2013年03月19日

背景:
生物は構造や機能は遺伝子によって形作られている。そのため、ある生物自体が存在しなくとも、その遺伝情報さえあれば理論的には生物を造りだすことができる。現在、かつて絶滅した生物を現代に生き返らせようという研究が各所で行われている。

要約:
この度、オーストラリアはニューサウスウェールズ大学のMike Archer博士らによって、かつてオーストラリアに生息したが20世紀の終わりに絶滅した、ガストリックブルーディングフロッグ (Gastric-brooding frog(胃で育てる蛙)、学名:Rheobatrachus silus)の胚が他の蛙の卵を利用して再現された。

ガストリックブルーディングフロッグは自らの卵を飲み込み、胃の中で育て、口から出産するという特徴で知られていたが、1983年に絶滅してしまった。しかしArcher博士率いるラザラスプロジェクトの研究チームによって、1970年代に採取・保存されていた組織から細胞核が再生された。そしてこの度、この絶滅生物に再び生命が与えられた。

彼らは体細胞核移植と呼ばれる技術によって、5年間以上もの実験の末成功を収めた。この実験で彼らは、遠縁の蛙であるグレートバードフロッグ(Great Barred Frog(大きな縞のある蛙)、学名:Mixophyes fasciolatus)から卵を得、その細胞核をガストリックブルーディングフロッグのそれと取り替えた。すると、それらの卵のいくつかは細胞分裂を開始し初期の胚まで育つことができた。

これらの胚は数日以上生きながらえることはできなかったが、そこには絶滅したガストリックブルーディングフロッグの遺伝情報が明確に含まれてい た。Archer博士によると、このプロジェクトは一歩一歩着実に前進しているという。今回の研究では、死んだ細胞をゲノムを使って生きた細胞へと再生させられることが示され、今後は冷凍保存されているガストリックブルーディングフロッグの細胞を利用することになるだろうという。

そしてこれからの研究では、生物学的ではなく技術的な問題による壁しか存在しないため、それらを超える大きな自信があるという。また今回の成果で、生物の保全に対するとても大きな技術的希望が示され、現在起こっている両生類の大絶滅にも対抗できるようになる可能性がある。

Archer博士が公にラザラスプロジェクトについて言及したのは、これが始めてであった。同時に彼らは、タスマニアタイガーなどの絶滅種の再現 へも動いていくようだ。現在、当地には世界中の研究者が集まり、マンモス、ドードー、ミイロコンゴウインコ、ジャイアントモアなどといった絶滅種の再現へ向けての議論を進めている。

Rheobatrachus silus

元記事:
Scientists Produce Cloned Embryos of Extinct Frog
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/03/130315151044.htm

参照:
The above story is reprinted from materials provided by University of New South Wales.
http://www.unsw.edu.au/

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