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色管理(カラーマネジメント)のプロ、エックスライトジャパンのblog

色管理(カラーマネジメント)のスペシャリスト エックスライトジャパン社のブログです

測色計

18 9月

デジタル基準色に適した測色計を使用していますか?

テキスタイル自動車部品、プラスチック製品のいずれの生産においても色の一貫性を実現することは重要で、色が異なる場合、最終製品が採用されないという事態が起こりえます。残念なことに、製造過程では、カラーエラーが発生してしまう可能性は高い現実があります。
 
エラーに対処する一つの方法は、デジタル基準色を作成し使用することです。デジタルの基準色は、色やデザインレイアウトを正確に指定して伝達し、また着色料や原材料を定式化することを可能にします。また、ブランド・オーナーに対しては、自分の求める色が実際に生産されうる色であるという確信感を与え、また、製造業者が、迅速かつ効率的に作業することを容易にします。
 
 
デジタル基準色
 
デジタル基準色を作成するには、正確で再現性の高いマスターの分光測色計が必要です。しかし、市場には非常に多くの機器があり、何を基準に選べば良いか分からないという方も多いのではないでしょうか?
今回は、Ci7860の特徴的な機能のいくつかをご説明いたします。ぜひCi7860があなたにとって最適な機器かをご判断ください。
 

比類なき精度を備えた測色計

1 – 最小の器差(inter-instrument agreement)を提供します

Ci7860は理想的なマスターデバイスです。同一機種同士の器差は平均0.06 DE*と、業界で最も正確なデジタル基準色を作成できます。それどころか、Ci7860は市場にある他のどのデバイスよりも25%厳しい仕様を達成することができます。
ワークフローにおいて測色計を選択する際には、機器同士の器差が非常に重要なポイントとなります。それは技術的な内容であるため、一般的に誤解を生みやすいという残念な事実があります。器差がなぜ重要かをもっと知りたい方は、Inst-Instrument Agreement(英語)ブログをご覧ください。
 

2 - 高度な蛍光増白剤の制御

洗濯石鹸から紙、靴下まで、蛍光増白剤は「白よりも白い」外観を与えるためによく使用されています。しかし、蛍光増白剤を含む測定サンプルは視覚的評価と測定値が相関しないという結果をもたらすので、製造者の悩みの種となっています。
 
 
製造中の蛍光増白剤の管理
 
詳細については、製造中の蛍光増白剤の管理ブログをご覧ください。
 
UVエネルギーの量を制御した分光測色計を使用すると、正確な測定が可能になります。これは、蛍光増白剤を使用する場合は重要です。Ci7860は、キャリブレーションされたUVフィルターを使用して、紙、テキスタイルプラスチック塗料およびコーティングに使用される高度な蛍光増白剤を測定、制御します。
X-Riteが、工業界においてメーカーが蛍光増白剤を制御するのをどのように手助けしているかについては、 報告書 Making the Invisible Visible(英語)を参照してください。
 

3 –ヘイズを定量化する能力

ヘイズ(かすみ)は、どれだけの光が透過しているか、サンプルを通過するときに拡散される光の量がどのくらいの量かを示します。ヘイズの発生は良し悪しで、例えば、宛先を見せるための透明なフィルム付の封筒にヘイズが発生している場合、郵便局の文字認識マシンは住所の文字を識別できません。一方で、ヘイズは、車両のブレーキ電球の光を拡散させて、フィラメントでなく拡散された赤い光が見えるようにすることができます。
 
 
仕様の特定と品質管理の標準的なプロセス
 
ヘイズを必要とするか除外したいかに関わらず、Ci7860はASTM D1003 -仕様の特定と品質管理の標準的なプロセスを満たし、管理することが可能になります。
 

4 -測定領域をビデオプレビューで正確に確認

多くのメーカーは測定するサンプルのサイズで問題を抱えています。測定したいサンプルの40%が、測定するには小さすぎる場合、どのようにして精度を保証できるでしょう?Ci7860は、最大5つのアパーチャ(口径)サイズ(25mm、17mm、10mm、6mm、オプションの3.5mm)をご提供しています。これらは、反射、不透明、透明、および半透明の材料の測定に使用することができます。
 
 
測定サンプルを正確に
 
Ci7860はまた、最小の物体であっても、あらゆるPCディスプレイでビデオプレビューを確認することが出来るので、測定サンプルを正確に見ることができます。
 

5 – 画像による測定後の追跡確認を可能に

Ci7860は、写真の追跡資料を提供する唯一のデバイスです。イメージをジョブファイルに保存、すべての測定値を正確に記録し追跡することができます。ターゲットを間違って行ったり、サンプルに不具合があった場合には、後日でも確認できます。
 
 

Ci7860はあなたに最適ですか?

従来のデータフォーマットと互換性のあるCi7860は、あらゆるワークフローにスムーズに適応します。もっと知りたい、またはデモをご覧になりたい場合は、X-Riteまでご連絡ください。

17 3月

もはや視覚評価だけでは十分ではない?

 
色/カラーは大切と言われますが、なぜでしょう?実際、製造過程において色は欠かせない要素です。ですが、思い通りの色を製品で実現することは、以前より難しいと感じる製造者が増え、こうした製品のブランドを持つ会社はより厳しい基準や許容値を満たすことを求めています。
 
 
実際、製造過程において色は欠かせない要素です。
 
なぜこのようなことが起こっているのでしょうか?
 
色/カラーに関する技術が進化する一方で、顧客の要求は高度になっています。例えば、金属のパッケージ、パール加工、カスタムデザインのテキスタイル、鮮やかな新色を考えてみてください。様々な材料に対して色の一貫性を実現するのは困難になっています。
 
例えば、家庭用のウッドデッキを考えてみてください。昔は、ウッドデッキには灰色か茶色か2つの選択肢しかありませんでした。当時は、デッキ全体で色の調和がとれていれば、それはいい仕事として評価されていました。
 
しかし現在では、深い木目や、異国情緒溢れる色合いなど、あまりにも多くの選択肢が存在します。製造者は、2つや3つのパターンではなく、より多くの色の管理を行う必要があります。 つまり、今日では色を一貫して製造することが容易ではないのです。
 

パッケージもいい例でしょう。かつては店の棚に並んでいたのは印刷の施された箱ですが、今では、フォイルパウチ、ブリスターパック、複数の素材を使ったパッケージが目につきます。半透明で反射性のある素材において、特に、色の管理は難しくなり、ある種類でうまくいく方法が他の素材では必ずしも役に立ちません。

 
 
パッケージデザイン
上の写真は棚に並べられたパッケージデザインの様子です。パウチ、ラベル、カートン、ダンボールなどの色が視覚的に調和していません。これらは克服できる問題です。
 
布地であれ、プラスチックであれ、塗料であれ、コーティングであれ、あらゆる業界で同じことが言えます。かつて合格していた色はもはや十分ではありません。さらに、消費者もブランド側も、色に対してより要求が厳しくなっています。色合いが正しく表現されていないと、消費者は商品の前を通り過ぎて、ライバル企業の他の製品を手に取るでしょう。注目を得ることのできなかった商品は、不良在庫となり、しまいにはゴミ箱行きです。
 
これこそが、製造業者を苦しめる現状です。あなたは大丈夫でしょうか?
 
下の質問の1つにでも「はい」と答えたとしたら、色の選定工程に改善の余地があります。
 
* 色の評価のために屋外で、日昼光で確認を行っていますか?
* 評価や承認を得るために、他の人に写真をE-mailで送っていますか?
* どの色を製品として実現すればいいのか迷っていませんか?
* 昔は承認された色が、現在では却下されていますか?
 
Good Newsです。
見直しを開始するためには多くの時間、資金、労力はかかりません。
では、色の選定において最も起こりやすい間違いをご紹介しましょう。
 
 

1. 間違った照明

 
下の画像は、色の評価になぜ標準光源が必要かを説明しています。ご覧ください。光の種類によって、赤の色合いがどれだけ変化するのか、一目瞭然ですよね。
 
 
色温度
色温度が変化することで、見え方も大きく変わるのです。
 
では、もしあなたのオフィスや研究室に設置してある環境光が標準光源にどれだけ近いのか分からない場合は、どうすればいいでしょう?そんな時には、PANTONE® ライティング・インディケーター・ステッカーD50をお勧めします。このシールにはそれぞれ、上下2色のパッチが用意されています。2つがぴったり同じ色であれば、その場所は自然な日中の光と同じであると考えることができます。違いが見られれば、色の判断をする前に標準光源の下に移動すべきでしょう。
 
もちろん、お気づきのように、「PANTONE® ライティング・インディケーター・ステッカーD50」を使っても、蛍光灯、白熱灯、LEDなどの設置された店舗や家庭、オフィスでどのような見た目になるのかはわかりません。完成品が実際に、どのような色に見えるのかを知るための最善策は、標準光源ブースを使うことです。
 
特に、携帯電話のケースと携帯背面のカバー、車のサイドミラーといった、組み立て式の部品をつくる場合には、すべての色が調和する必要があるので注意が必要です。「完璧につくりあげた試作品」が、必ずしも、店舗やショールーム、家庭で思い通りの色に見える訳ではありません。
 
標準光源ブースはそれほど大きな投資ではありません。しかも、色の選定失敗ややり直しが減れば減るほど、その投資分は回収できることになります。標準光源ブースの活用については、視覚的に色を判断する際のコツ10選をご確認ください。
 

2. 色の認識能力についての過信

 
多くの人が、自分の視覚の不完全性に気づいていません。実際、これはあらゆる人に言えることです。男性の13人1人、女性の300人1人が、色の認識における何かしらの問題があると言われています。
 
 
視覚の不完全性
 
 
石原式色覚異常検査表
上の画像は石原式色覚異常検査表の一部です。左側の柄に「6」が、右側の柄に「2」が見えなければ、ひょっとすると、何かしらの色覚異常が起こっているかもしれません。
 
色の選定を担当する人であれば、視覚のテストを受けることが必要かもしれません。より簡易的な手段をお求めであればオンラインカラーチャレンジが便利です。
 

3. 間違った色見本

 
色の判断のために物理的な見本を使用していますか?色の把握において、実際の見本を元に色を評価するのは、効果的なコミュニケーション方法です・・・ただし、その場合は、基本的なガイドラインに従っていなければなりません。
 
第一に、そのような見本は正しい素材でつくる必要があります。例えば、あなたがタオル用として使われるテリー織の布を製造しているとします。その場合に紙の色見本を用いてしまうと、正確な色の実現が難しくなります(テキスタイルカラーマネジメント)。素材によって、顔料、インク、染料への反応が異なるため、同じ素材でできた見本で色の判断を行うようにしましょう。これは製造業者にとってストレスになりやすいポイントです。
 
さらに、見本は汚れやシミ、色あせなどの影響が考えられますので、実物サンプル管理方法の徹底解説を参考に、正しくサンプルを管理するようにしましょう。
 
 
Judge QCライトブース
こちらの品質管理マネージャーは、Judge QCライトブースの中で、テキスタイルのサンプルを色の基準と照らし合わせて、異なる光の下でも正確な色が表現できるように細心の注意を払っています。
 

4. デバイスごとに異なって色を表示

 
電化製品の展示場や販売店を訪れたことがある人なら、並んでいるテレビそれぞれが、同じ画像なのに色を異なって表示していることに気づいたことはありませんか?このようにデバイスによって色が異なって表示されるのは大きな問題です。しかし、携帯、タブレットやパソコンの画面を使って色の決定を行う時に、多くの人はこの点を気にしていません。あなたのデジタルカメラは正しい色を撮影していますか?その写真のデータを送信したとしても、それを受け取った評価担当者は、正しい色が「見えている」のでしょうか?
 
 
色補正
写真データの転送は色を判断する上で決して最善の策ではありませんが、実物サンプルの共有が難しい場合には、使用するすべての端末の色補正を行うことが効果的です。
 

視覚だけを頼りに色を決めていませんか?

 
「素晴らしい色」の実現は終わることのない旅のようなものです。新たな素材や製造方法の登場で色の管理が複雑化していますが、一方で色管理のツールも進化しています。これらを使いこなして、正しい色に近づきましょう。
 

標準光源色彩測定ツールをすでにご利用されている場合には、あなたの旅路はもう少し先にまで進んでいることになります。今後のブログでは、より踏み込んだ内容をご紹介する予定です。どうぞお楽しみに!

17 3月

自社とサプライヤーの測定値は 一致していますか?


あなたとサプライヤーの測定値は一致していますか?
 
自社とサプライヤーの測定値は
一致していますか?
 
 測定値がサプライヤーの測定値と異なることがありますか?実は、こうしたお客様は多いのです。
 
 これは、解決しなければならない重要な問題です。もしあなたの測定値がサプライヤーのものと一致しない場合、「合格」であるべき材料を「不合格」としてしまうかもしれず、また「不合格」の材料を「合格」するかもしれません。結果的に、間違った色を作るために時間と労力と多くのお金を費やすことになってしまうのです。
 
 ブランドなどの指示者とサプライヤーの測定値が一致しない、最も一般的な5つの理由をここにまとめました。
 
 

1.異なるデバイス

 
 あなたとサプライヤーが異なるデバイスを使用して色を測定している場合、測定結果には多少のばらつきが出ます。異なるメーカー、異なるモデル、新しいデバイスか古いデバイスかでさえ、不一致を引き起こす原因になります。
 
例えば2台のコンピュータのように考えてください。同じオペレーティングシステムを使用している場合でも、その動作は少し異なると予想できると思います。
機器の反復性と再現性を調査することで、その機器が安定した結果を生み出すことができるかどうかを確認することが出来ます。
 
 球面を測定するなど、一貫したカラーデータを収集することが難しい測定箇所の場合も、測定値にズレが出る原因となります。場合によっては、同じアパチャー径を使用してそのズレを減らすことができますし、また、デバイス同士の測定値を近づけられるような変換をすることも解決策の一つです。
 
異なるデバイス
Ci64で塗料サンプルを読み取る様子
 
 理想的な状況は、サプライチェーンの全てにおいて同じタイプのデバイスを使用することです。機差を理解する(Understanding Inter-Instrument Agreement)のブログでは、機器の機差とは何か、モデル間機差や反復性とは何が違うのか、なぜこれらをカラーワークフローで考慮すべきなのかをご紹介しています。
 
 
デバイスの不十分なメンテナンス
 

2.デバイスの不十分なメンテナンス

 
 あなたとあなたのサプライヤーが同じ計測器を使用していても、正確で一貫した結果を得るには、双方のデバイスが最良の状態である必要があります。デバイスをカメラだと考えてみてください。レンズが汚れていても、クリアな画像を撮れるでしょうか?
 
 また、定期的にキャリブレーションを行い、デバイスを工場出荷時の設定に戻す必要があります。私たちは仕事を開始する度、少なくとも1日に1回はキャリブレーションすることをお勧めします。キャリブレーションを行わずに長時間使用すればするほど、デバイスは標準化された状態、またはキャリブレーションされた状態の値から離れていきます。
 
 定期的にメンテナンスを行い、校正証明を得ることは、あなたのデバイスが正しい状態で活用され、計測できているという最大の証明となります。
 もちろん、メンテナンスされ、キャリブレーションされ、校正証明を得たデバイスだとしても、サプライヤーも同じようにデバイスを管理していなければ、一貫した結果を得ることは出来ません。特に測定値が異なる問題に直面している際には、分光測色計をメンテナンスに出すことを躊躇してはいけません。病気になったときに、学位を証明できず、器具が清潔に維持されていないような医者に行くでしょうか?
 
 

3.異なる基準

 
 エラーを起こすもう一つの原因は、異なる基準を使用することです。あなたとサプライヤーは、合理的かつ実現可能で、望ましい結果を反映した明確な基準を持つべきです。双方の条件を考慮することが必要です。
 
 同様に、双方で測定方法が同じであるかを確認する必要があります。例えば、プラスチックサプライヤーがペレットホルダー内のペレットを測定しているのに、あなたがクイックメルトプロセスを使用してプラークを測定している場合などには、非常に異なる結果となってしまいます。
 
異なる基準
 
 テキスタイル印刷自動車塗料食品、化学薬品、包装プラスチックなどの多くの業界で、最も正確にカラーをコミュニケーションするために物理的なスタンダードを使用することはよくありますが、それら物理的スタンダードが適切に扱われていないと、ビジネスに大きな損害を与える可能性があります。 Ultimate Guide for Caring for Physical Samples (サンプル見本の取り扱いガイド) に従い、そしてそれをサプライヤーと必ず共有しましょう。
 

4.ヒューマンエラー

 
 特に大規模な工場では、人為的ミスは測定データが一致しない最大の原因の一つです。工程を確認し、明確で簡潔な手順を提示していくことは、不良データを防ぐ最善策の1つであり、ワークフローの反復性と再現性を向上させます。
 
 

5.間違ったコミュニケーション

 
 これまでに述べてきたこと既に全てが十分に確認されているのであれば、問題はあなたとサプライヤー間のコミュニケーションにあるかもしれません。すべての設定と潜在的限界について、双方がきちんとコミュニケーションすることで、測定値とデータ結果にどのような問題が起こっているのかを十分に理解することができるのです。
 
 1トンのプラスチックペレットを注文する時に一番避けたいことは、色の不良で到着したペレットを全て却下することです。製造業者にとって莫大な材料の損失が発生するだけでなく、あなたは生産オーダーを待たなければならず、あなたのビジネスにも損害を与えます。最初から明確な目標を設定するよりも、後ろに遡って作業することはずっと難しいことです。
 
 
あなたが話し合わなければならないことは
測色計モデル
測色計ジオメトリ
•アパチャーサイズ
•光源、オブザーバーとイルミナントテーブルの設定を含むデバイス設定(表5または表6は、比色分析で使用するためにCIEによって認定されています)
•基準となるバッキング(100%未満の不透明な素材はバッキングを基準化することが必要です)
•キャリブレーションのスケジュール
•工場のメンテナンスと校正証明
 
 
希望があります!
 測定の精度を確保するために、サプライヤーと話してください。その答えは長期的に見れば双方の時間とお金を節約になります。
 測定値の不一致の原因をまだ見つけることができない場合は、こちらにご連絡ください。当社は、問題を特定し、業界、ワークフロー、およびニーズに最適な解決策を見つけるための検査およびカラーマネジメントソリューションを提供しています。
17 3月

06_POL?

POLというのは濃度測定時に使用するフィルターで、Polarization Filterの略で偏光フィルターを意味します。
濃度測定の際にこのフィルターを使用した測定を行うことで有効な情報が得られる場合があります。
 
偏光フィルターは通常濃度測定のみに使用し色彩値測定(たとえばL*a*b*測定)には使用しません。
偏光フィルターの役割は測定する光の成分から表面反射の影響を除きます。 
ですから、印刷物測定の場合、色材内部からの反射のみを評価したい場合に使用します。 印刷された基材(用紙)上のインキフィルムの塗膜内にどれだけ色材が含まれているかを判断する場合に有効なのです。
 
偏光フィルターによる測定の仕組みは、たとえば、照明する光をあらかじめ特定の方向に直線偏光させておいてからサンプルに照明します。
そうしておいて、受光側では照明側の偏光とは直交ニコルの方向性を持つ偏光フィルターを通して受光します。
 
通常、印刷物の観察のモデルおよび測定器の受光モデルは、図-9のように表面からの反射光と色材内部(基材での散乱も含む)からの内部反射の2つの要素を同時に受光して評価しています。
表面反射はインキがぬれた状態のウエットの場合と、乾燥後のドライの状態では反射状態が大きく変化します。 乾いたアスファルトの道路に水を撒くとアスファルトが濃く見えるようになりますが、これは、アスファルトの表面が撒かれた水によってスムーズになるため、表面反射が正反射方向に集中することで目に受光される表面反射の光量が小さくなるために生じます。 一方、色材内部からの内部反射は乾燥の前後で大きな変化はありません。このため、インキフィルム塗膜内の色材量を特定するには表面反射を除去した内部反射のみの測定が都合が良いのです。
 
 
POLフィルターなしの照明と受光
図-9 POLフィルターなしの照明と受光
 
POLフィルターを使用した測定では図-10のように表面反射の成分は受光器前のPOLフィルターでカットされてしまいます。 これは表面反射の光の性質が照明光の性質と同じ*ため、直交ニコルに配置したPOLフィルターをすり抜けることができないためです。
 
 
POLフィルターを使用した照明と受光
図-10 POLフィルターを使用した照明と受光
 
* 一般的に光子自体は特定の偏りを持っているとされています。ただ原子が放出する1つの光子は〖10〗^(-8)秒程度なので次から次へと放出される光子で構成される一連の光では平均化されて特定の偏りがありません。
POL測定では、直線偏光子などを使用して特定方向に偏りを持たせた光を照明として用います。
 
表面反射における反射光の偏りは、照明光の偏りと完全に同じというわけではありません。
たとえば、入射光面内に偏った光は屈折光の角度と直角となるブルースター角では全く反射されないため、偏光後の照明光から表面反射される光の一部は失われてしまいます。しかしながら、そうであったとしても、表面反射からの光は受光器前のPOLフィルターでブロックされてしまうため、内部反射のみの特性を受光できるということに変わりはありません。
 
このようなPOLフィルターのもう1つの大きな特徴は、高濃度部における濃度と色材濃度(インキ膜厚)との線形性の改善にあります。高濃度部ににおいては表面反射の影響が大きくなります。
つまり,暗い部分では表面からの少しの反射光でも濃度値に大きな影響をもたらすのです。
このため図-11にあるようにPOLなしの測定では高濃度部で濃度が頭打になり線形性が悪くなります。
これに対してPOLを使用した測定では方面反射による不要な拡散光が受光されないため高濃度部においても比較的良好な線形性を確保できることになります。
 
 
高濃度部におけるPOLあり/なしによる線形性の違い
図-11 高濃度部におけるPOLあり/なしによる線形性の違い
 
POLフィルターを使用した測定は、濃度でインキ膜厚(色材濃度)を管理するには効果的な方法といえます。
このため、印刷機の壷管理用の測定に(特にウエット・オン・ウエットのオフセット枚葉印刷では)多く使用されています。
ただ、私たちの実際の見た目の濃度は表面反射を含んだものを観察しています。このため、見た目との相関性を重視した濃度測定ではPOLを使用しません。また、色彩値測定などではPOLを使用した測定値は使用されません。
(POLを使用した色彩値はISOの色彩値とは認められていません。)
 
濃度測定にPOLを使用すべきか、使用すべきでないかは状況によります。
印刷の生産品質管理としては使用する価値は十分にあると思います。
しかし、かならずしもPOLを使用しなければならないということは無いと思います。
POLを使用しない場合のウエット濃度の測定では,ウエット濃度とドライダウン後の色彩値(L*a*b*)との相関をあらかじめキチンととった上で自社基準濃度(ハウス・スタンダード)を設定しておくことが重要になります。
 
いずれにしても、POLを使用した濃度測定を使用するか、POLを使用しない濃度測定を使用するか、どちらかにキチンと決めて運用することが重要になります。
 
16 3月

中間色を「モニタで見た色」で印刷するには?-分光測色計が拓く次世代印刷-

「モニタで見た色と、印刷した色が違う」

こんなトラブルを経験したことはありませんか?

 

特に微妙な色合いである中間色については「印刷したらイメージが変わった」とガッカリする方が少なくありません。

 

マンガ同人誌の印刷で定評を得ている「有限会社猫のしっぽ」も、そんなトラブルに悩まされた企業のひとつです。

 

元々同人誌の製作側で、「自分達のニーズに合う印刷会社がない」と事業を立ち上げた同社。

顧客の求める仕上がりのために、Canonオンデマンド印刷機「imagePRESS C7000VP」、KOMORIオフセット印刷機「リスロンLS26」等の最新鋭機も導入してきました。

 

ただオフセット機・データ機それぞれで印刷を行うと、色合いに差が出てしまうことも。

またマンガ原稿では、グレイ・ブラウンといった中間色の使用が多いのも問題でした。

 

個人制作者の場合、色確認をCMYKではなくRGBのみで済ませる人が少なくありません。

結果、特に中間色について「作ったデータと違う!」と言われる--こんなクレームが増えてしまったのです。

 

この問題を解決すべく、同社は「JapanColor認証」を取得を決意。

認証には中間色測定が不可欠であるため、エックスライト社の最新型分光測色計『eXact』が導入されました。

 

中間色の複雑な色合いも、『eXact』なら数値としてカンタンに確認できます。

顧客にJapanColorによる色指示を依頼し、『eXact』で確認を行う--

この方式を採用したことで、「色合いが違う」というトラブルは殆ど見られなくなったのです。

 

また『eXact』によって複数機での仕上がり差が無くなり、より細かいニーズにも対応可能となりました。

例えば販売までに余裕がある時には、コストの安いオフセットを。

販売間近となったら、オンデマンドで追加依頼を…こんな注文も増加し続けています。

 

「モニタで見たままの色が出せる!」

「猫のしっぽ」の評判は、今やマンガ同人誌界隈で揺るぎないものとなっています。

eXact』がその評価を支えていると言っても、過言では無いでしょう。


ギャラリー
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