★★★ 従業員代表、監査役会に(民主党マニフェスト) ★★★

━━━━━━━━━━━ 日本経済新聞 2009.07.23( 5面) ━

民主党が次期衆院選のマニフェストに盛り込む新法
「公開会社法」案の概要が明らかになった。

上場会社が対象で、監査役会や監査委員会に従業員代表を
起用するほか、親会社の株主が子会社役員に対しても損害賠償を
求める株主代表訴訟の提起権を認めることなどが柱。

政権をとった場合には直ちに国会への提出準備に入る。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■■ 今日のCONTENTS ■■■

1.公開会社法の概要
2.公開会社法案に対して

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

民主党が8月30日投開票の衆院選で打ち出すマニフェストの
全容が22日、明らかになりました。
本日のテーマは、その中の「公開会社法」です。

■■■ 1.公開会社法の概要 ■■■

相次ぐ企業不祥事を背景に企業統治ルールの不十分さなどが
あると判断、民主党プロジェクトチームが2年以上にわたり
検討を進めてきました。

企業統治では従業員の声を経営に直接反映させるため、
委員会設置会社では監査委員会に、そうでない大半の企業には
監査役会に、企業ごとの組合や産業別組合、連合などから、
「従業員代表」の登用を義務付けます。
現場の声を吸い上げる仕組みを採用することで、経営者に
従業員が働きやすい環境づくりを促します。

監査役を置く企業では、会計監査人の選任議案や監査報酬の
決定権を現在の取締役会から、監査役会に移します。
調べられる側が、調べる側を選ぶ現状では適正監査に支障が
あるの判断です。

連結経営時代に対応し「企業グループ」として、経営の透明性の
向上や経営者の規律を確保するルールを整備。
具体的には子会社が重要資産を売却するなど重大な意思決定を
する際は親会社の株主総会での承認を求めます。

持株会社などの親会社の株主が事業子会社の取締役などに
株主代表訴訟を起こせるようにもします。

■■■ 2.公開会社法案に対して ■■■

監査役会に従業員代表の登用を義務付ける案は、旧社会党の
支持母体に配慮してのことなのでしょう。
しかし、組合などから監査役会に登用するのが妥当なのか
疑問が残ります。

会計監査人の選任議案や監査報酬の決定権に関して補足します。
現行の会社法では、会計監査人の選任議案は取締役会の権限で
あるとはなっていないはずです。
会計監査人の選任議案は株主総会で決議されます。
株主総会で決議される議案を付議するために取締役会で
決議するのが一般的なので、実質的に取締役会の権限であると
解釈すればいいのでしょう。
なお、監査報酬については監査役の合意を得ることが会社法で
規定されています。

子会社の重要な意思決定を親会社の株主総会で承認を求める
件については、重要な意思決定とは何かが明確になっていない
ので、何とも言いようがないです。
重要な意思決定の範囲を広げすぎて、迅速な意思決定に
支障をきたさないようにしてほしいものです。

親会社の株主が子会社の取締役などに株主代表訴訟を起こせる
ようにする点は、持株会社体制におけるガバナンスの不備に
踏み込んだものとして評価できます。
持株会社体制の場合、親会社である持株会社は事業を行わず、
事業子会社の業績がグループ全体の企業価値を左右します。
子会社の役員が責任を追及されないことについては、
法律が対応できていないと感じていました。
ただし、その場合、子会社の情報をどのように開示するかが
課題となります。