埼玉県警が、警察官OBに振り込め詐欺の被害者を装わせ、金融機関従業員の「阻止能力」をチェックする異例の取り組みに乗り出す。

 被害振り込みの7割超が有人施設で行われており、被害防止へ「最後の砦(とりで)」の引き締めを狙う。トラブルとならないよう支店長らに承諾を得るが、行員らには抜き打ちで行う。今月下旬にスタートさせる。

 全39署がOB団体を通じて、ボランティアの「覆面被害者」を数人ずつ委嘱。被害の多い支店などに派遣し、携帯電話で話しながら現金自動預け払い機(ATM)をあたふたと操作したり、「詐欺なんかではない! 息子に何かあったらどうする!」と声を上げたりといった言動を演技する。

 主なチェックポイントは〈1〉被害者に声をかけるか〈2〉声かけの内容や対処は適切か〈3〉警察に相談・連絡するか――の3点。対応が不十分であれば、署を通じて金融機関側に連絡し、従業員への指導を改めて依頼する。

 県警によると、県内での振り込め被害は昨年、計7億8470万円にのぼり、全国有数。現金送付方法の73%にあたる1042回は、窓口や近くに従業員らがいる有人ATMでの振り込みだった。中には、同じ店のATMを使って3日間で30回以上現金を振り込んだ被害者もいて、「店舗で適切に対処していれば、防げたと思われる事例が目立つ」(県警幹部)という。

 県警は「現実の被害がなくても再指導の機会となる。県民の財産を守ることにつながれば」としている。

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