放射線の一種を照射して突然変異を誘発し、春と秋に咲くサクラの新品種を、理化学研究所などがつくった。室内では一年中咲かせることが可能という。

 研究チームは、山形県などで栽培され切り花として出荷されている「敬翁桜(けいおうざくら)」の枝10本に06年、加速した炭素イオンを照射し、接ぎ木により育てた。このうちの1本の系統は、温室で栽培すると季節を問わず一年中、花をつけた。野外では、春と秋の二つの季節に咲いた。ピンクの一重の花をつける新品種は「仁科乙女」と名付けられた。

 通常、日本のサクラは夏に花芽ができ、晩秋に休眠に入り、冬の寒さで目覚めて春に開花する。新品種は低温にさらされなくても、いつでも咲くという。また、冬の間低温にさらすと、4月の開花ではもとの品種の3倍も花をつけ、花持ちも長くなった。

 理研の阿部知子チームリーダーは「遺伝子の変異で、開花に寒さを必要としなくなったとみられる。この方法は傷つく遺伝子が少なく、育種年限を短くでき新品種開発にも有効だ」と話している。

 仁科乙女は3月から、一般向けに1株8000円程度で販売予定という。【下桐実雅子】

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