第一八三回
参第一三号
特定原子力被災地域の土地等の利用に関する施策及びこれに関連して必要となる地域住民等の生活再建等の促進に資する施策の国の取組による推進に関する法律案
(趣旨)
第一条 この法律は、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電施設の事故(以下「平成二十三年原子力事故」という。)により放出された放射性物質による著しい汚染が相当範囲にわたって生じており、当該汚染の除去が容易でない土地等が存在していること等に鑑み、当該汚染に係る対策に関する国の社会的な責任と果たすべき役割を踏まえ、特定原子力被災地域対策(特定原子力被災地域における今後の土地等の利用に関する施策及びこれに関連して必要となる地域住民その他の関係者(以下「地域住民等」という。)の生活再建等の促進に資する施策をいう。以下同じ。)について、国の積極的な取組による推進に関する事項を定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律において「特定原子力被災地域」とは、この法律の施行の際現に、平成二十三年原子力事故に係る放射性物質により、人の生命及び健康に対する影響の観点から立入りの制限が行われる程度に著しい汚染が生じている地域をいう。
(基本方針)
第三条 政府は、特定原子力被災地域対策に係る基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 平成二十三年原子力事故に係る放射性物質による汚染の状況の把握のための基本的な方針
二 特定原子力被災地域の範囲に関する事項
三 特定原子力被災地域における今後の土地等の利用の在り方に関する基本的な事項
四 特定原子力被災地域対策の基本的な方向
五 特定原子力被災地域対策に関し国が実施すべき施策に関する基本的な事項
六 その他特定原子力被災地域対策の実施に関する重要事項
3 基本方針を定めるに当たっては、次に掲げる事項に配慮するものとする。
一 特定原子力被災地域における放射性物質による汚染の状況、土地等の形状等を踏まえつつ、自然エネルギーを利用した発電その他の特定原子力被災地域における実施が可能な事業活動のための基盤の整備に関する事業、放射性物質による汚染の除去又は低減に資する事業、放射性物質によって汚染された廃棄物の処理に係る事業その他の特定原子力被災地域において必要となる事業を国が実施するための体制が整備されること。
二 特定原子力被災地域における土地等の所有者等の意向に配慮しつつ、国による借上
げ、買取り等によって当該所有者等を救済するための方策が講ぜられること。この場合において、当該借上げ、買取り等に係る当該所有者等の判断のために参考となるよう、きめ細かな調査に基づく放射性物質による汚染の状況に関する情報が提供されるとともに、当該借上げ、買取り等に併せて、必要に応じ、当該土地等の利用者の移転の支援、当該移転後の事業活動の支援その他の地域住民等の生活再建等の促進に資する措置が講ぜられること。
三 前号の方策のうち、国による土地その他の資産の借上げ及び買取りに係る方策は、次に掲げる事項を旨として講ぜられるものであること。
イ 借上げに係る方策については、速やかに開始すること。
ロ 買取りに係る方策については、放射性物質による汚染の状況等を勘案し、適時に開始すること。
ハ 当該資産の借上げ又は買取りにより当該資産を有する者に対して支払う金銭の額は、平成二十三年原子力事故の発生前の当該資産の賃貸又は売却に係る価額を基礎として、当該資産を有する者の救済のため適正なものとなるように定められること。
ニ 買い取った資産については、可能な範囲で買戻しに係る措置が検討されること。
四 第二号の方策が講ぜられるに当たっては、地域住民の連帯の維持等の観点から、特定原子力被災地域の周辺の地域の住民についても適切な措置が講ぜられること。
五 国が実施する特定原子力被災地域対策については、地域住民等及びその区域に特定原子力被災地域を含む地方公共団体(以下「関係地方公共団体」という。)の意向が十分に尊重されるようにするとともに、関係地方公共団体の地域の再生に関する施策との適切な連携が図られるようにすること。
六 特定原子力被災地域対策に要した費用のうち特定原子力事業者(原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)第三条第一項の規定により平成二十三年原子力事故による損害の賠償の責めに任ずべき原子力事業者(同法第二条第三項に規定する原子力事業者をいう。)をいう。)に対して求償すべきものについて、速やかに求償がなされること。
4 主務大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
5 主務大臣は、基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長と協議するとともに、関係地方公共団体の長の意見を聴かなければならない。
6 主務大臣は、第四項の閣議の決定があったときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
7 前三項の規定は、基本方針の変更について準用する。
(法制上の措置等)
第四条 政府は、特定原子力被災地域対策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。
(連携協力のための措置)
第五条 政府は、特定原子力被災地域対策の推進に関し、主務大臣、関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長の協議の場を設ける等関係機関の相互の連携協力のために必要な措置を講ずるものとする。
(主務大臣)
第六条 この法律における主務大臣は、政令で定める。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
理 由
平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電施設の事故により放出された放射性物質による著しい汚染が相当範囲にわたって生じており、当該汚染の除去が容易でない土地等が存在していること等に鑑み、当該汚染に係る対策に関する国の社会的な責任と果たすべき役割を踏まえ、特定原子力被災地域における今後の土地等の利用に関する施策及びこれに関連して必要となる地域住民その他の関係者の生活再建等の促進に資する施策について、国の積極的な取組による推進に関する事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
第一八三回
参第一四号
国家賠償法の一部を改正する法律案
国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)の一部を次のように改正する。
第一条第二項中「前項」を「第一項」に改め、第一項の次に次の一項を加える。
国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、故意又は重大な過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、その公務員は、これを賠償する責めに任ずる。
第四条中「公共団体」の下に「及び公務員」を加え、「よるの外」を「よるほか」に改め、「民法」の下に「(明治二十九年法律第八十九号)」を加える。
第五条中「公共団体」の下に「及び公務員」を加え、「別段の定」を「別段の定め」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行する。
(経過措置)
2 この法律による改正後の国家賠償法の規定は、この法律の施行の日以後の行為に基づく損害について適用し、同日前の行為に基づく損害については、なお従前の例による。
理 由
国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、故意又は重大な過失によって違法に他人に損害を加えたときは、その公務員は、これを賠償する責めに任ずるものとする必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。