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色管理(カラーマネジメント)のプロ、エックスライトジャパンのblog

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色の管理

7 8月

ワークフロー全体において一貫した色を得るためのツール


ワークフロー全体において一貫した色を得る道は、長い旅路のようなものです。
 
数週間前、私は、カラーマネジメントプログラムを開始するときに皆さんが遭遇する最も一般的な落とし穴についてブログに書きました…
 
•間違った照明
•色の認識能力についての過信
•間違った色見本
•デバイスごとに異なる色表示
 
…そして、それらを克服するためのいくつかの安価なカラーツールをご紹介しました。
 
 
一貫した色を得る道
 
しかし、この旅はそこで終わりません。もし、何年も色をうまく管理してきたとしても、インク、染料、素材の進歩は新たな課題をもたらし、そして多くのブランドが求める色の許容範囲は、より厳しくなってきています。正しい色を得ることは、以前よりもはるかに困難です。
 
今日は、より一貫した色を得るための次のステップへ進むのに役立つ、より高度なツールをいくつか見ていきます。
 

照明のコントロール

 
 
照明のコントロール
 
家に帰ったら全く色が違って見えるものを買ったことがありますか?
 
ライティングブースを使用することで、さまざまな種類の光が見えにどのように影響するかを視覚的に評価することができます。また、さまざまな部品が組み立てられた後に、最終的な製品をカラーマッチングさせるためにも役立ちます。
多くの製造業者は、サプライヤーから材料を受け取るとすぐにその材料をカラー評価するため、ライティングブースを使用します。結局のところ、生産に入る前に色の問題を特定することは、とても費用対効果が高い方法です。
 
 
照明のコントロール
 
蛍光増白剤は、紙、プラスチック、およびテキスタイル業界において広く普及しています。 通常の照明条件下で見ると、これらのプラスチック部品は明るい白色に見えます。 しかし、ライティングブースのUV光の下で見ると、追加された蛍光増白剤の効果を見ることができます。通常の照明条件下で見た明るい白色はもはや、同じ色には見えません!
 
ライティングブースに投資しないことでお金を節約しているように思えるかもしれませんが、実際にはライティングブースを使用しないことで、長期的なコストはもっと多くかかってきます。X-Rite社のライティングブースには、光源の数から価格まで、非常に幅広いラインナップを取り揃えておりますので、お客様のニーズに合ったライティングブースがきっと見つかるはずです。
 

カラー測定機

ライティングブース色の管理において非常に重要な部分ですが、いくつかの制限があります。もし品質管理者が完璧な色覚を持っていない場合、ライティングブースが色の決定をするのに役立つことはほとんどありません。
 
 
照明のコントロール
 
私たちのオンラインカラーチャレンジは、あなたの色覚の鋭敏さを知る楽しい方法ですが、 色覚を確実に知る唯一の方法は、ファンズワース・マンセル100ヒューテストを受けることです。
 
カラー測定機の素晴らしい点の1つは、常に安定した結果を得られることです。測色計は人間のように、注意をそらされたり、疲労、年齢、色覚異常などに影響されることはありません。ブランドオーナーとデザイナーはカラー測定機を使用してカラーを指定し、伝達し、製造業者はそれらを使用して製造中のカラー精度をチェックします。
 
カラー測定機には、色彩計と分光測色計の2種類があります。
 
 
カラー測定機
 
0/45°分光測色計は、45度に固定された角度で反射した光を測定します。
これらは通常、滑らかな表面、または艶消しの表面の色を測定するために使用されます。
 
色彩計は人間の目のように色を3つのチャンネルで「見る」装置です。一部の業種にはこれで十分なデータを提供できますが、他の業種においては色彩計のみでは重要なカラーマッチングエラーを特定できない場合があります。
 
また、分光測色計も色を捕らえてカラー評価しますが、光を非常に狭い波長範囲にフィルタリングすることで動作し、その波長は光学装置を通って受信器に入り、分析されます。分光測色計を使用し、可視スペクトルによってサンプルの反応を読み取ることは、仕様、公式化、精査および品質管理のためのカラーデータを得るための最も正確な方法です。
 
分光測色計は、液体、プラスチック、紙、金属、布など、あらゆるものを測定することができます。 ライティングブースと同じように、精度や価格において幅広いラインナップ、さまざまなオプションをご用意しています。 X-Rite社は喜んであなたのニーズに合った最良のものを選ぶお手伝いをさせていただきます。
 

一貫した色を得る準備はできていますか?

以前、ブログ「もはや視覚評価だけでは十分ではない?」で共有したヒントに従い、そして、たとえ入門レベルであってもライティングブースやカラー測定デバイスを追加することで、あなたのワークフローにおける色の精度と一貫性は劇的に改善されます。
 
しかし、これで終わりではありません。はじめにお話しした通り、素晴らしい色を得る旅は依然進行中です。 次のブログでは、さらに次のレベルのカラーコントロール - 外観とバーチャルデザイン - についてお話しましょう。どうぞお楽しみに!
より詳しく知りたい方は ↓↓↓
エックスライトジャパン「Colorknowledge blog
「カラーのより良いコミュニケーション」、「カラーの活用」についてのセミナーや海外からの事例紹介などの情報を発信するブログです。


30 6月

なぜ印刷された色が違って見えるのか:計測の必要性

もし世界がパーフェクトな世界だったら、印刷機にインクを入れて印刷したとすれば、一貫した色が実現できるでしょう。しかし残念なことに、フレキソ印刷およびグラビア印刷作業は毎年、正しい色を得るためにインク、基材および印刷にかかる時間を無駄にしています。
 
 
カラー管理の8つの注意点
 
技術の進歩によって正確な色へ到達するのは容易になりましたが、色に影響する不確定要素は依然として存在します。このシリーズでは、色が違って印刷されしまうことの多くの理由を紹介していますが、今日のトピックでは、印刷のカラー管理の8つの注意点を掲載しています。
 

1 - 間違った機器の選択

私たちのeXact500シリーズ製品グループのような0°/ 45°のエックスライト 分光測色計は、印刷やパッケージング カラーマネジメントの分野で非常に人気があります。しかし、ポリまたはアルミフォイルのような反射材料やメタリックインクによる印刷の場合は、積分球分光測色計を使用する必要があります。
 
 
積分球分光測色計
 
反射面は、光沢の効果を受けて、実際のサンプルの色の見え方を変えてしまう可能性があるため、難しくなります。0°/ 45°分光光度計は、光沢を除外して測定するため、0°/ 45°でホイルを測定すると、本来の色とは違った値が得られてしまいます。ポータブル積分球分光測色計 Ci64のような積分球測色計を使用すれば、正反射を含めたり除外したりして測定できるので、人間の目に見える色と一致させることが出来ます。私たちのブログ「反射面を測定する効果的な方法」(英語)をご覧ください。
 

2 - キャリブレーションされていない、または故障した機器の使用

キャリブレーションが不十分な機器、特にうっかり落としてしまったような機器は、間違った値を示すことがあります。計測器が正しく読み取れない場合、またキャリブレーションを頻繁にしていない場合、その値をもとにしてカラーマネジメントソフトウェアが正しいとする色を作ったとしても、あるべき色と違ってしまう可能性があります。
 
 
定期的にキャリブレーションを行う
 
このよくある問題は、適切なデバイスメンテナンスで簡単に解決できます。少なくとも使用者が変わる前ごとに、定期的にキャリブレーションを行うことが大切です。計測器が正しくキャリブレーションされない場合、または測定値が実際の値とあまりに遠く離れている場合は、おそらくサービスの対象となります。私たちのブログ「分光測色計のお手入れ」(英語)では、私たちエックスライトのサービスや品質保証について説明しています。
 

3 - 間違った光源設定の選択

常に「サンプルを観察する光源」と「測定器の光源」を同じように設定することを忘れないでください。ほとんどの印刷施設は、D65/10°の正午の太陽光やD50 / 2 °の地平線の日光のもとで色をチェックしますが、時には前もって独自の許容範囲を指定されることもあります。印刷作業を開始する前にこれを確認してください。
 

4 - 適切なデルタEを設定する

Delta E CMCは1988年に開発されて以来最も人気がありましたが、現在はデルタE 2000がその役割を牽引しています。この新しい計算式は、カラーサンプルの測定に関してより寛容です。詳細については、エックスライトのブログ「許容ブログ」(英語)をご覧ください。 一部のワークフローでは、顧客によってデルタEの計算を切り替える必要があります。前印刷準備の忙しさの中で、忘れられてしまいがちなポイントです。
 

5 - バッキング(測定サンプルの下に敷くもの)を選ぶ

プリントサンプルを何の上に置くかは非常に重要です。多くのサンプルは完全に不透明ではないため、測定器は背景からもカラーデータをピックアップし、測定結果に影響を与えてしまいます。バッキングを使用すると、計測器は測定したいカラーデータのみを読み取ることができます。
ステンレススチールや木製のテーブルは良い背景ではありません。一貫した測定のためには、常に同じ黒または白のバッキングを使用してください。ISO認証バッキング材を購入することもできますが、ホームセンターでセラミックタイルを購入して使用するのも良いでしょう。ただし同じロットの色であることを確認するようにしてください。また、標準値の測定を印刷側で使用するのと同じバッキング材で測定することも忘れないでください。
 
 
カラー測定デバイス
 

6 - 手動によるL * a * b *値の入力

これもよく見られる問題です。印刷担当者へ色を測定したときの反射率データを含まないL * a * b *値を送ってしまうと、いくら印刷担当者が手動で標準のL * a * b *値を正しく入力しても、最終的な色が正しく出ない可能性があります。 カラー測定デバイスを使用してカラーマネジメントソフトウェアに標準を読み込み、.mifまたは.cxfファイルとしてエクスポートするのが最善の方法です。これらのファイルは、クライアントとの間で簡単にメールでやりとりすることができ、誰もが反射率データを含む同じ、デジタルの基準色から作業することを可能にします。
 

7 - 誤ったフィルタ(M0、M1、M2、M3)の使用

紙に含まれる蛍光増白剤を調整するために、ますます多くの印刷担当者が測定器をM1で設定しています。GRACOLを含む業界は、この設定を採用する方向に傾き始めています。もしあなたの印刷担当者が切り替えていない場合、一部の標準値がどちらか一方を使用して入力された可能性があることを理解することが重要です。これらのM設定に注意してオペレーションを行ってください。そして、この設定の切り替えを行うときには、多くの基準値を再入力する必要があるかもしれないことを覚えていてください。
 

8 - 異なる操作手順

これらの手順に従う印刷担当者が1人だけしかいなければ、色の一貫性は保てません。すべてを文書化し、ワークフローに関わる全員に伝える必要があります。標準的な運用手順書(SOPs)は、ロードマップを提供し、問題解決をサポートし、新入社員を訓練するのをはるかに容易にします。SOPsが適切に作成され、実行されれば、シフトやロケーションに関係なく、誰もが分光測色計を同じように操作できるようになります。
 

次回は

「なぜ印刷された色が違って見えるのか」第2部では、基準値とインクに関する問題についてお話しします。引き続きエックスライトのブログにご注目ください。
 


16 5月

卵を染めることから パッケージデザインについて学べること

私たちが知る必要のあるものはすべて幼稚園で学ぶと言われていますが、このフレーズは印刷担当者やパッケージ・デザイナーにとっても当てはまるでしょうか?
 
イースターは終わってしまいましたが、春に初心に立ち返り、卵を染めるという簡単な子供のアクティビティを通して、パッケージ・デザイナーと印刷会社が直面している最も複雑な色の問題を解決してみましょう。
 
 
複雑な色の問題
 
ここに、パッケージのカラーマネジメントにおける3つのレッスンがあります。
 

1.カラー印刷で黒が必要なのはなぜ?

 
シアン(青)、マゼンタ(赤)、イエローを混ぜれば、黒を含んだどんな色だって作ることができます。では、なぜプリンタにはCMYKというシアン(青)、マゼンタ(赤)、イエローに加えて、ブラックインク(黒)が必要なのでしょうか?
 
実験:
 
イエローのインクに同量のシアン、マゼンタのインクを加え、黒色のインクを作成します。
 
 
黒色のインク
 
そこに白い卵を入れ、20分間置きます。 卵は黒くなるでしょうか?
 
 
卵は黒くなるでしょうか?
 
結果:
 
 
減法混色の原色
 
赤、緑、青の加法原色を異なる組み合わせで混合すると、全ての色のスペクトルが作成されます。 2つの純粋な加法原色を組み合わせると、減法混色の原色が得られます。シアン、マゼンタ、イエローの減法混色の原色は、赤、緑、青の反対色です。
 
私たちが卵を染めたのと同様に、多くのプリンタでは、色の範囲を広げるためにシアン、マゼンタ、イエローを使用しています。白色の基材(紙など)に印刷すると、それぞれが白色光からのその反対色を完全に吸収または減法します。(Additive vs. Subtractive Color Modelsの記事で詳しく知ることができます)。
 
 
では、本当に卵を黒く染めたいなら、何をする必要があるのでしょう?
 
シアン、マゼンタ、イエローの染料をもっと多く使うこともできますし、4色目の色として黒を加えることもできます。減色印刷方法では、黒(または鍵=Keyを表すK)がCMYに追加され、4色印刷のCMYKが作成されます。黒は、それほど高価ではないうえに、画像やグラフィックスを中和するのに役立ち、陰影に濃度を加える重要な役割です。
 

2.基材(印刷の対象物)には色があります

 
あなたが完璧にデザインを指示したのに、印刷会社からプルーフを入手すると、色が正しくありません。何が起こったのでしょう?
 
実験:
 
色が豊富な美しい卵を、地元の農場で見つけました。
 
 
色が豊富な美しい卵
 
同じ色のインクで異なる色がどのように反応するかを見るため、純粋な赤いインクにそれぞれをちょうど4分間ずつ漬けてみます。
 
 
同じ色のインクで異なる色がどのように反応するか
 
全て同じ赤の色合いになったでしょうか?
 
 
オレンジ色または茶色の色調
 
結果:
 
背景の色は、染色された卵の最終的な色を決定する上で非常に重要な役割を果たします。赤色ではなく、それぞれがオレンジ色または茶色の色調になっています。
 
これはデザイナーとプリンタをいたるところで悩ませている、よく見落とされる問題です。 色を明示してインクを混色するときは、基材の色を考慮する必要があります。赤い染料、赤い印刷用のインクは、純粋な白い背景においてのみ赤く見えるのです。
 
私たちの実験から明らかに分かるように、同じインクの色を使用しても、基材の色がわずかに違うだけで、最終結果に大きく影響します。 特に、同じデザインを複数の基材に印刷する場合は、常にこれを考慮することが重要です。
 

3.カラーコミュニケーションは主観的なものです。

 
あなたがこれらの卵を染色して、「春の色」を表現したいとします。どのようにインクの色を設定すれば、あなたの「春の色」が再現できるでしょうか?
 
実験:
 
CAPSUREハンドヘルドカラーマッチングツールを使用して、明るい春の花/植物のカラー測定をし、それぞれに最も近いPantone Colorマッチを見つけます。
 
 
ハンドヘルドカラーマッチングツール
 
次に、そのカラーデータを使用して、黄色、オレンジ色、赤色を混ぜてインクを作り、卵を染めます。
 
 
明確なカラーのターゲットを設ける
 
出来ました。
 
ここから学べること:
 
デザイナーは、周囲の色からインスピレーションを受けて、印刷担当者が理解できないような主観的な言葉でプリンタに説明してしまいがちです。 「晴れやかな」、「桃色の」、「新鮮な」、「春っぽい」…などという色は、インク缶で見つかる色ではありません。明確なカラーのターゲットを設けないと、あなたの印刷担当者が作成する「春の色」は、あなたが思い描いた「春の色」ではなく、やり直し作業が必要になる可能性があります。
 
印刷担当者はターゲットを正しく理解していますか?分光濃度計光学濃度計色測定 価格Pantoneカラーブックマンセル表色系など、色を明確に特定する方法はたくさんあります。
 
もちろん、私たちは幼稚園で学ぶような方法よりも、正確な色を指定し、伝達し、印刷する色の管理の方法がはるかに多くあることを知っています。 しかし、時に基本に立ち返ることは、私たちがまだまだ多くのことを知る必要があることを理解するのに役立つのではないでしょうか。
16 5月

13_色彩値 等色関数:人の目をものさしに

今回は残りの2つの要素である②「色としての物体」と③「受光器としての目」をとりあげます。
 
②色としての物体
 
照明からの白色光はそのタイプによって分光分布に違いはあるものの、通常全ての可視域の光が十分な量含まれています。
物体はこれらの照明光に作用し波長選択的な吸収や散乱の後、反射もしくは透過による光として観測者に向けて光を再放出します。
たとえば, 図-26のように照射された照明光の波長は選択的に吸収・散乱され、その波長構成を変化させて反射もしくは透過することで着色することになります。
 
 
反射による影響
図-26 反射による影響
 
たとえば、赤いボールに照明が当たった場合、短波長側の照明成分はその多くが吸収によって熱に変化します。
一方、長波長成分は多くがそのまま反射され、結果として反射される波長構成が人に赤として知覚されることになります。
図-27では照明された光の各波長でのエネルギー量を100%とした場合、反射される光量が各波長で何%になるかを表しています。
 
 
物体による照明光のスペクトルの変化
図-27 物体による照明光のスペクトルの変化
 
このような物体が持つ反射の特性を分光反射率(透過物体の場合は分光透過率)と呼びます。
この分光反射率の特性こそが、その物体が持つ色の性質ということになります。
この性質は色の指紋のような意味を持ちます。(だからこそ、これの特性を測定するわけですが...)
残念ながら私たちの視覚はこの物質の色の特性の全てを捕えることができません。
私たちの目は、この特質が私たちの目に落とすを知覚しているにすぎないのです。
 
今日の分光測色計はこの色の指紋である分光反射率(正確には「分光反射率係数」←いつか説明します)をサンプリングによって測定します。
そして色彩値計算としてその特質が目に落とす影を計算して 色彩値として提示しているのです。
 
③受光器としての目
 
目による波長応答の特性もCIEによって標準化されています。
つまり、平均的な人の視覚の可視光に対する波長応答特性が数値として定義されています。
色彩値は個々の人間がどのように知覚しているかを云々しているのではありません。
色のコミュニケーションにとって個々の人の色の知覚量は意味がありません。
標準的な観測者がどのように知覚するかが重要になります。
幸運なことに、視覚という官能器官は正常な色覚を持つ人間では概ね同じような波長応答特性を持っていたようです。
このような幸運が色に関する視覚の標準化がうまく機能することになった要因だと言われています。
 
ではどのようにしてこの応答特性はモデル化されたのでしょうか?
もちろん生きた人間の目に電極のような端子を突き刺して実験することもできないわけです。
その代わりとしておこなわれた実験が等色実験と呼ばれるものです。
 
等色実験では図-26のように上下に並んだ2分視野によるマッチング実験として実施されました。
覆い用のスクリーンに開けた穴を通して上側と下側に提示した色をマッチングさせるという実験です。
 
 
物体による照明光のスペクトルの変化
図-28 等色実験
 
2分視野の片方にそれぞれの錐体を刺激するための原刺激の[R][G][B]*を用意します。
もう片方(図-28では下側)に目標の色光となる単色光(スペクトル光)を照射します。
この上下の色がマッチするよう[R][G][B]に用意されているボリュームでその光量を調節するという実験がおこなわれました。
各原刺激のボリュームは、それぞれ錐体内の3つの受光器に対する刺激量になっています。
人に知覚される全ての色は、単色光(スペクトル光)の加法混色で再現できるため各スペクトルと3つの受光器の刺激量の関係が判明すれば、この方法で全ての色に対する錐体の 応答特性が計算できるわけです。
 
この実験の際、目標色として使用された500nm付近の単色光(スペクトル光)はあまりにも鮮やか過ぎて、これら3つの原刺激の混色では等色することができませんでした。
そこで、原刺激の[R]を目標色(単色光)側に移動させ、単色光の鮮やかさを低下させることで等色を実現しました。
 
* 用いられた原刺激は[R][G][B]それぞれ700.0nm、546.1nm、435.8nmの単色光が用いられました。
 
 
鮮やかすぎる単色光への対応:等色実験
図-29 鮮やかすぎる単色光への対応:等色実験
 
このような実験を複数の被験者で実施した結果が図-30のようなCIERGB表色系の等色関数です。
 
 
RGB表色系の等色関数
図-30 RGB表色系の等色関数
 
もちろん、この応答特性は生理錐体の応答特性そのものではありません。
しかし、生理応答特性から線形変換で得られる応答特性だということができます。
 
つまり...少し長くなりますが...生理錐体の波長応答特性が仮にS、M、L(図-31参照)だとしましょう。(当時は分かっていませんでした。)
ある目標色が生理錐体のS,M,Lをそれぞれs、m、lだけ刺激していたとします。
さまざまな目標色に対して、このs、m、lが知りたいのです。
 
この目標色の刺激に等色するために[B]、[G]、[R]の原刺激をb、g、r使用したとします。
ここで使用した原刺激[B]はSの生理錐体だけでなく、MやLの生理錐体も刺激します。
しかし、原刺激[B]の波長は固定されているので、各S、M、Lを刺激する比率は常にS_b:m_b:l_bに固定されているはずです
同様に、原刺激[G]はS_g:m_g:l_gの比率で、原刺激[R]はS_r:m_r:l_rの比率で刺激します。
 
ということで、[S]を刺激する全ての量を合計するとs=[S_b×b]+[S_g×g]+〖[S〗_r×r]ということになります。
[M]では、m=[m_b×b]+[m_g×g]+〖[m〗_r×r] [L]では,l=[l_b×b]+[l_g×g]+〖[l〗_r×r] となり、結局、目標色のs、m、lは等色に使用した[B]、[G]、[R]の原刺激のb、g、rをそれぞれの比率による3x3の行列で変換することで線形的のに求めることができます。
 
つまりb、g、rで求めた応答特性b ̅(λ),g ̅(λ),r ̅(λ)は生理錐体[S]、[M]、[L]の応答特性s ̅(λ),m ̅(λ),l ̅(λ)にリニアな関係の応答特性になっているということです。
そして、いつでも3x3行列でs ̅(λ),m ̅(λ),l ̅(λ)に変換可能な応答特性だということができます。
ただ、この3x3の行列は当時は不明であったということです。
 
 
 
生理錐体の応答特性:smlとリニアな関係のgbr
図-31 生理錐体の応答特性:smlとリニアな関係のgbr
 
ということで、無事、標準的な人の錐体(に線形な)の応答特性CIERGB表色系の等色関数が求められたわけです。
 
話がだんだんややこしくなってきたので「受光器としての目」の残りの部分は次回に回します。
 
 
16 5月

12_色彩値に影響する3つの要素

色彩値のL*a*b*は数値で指定できる色空間を構成すると申し上げましたが、今回から、それらの数値がどのように求められているかを説明していきたいと思います。
物体の色を知覚するには光が照明されていなければなりません。真っ暗な部屋では何も見えませんから、これは当然のことかと思います。物体はこの照明光を反射もしくは透過する際に照明光の一部の成分を選択的に吸収したり散乱したりします。
私たちはこの効果を目で捕えて色として知覚します。
 
ということで、色を数値化するにあたって色そのものだけでなく図-22のように照明と受光器としての目(そして脳での知覚処理も一部)を考慮に入れて数値化されています。
 
 
色彩値の決定に寄与する3つの要素
図-22色彩値の決定に寄与する3つの要素
 
これら3つの要素①照明、②色としての物体、③受光器としての目を繰り込んで色彩値を決定します。
ただし、色彩値としては物体の色を評価したいわけなので、①照明と③受光器としての目に関しては標準的なモデルを使用します。
つまり、色の色彩値をコミュニケーションする上で、ある特殊な状況の照明や特定の観察者の知覚における色を数値化してもあまり利用価値が無いためです。①照明と③受光器としての目の標準的なモデルはCIE(国際照明委員会)によって定義されています。 一方、②の色としての物体は測色計で測定することで求められます。
 
色彩値は最終的には3つの数値に集約されます。なぜなら人の目の受光器(錐体)が3つのタイプしかないためです。
 
私たちは光=可視光域の連続する電磁波=連続する波長(スペクトル)から構成されものを 3つのタイプの錐体で集約した結果を色として知覚します。
このシステムをモデル化するには、連続する可視光の波長域を3つの値に集約するモデルを構築する必要があります。
 
そこで、①照明、②色としての物体、③受光器としての目の波長に関する特性を1つずつ概観していくことにします。
 
①照明 CIEで定義されている標準的な照明のタイプがいくつか用意されています。
標準イルミナントとしてはD65とAの2つが定義されています。
定義というのは各波長における光の相対エネルギー分布が数値化されているということで、D65では図-23、Aでは図―24のような分光分布として数値として定義されています。
 
D65は6504Kの相対色温度を持つデイライト(昼光)の代表的なモデルとして、Aは2856Kの色温度を持つタングステン光の代表的なモデルとして定義されています。
 
 
イルミナントD65の分光分布
図-23イルミナントD65の分光分布
 
 
イルミナントD65の分光分布
図-24イルミナントAの分光分布
 
このほかにもD50、D65、D75やF1~F12がこれを補う照明タイプとして分光分布が数値として定義されています。
DXXXは昼光をFXXは蛍光灯の照明をモデル化したものを意味します。
蛍光灯にさまざまなタイプがあるためタイプに応じてさまざまなモデルを用意しています。
図-25にF1~F12 のタイプを示します。
 
 
イルミナントD65の分光分布
図-25 イルミナントFのタイプ
 
このようにモデル化され、波長における相対エネルギー分布が数値定義されたものを「イルミナント」と呼びます。
数値化された「標準の光」という意味ですが、可視光よりも広い波長域を定義しているため狭義の光には当たらないとして「イルミナント」と呼ばれています。
 
イルミナントはモデル化された光なので現実には存在しない場合もあります。
たとえば、昼光をあらわすDXXXというイルミナントは世界中のいくつかのポイントで測定された昼光の平均値を使用して定義されており、これを実現する現実の照明は存在しません。
ですから、良くイルミナントD50の標準光源xというような表現をしますが、正確にはイルミナントD50のデイライトシミュレーター(常用光源) ということでキッチリD50を実現した光というのはありません。
 
現在、多くの生活環境の中でLEDによる光が利用され、エネルギー効率の面からも主な照明光として急速に普及しつつあります。
しかしながら、このLEDによるイルミナントは2017年3月の現時点では未だCIEで定義されていません。
標準的なLEDの分光分布というものが確定しにくい現実があるのかもしれませんが、市場からは早急な対応が望まれています。
おそらく、もうそろそろ規格化されるのではないでしょうか...
色彩値の数値を決定する際には①照明の要素として、このイルミナントの中から1つを選んでその分光分布を色彩値の数値計算に使用することになります。
 
次回に残りの2つの要素を解説したいと思います。
 
 
ギャラリー
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