2013年09月06日

背景:
生物は進化を繰り返すことで環境に適応していく。環境には通常ある程度決まった役割の生物が存在するため、その地位へと入り込むために、異なる種が異なる環境で似通った進化をすることがある。収斂進化と呼ばれるそれは、身体的な特徴のみが似ているのだろうか。

要約:
生物はお互い何の関係もないものが似た特徴を持つように進化することがあり、収斂進化とよばれる。この度、ロンドン大学クイーン・メアリーのJoe Parker博士率いる研究チームによって、イルカとコウモリの収斂進化の結果であるエコロケーションは、その外見的特徴だけでなく遺伝的にも同様の進化をたどったことが分かった。

エコロケーションは複雑な身体的特徴の1つであり、周囲の環境や餌を探るために、超音波を発し、受信し、聴覚処理を行わなくてはならない。このような特徴は、コウモリとイルカを含むクジラ目で別々に進化していき、収斂進化の最も著名な例として知られている。

そこでParker博士らは、コウモリとイルカのエコロケーションが同じ遺伝的進化の結果なのかどうかを解析した。彼らが22種の哺乳類のゲノムについて解析を行ったところ、聴覚に関係する遺伝子群でコウモリとイルカには約200部位の同じ特徴が見られることが分かった。これらの解析は、クイー ン・メアリーのスーパーコンピューターGridPPによって行われた。

Parker博士によると、彼らは研究前にはこのような遺伝的な収斂進化は、10かそこらはあるだろうと予測していたが、実際には200もの同一の変化が見られ驚くべき結果であったという。自然選択によって遺伝子配列も決まっていくことは分かっているが、無関係な動物内でこれほど似通った遺伝的特徴を持つというのは、衝撃的であろうという。

研究チームの一員であるGeorgia Tsagkogeorga博士やStephen Rossiter博士によると、エコロケーション以外にもゲノム内には、収斂進化と見られる変化は見られたという。そのため、今回の発見は氷山の一角である可能性もあり、将来的にもっと多くの動物のゲノムが解読されるにしたがって、同じ遺伝的変化による収斂進化を見つけられるようになるのではないかという。

evolution

元記事:
Genetic Similarities Between Bats and Dolphins Discovered
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/09/130904132548.htm

参照:
Joe Parker, Georgia Tsagkogeorga, James A. Cotton, Yuan Liu, Paolo Provero, Elia Stupka, Stephen J. Rossiter. Genome-wide signatures of convergent evolution in echolocating mammals. Nature, 2013; DOI: 10.1038/nature12511

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