2013年10月26日

背景:
植物は自身が動くことはできず行動は制限されているが、動物に比べてとても長い寿命を持つ。時には何千年もの間生きる植物は、どのように生命を維持しているのだろうか。

要約:
幹細胞は新たな細胞の生成に必要不可欠であり植物の成長にも利用されているが、その詳細なメカニズムには多くの謎が残されている。この度、ベルギーはフランドルバイオテクノロジー研究所(VIB)とゲント大学の研究チームによって、植物の幹細胞の複雑な調節機能の一端が解明された。

植物の生長点には、とても早く分裂する分化した細胞が集まっているが、その元となる母細胞は幹細胞としての性質を残したまま維持される。これらの幹細胞は、その維持を担う静止中心を取り囲むように位置している。静止中心は、周囲の幹細胞に比べて3~10分の1の速度で分裂し、必要なときには幹細胞の代わりとなって機能する。

ここ20年間の間、世界中の研究者がゆったりとした静止中心細胞とせわしない幹細胞が、どのようにお互い維持し共存し合っているのかを研究していたが、その答えにたどり着けた研究者はいなかった。しかしLieven De Veylder博士率いる研究チームによって、その分子ネットワークの1つが特定された。

この研究において、最も大きな成果はERF115転写因子と呼ばれる新たなタンパク質の発見であった。静止中心細胞はERF115が機能していないためにほとんど分裂することがなく、周囲の幹細胞が傷つき代わりが必要な時にだけERF115が活性化するようだ。

活性化したERF115は植物ホルモンの一種であるファイトスルフォカインを生成し、細胞分裂が促進されるようになる。このような分子ネットワークによって、傷ついた幹細胞の代わりに新たな細胞が作られ、植物の安定的な成長が維持されているようだ。

De Veylder博士によると、この研究結果は、植物の根にはDNAへのダメージに強い細胞が存在することを示唆しているという。これらの細胞は、元のDNAと完璧にコピーされたDNAを持ち、幹細胞の代わりとなる場合に利用されるのだろう。

動物も似た機能によって細胞の質を維持しているが、植物はより最適化された機能を持っているようだ。これによって、ほとんどの動物が百年も生きられないのに対して、多くの植物が何百年もの寿命を持っていることを説明できるという。

tropical rainforest

元記事:
Why Plants Usually Live Longer Then Animals
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/10/131024143321.htm

参照:
Jefri Heyman, Toon Cools, Filip Vandenbussche, Ken S. Heyndrickx, Jelle Van Leene, Ilse Vercauteren, Sandy Vanderauwera, Klaas Vandepoele, Geert De Jaeger, Dominique Van Der Straeten, and Lieven De Veylder. ERF115 Controls Root Quiescent Center Cell Division and Stem Cell Replenishment. Science, 24 October 2013 DOI: 10.1126/science.1240667

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