June 22, 2009

カタコイ〜片恋〜(切な系!大学生現パロ:鉢←久々)







(呼吸が、苦しい)
(息をするのも、苦しい)
(恋愛って、こんなに苦しかったっけ…)









俺は、とことん恋愛をするのが下手らしい。不幸恋愛体質─────大袈裟かもしれないけど、そんな感じだ。
いつも報われない恋ばかりを重ねてしまう。それが、他に好きな人が居る奴だったり、絶対俺を好きにならないような奴を好きになる。しかも決まって、同じ男。ほら、この時点で不毛だろう?
男子高時代に、一つ年上の先輩と付き合った。好きで、好きで仕方なかった。幼いながらも全身で、人を愛した。でも、先輩の卒業と同時に二人の関係は無惨にも砕け散った。密閉された男子だけという環境から一足先に抜け出した先輩は、現実に目を覚ましたみたいだった。




『兵助の事は嫌いじゃないけど…“普通”の恋愛がしたいんだ。ごめん』


これが最後の言葉だった。俺の心はこれ以上傷つきたくない─────本気になった分だけ深く傷つくのは自分だって分かってしまった。
それから、自己防衛本能が働いて人を好きになる事が出来なくなった。それはそれで、とても苦しい事だ。生活から輝きは無くなって、単調なサイクルを繰り返すだけ。最後の高校生活は、無色の世界だった。勉強に逃げて、屈折した世界から抜け出すべく華やかな大学生活を夢見てがむしゃらになった。そして、有名大学入学への切符を勝ち取り、新たな生活をスタートした訳なんだけど─────やっぱり、俺はとことん不幸恋愛体質のようだ…何年たっても変わらずに。


***




「へいすけー聞いてるかー?」
「あぁ、聞いてるって」



学生向けのリーズナブルさが売りの居酒屋。
だけど、目の前のビールに余り手が伸びない。ジョッキを滴り落ちる水滴をボーっとしながら眺めるだけ。だが、隣り合って座っている奴は違う。
大学のゼミで知り合った鉢屋三郎という男。何故か不思議と気が合った。最初はゼミの前に一言二言会話するだけだった。でも、ゼミの飲み会で親しくなってからは、個人的に遊んだりするようになった。買い物に行ったり、映画を見たり。お互いに映画の趣味は違うから、良い刺激になる。
今日も映画の後、二人で飲みに行った。


趣味も合う、何より三郎の隣は凄く居心地が良い─────やっと好きになれる奴かも、と最近思い始めた。でも…今日、気付いてしまった。鉢屋の右手の薬指にシンプルな指輪が嵌っているのを。いつもはしていないのに、何で今日に限ってしているんだろう。突きつけられた現実が重くて、酔ってもないのに頭がぐわんぐわん揺れている。





「なぁ、三郎」
「んあ?何?」
「お前さ…彼女とか居るの?何時もしてない指輪とかしてるから気になったんだけどさ」


言い訳がましくなっていないだろうか…軽い感じになるように聞いてみた。もしかしたら、唯のファッションかもしれない─────そんな一縷の望みに願いをかけて。でも、現実は甘くなかった。




「あぁ…これか。一応付き合ってる奴とペアなんだけどさ、そいつ男なんだよね」
「ふーん、そうなんだ…」
「俺とソイツともう一人仲良いダチが居るんだけどさ…昔から仲良かったからこんな関係も当たり前に思ってるけど、普通じゃないんだよな…幻滅、したか?」
「いや…三郎は誰と付き合おうが三郎だろう。そんなの関係ないよ」
「…良かった、これで兵助に嫌われらショックだった。ありがとな…今度、一緒に会ってくれるか?」
「勿論」
「アイツ等も喜ぶよ。テスト終わったら四人で飯でも行こうな」


乾杯しようぜ、と嬉しそうにジョッキを傾けてくる三郎が憎くて愛しい。ちゃんと笑えているか怪しい笑みを浮かべながら、嵩の減らないジョッキを同じように傾けてカチンと小気味良い音を鳴らした。






「正直さ、不安だったんだよ…兵助に拒否られんじゃねーかって」
「そんな事しないさ」
「うん、そう思ってたけど…すげー安心した」


コツンと俺の肩に凭れてくる三郎。肩から三郎の熱が、俺の身体を巡っていく。熱に侵される感覚が、切なさを一層引き立たせる。俺のものにならない、三郎の身体。こうやって、触れ合う事しか出来ない三郎の身体。そう思ったら、胸がジクジクと痛んだ。


─────何となく、分かっていた。分かっていて、好きになった。別に両思いを望んだ訳じゃない。言い訳がましいけど、本心なんだ。
ただ、隣に居たい。自分の居場所が欲しかった。その、好意と紙一重な曖昧な感情が‘恋情’に変わってしまった。
そして、一人でぐるぐると悩んで苦しむ────愚か者の恋、まさに俺にぴったりの言葉だ。
三郎の恋人から奪う気も、どうしようとも思わない。ただ、純粋に好きで触れたいと思うだけ。でもそれは、抱いてはいけない感情。その感情に、溺れそうだ─────







安堵からか、俺に凭れながらすうすうと寝息を立てる三郎。
寝ているのをいい事に、こっそり一粒だけ涙を零した。



(その後に飲んだビールの味は、少ししょっぱかった)

***

カタコイ→フタコイと続きます(多分)
次は竹久々、幸せな恋愛をするのが怖い久々知が竹谷と出会ってどう変わるのでしょうか…



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June 18, 2009

柔らかな指先(甘々タカ久々)






「あ、」
「…ん?どうしたの兵助くん」
「ほら、ここ擦りむいてる」



埃臭い匂いが充満した火薬倉庫。外の世界から遮断されたようなこの空間には、僕と兵助くんが呼吸する音だけが支配している。
そんな図らずも二人きりという委員会の仕事中、ずらっと並んだ火薬に視線を向けていた兵助が、フッと顔の向きを変えた。彼の射抜くような視線は、僕の腕の傷に。そして、触れる。
緩やかな振動で、皮膚の上をなぞる兵助君の指先。それは、欲情を齎すものでは無いけれど、温かい体温の兵助に触れられるだけで胸の内側からほっこり包まれるような心地良さと温もりに満ちていくのが…たまらなく幸せ。
思わず(幸せ過ぎて)笑ってしまえば、兵助くんの眉間に皺が寄る。忍たる者として、怪我をこしらえて笑っているようじゃ自覚が足りないと怒ったのかな。
でも、僕にとって傷付く事も死ぬ事も怖くない。(死ぬ、という事が非現実的過ぎて実感が湧かないってのもあるんだけど)
僕が怖いのは─────兵助くんに嫌われる事。兵助くんの居ない世界に取り残される事。この二つが、僕にとって魔物より死ぬ事より恐ろしい。





「タカ丸さん、あのさ…もっと自覚持ってよ」
「うん、ごめんね。忍者になろうてしてる奴が簡単に傷作ってヘラヘラしてちゃ駄目だよね」
「違う…!そうじゃなくて」



兵助くんが首を振ると、艶やかな黒髪がふわりと揺れる。波を描くようなそれは、口付けしたくなる程に魅力的。
兵助くんが好きな仕草────指先で髪を梳く事をしても、兵助の表情は冴えない。寧ろ、曇っていく。もしかして、僕の事が呆れて嫌いになったのかな………そうだったら、かっこ悪いけど、泣いてしまうかもしれない。







「────心配だし嫌なんだ。タカ丸さんが傷つくの。だから、俺が心配してるって自覚…持ってよ」



兵助君は僕を幸せにする天才だと思った。彼の一言で、僕はいくらでも強くなれる気がする。そして、僕は僕のやり方で彼を守りたいと思った。






兵助くんへ“ありがとう”の気持ちを込めて、とびきり甘い口付けを一つ捧げよう。




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May 18, 2009

丸の内シャングリラ(現パロ!電車シリーズ)




─4─











(馬鹿、単細胞。鼻の下を伸ばしやがって)


大学の知り合いの奴に誘われて参加した飲み会。只の飲み会かと思いきや、合コンだった…というのは良くある話だろう。
男女入り混じって、くだらない話で馬鹿騒ぎをする────女達は媚びた笑みと、さり気ない密着で男達に欲望の火種を撒き散らし、馬鹿な男は素手でその業火に触れてしまい、少しの痛みと引き換えに快感を得るのだろう。それが、男女の駆け引きだ─────煽り、煽られる。
微妙な匙加減で、今晩ベッドを共にする子が変わる。だから誰もが平然とした笑みの下で、必死に欲望を押し隠している。
生憎、自分はそういったモノに興味が薄い。というより寧ろ、ある特定の相手に全ての感情を注ぎ込んでいるから、それ意外に関しては本当に淡白だ。
今も谷間を見せつけんばかりとすり寄ってくる化粧の濃い女には全く興味が無い。自分がどうすれば可愛く見えるのか分かっているという仕草で胸を押し付けられても、正直暑苦しささえ感じる。否、暑苦しさで言えばアイツの方が断然上か。






「やだー!潮江くんったらー!もっと飲んじゃいなよ!」
「は、はぁ…」


テンションの高い女を前に、どう対応して良いのか分からずにたじろぐアイツ。露出の激しい服からは胸がはみ出しそうだ。その膨らみを腕に押し付けられて、顔を茹で蛸のように赤くしている─────とことん立ち回りの下手な男だ。
そんな姿を見ていても、全く面白くない。ここに食満か小平太でも居れば、面白おかしく笑いのネタにでもされるんだろうが…生憎、俺はそこまで心は広くない。目の前で恋人が狙われているのに、指をくわえて見ているだけなんて苛々が募るだけだ。嗚呼、流石に我慢の限界だ。







「すまない…酔いが回ったかも」
「えー!立花君大丈夫?」
「あぁ、ただ今日は先に失礼させて貰っても良いか…」
「そりゃ全然良いけどよ、一人で大丈夫か?」
「文次郎を付き添わせるさ。お前達に迷惑はかけないから」


大学の友人にそう告げれば、労いの言葉を掛けられる。残念そうな視線を向けてくる女達へは繕った笑みとおざなりの謝罪を述べて居酒屋から出ていくが─────二人分の鞄を持ちながら、私を支える“フリ”をしている文次郎には嘘がやっぱりバレているようだ。訝しげな視線に射抜かれる。
店から出て普通に歩き始めたと同時に、尖り気味の声が鼓膜を揺する。







「おい、何で嘘ついたんだ?」
「そんなの、あんな空間に居たくないからに決まっているだろう。文次郎だって困ってただろうが」
「だ、だがアイツ等だけ残して悪くないのか…」
「愚問だな、アイツ等は敵が減って万々歳だろうが。敵は少ないに限るからな」




──────相変わらず愚鈍な奴だ。だが、そこが良い。大人の厭らしさに染まり始めた自分とは違い、平然と嘘を吐く事にも、薄笑いの笑みを浮かべる事も知らない─────汚れを知らない、ありのままの存在である文次郎が自分からすると逆に眩しくさえ思える。それが羨ましくて、愛しい。






「ところで、せっかくだし二人で家に帰ったら飲み直さないか?」
「そうだな…飲んだ気もしないしな」
「じゃあ早く帰ろう。ほら早くおぶって駅まで連れて行け!」
「ちょっ…酔っ払いぶら下がるな重い重い!」





二人並び、丸の内線が走る最寄り駅を目指して歩く。電車の中でバレないように手でも繋いでみようか…きっと文次郎は焦った顔をするだろう。
そんな表情を想像して、思わずクスリと笑みを漏らした。


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甘色旋律(女体化&裏注意!!現パロ鉢久々♀)

久々にエロス的なお話の更新です(…)久々過ぎて、書き方を忘れましたΣ(゚д゚;)
すみません…リハビリ頑張ります。


!!Attention!!
・裏描写アリの為、R-18
・久々知女体化
・甘々な鉢久々


以上を踏まえた上でコチラよりご覧下さい。




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May 08, 2009

丸の内シャングリラ(現パロ!電車シリーズ)




─3─





一昨日は、好き。
昨日は、大好き。
────じゃあ、今日の好きはどれ位なのかな?



(溢れんばかりの愛をキミに!)















(あー…疲れたよもう)


午後8時、丸の内線。
くたびれた大人で一杯の電車は、どの人からも疲労の色が滲み出ている。
今年から薬剤師として、小さな町医者に隣接した薬局で勤務を始めた僕は、馴れない仕事と気疲れでクタクタの身体を引きずるようにして電車に乗り込んだ。
身体から微かに香る何種類もの薬の匂い。僕はそれが嫌いじゃないし、寧ろ誇らしい。
何度も挫折して、何度も諦めようとして、何度も自分の出来なさ加減に打ちひしがれて…でも捨てる事の出来なかった、夢。
合法的に薬を扱う資格を得る事が出来た時は、本当に嬉しかった。それまでの道のりは決して平坦では無かったけど、今となってはそれも良い思い出になっている。
そもそも、僕一人の力では資格なんて取れなかったと思う。いつも隣で、時に励まし時に叱り、共に苦楽を乗り越えたパートナーが居たから。そう、パートナーであり恋人である留三郎の存在があってこそ、今の僕が居る。
難しい過去問を解き終えた時にご褒美だ、と大きくて暖かい手のひらで頭を撫でられると幸せでとけそうになる。僕にとって、留三郎の手は魔法の手なんだ─────








(もし、これで出会えたら運命感じちゃうかも)


今日は早めに仕事をあがれたから、留三郎が勤務を始めた商社のある大手町まで足を延ばしてみた。勿論、彼には何も連絡していない。
本当に気紛れで来てみた。会えなかったら会えなかったで、そのまま二人で暮らす家に戻るだけ────仕方ないね、と少し残念に思いながら。
ボーっとしていたらいつの間にか次の駅が大手町だ。目を凝らしてじっとドアからホームの方へ見詰める。沢山の人波が、高速スピードで視界から流れていく。やっぱり、見ただけじゃ全然分からなかった。





(ハハ…やっぱり無理だったか)


諦めて、手摺りに身体を寄りかからせる。はぁ、とため息を一つ吐いた後……少々騒がしい男女の混ざり合った声が耳に届いた。恐らく、新卒入社の社会人1年目の人達だろう。声色はまだ些か落ち着きは少ないけど、エネルギッシュで力強い。
そのうちの一つは、凄く、凄く聞き覚えのあるものだった。






「あー!やっと研修終わったね」
「本当にお疲れだよな…俺達」
「やっぱり社会人になるって大変だよな…疲れるな」
「これから一杯やっていかない?」
「お、良いねー」
「食満君もどう?」



仕事帰りに一杯やっていこう、そんな当たり前の会話。でも、何となく面白いない…そういう現場を見ていなければ、別に何とも無いんだと思う。ただ、いざ目の当たりにしてしまうと僕は蚊帳の外で。仕方ないって分かっているんだけど、理性じゃどうしようもならない。胸をジワジワと侵食する小さな不快感に、僕は苦虫を潰したような表情を浮かべてしまった。

─────これは、ただの嫉妬だ。僕の知らない留三郎を知っている彼等に対する。
器の小さい僕自身がひどく恥ずかしく感じる。
こんな僕を知られたくなくて、ギュッと身体を縮めた。気付かれないように、気配を押し殺して。






「あー悪ぃ。飲みはパス」
「えー!」
「一杯位いいじゃん!飲みとか彼女嫌がるの?」
「そうじゃなくてさ、俺が早く帰りたいんだよ。連れってさ、薬剤師なんだよ。普段はあっちの方が帰るの早いし家事とかやってくれてんだけどさ…俺以上に神経使う仕事だし、早く帰れた時くらい家事とか手伝いたいし一緒に居たいんだよ。俺がな」
「仲良いんだね…幸せそう」
「羨ましいなぁ。凄い大事にしてるんだね」
「今度俺達にも紹介しろよー!寧ろ一緒に連れて来ちゃえば良くない?」
「あ、それ名案!」
「うんうん!」
「あー…ま、“出来たら”な」






─────嬉しかった。嬉しくて泣きそうになった。見えない部分でも、深く深く僕達は繋がっている。胸のムカムカはもう何処かに消えていったし、幸せの比重の方がはるかに大きい。
人様に公表できるような関係じゃないかもしれないけど─────確かに、今の僕達は誰にも負けない位愛し合っている。





「あ、俺次で降りるわ」
「お疲れー」
「彼女さんによろしくね!」
「あぁ」




滑りこむように電車がホームに着く。留三郎が同期の人達に手を振りながら下車するのを見送る。本当は僕も降りないといけないんだけど、気を抜くとニヤけてしまう表情を落ち着かせる為に、もう少し丸の内線に身を任せよう。





(ケーキでも買って帰ろうかな…)








僕にとって、今日という日はスイーツより甘い1日になりそうだ。


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May 05, 2009

Vanilla*Honey*Days(淫魔久々知シリーズ:タカ久々)




11(Heisuke)








下界に降りて、すぐに人の良さそうな人間と巡り会った。奴の名は斉藤タカ丸─────専門学校、というものに通う“学生”というものらしい。
俺が生きる為に人間の精を喰らうのと同じように、人間にとって衣食住というものが大切らしい。そして、金。人間は金が無ければ生活を送れない。
タカ丸は金を稼ぐ為に“バイト”というものに出掛ける。だから、家に帰ってくるのは夜遅くになってから。
────正直、暇だ。特にする事もなく(暇だとぼやいたらタカ丸が家事というのを教えてくれたが、すぐに飽きた。)タカ丸の家でタカ丸の帰りを待つ。で、タカ丸が食事を取った後────俺の食事の番。フェラをして、タカ丸の精液を吸い取ってエネルギー補給をする。本当はさ、セックスしたいんだけど…国家試験が終わるまで“けじめ”として待って欲しいと言われた。俺はタカ丸の事が好きだし、奴がそれを望むならいくらでも待ちたいと思うんだ…ココロは。
でも、所詮俺は“淫魔”だ。欲望の火種が体内の奥深くで燻るのを我慢出来ないんだ─────疼くんだよ、タカ丸。“お前”を求めて…





***



「あーあ…暇だ。」


ゴロゴロとソファーの上で伸びながら窓から外を眺めれば、生憎の曇天模様。雷が遠くで唸っている…これは、荒れるな。




(タカ丸…傘持ってないよな)


このままだとバイト帰りのタカ丸が雨に濡れるのは間違い無い。季節も夏から秋…というものに変わる時期らしく、肌寒い気候に移り変わろうとしている。こんな日に雨に濡れたら体調を崩すと思う。
タカ丸のバイト先は一度行った事がある。初めて出逢った翌日、下界向けの服と生活に必要な雑貨を買いに出掛けた時に寄ったから。
記憶の糸を手繰って思い出しつつ、タカ丸が買ってくれた服に着替える。可愛らしいデザインのブラウスにデニムパンツというものらしい。派手過ぎず、地味過ぎずでタカ丸のセンスの良さを表したようだ。
靴を履きつつ、傘を持って出掛ける事にした。










その日、出逢った奴が男とタカ丸…否、沢山の男達の運命を変えていく事になるとは─────その時の俺は知る由も無かった。




***

新章の幕開けです!!
次に“あの彼”が出そうです^^


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May 01, 2009

丸の内シャングリラ(現パロ!電車シリーズ)



─2─





今の俺は、世界一不幸かもしれない。












(うっ…最悪っ…)


ガタンガタンと容赦無く身体を揺らす丸の内線。ドアの横に陣取って、電車の中に居る人達に泣き顔を見られないようにコツンと額から身体を凭れれさせる。
視界は涙に遮られ、ゆらゆら陽炎のように歪んで、鼻からも目からも無情な程水分が絞り出される。本当に、身体のどこからこの水分は出されているんだろう…と不思議に思う。電車がガタンと揺れる度に、目尻に溜まった涙が頬を伝い流れた。

成人済みの男子が人前で泣くなんてみっともないと思う─────たかが失恋、されど失恋。
21歳の俺は、18歳の頃からずっと好きで愛していた人から別れて欲しい、と告げられた。
高校の担任だった彼は、真面目で真っ直ぐで温かくて、俺にとって宝物のような人だった。彼の笑顔に、俺の彼への恋情が指針となり、無限の航海へと導かれる。俺にとっての全てだった────今も、昔も。
たまに俺が言う我が儘に、苦笑いしながら「いいよ」と言いながら頭を撫でる仕草が好きだった。彼の前では素のまま、子供のように振る舞う事が出来た。胎内の奥深くで繋がるという甘美な大人の味を教えてくれたのも彼だった。
大人と子供の挾間という、彼に庇護されるという温い状況に甘んていた…それがいけなかったのかもしれない。






(兵助、あのな…)
(ん、なに?)
(俺さ、今度結婚するんだ…)
(………は?え、意味分かんないんだけど)
(兵助の事が嫌になった訳でも無い。ただ、大人には大人の事情があるんだ)
(…嘘だろ、なぁ…嘘って言ってくれよ!!)
(────すまない。兵助が幸せになる事を願ってるよ)





─────卑怯だ。こういう時だけ「大人」という言葉を盾にするんだ。俺だって何も知らない純真無垢な子供じゃない。せめて、彼が抱える大人としての苦悩を一緒に苦しみたかった。何も知らない子供じゃない事くらい分かって欲しかった。別れという現実より、何も知らないという事が歯痒くて悲しくて、俺にはダメージが大きかった。この三年間、俺は彼にとってプラスになるような存在だったのだろうか────





あれからずっと、俺の心には晴れる事の無い靄がかかっている。泣いて泣いて、干からびるんじゃないのかと思った。
カラカラに渇いても現実は何も変わらないし、チクチクと棘が突き刺すような胸の痛みも和らがない。これが失恋の痛みなんだろうか。








「あの…」
「あ、はい」
「良かったら、ティッシュ使って………鼻水垂れてるし」


最後の一言は小声で告げてきたのは、俺と同じ歳位の見知らぬ男。差し出されたのはカシミア仕立てのポケットティッシュ。
きっと俺の酷い面に耐えきれなかったんだろう…せっかくの好意だし、有難うと告げ、使わせて貰う。思い切り鼻をかんだらツーンと痛んだ。自分の間抜けさに、自嘲めいた笑いがこみ上げる。





「あのさ、何も知らない俺が言うのもアレだけど…今、どん底に悲しいんだよな?底辺の苦しみを知れば、些細な事でも幸せに感じる事も出来ると思うんだ。だから─────頑張れ」





名も知らない男の笑顔は、俺が大好きだった彼のソレと同じ明るさと暖かさに満ちていた。嬉しいのか悲しいのか分からない、名も付けられない複雑に絡み合った感情が、また涙を溢れさせた。
─────嗚呼、まだ現実も捨てたもんじゃないな。






「うん、有難う…アンタの顔見てたら元気出た」
「あれ、俺の名前知らない?実は俺達、同じ大学なんだぜ?」
「…マジ?」
「マジだー」
「うわっ…俺、チョーカッコ悪ぃ…」
「久々知の泣き顔見れたとかさ、俺ある意味ラッキーだな」
「いや、忘れてくれ…」
「あ、俺は竹谷だから。アンタなんて寂しい呼び方は止めてくれー!」
「わかったわかった。竹谷ね、うん覚えた。」
「うん、ヨロシイ」




思わず顔を見合わせて笑い合う。
真っ黒だった現実は、七色の光に包まれた。俺にとって、希望そのもの。そんな竹谷を俺が好きになるのも時間の問題のような気がした。


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April 21, 2009

丸の内シャングリラ(現パロ!電車シリーズ)




─1─




僕は、朝のラッシュが苦手だ。
4月から大学生になり、郊外に建設された校舎に向かう為、否応無しに乗車率100%オーバーの車両で通学しているけど…毎日、地獄だ。
息苦しいし、熱気が籠もって凄く蒸し暑い。まだ初夏にもならないのに、じんわりと汗ばむのが気持ち悪くて仕方ない。

そんなぎゅうぎゅうな車内で起こるのが、痴漢。僕は男だし、そんな卑劣な真似は絶対にしない。非合理的で、同意の無い接触なんて寂しいだけだと思うし、罪の無い女性が辛い目に合う事からして腹立たしい。絶対痴漢の現場に立ち会ってしまったら、女性を守りたいと思っていた。
─────でも、まさか僕が被害に合う日が来るなんて、家を出た時には全く予想もしていなかった。






***


(ひいっ…お尻、揉まれてるっ…)


僕は今、身をもって痴漢される事を体験している。実際に痴漢に会うと、怖くて声が出ないというのは本当だ。だって、どこの誰だか分からない人に身体を弄られるんだ。怖いし、気持ち悪いのが当たり前。



(というか、このおじさん…僕が男だって分かっててやってる訳、か)



そう思ったら胃液がせり上がりそうになった。口の中が酸っぱいような気がして気持ち悪い。
鞄でガードしたり身体を捩っても、見知らぬ人の指先と掌は僕の下半身をいやらしく触ったり揉んだりしてきた。何か軟体動物が身体を這っているみたいにねっとりした感触が気持ち悪い─────でも、触られると男の生理現象で段々と下半身に熱が密集していく。デニムパンツの下では、ヒクッと震えて充溢していくのが分かる。分かるから、気持ち悪くて、恥ずかしくて堪え性の無い自分がイヤだ…行き場の無い感情が溢れて涙になっていく。
ジワリと滲んでいく視界と、ハァハァと耳に伝わる荒い息遣い。電車の中は沢山の人が居るのに、余りに非現実的過ぎて痴漢と二人きりになったようにさえ感じる。快感か恐怖か分からないけど、背筋をゾクリと悪寒が走る。




(何だよこの状態、歪みすぎ。意味分かんない)



もう、限界だった。止めて、と言おうとした瞬間、僕の頭からは痴漢の人の悲鳴が聞こえてきた。






「いだっ…いたたっ」
「あのなぁ、オッサン自分のした事恥ずかしくねーの?若い男に痴漢してさぁ、馬鹿じゃねーの?」
「ち、違う…私はそんな事…」
「ふぅん…シラ切るつもりかよ。余り大事にしたくないなら駅員の前でさっさと自分のした事吐いちまえよ」






(─────ヒーローだ、ヒーローが居る)

僕は他人事、というか自分の置かれてる立場が頭からすっかり抜け落ちて、目の前で痴漢の手首を見ている方が痛くなる程に手首を締め上げる“ヒーロー”の姿に釘付けになった。
茶色で襟足が少し長めの髪、一歩間違えたらダサい以外何物でも無い黒の太縁眼鏡…でもそれが格好良い。余りセンスが無いと自負している僕から見ても、目の前の彼はセンスが良くて格好良い。




「ほら、お前も」
「ほえ?」
「次の駅で降りるぞ。恥ずかしいかもしれないけど、ちゃんと駅員に自分がされた事を言えよ」
「う、うん…」






お前、だって。何か無性に寂しかった─────目の前の彼に、僕の名前を呼ばれない事が。
彼から名前で呼ばれたらきっと、特別な響きになると思うんだ。






(僕の名前は、雷蔵だよ)

ガタンガタンと揺れる車両と僕の心音がシンクロする。きっと、もう会えないと思う彼の姿を網膜に焼き付けようと、じっと見つめる。
丸くて、少し大きめの瞳から涙が零れた。睫に溜まった涙を彼の指先で拭われて、何とも言えない甘酸っぱい空気が流れる。温かい彼の体温が離れていくのが寂しい。何かを言いたそうな彼の瞳が意味深に僕を見つめ返す。無言だけど、嫌じゃない空気だ。
でも、こんなやり取りも次の駅に着いたらジ・エンド。




(あと、少しだけ…)


自分でもよく分からない。何をしたいのか、どうなりたいのか。でも、今はそれで良いかもしれない─────漠然と、そんな気がした。



***

駅に着いて、彼は駅員に痴漢を引き渡すとやる事はやったと人波に消えていった。
お礼も言えなくて凄く後悔した。せめて名前だけでも知りたかった。悔しくて思わず拳を握り締めたら、痛かった。
駅員さんに話せる事を全て話して解放されたのが午前9時30分。大学に行く気分じゃなかったけど、悶々とする気持ちを一人で抱え込むには重すぎる。気晴らしになるか分からないけど、そのままキャンパスに向かう事にした。
大学の敷地は、桜も散り、新緑の息吹が芽を出し始めている。キラキラと太陽光に光る葉桜が、初夏の香りを含んでいて清々しい気分になる。
今やっている講義が終わるまで、中庭の奥にあるベンチで時間を潰す事にした。
歩いていると、そこには先約が居るみたい。違う場所にするか悩もうと、再び視線を向けると──────







(あっ…嘘)



今朝の彼が本を読んでいた。しかも難しそうなハードカバーの本…頭で考える前に、僕の身体は走り出していた。
これからの学生生活は、キラキラしたものになりそうだ。








(ねぇ、君…)
(何…あ、)
(名前、教えて?僕は──────)



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February 28, 2009

君の胸元に愛の弾丸(竹谷♀注意!!!!タカ竹&現パロ五年下系座談会)


にょたはっちゃんおっぱいポロリ小説の序曲です。書いている人だけが楽しくてすみません。
下ネタ&おっぱいネタしかありません要注意!!


!!Attention!!
・竹谷女体化&タカ竹前提!
・非純情な五年(主に鉢屋&久々知)下ネタ言っちゃう五年なんて信じられない…!な方の閲覧はオススメ出来ない内容です…申し訳ない;
・はっちゃん巨乳ver.
・五年会話中心


はっちゃんは皆のアイドルだね!ってな事でFAです。
以上を了解された方はコチラよりご覧下さい^^


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February 27, 2009

ロマンチスト&ドラマチック(現パロ:甘々鉢雷)








「はい、雷蔵」



コトリと机に置かれたのは、温かいホットココアが注がれたマグカップ。雷蔵と色違いのマグカップには三郎の分である甘さ控えめのカフェオレが。
二つのマグカップからふわりと立ち上る暖かな湯気が混ざり合い、一つになる。まるで僕達のようだ、なんて恥ずかしい事を思い浮かべる。






(うーん、三郎にかなり感化されたなぁ…)



湯気の暖かさと、ソファーの隣から伝わる三郎の体温がゆっくりと雷蔵の皮膚に染みていく。二人きりの甘い、時間─────どんなに忙しくても、二人寄り添う時間は欠かせない。寧ろ、それが不可欠になる。好きな相手と過ごす事が二人の励みになる。
話をして、時折指を絡ませて、キスをする。その瞬間が余りに温かくて、幸せで、雷蔵はいつも泣きそうになる。






「雷蔵…?どうした、ぼんやりして…」
「うん、僕はとても幸せ者だなぁ…って思ったんだ。三郎と出会って、好きになって、結ばれて。思われる事がどんなに幸せな事か、三郎に教えて貰ったよ」
「…それは俺の台詞。俺の方が雷蔵から沢山幸せを貰ってる。雷蔵のストレートな言葉が、すごく嬉しいんだ」





ギシ、とソファーが二人分の重みを受けて音を立てる。抱きしめられ温もりを感じた後、そのまま横たわるような姿勢を取らされる。
少しひんやりとした三郎の指先が、雷蔵の胸元を弄る。性の香りがする動きに、心臓がドクドクと早い振動で脈を打つ。触れ合う事の嬉しさと、少しの恥ずかしさ。濃厚になる部屋の空気に酔いそうになりながら、三郎から与えられる愛撫に身を委ねた。










(抱き合った時に感じたのは、同じスピードでドキドキしてる君の鼓動)


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