《現地調査・後編》
男性によれば、この水族館の向こう側には、『海女さんショー』をやっていた施設跡があると言うのです。
(ﾟДﾟ≡ﾟдﾟ)ｴｯ!?
ちょっと待って、それって“ガセねた”じゃないよね！！
そんな嬉しいネタはネットでいくら検索しても出てこないし、もう、どうリアクションをしていいのか分からない２人。
もう、この男性について行くしかありません。
そこは、水族館跡から５０ｍほど内陸方面に移動したトコロ。
一見するとごく普通の倉庫（正面の写真を撮り忘れていたようなので、別の角度からの写真でご勘弁を。それと写真は内陸側から、海の方を見ているので、ご注意あれ）。
男性は、鍵を開けて中に入れてくれましたが、中は発泡スチロールの山でした。
広さは２〜３坪ぐらいかな？
男性は奥に進みながら話を始めました。
「この正面が水槽。ここ一面大きなガラス張りになっていて、中は海底を模してあったんだ。そこに海女さんが潜って、予め仕込んであった魚介類を採る様をショーにして見せてたんだって。この発泡スチロールのあるところに長椅子を置いて、お客さんが見ていたんだろうな」。
確かに、両脇にコンクリート製の仕切りの跡の様なものがあって、白くペンキが塗られています。
要はガラス張りの小さな舞台と客席を想像していただければいいと思います。
その奥も、大黒山の岩肌を使って海底洞窟の様に、そこそこの奥行きが取られているようですが、たくさんの発泡スチロールがあるため見通しが悪いんです。
施設が閉鎖になったあと、ココは暫く放置されていたので雰囲気は残ったままだったらしいのですが、一時期、喫茶ハウスになったとかで、それまでの水族館のような塗装とか設備は、その際に一新されたとの由。
ですから、さっきのコンクリートに何やら描かれている意味不明の文字も、その時に描き入れられたようです。もし、当時のままだったら、雰囲気満点だったんでしょうね。
というより、その海女さんショーを見てみたかったなぁ〜（笑。
男性によれば、海女さんが採った獲物は、あとでお客さん向けに販売していて、結構な売れ行きだったとか！？
なお、水族館とは直接関係ありませんが、この男性と出会った海寄りの海岸には、戦中、特攻兵器を格納した格納庫（天然か人工の洞窟？）もあったとかで、戦後放棄された武器弾薬のなかに、火薬も残されていたらしく、「花火の代わりに遊んだもんだ」と懐かしんでおりました。
さらに、この海女さんのプールの奥が、この大黒山の何処かに穿たれた防空壕と通じているらしいのです。
さすがに、この話は眉唾的なお話でしたが…（笑。
ちなみに中央のガラス戸（かつては大きな一枚ガラスが入っていたと思われる）を開けてみますと、こんな感じでした。
やはり発泡スチロールの山で、その奥は天然の岩盤のようにも見えるし、モルタルかセメントで埋め戻してあるようにも見えますが、この点は確認し忘れました…。
そして、この建物も新旧の木材が使われていたのですが、やはり前述の理由から新築が出来ないので、元の柱を使いつつ、補強するなどして延命しているということでした。
そんなワケで、ホント偶然の出会いにせよ、男性から予期せぬ話と貴重な遺構を見せていただき感謝感謝。
一段落したところで、「あの〜、冷たい飲み物でもいかがですか？」と申し出たら、「イイよ、イイよ、気を使わなくって」と、足早にさっきの一輪車のトコロまで戻っていきました。
と言うワケで、前回掲出した現地の見取り図に、海女さんショー会場跡の位置を書き込んだものを、ここに掲出しておきます。
と…、この文章をまとめていて、ふと思ったんですが、このいろいろ案内してくれた男性って、もしかしてかつて勝山遊園地で働いていたか、もしくは関係者が肉親とか知人にいたのかも知れないってコト。
そうでなければ、余りにも詳しすぎますよね…。
もし、次回お会いすることができたら、その辺も確認してみたいなぁ…（笑。
そんなワケで思いもよらぬ収穫に、ａｔｔａｎさんと「何だか、かなり良いネタが仕入れられましたね〜。やっぱり現地調査が大事だね」と頷き合い、今度は宿泊施設「頼朝荘」の探索に移ります。
さて、「頼朝荘」に関しても、情報は圧倒的に少なかったです。
唯一（？）、２００５年１月の釣り関係のサイトの情報に、『頼朝荘角でシロギスを４匹釣り上げた』的な記述があったので、当初は「２００５年頃まで『頼朝荘』があったのでは？」と予想していたのです。
１人目の男性に教えてもらった通り移動を開始。
その前に海岸線のすぐ傍にあった「源頼朝上陸記念碑」なるものをウォッチング。
ａｔｔａｎさんによると館山の南にも、同じ源頼朝上陸説があるらしいのですが、この立派な碑を見ると、信憑性はコッチの方が高そうですね。
ついでと言っては何ですが、ここに幾つか商店などがあったので、聞き込み開始。
１件目の小洒落た食堂に伺いますと、「この並びの端っこの旅館で聞けば何かわかるかも知れませんよ」ということでした。
で、早速その旅館に移動。
出てきたおばちゃんに来意を告げますと、わざわざ玄関先まで出て来てくれまして、「あそこに見えるマンションが元々『頼朝荘』のあったところですよ」。
残念、やはり「頼朝荘」は無くなっていたようです。
「そうですか。じゃあ、いつごろまであったか覚えてらっしゃいます？」
「う〜ん、詳しくは分からないけど、かなり前に辞めちゃったんじゃないかな」
と言う以上は何も分からないようでした。
気を取り直して、通りかかった地元と思しきオジちゃん（元漁師との由）に突撃取材。
すると、「頼朝荘」の位置は間違いないらしく、大きなマンションに取って代わったようです。
なおもレジャー施設のことを聞きますと、「この後ろ、ここに（東海）汽船の切符売り場があったんだよ。２〜３年前まで土台とか残っていたけど、整地してキレイになっちゃった。船（フェリー）は、その向こう側に出入りしていたよ」との証言。
この手の話に共通する原則ですが、とかく何かの跡を辿る際は、１カ月でも１日でも早いに越したことはなく、「そのうち行けば…」と言うのが一番の大敵です。
昔は地方って言うのは、開発の速度が非常にゆっくりでしたが、最近では急激にその姿形を変えつつあります。ネットなどで情報を得られやすくなった分、行動も早く起こさないと、せっかくの貴重な遺構や証言を見たり聞くことができなくなってしまいます。
今回のオジちゃんも「２〜３年」と言っていましたが、その記憶違いを差し引いても、５年、いや１０年前に気が付いて探索できていれば、もっと違った何かが見つけられたかもと思うと、やり切れなさと共に遺構探索に「…だったら」「…れば」は無いんだと言うことを改めて思い知らされます。
このオジちゃんも「昔は良かった。海水浴客がたくさん来てにぎやかだったから。でも、だんだん来る人が減ってきて、今じゃ僅かな釣り客だけだよ」と嘆いていました。
すると「そう、その後ろも東海汽船のやっていた土産屋とか食堂だったんだよ」と後ろの建物を指さしました。
確かに、さっき聞き込みをした小洒落た食堂が入っている長屋の様な建物は、かつて地階が店舗、２階が休憩所の様な作りにも見えます。
言われてみれば、確かにそう言った佇まいですが、ホント何処に何があるかなんて分からないものです。
ちなみにフェリーが発着していた桟橋については、何ら情報は得られませんでした。
その後、帰宅してさらにネット上を調べていたら、２００７年に撮影した同箇所の写真を発見しました。
コレを見ると、さっきのオジちゃんが言っていたように、切符売り場のあったと思しき所が、そのまま放置されているのが分かります。
今は整地されて跡かたもありませんが、２００７年当時だったら何らかの痕跡も残っていたかもしれませんね。
で…、オジちゃんにお礼を言って、今度は「頼朝荘」のあったと思われるところへ移動。
そのマンションも道路を挟んだ海っぺりにありましたが、定礎を見ると平成４年とありました。
１９７５年の航空写真を見てみると、現在マンションのあるあたり、中央に細い私道が通っています（矢印の延長線上）。旅館はその右側にあったことが分かると思います。ですが、写真があまり鮮明ではないので、これ以上のことは分かりませんでした。
なお、現在も私道は残っていて、マンションも２棟に分けて建っています。「頼朝荘」時代は、この敷地面積などを勘案すると、オーソドックスに木造（モルタル）２階建ての、小じんまりとした建物だったのでしょう。
ですから、仮に「頼朝荘」の建物があったにしても、万が一営業をし続けていたにせよ、平成時代か、昭和末期まで。その時までに来れば、何らかの縁（よすが）があったのかも知れません。
なお、この時点での現地の位置関係を理解するために、１９７５年の航空写真に調査結果を反映したものを掲出しておきます。
この勝山海岸の全体の位置関係が分かると思うので、本文と併せてご参照ください。
さてと、事前に用意した情報の確認と現地の聞き込みは一旦ここで終了しました。
次回は、２回目の調査での聞き込み結果と、その後寄せられた貴重な証言などを基に、各種の推測を行ってみたいと思います。
Ｔｏ ｂｅ ｃｏｎｔｉｎｕｅｄ…
一見するとごく普通の倉庫（正面の写真を撮り忘れていたようなので、別の角度からの写真でご勘弁を。それと写真は内陸側から、海の方を見ているので、ご注意あれ）。
男性は、鍵を開けて中に入れてくれましたが、中は発泡スチロールの山でした。
広さは２〜３坪ぐらいかな？
男性は奥に進みながら話を始めました。
「この正面が水槽。ここ一面大きなガラス張りになっていて、中は海底を模してあったんだ。そこに海女さんが潜って、予め仕込んであった魚介類を採る様をショーにして見せてたんだって。この発泡スチロールのあるところに長椅子を置いて、お客さんが見ていたんだろうな」。
確かに、両脇にコンクリート製の仕切りの跡の様なものがあって、白くペンキが塗られています。
要はガラス張りの小さな舞台と客席を想像していただければいいと思います。
その奥も、大黒山の岩肌を使って海底洞窟の様に、そこそこの奥行きが取られているようですが、たくさんの発泡スチロールがあるため見通しが悪いんです。
施設が閉鎖になったあと、ココは暫く放置されていたので雰囲気は残ったままだったらしいのですが、一時期、喫茶ハウスになったとかで、それまでの水族館のような塗装とか設備は、その際に一新されたとの由。
ですから、さっきのコンクリートに何やら描かれている意味不明の文字も、その時に描き入れられたようです。もし、当時のままだったら、雰囲気満点だったんでしょうね。
というより、その海女さんショーを見てみたかったなぁ〜（笑。
男性によれば、海女さんが採った獲物は、あとでお客さん向けに販売していて、結構な売れ行きだったとか！？
なお、水族館とは直接関係ありませんが、この男性と出会った海寄りの海岸には、戦中、特攻兵器を格納した格納庫（天然か人工の洞窟？）もあったとかで、戦後放棄された武器弾薬のなかに、火薬も残されていたらしく、「花火の代わりに遊んだもんだ」と懐かしんでおりました。
さらに、この海女さんのプールの奥が、この大黒山の何処かに穿たれた防空壕と通じているらしいのです。
さすがに、この話は眉唾的なお話でしたが…（笑。
ちなみに中央のガラス戸（かつては大きな一枚ガラスが入っていたと思われる）を開けてみますと、こんな感じでした。
やはり発泡スチロールの山で、その奥は天然の岩盤のようにも見えるし、モルタルかセメントで埋め戻してあるようにも見えますが、この点は確認し忘れました…。
そして、この建物も新旧の木材が使われていたのですが、やはり前述の理由から新築が出来ないので、元の柱を使いつつ、補強するなどして延命しているということでした。
そんなワケで、ホント偶然の出会いにせよ、男性から予期せぬ話と貴重な遺構を見せていただき感謝感謝。
一段落したところで、「あの〜、冷たい飲み物でもいかがですか？」と申し出たら、「イイよ、イイよ、気を使わなくって」と、足早にさっきの一輪車のトコロまで戻っていきました。
と言うワケで、前回掲出した現地の見取り図に、海女さんショー会場跡の位置を書き込んだものを、ここに掲出しておきます。
と…、この文章をまとめていて、ふと思ったんですが、このいろいろ案内してくれた男性って、もしかしてかつて勝山遊園地で働いていたか、もしくは関係者が肉親とか知人にいたのかも知れないってコト。
そうでなければ、余りにも詳しすぎますよね…。
もし、次回お会いすることができたら、その辺も確認してみたいなぁ…（笑。
そんなワケで思いもよらぬ収穫に、ａｔｔａｎさんと「何だか、かなり良いネタが仕入れられましたね〜。やっぱり現地調査が大事だね」と頷き合い、今度は宿泊施設「頼朝荘」の探索に移ります。
さて、「頼朝荘」に関しても、情報は圧倒的に少なかったです。
唯一（？）、２００５年１月の釣り関係のサイトの情報に、『頼朝荘角でシロギスを４匹釣り上げた』的な記述があったので、当初は「２００５年頃まで『頼朝荘』があったのでは？」と予想していたのです。
１人目の男性に教えてもらった通り移動を開始。
その前に海岸線のすぐ傍にあった「源頼朝上陸記念碑」なるものをウォッチング。
ａｔｔａｎさんによると館山の南にも、同じ源頼朝上陸説があるらしいのですが、この立派な碑を見ると、信憑性はコッチの方が高そうですね。
ついでと言っては何ですが、ここに幾つか商店などがあったので、聞き込み開始。
１件目の小洒落た食堂に伺いますと、「この並びの端っこの旅館で聞けば何かわかるかも知れませんよ」ということでした。
で、早速その旅館に移動。
出てきたおばちゃんに来意を告げますと、わざわざ玄関先まで出て来てくれまして、「あそこに見えるマンションが元々『頼朝荘』のあったところですよ」。
残念、やはり「頼朝荘」は無くなっていたようです。
「そうですか。じゃあ、いつごろまであったか覚えてらっしゃいます？」
「う〜ん、詳しくは分からないけど、かなり前に辞めちゃったんじゃないかな」
と言う以上は何も分からないようでした。
気を取り直して、通りかかった地元と思しきオジちゃん（元漁師との由）に突撃取材。
すると、「頼朝荘」の位置は間違いないらしく、大きなマンションに取って代わったようです。
なおもレジャー施設のことを聞きますと、「この後ろ、ここに（東海）汽船の切符売り場があったんだよ。２〜３年前まで土台とか残っていたけど、整地してキレイになっちゃった。船（フェリー）は、その向こう側に出入りしていたよ」との証言。
この手の話に共通する原則ですが、とかく何かの跡を辿る際は、１カ月でも１日でも早いに越したことはなく、「そのうち行けば…」と言うのが一番の大敵です。
昔は地方って言うのは、開発の速度が非常にゆっくりでしたが、最近では急激にその姿形を変えつつあります。ネットなどで情報を得られやすくなった分、行動も早く起こさないと、せっかくの貴重な遺構や証言を見たり聞くことができなくなってしまいます。
今回のオジちゃんも「２〜３年」と言っていましたが、その記憶違いを差し引いても、５年、いや１０年前に気が付いて探索できていれば、もっと違った何かが見つけられたかもと思うと、やり切れなさと共に遺構探索に「…だったら」「…れば」は無いんだと言うことを改めて思い知らされます。
このオジちゃんも「昔は良かった。海水浴客がたくさん来てにぎやかだったから。でも、だんだん来る人が減ってきて、今じゃ僅かな釣り客だけだよ」と嘆いていました。
すると「そう、その後ろも東海汽船のやっていた土産屋とか食堂だったんだよ」と後ろの建物を指さしました。
確かに、さっき聞き込みをした小洒落た食堂が入っている長屋の様な建物は、かつて地階が店舗、２階が休憩所の様な作りにも見えます。
言われてみれば、確かにそう言った佇まいですが、ホント何処に何があるかなんて分からないものです。
ちなみにフェリーが発着していた桟橋については、何ら情報は得られませんでした。
その後、帰宅してさらにネット上を調べていたら、２００７年に撮影した同箇所の写真を発見しました。
コレを見ると、さっきのオジちゃんが言っていたように、切符売り場のあったと思しき所が、そのまま放置されているのが分かります。
今は整地されて跡かたもありませんが、２００７年当時だったら何らかの痕跡も残っていたかもしれませんね。
で…、オジちゃんにお礼を言って、今度は「頼朝荘」のあったと思われるところへ移動。
そのマンションも道路を挟んだ海っぺりにありましたが、定礎を見ると平成４年とありました。
１９７５年の航空写真を見てみると、現在マンションのあるあたり、中央に細い私道が通っています（矢印の延長線上）。旅館はその右側にあったことが分かると思います。ですが、写真があまり鮮明ではないので、これ以上のことは分かりませんでした。
なお、現在も私道は残っていて、マンションも２棟に分けて建っています。「頼朝荘」時代は、この敷地面積などを勘案すると、オーソドックスに木造（モルタル）２階建ての、小じんまりとした建物だったのでしょう。
ですから、仮に「頼朝荘」の建物があったにしても、万が一営業をし続けていたにせよ、平成時代か、昭和末期まで。その時までに来れば、何らかの縁（よすが）があったのかも知れません。
なお、この時点での現地の位置関係を理解するために、１９７５年の航空写真に調査結果を反映したものを掲出しておきます。
この勝山海岸の全体の位置関係が分かると思うので、本文と併せてご参照ください。
さてと、事前に用意した情報の確認と現地の聞き込みは一旦ここで終了しました。
次回は、２回目の調査での聞き込み結果と、その後寄せられた貴重な証言などを基に、各種の推測を行ってみたいと思います。
Ｔｏ ｂｅ ｃｏｎｔｉｎｕｅｄ…
とりあえず、週１ペースですが、今日やっと更新できました。
ようやく核心部分（？）に入ってきましたが、何とか次回で終わりますので、もう少しお付合い下さいませ。
でわでわ〜。