2013年08月31日

背景:
老化は生物にとっては避けれらない現象ではあるが、より長く健康に生きるために、様々なアンチエイジング法が実践されている。しかし老化の仕組みについては分かっていないことが多く、様々な研究が行われている。

要約:
この度、アメリカ国立衛生研究所(NIH)は国立心肺血液研究所(NHLBI)のToren Finkel博士らによって、代謝やエネルギーのバランスに関わるmTORと呼ばれる遺伝子を不能にしたマウスは、通常よりも約20%長生きすることが分かった。これは人間に相当すると16年長く生きることになる。

彼らは、mTORタンパク質を生存に最低限必要な約25%しか生成できないマウスを作成し研究を行った。するとこのマウスは、通常のマウスに比べて小さくなったが、他の身体的特徴は同一であった。

そしてmTORマウスのオスは平均して28.0ヶ月メスは31.5ヶ月生き、通常のマウスの平均であるオス22.9ヶ月とメス26.5ヶ月に比べ て、約20%長生きした。この結果は、これまで行われたマウスの寿命を伸ばす研究の中で、最も大きく寿命を伸ばすものの1つとなった。

しかし実際には老化の速度低下は各組織で一定ではなく、mTOR不能によってメリットを受ける組織もあればデメリットを受ける組織もあった。例えば、mTORマウスは迷路やバランス感覚のテストではよい成績を残したが、齢をとるごとに骨容積が大きく減少し、感染症にもかかりやすくなった。

これらの実験結果から、mTORマウスは記憶力や筋力を高く維持することができるが、免疫力などについては老化を早めてしまうことが分かる。またこの事実によって、老化は身体組織全体で一定ではなく、個別の寿命を持っていることが示されることとなった。

この研究は、加齢によって引き起こされるアルツハイマー病のような疾患に対して、特定の組織や器官を対象とした治療法開発へと役立てられていくだろう。

gene mutation

元記事:
Single Gene Change Increases Mouse Lifespan by 20 Percent
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/08/130829124011.htm

参照:
J. Julie Wu, Jie Liu, Edmund B. Chen, Jennifer J. Wang, Liu Cao, Nisha Narayan, Marie M. Fergusson, Ilsa I. Rovira, Michele Allen, Danielle A. Springer, Cory U. Lago, Shuling Zhang, Wendy DuBois, Theresa Ward, Rafael deCabo, Oksana Gavrilova, Beverly Mock, Toren Finkel. Increased Mammalian Lifespan and a Segmental and Tissue-Specific Slowing of Aging after Genetic Reduction of mTOR Expression. Cell Reports, 2013; DOI: 10.1016/j.celrep.2013.07.030


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