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カラーマネジメント

7 8月

ワークフロー全体において一貫した色を得るためのツール


ワークフロー全体において一貫した色を得る道は、長い旅路のようなものです。
 
数週間前、私は、カラーマネジメントプログラムを開始するときに皆さんが遭遇する最も一般的な落とし穴についてブログに書きました…
 
•間違った照明
•色の認識能力についての過信
•間違った色見本
•デバイスごとに異なる色表示
 
…そして、それらを克服するためのいくつかの安価なカラーツールをご紹介しました。
 
 
一貫した色を得る道
 
しかし、この旅はそこで終わりません。もし、何年も色をうまく管理してきたとしても、インク、染料、素材の進歩は新たな課題をもたらし、そして多くのブランドが求める色の許容範囲は、より厳しくなってきています。正しい色を得ることは、以前よりもはるかに困難です。
 
今日は、より一貫した色を得るための次のステップへ進むのに役立つ、より高度なツールをいくつか見ていきます。
 

照明のコントロール

 
 
照明のコントロール
 
家に帰ったら全く色が違って見えるものを買ったことがありますか?
 
ライティングブースを使用することで、さまざまな種類の光が見えにどのように影響するかを視覚的に評価することができます。また、さまざまな部品が組み立てられた後に、最終的な製品をカラーマッチングさせるためにも役立ちます。
多くの製造業者は、サプライヤーから材料を受け取るとすぐにその材料をカラー評価するため、ライティングブースを使用します。結局のところ、生産に入る前に色の問題を特定することは、とても費用対効果が高い方法です。
 
 
照明のコントロール
 
蛍光増白剤は、紙、プラスチック、およびテキスタイル業界において広く普及しています。 通常の照明条件下で見ると、これらのプラスチック部品は明るい白色に見えます。 しかし、ライティングブースのUV光の下で見ると、追加された蛍光増白剤の効果を見ることができます。通常の照明条件下で見た明るい白色はもはや、同じ色には見えません!
 
ライティングブースに投資しないことでお金を節約しているように思えるかもしれませんが、実際にはライティングブースを使用しないことで、長期的なコストはもっと多くかかってきます。X-Rite社のライティングブースには、光源の数から価格まで、非常に幅広いラインナップを取り揃えておりますので、お客様のニーズに合ったライティングブースがきっと見つかるはずです。
 

カラー測定機

ライティングブース色の管理において非常に重要な部分ですが、いくつかの制限があります。もし品質管理者が完璧な色覚を持っていない場合、ライティングブースが色の決定をするのに役立つことはほとんどありません。
 
 
照明のコントロール
 
私たちのオンラインカラーチャレンジは、あなたの色覚の鋭敏さを知る楽しい方法ですが、 色覚を確実に知る唯一の方法は、ファンズワース・マンセル100ヒューテストを受けることです。
 
カラー測定機の素晴らしい点の1つは、常に安定した結果を得られることです。測色計は人間のように、注意をそらされたり、疲労、年齢、色覚異常などに影響されることはありません。ブランドオーナーとデザイナーはカラー測定機を使用してカラーを指定し、伝達し、製造業者はそれらを使用して製造中のカラー精度をチェックします。
 
カラー測定機には、色彩計と分光測色計の2種類があります。
 
 
カラー測定機
 
0/45°分光測色計は、45度に固定された角度で反射した光を測定します。
これらは通常、滑らかな表面、または艶消しの表面の色を測定するために使用されます。
 
色彩計は人間の目のように色を3つのチャンネルで「見る」装置です。一部の業種にはこれで十分なデータを提供できますが、他の業種においては色彩計のみでは重要なカラーマッチングエラーを特定できない場合があります。
 
また、分光測色計も色を捕らえてカラー評価しますが、光を非常に狭い波長範囲にフィルタリングすることで動作し、その波長は光学装置を通って受信器に入り、分析されます。分光測色計を使用し、可視スペクトルによってサンプルの反応を読み取ることは、仕様、公式化、精査および品質管理のためのカラーデータを得るための最も正確な方法です。
 
分光測色計は、液体、プラスチック、紙、金属、布など、あらゆるものを測定することができます。 ライティングブースと同じように、精度や価格において幅広いラインナップ、さまざまなオプションをご用意しています。 X-Rite社は喜んであなたのニーズに合った最良のものを選ぶお手伝いをさせていただきます。
 

一貫した色を得る準備はできていますか?

以前、ブログ「もはや視覚評価だけでは十分ではない?」で共有したヒントに従い、そして、たとえ入門レベルであってもライティングブースやカラー測定デバイスを追加することで、あなたのワークフローにおける色の精度と一貫性は劇的に改善されます。
 
しかし、これで終わりではありません。はじめにお話しした通り、素晴らしい色を得る旅は依然進行中です。 次のブログでは、さらに次のレベルのカラーコントロール - 外観とバーチャルデザイン - についてお話しましょう。どうぞお楽しみに!
より詳しく知りたい方は ↓↓↓
エックスライトジャパン「Colorknowledge blog
「カラーのより良いコミュニケーション」、「カラーの活用」についてのセミナーや海外からの事例紹介などの情報を発信するブログです。


16 5月

13_色彩値 等色関数:人の目をものさしに

今回は残りの2つの要素である②「色としての物体」と③「受光器としての目」をとりあげます。
 
②色としての物体
 
照明からの白色光はそのタイプによって分光分布に違いはあるものの、通常全ての可視域の光が十分な量含まれています。
物体はこれらの照明光に作用し波長選択的な吸収や散乱の後、反射もしくは透過による光として観測者に向けて光を再放出します。
たとえば, 図-26のように照射された照明光の波長は選択的に吸収・散乱され、その波長構成を変化させて反射もしくは透過することで着色することになります。
 
 
反射による影響
図-26 反射による影響
 
たとえば、赤いボールに照明が当たった場合、短波長側の照明成分はその多くが吸収によって熱に変化します。
一方、長波長成分は多くがそのまま反射され、結果として反射される波長構成が人に赤として知覚されることになります。
図-27では照明された光の各波長でのエネルギー量を100%とした場合、反射される光量が各波長で何%になるかを表しています。
 
 
物体による照明光のスペクトルの変化
図-27 物体による照明光のスペクトルの変化
 
このような物体が持つ反射の特性を分光反射率(透過物体の場合は分光透過率)と呼びます。
この分光反射率の特性こそが、その物体が持つ色の性質ということになります。
この性質は色の指紋のような意味を持ちます。(だからこそ、これの特性を測定するわけですが...)
残念ながら私たちの視覚はこの物質の色の特性の全てを捕えることができません。
私たちの目は、この特質が私たちの目に落とすを知覚しているにすぎないのです。
 
今日の分光測色計はこの色の指紋である分光反射率(正確には「分光反射率係数」←いつか説明します)をサンプリングによって測定します。
そして色彩値計算としてその特質が目に落とす影を計算して 色彩値として提示しているのです。
 
③受光器としての目
 
目による波長応答の特性もCIEによって標準化されています。
つまり、平均的な人の視覚の可視光に対する波長応答特性が数値として定義されています。
色彩値は個々の人間がどのように知覚しているかを云々しているのではありません。
色のコミュニケーションにとって個々の人の色の知覚量は意味がありません。
標準的な観測者がどのように知覚するかが重要になります。
幸運なことに、視覚という官能器官は正常な色覚を持つ人間では概ね同じような波長応答特性を持っていたようです。
このような幸運が色に関する視覚の標準化がうまく機能することになった要因だと言われています。
 
ではどのようにしてこの応答特性はモデル化されたのでしょうか?
もちろん生きた人間の目に電極のような端子を突き刺して実験することもできないわけです。
その代わりとしておこなわれた実験が等色実験と呼ばれるものです。
 
等色実験では図-26のように上下に並んだ2分視野によるマッチング実験として実施されました。
覆い用のスクリーンに開けた穴を通して上側と下側に提示した色をマッチングさせるという実験です。
 
 
物体による照明光のスペクトルの変化
図-28 等色実験
 
2分視野の片方にそれぞれの錐体を刺激するための原刺激の[R][G][B]*を用意します。
もう片方(図-28では下側)に目標の色光となる単色光(スペクトル光)を照射します。
この上下の色がマッチするよう[R][G][B]に用意されているボリュームでその光量を調節するという実験がおこなわれました。
各原刺激のボリュームは、それぞれ錐体内の3つの受光器に対する刺激量になっています。
人に知覚される全ての色は、単色光(スペクトル光)の加法混色で再現できるため各スペクトルと3つの受光器の刺激量の関係が判明すれば、この方法で全ての色に対する錐体の 応答特性が計算できるわけです。
 
この実験の際、目標色として使用された500nm付近の単色光(スペクトル光)はあまりにも鮮やか過ぎて、これら3つの原刺激の混色では等色することができませんでした。
そこで、原刺激の[R]を目標色(単色光)側に移動させ、単色光の鮮やかさを低下させることで等色を実現しました。
 
* 用いられた原刺激は[R][G][B]それぞれ700.0nm、546.1nm、435.8nmの単色光が用いられました。
 
 
鮮やかすぎる単色光への対応:等色実験
図-29 鮮やかすぎる単色光への対応:等色実験
 
このような実験を複数の被験者で実施した結果が図-30のようなCIERGB表色系の等色関数です。
 
 
RGB表色系の等色関数
図-30 RGB表色系の等色関数
 
もちろん、この応答特性は生理錐体の応答特性そのものではありません。
しかし、生理応答特性から線形変換で得られる応答特性だということができます。
 
つまり...少し長くなりますが...生理錐体の波長応答特性が仮にS、M、L(図-31参照)だとしましょう。(当時は分かっていませんでした。)
ある目標色が生理錐体のS,M,Lをそれぞれs、m、lだけ刺激していたとします。
さまざまな目標色に対して、このs、m、lが知りたいのです。
 
この目標色の刺激に等色するために[B]、[G]、[R]の原刺激をb、g、r使用したとします。
ここで使用した原刺激[B]はSの生理錐体だけでなく、MやLの生理錐体も刺激します。
しかし、原刺激[B]の波長は固定されているので、各S、M、Lを刺激する比率は常にS_b:m_b:l_bに固定されているはずです
同様に、原刺激[G]はS_g:m_g:l_gの比率で、原刺激[R]はS_r:m_r:l_rの比率で刺激します。
 
ということで、[S]を刺激する全ての量を合計するとs=[S_b×b]+[S_g×g]+〖[S〗_r×r]ということになります。
[M]では、m=[m_b×b]+[m_g×g]+〖[m〗_r×r] [L]では,l=[l_b×b]+[l_g×g]+〖[l〗_r×r] となり、結局、目標色のs、m、lは等色に使用した[B]、[G]、[R]の原刺激のb、g、rをそれぞれの比率による3x3の行列で変換することで線形的のに求めることができます。
 
つまりb、g、rで求めた応答特性b ̅(λ),g ̅(λ),r ̅(λ)は生理錐体[S]、[M]、[L]の応答特性s ̅(λ),m ̅(λ),l ̅(λ)にリニアな関係の応答特性になっているということです。
そして、いつでも3x3行列でs ̅(λ),m ̅(λ),l ̅(λ)に変換可能な応答特性だということができます。
ただ、この3x3の行列は当時は不明であったということです。
 
 
 
生理錐体の応答特性:smlとリニアな関係のgbr
図-31 生理錐体の応答特性:smlとリニアな関係のgbr
 
ということで、無事、標準的な人の錐体(に線形な)の応答特性CIERGB表色系の等色関数が求められたわけです。
 
話がだんだんややこしくなってきたので「受光器としての目」の残りの部分は次回に回します。
 
 
16 5月

12_色彩値に影響する3つの要素

色彩値のL*a*b*は数値で指定できる色空間を構成すると申し上げましたが、今回から、それらの数値がどのように求められているかを説明していきたいと思います。
物体の色を知覚するには光が照明されていなければなりません。真っ暗な部屋では何も見えませんから、これは当然のことかと思います。物体はこの照明光を反射もしくは透過する際に照明光の一部の成分を選択的に吸収したり散乱したりします。
私たちはこの効果を目で捕えて色として知覚します。
 
ということで、色を数値化するにあたって色そのものだけでなく図-22のように照明と受光器としての目(そして脳での知覚処理も一部)を考慮に入れて数値化されています。
 
 
色彩値の決定に寄与する3つの要素
図-22色彩値の決定に寄与する3つの要素
 
これら3つの要素①照明、②色としての物体、③受光器としての目を繰り込んで色彩値を決定します。
ただし、色彩値としては物体の色を評価したいわけなので、①照明と③受光器としての目に関しては標準的なモデルを使用します。
つまり、色の色彩値をコミュニケーションする上で、ある特殊な状況の照明や特定の観察者の知覚における色を数値化してもあまり利用価値が無いためです。①照明と③受光器としての目の標準的なモデルはCIE(国際照明委員会)によって定義されています。 一方、②の色としての物体は測色計で測定することで求められます。
 
色彩値は最終的には3つの数値に集約されます。なぜなら人の目の受光器(錐体)が3つのタイプしかないためです。
 
私たちは光=可視光域の連続する電磁波=連続する波長(スペクトル)から構成されものを 3つのタイプの錐体で集約した結果を色として知覚します。
このシステムをモデル化するには、連続する可視光の波長域を3つの値に集約するモデルを構築する必要があります。
 
そこで、①照明、②色としての物体、③受光器としての目の波長に関する特性を1つずつ概観していくことにします。
 
①照明 CIEで定義されている標準的な照明のタイプがいくつか用意されています。
標準イルミナントとしてはD65とAの2つが定義されています。
定義というのは各波長における光の相対エネルギー分布が数値化されているということで、D65では図-23、Aでは図―24のような分光分布として数値として定義されています。
 
D65は6504Kの相対色温度を持つデイライト(昼光)の代表的なモデルとして、Aは2856Kの色温度を持つタングステン光の代表的なモデルとして定義されています。
 
 
イルミナントD65の分光分布
図-23イルミナントD65の分光分布
 
 
イルミナントD65の分光分布
図-24イルミナントAの分光分布
 
このほかにもD50、D65、D75やF1~F12がこれを補う照明タイプとして分光分布が数値として定義されています。
DXXXは昼光をFXXは蛍光灯の照明をモデル化したものを意味します。
蛍光灯にさまざまなタイプがあるためタイプに応じてさまざまなモデルを用意しています。
図-25にF1~F12 のタイプを示します。
 
 
イルミナントD65の分光分布
図-25 イルミナントFのタイプ
 
このようにモデル化され、波長における相対エネルギー分布が数値定義されたものを「イルミナント」と呼びます。
数値化された「標準の光」という意味ですが、可視光よりも広い波長域を定義しているため狭義の光には当たらないとして「イルミナント」と呼ばれています。
 
イルミナントはモデル化された光なので現実には存在しない場合もあります。
たとえば、昼光をあらわすDXXXというイルミナントは世界中のいくつかのポイントで測定された昼光の平均値を使用して定義されており、これを実現する現実の照明は存在しません。
ですから、良くイルミナントD50の標準光源xというような表現をしますが、正確にはイルミナントD50のデイライトシミュレーター(常用光源) ということでキッチリD50を実現した光というのはありません。
 
現在、多くの生活環境の中でLEDによる光が利用され、エネルギー効率の面からも主な照明光として急速に普及しつつあります。
しかしながら、このLEDによるイルミナントは2017年3月の現時点では未だCIEで定義されていません。
標準的なLEDの分光分布というものが確定しにくい現実があるのかもしれませんが、市場からは早急な対応が望まれています。
おそらく、もうそろそろ規格化されるのではないでしょうか...
色彩値の数値を決定する際には①照明の要素として、このイルミナントの中から1つを選んでその分光分布を色彩値の数値計算に使用することになります。
 
次回に残りの2つの要素を解説したいと思います。
 
 
5 5月

11_色彩値 色を数値で表す

これまで濃度に関連する測定値に関して説明して来ましたが、今回からLabなどの色彩値について簡単に説明していこうと思います。
 
大雑把に言って濃度が色材量に関連する値であったのに対して、色彩値は人の色の見え方に関連する値になっています。
「見え」そのものではなく、その中の1つの重要な要素で、「見え」に関連する値ということになります。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、「見え」の要素には色彩以外にも、表面のツヤ(グロス成分)やテクスチャー(表面の微小構造)、光の反射の方向分布、周辺色、人の知覚/認知など多くの要素が影響します。
色彩値自体が意味するところは、
 
「色彩値が同じ2つの色は指定された環境および条件のもとで平均的な色覚をもつ人にとって同じに見える」
 
ということです。
 
現実的には、色彩値が同じ2つの色は概ね同じに見えると考えても良いのではないかと思いますが、色彩値が同じ値を示しているにもかかわらず「見え」が違うという問題が発生した際には、常にこの本来の意味に立ち返って考えてみてください。
 
色彩値をあらわすインデックスにはさまざまなものがありますが、大体どの色彩値も3つの独立した値で表されているようです。
これは、人の目の中の色を知覚する受光器である錐体に3つのタイプがあるためです。
錐体は大雑把に言うとR・G・Bに感度のある受容体で構成されています。
これらの色彩値の中でも世界中で最も一般的に使用されているインデックスはCIE Labという色彩値です。
これはCIE(国際照明委員会)が定義したLabという意味でL*a*b*とも記載されます。
(Labには他にもHunt Labなども存在するため、CIE Labには「*」を付けてL*a*b*と記載します)
 
L*は明度(明るい・暗い)を表し、色味の情報を持ちません。
L*=0は全く光が反射(もしくは透過)しない、光を完全に吸収する物体の明度になります。
L*=100は完全拡散反射の白(白いチョークはこれに近い白になります)の明度を表します。
* 完全拡散反射とは光を入射すると全ての方向に同じ輝度で反射し,反射率が1.0の反射を指します。
 
a*は緑から赤にかけての色味の強さを表します。0は緑でもなく赤でもない色味で、-(マイナス)の値は緑味を、+(プラス)は赤味の色を表します。それぞれ絶対値が大きくなるほど色味が強くなることを意味します。
 
b*は青から黄にかけての色味の強さを表します。0は青でもなく黄でもない色味で、-(マイナス)の値は青味を、+(プラス)は黄味の強さを表します。こちらもそれぞれ絶対値が大きくなるほど色味が強くなることを意味します。
 
これら3つの値はそれぞれ独立したインデックスになっているので、それぞれを3つの直交する座標軸にとって3次元の直交座標系で表現します(図-19)。これをL*a*b*色空間と呼びます。
 
 
L*a*b*色空間
図-19 L*a*b*色空間
 
このL*、a*、b*の3つの数値を指定することで、色を一意に指定できる仕組みになっています。
たとえば、L*=65.45、a*=57.04、b*=70.00と指定すると図-20のようなPantone 1585Cであらわされるオレンジと一意に決まります。
 
 
L*=65.45、a*=57.04、b*=70.00のオレンジ
図-20 L*=65.45、a*=57.04、b*=70.00のオレンジ
 
このL*a*b*色空間はマンセルシステムによる色指定を数値によって置き換えられるよう開発された科学的なシステムです。
マンセルシステムでは色を視覚的に均等に分布するよう配置・定義することで、色を記号や番号で指定できるように開発された視覚ベースのカラーオーダーシステムになっています。(機会があれば、いつか、このシステムについても触れてみたいと思います。)
 
 
マンセルツリー
図-21 マンセルツリー
 
このシステムは長い期間にわたって多くの人に視覚的な均等性が支持されてきたシステムだったため、数値的なL*a*b*色空間もこのシステムに概ねマッチすることを意図して開発されています。
18 4月

10_ドットゲインの測定と計算の仕組み

今回はビジュアルドットゲインとメカニカルドットゲインの測定および計算方法について説明します。
 
まず、ビジュアルドットの測定手順は以下のようになります。
 
①  基材(用紙)を測定
②  ベタパッチを測定
③  指定された名目%のアミパッチを測定
 
たとえばシアンの50%のドットゲインを測定する場合、図-17のような順番で測定することになります。
この際、用紙やベタパッチはドットゲインを求めるアミパッチにできる限り近いパッチを測定します。
(測定器によっては用紙やベタパッチの測定は初回のみ求められます。)
 
 
照明光のもぐりこみによる光学ドットゲイン
図-17 カラーバー上のドットゲイン測定パッチ
 
このようにして求められる数値はアミ点面積率(%)になります。
ドットゲインは測定されたアミ点面積率(%)から名目ドット(%)を引き算することで算出します。
たとえば、上の例で測定したシアンのアミ点面積率が64%だったとすると、そこから名目ドット(%)の50%を引き算して14% がドットゲインということになります。
 
ドットゲイン
 
ここで、アミ点面積率の算出自体は測定器内部で実行されますが、以下のような計算で導かれています。
 
たとえば、図-18の左図のアミ点のエリアを右図のように寄せ集めて、これが全体に占める面積の割合(ここでは、マゼンタのアミ点面積率)を a とします。(領域全体を1として考えます)
測定によるマゼンタのベタ濃度(白紙基準濃度)が Ds だったとすると、マゼンタの画像部の反射率は 10-Ds となります。
 
つまり、全反射におけるマゼンタドットによる反射の寄与は面積率X反射率で a ×10-Ds です。
今度は用紙からの反射の寄与分を考えます。用紙の面積率は全体が1としたので 1-a になります。
白紙基準濃度を使用しているので用紙の濃度は0、つまり反射率は1として考えます。
用紙からの反射の寄与は1×(1-a) となります。
マゼンタアミ点からと用紙からの反射をあわせて全領域からの反射は a ×10-Ds + 1×1-a
これがアミ点全領域からの反射率と等しくなるわけです。
アミ点全領域からの反射率はアミ点パッチの測定濃度(用紙基準濃度)が Dt だったとすると 10 - Dt となります。
つまり、
10 - Dt = a × 10 -Ds + 1 × (1 - a) となるため
 
求めるアミ点面積率
 
が求めるアミ点面積率となります。
 
 
ドットを寄せ集めたアミ点の面積率
図-18 ドットを寄せ集めたアミ点の面積率
 
このように、測定濃度値からビジュアルドットゲインを計算する計算方式をマレイ・デイビスと呼びます。
 
 
一方、メカニカルドットゲインの場合はどうでしょうか?
メカニカルドットの面積率は光学的な太りを含まない物理的な面積ですから、一般的には濃度計ではなくiCPlateのようなCCDなどのカメラベースの測定デバイスのほうが適しています。
 
しかし、測定濃度値からこのメカニカルドットの面積率を求める方法もあります。
これが、ユール・ニールセンという計算方式で下のような計算式を使用します。
 
 
ユール・ニールセン
 
ポイントはマレイ・デイビス式の濃度値をnで割った値を使用することです。
このnの値をnファクターと呼び,理論からではなく経験値から帰納的に求めることになります。
このnファクターは基材やプレートのタイプによって異なります。
一般的にはプレートメーカー*などからこのnファクターを入手します。
自分でnファクターを求めたい場合は、面積率が50%と判明しているパッチを測定して、このアミ点面積率の値が50%になるようnを調整して求めます。
 
*メカニカルドットゲインは、通常プレートのキャリブレーションのために使用されます。
 
 
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