2013年08月03日

背景:
現代人は先祖をたどるとアフリカに住んでいた1組の男女か、ごく少数の集団から進化し広がったと考えられている。そのため、母親からのみ受け継ぐ ミトコンドリアを持った人類の共通祖先をミトコンドリアイブ、父親からのみ受け継ぐY染色体を持った人類の共通祖先をY染色体アダムと呼ぶ。

要約:
現在地球上には70億人以上の人々が住んでいるが、元々はたった1つの場所で発生し、何万年もの時間をかけて広がっていった。ミトコンドリア DNAやY 染色体の解析によって、人類の共通祖先について研究が行われているが、いつ現れ、どのようにして現在のような大きな多様性を獲得していったのかは分かって いない。

性染色体は解析が難しく、これまでの技術では染色体全体の配列を正確に捉えることは難しかった。しかしこの度、スタンフォード大学、ミシガン大学 医学校、ニューヨーク大学ストーニーブルック校の共同研究チームが、世界中の様々な地域から得られたY染色体全体を最新の技術で解析したところ、Y染色体 アダムは120000~156000年前に現れていたことが分かった。

これまでの研究では、Y染色体アダムはミトコンドリアイブと年代が一致しないことが多かった。しかし今回の結果は、ミトコンドリアDNAを対象とした女性の共通祖先の研究結果である99000~148000年前とほぼ一致するため、より合理的な結果となった。

この研究では、ヒトゲノム多様性計画(Human Genome Diversity Project)などから、サブサハラアフリカ、シベリア、カンボジア、パキスタン、アルジェリア、メキシコ出身の69人の男性のデータが得られ、その進化や多様化の軌跡が解析された。

このような研究を続けることでゲノムの変化の時間をさかのぼり、ヒトの発生から進化・多様化、世界中への広がりを研究することが可能となる。研究チームは、今回の研究結果がヒトの歴史を解明する一助になることを期待しているという。

補足:
以前「Y染色体の起源を探る」という記事を載せました。ここでは、Y染色体アダムはミトコンドリアイブに比べて大きくさかのぼり、解析を続ければ更にさかのぼる可能性があるという結果となっています。

telomere

元記事:
The When and Where of the Y: Research On Y Chromosomes Uncovers New Clues About Human Ancestry
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/08/130801142148.htm

参照:
G. D. Poznik, B. M. Henn, M.-C. Yee, E. Sliwerska, G. M. Euskirchen, A. A. Lin, M. Snyder, L. Quintana-Murci, J. M. Kidd, P. A. Underhill, C. D. Bustamante. Sequencing Y Chromosomes Resolves Discrepancy in Time to Common Ancestor of Males Versus Females. Science, 2013; 341 (6145): 562 DOI: 10.1126/science.1237619

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