「こんにちは、お邪魔してます」

日曜日の昼下がり、唐突にそれはいた。
俺が目を覚ますと(昼まで寝てた)目の前にいたそれは、全身真っ黒で頭にヤギを思わせる巻き角、
背中には蝙蝠を模した羽があり、腰からはぶっとい尻尾を生やした筋骨隆々の大男だ。

起き抜けに違和感を感じた俺は、その疑問を口にしてみた。

「デジャビュじゃないよな?」
「はい、お久しぶりです」


彼は以前、俺に入会を勧めた悪魔の拡張員だ。
「で、今日は何の用?」
「はい、あなた会員になってから今まで、まだ一度もサービスを受けてないじゃないですか」
「そーだっけ?」
「結構いらっしゃるんですよ。せっかく入会したのに、サービスの受け方がわからず、何もされていない方は」
「ふーん。じゃ、女の子に変身してチンポしゃ「そこで!!」

遮られた。

「今日はわたしがサービスのご案内に来た次第です」
「あそ」

幽霊会員のことなんざ、ほっときゃいいのに。
律儀すぎて、わざわざ自分で仕事を増やしちゃうタイプだな。
ご苦労さんなこった。

それともノルマでもあるんかね。

「サービスって、お金かかるの?」
有料か無料か。
基本的な疑問だ。
そこははっきりさせとかないとな。

「いえ、代金はいただきませんので、そこはご安心を・・・なんて顔してるんですか」

胡散臭い。
顔に出てしまったのだろう。
悪魔がわざわざ会員集めてまでボランティアするのか?
信じられん。何か企んでんじゃないの?

「我々悪魔は、人間社会のシステムとはかけ離れたところにいます。いわゆる通貨等をいただいたところで、なんの得にもならないんですよ」
「じゃ、やっぱり取るのは魂か?」
「願い事を叶える度に魂を取っていたら、この世から人間がいなくなってしまいますよ。ご心配なく、その他のところで我々にもメリットがございますので」
「ふーん」
よくわかんないけど、懐が痛まないならありがたいかな。

「まず、基本的に我々が提供できるサービスは、『快楽』です」
「かいらく?」
「はい、そうです。
物欲も満たすことはできますが、かなり制限されます」
「ふーん、じゃチン「ですので!今日はこの方を紹介しにきました」

「はーい、初めましてン」
いきなり後ろから抱きつかれた。
むにゅっと胸の当たる感触がする。

そちらを見ると、妖艶なムチムチ女がいた。
肌は青白く、頭に2本の小さい角、お尻に先が尖った尻尾が生えていて、面積の少ないボンテージを着ている。
「・・・だれ、このおばさん」
「ま!」
「淫魔さんです。
ええ、確かに彼女はあなたより相当長く生きてますけどね」
「この人が俺に快楽を与えてくれんの?」
「はい」
「よろしくねン」
「・・・俺はロリコンだぞ?」
「はい、ですので、まずはそこから治しませんと。
あなた、おそらく大人の女性の良さを知らないんだと思います」
「余計なお世話だ」
「ですので、彼女にお手伝いをお願いしました」
「あたしがチンコ握ったら、アンタなんかみこすり半よン」
「意味がわからん。つーか、なんでわざわざロリコンを治さなきゃならんのだ」
「この先、ロリコンが生きていくには辛すぎる世の中ですよ?」
「大きなお世話だ」
「ね、あたしが直接搾り取っていいの?」
「彼がそれを望むのでしたら。
でもまあ、違うフェチに目覚めてしまいそうですので、ノーマルなところから入りましょう」
「あら残念」
「勝手に話を進めるな」
「まあまあ、これから気持ちいいことするんですから、ここは彼女にまかせてみませんか?」

ふと気づくと、その彼女がいなかった。
どこかへ行ったのか?

コンコン

そのとき、ドアを叩く音がした。
「ん、誰だ?」
「では、わたしは消えますので」

そう言ってヤツも消えた。
俺は玄関に出る。
「はい、どちらさん?」

そこにいたのは女の子だ。
肩くらいまでのストレートな髪。
丸顔で赤いフレームのファッションメガネを掛けている。
背は低く、俺の胸の高さくらいまでしかない。

「こんにちは、あたしとしませんか?」
「は?」
言うなり、女はブーツを脱いで部屋に入ってきた。
俺の股間を掴んで、布団まで引っ張っていく。

「ちょ」
布団に押し倒され、女は俺の上に乗りかかってくる。
髪からはいい匂いがした。

「ちょっと、あんた誰?」
「いいからしましょうよ」
そう言って女は股間を擦り付けてきた。

「ちょっと淫魔さん、やり方がテキトーすぎますよ」
「え?」
「やン」
いつのまにかヤツが姿を現していた。

「だってガマンできなかったんだもン」
「え、この子、淫魔が変身した姿なの?」
童顔だ。わりと好みではある。
でも、できればもうちょっと幼めにして欲しかったかな。

「ううん、違うよ。その辺にいた人の体を借りたの」
「淫魔さんは人に取り憑いて、淫らな気持ちにさせるのが得意なんです」
「ふーん」
「まあいいや、バレちゃったんだし、あらためてさっきの続きをしましょ」
「あ、じゃあわたしは席を外します」

ヤツが消え、彼女はいそいそと服を脱ぎだした。
全裸になり、俺の股間を握ってくる。

「なによ勃ってないじゃない。失礼ね」
「そりゃ、おばさん相手じゃ勃つもんも勃たんわ」
「しょーがないなぁ・・・」
彼女は立ち上がって、箪笥を漁りだした。

ごそごそ

「じゃ、コレ」
メイド服を見つけて引っ張り出す。
そしてそれに着替えた。

「どう?」

ぴくん

俺の股間が反応した。
どうやらアリらしい。

「んふ」
彼女がキスをしてきた。
舌を突っ込まれて口の中を占領される。
その途端、体が火照り股間もズドンと膨らんだ。

「あたしの唾液は媚薬なんです」
パンツを脱がされ、握られる。

シュッシュッ

サテンの手袋の感触が心地よい。
「いかがですか、ご主人様・・・」
「ん・・・なかなか、いい・・・な」
「ありがとうございます」

ぱく
むぐむぐ

今度は口で咥えてきた。
舌の使い方が絶妙で、一気にボルテージが上がる。
「あぅ・・・」
「ふふ、まだイっちゃダメですよ」

そう言って、彼女は俺の上に跨ってきた。
胸を俺の顔に押し付けてくる。
柔らかい。

間近で見ると2つ、服の上から突起が出ていた。
俺はこんなイヤらしい服を買った覚えはないぞ。

その突起に噛み付く。
「ああっ、はぐ、ぅ・・・」

彼女は、両手で俺の頭を抱き、胸を押し付け、腰はチンコの上で擦りつけをしている。
「は・・・はぁ、あ・・・は・・・も、ガマンでき・・・」

彼女は立ち上がり、スカートを捲り上げて、自分の股間を見せてくる。
「ほら、あたしのココ、こんなになっちゃいました」

指で広げると、中はトロトロに濡れていた。
「ご主人様のが欲しいんです・・・淫らなわたしをお許しください」

腰を落とす。
俺の先端が、彼女の股間に触れた。

つぷ

先っちょを咥え込み、ゆっくりと降りてくる。
「ん、ふ・・・ぁ・・・ぅく、・・・んんん」

ずぶずぶ・・・

「は・・・はぁ、ん、い、いい、わ・・・」
顔を淫らに歪めて彼女は言った。

俺も、彼女の中に入っていく感触を愉しむ。
中は暖かくてぬるぬるしていた。
挿入するのって、気持ちいいな。

彼女は腰を振る。
俺もそれに合わせて突き上げる。

チャ・・・ブ、グチュ・・・ニチッ・・・ヌチャ・・・

「はぁ、ん・・・ふ・・・ぅん」
「ん・・・ん・・・く、そろそろ、いく、ぞ」
「ぁは、は、きて・・・あた、あたしも、ん・・・は、ぁああああ!」
「うう!」

どくどく

同時に果てた。
彼女が俺にもたれ掛かってくる。
「はあはあ、どう、気持ちよかった?」
「ああ・・・よかった・・・」

彼女はニコっと笑うと、こう言った。
「じゃ、今度はあなたが女の子をやってみない?」
「え?」
「交代〜」

彼女がそういった途端、例のあの感覚がした。
めまいに似た浮遊感。
そして暗転。

気づくと、目の前に俺がいた。

「おおお!?」
自分の体を見ると、そこには膨らんだ胸。
丸い尻。
綺麗な肌。

俺は女になっていた。

「じゃ、第2ラウンド〜」
俺が俺の腕を掴んで引き寄せる。

「あ、ちょっとまっ・・・」
声も女の声だ。

「あ、あぅ・・・は・・・」
服を脱がされ、胸を揉まれる。
乳首がコリコリしてた。

ぱく
口に含まれる。
舌で転がされると、ぞくぞくとした感触が体中を駆け巡る。
これだけでも気持ちいい。

「ぅぁ・・・ぁ・・・ぁゃ・・・っ」
股間が熱い。
じんわり濡れてきているのが、自分でもわかった。
何かが欲しくなる。

「んっ」
すると指がきて、溝に沿って撫でられた。

「ふふ、濡れてきてるわね。
他人の体だけど、感じるでしょ。
体を貸してくれた子に感謝しなくちゃ」

ぴちゃ・・・ちゃ・・・ちゅば・・・じゅる・・・

「あう、ぅ・・・ふ、ふ、・・・う・・・」
股間を指で広げられ、舌を入れられる。
そのまま嘗め回してきた。

「どう?気持ちいいでしょ、女の子のココ」
「あ・・・か、・・・ぁ、はぅ、ぅぅ・・・ん・・・」
返事もままならない。
女って、こんなに気持ちいいのか。

「ぁ、ぁ・・・あ!あ!ああ!!」
「んふふー、ココはねー、敏感ちゃんなのよン」
強い刺激がきた。
ヒリヒリとした感覚に近い。
おそらくクリトリスだ。

「あ・・・ぐ・・・」
小刻みに震え、動くことができなかった。
動くと、さらに強い刺激がきてしまうかもしれない。

「いっぱいおツユが出てるわねン。あたしもガマンできなくなってきちゃったわ」
「は・・・ぁはぁはぁ・・」

腰を掴まれ、股を広げられる。
愛撫する手が離れ、しばし小休止かと思われたとき、何かが触れた。

そして、入ってくる。

ず・・・ず、ぶずぶ・・・

「あ・・・すごい、キモチいいわン」
「あ!・・・あ、あ!!」
異物が体を突き刺している。
男が知らない、女だけの感覚だ。

「あ、あ、そんなに・・・締め付け・・・ないで、ン」
「う、う・・・ぅあ、ぐ・・・」
肉壁と肉壁が擦れる感触。
気持ちいい。
意識が飛んでしまいそうだ。

ずるり

「ふふ、気持ちいいのね、カワイイわン」
腰が急に軽くなる。
どうやら抜かれたようだ。

「は・・・はっ・・・」
「もう一度いくよ」
そしてまた入ってくる。

ずぶずぶずぶぅ

「あ!あ!あ!」
再び強い感覚が襲ってきた。

「まだまだ」
再度、出し入れ。

「あ!あ!らぇ・・・ふぁ、い・・・んぅ、あ、あああああ!!」


天井が見える。
見覚えのある天井だ。

つーか、俺の部屋の天井だ。

「あ、お気づきになりましたか」
「ん・・・」
俺は身を起こす。
自分の体を見ると、元に戻っていた。

「ごめんなさいねン、ちょっと媚薬が効きすぎたみたい」
「いかがでした?」
「ああ、よかった」
「んふ、満足してもらえて、あたしも嬉しいわン」
「ご満足いただけたようで、今後ともご贔屓に」
「ああ」
「これ、携帯の番号です。直接わたしにかかりますので、何かご用がありましたらどうぞ」
「あ、あたしもあたしも」

二人分の電話番号を受け取った。
「つーか、電話で連絡とんの?」
「ええ、便利ですので」

意外というか、意表をつかれたというか。
悪魔も携帯電話なんか持ってんだ・・・。

まあ、気持ちよかったし、また近いうちにお世話になろうかな。