう)」という名で昔から親しまれています。
昔、乳の出ないお母さんのために、弘法大師がイチョウの苗を植えて、乳が出るようにお祈りした所、このイチョウの幹を削って煎じて飲むと乳が出るようになったことから、そう呼ばれているそうです。
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写真③:雲辺寺の大師乳銀杏(2019年11月12日、鈴木悠撮影)

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写真④:雲辺寺の大師乳銀杏(2019年11月12日、鈴木悠撮影)

香川県もそうですが、皆さんの地域でもイチョウの大木はお寺や神社などに多いイメージがあるのではないでしょうか?

イチョウは木々の中でも特に保水力が強く、樹皮が強靭なため、強い防火能力を持つそうです。
また、大窪寺の方に話を伺うと、火災が発生した際にイチョウの木を切ると、そこから放水して火をかき消したという言い伝えがあるということ!
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図①:伺った言い伝えを筆者がイラスト化。

日本では、イチョウは防火樹とも呼ばれています。
そのため、人の多く集まる寺院などに古くから植えられていると言われています。

社寺ではありませんが、1923年の関東大震災の際に、一面が焼け野原になってしまった東京都心で、黒焦げになりながらも奇跡的にイチョウが1本生き残った「震災イチョウ」も有名ですね。

イチョウは、秋には私たちの目を楽しませてくれるだけではなく、一年中、私たちの生活を火から守ってくれているのかもしれませんね。

鈴木悠

■参考文献
『イチョウ』今野敏雄(法政大学出版局)p39.

運営会社:ウェザーマップ

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