地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案
目次
 第一章 総則(第一条・第二条)
 第二章 教育長(第三条―第八条)
 第三章 教育機関
  第一節 教育機関の設置等(第九条―第十三条)
  第二節 学校理事会(第十四条)
 第四章 教育監査委員会(第十五条―第三十三条)
 第五章 文部科学大臣及び地方公共団体の長相互間の関係等(第三十四条―第四十一条)
 第六章 雑則(第四十二条―第四十六条)
 附則
   第一章 総則
 (目的)
第一条 この法律は、教育長の設置、地方公共団体による教育、学術及び文化(第四章を除き、以下単に「教育」という。)に関する機関(以下「教育機関」という。)の設置並びに学校理事会、教育監査委員会等に関し必要な事項を定め、もって地方公共団体における教育行政の適正な運営の確保を図ることを目的とする。
 (定義)
第二条 この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校をいう。
2 この法律において「教員」とは、教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)第二条第二項に規定する教員をいう。
   第二章 教育長
 (設置)
第三条 都道府県、市(特別区を含む。以下同じ。)町村及び教育に関する事務の全部又は一部を処理する地方公共団体の組合に、教育長を置く。
 (任命等)
第四条 教育長は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育に関し高い識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。
2 次のいずれかに該当する者は、教育長となることができない。
 一 破産者で復権を得ない者
 二 禁錮以上の刑に処せられた者
3 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百四十一条及び第百六十六条第一項の規定は、教育長について準用する。
 (任期)
第五条 教育長の任期は、四年とする。ただし、地方公共団体の長は、任期中においてもこれを解職することができる。
2 教育長は、再任されることができる。
 (失職)
第六条 教育長は、次のいずれかに該当する場合においては、その職を失う。
 一 第四条第二項各号のいずれかに該当するに至った場合
 二 前号に掲げる場合のほか、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者でなくなった場合
2 地方自治法第百四十三条第一項後段及び第二項から第四項までの規定は、前項第二号に掲げる場合における地方公共団体の長の被選挙権の有無の決定及びその決定に関する争訟について準用する。
 (退職)
第七条 教育長は、その退職しようとする日前二十日までに、当該地方公共団体の長に申し出なければならない。ただし、当該地方公共団体の長の承認を得たときは、その期日前に退職することができる。
 (職務等)
第八条 教育長は、地方公共団体の長の指揮監督の下に、当該地方公共団体における教育に関する事務をつかさどる。
2 地方自治法第百五十九条並びに地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第三十条から第三十七条まで及び第三十八条第一項の規定は、教育長について準用する。
   第三章 教育機関
    第一節 教育機関の設置等
 (教育機関の設置)
第九条 地方公共団体は、法律で定めるところにより、学校、図書館、博物館、公民館その他の教育機関を設置するほか、条例で、教育に関する専門的、技術的事項の研究又は教育関係職員の研修、保健若しくは福利厚生に関する施設その他の必要な教育機関を設置することができる。
 (教育機関の職員)
第十条 前条に規定する学校に、法律で定めるところにより、学長、校長、園長、教員、事務職員、技術職員その他の所要の職員を置く。
2 前条に規定する学校以外の教育機関に、法律又は条例で定めるところにより、事務職員、技術職員その他の所要の職員を置く。
3 前二項に規定する職員の定数は、当該地方公共団体の条例で定めなければならない。ただし、臨時又は非常勤の職員については、この限りでない。
4 地方公共団体は、その設置する学校の職員の任用に当たっては、相互に連携協力するよう努めるものとする。
 (教諭等が行う児童等に対する指導が不適切である場合の措置)
第十一条 地方公共団体の長は、当該地方公共団体の設置する学校の教諭、養護教諭、栄養教諭、助教諭、養護助教諭又は講師(以下この条において「教諭等」という。)が行う児童、生徒又は幼児に対する指導が不適切であると認められる場合には、当該教諭等について、研修の実施、教諭等以外の職への異動その他その者が引き続き当該児童、生徒又は幼児に対する不適切な指導を行うことがないようにするために必要な措置を講ずるものとする。
2 地方公共団体の長は、前項の措置のうち当該教諭等の教諭等以外の職への異動を行うに当たっては、公務の能率的な運営を確保する見地から、当該教諭等の適性、知識等について十分に考慮するものとする。
 (所属職員の人事又は研修に関する意見の申出)
第十二条 地方公共団体の設置する学校その他の教育機関の長は、教育公務員特例法に特別の定めがある場合を除き、その所属の職員の任免その他の人事又は研修に関する意見を任命権者に対して申し出ることができる。この場合において、大学附置の学校の校長にあっては、学長を経由するものとする。
 (学校等の管理)
第十三条 地方公共団体の長は、法令又は条例に違反しない限度において、当該地方公共団体の設置する学校(大学を除く。以下この条、第十五条並びに第四十二条第三項及び第四項において同じ。)その他の教育機関の施設、設備、組織編制、教育課程、教材の取扱いその他当該学校その他の教育機関の管理運営の基本的事項について、必要な規則を定めるものとする。
2 前項の場合において、地方公共団体の長は、学校における教科書以外の教材の使用について、あらかじめ、地方公共団体の長に届け出させ、又は地方公共団体の長の承認を受けさせることとする定めを設けるものとする。
    第二節 学校理事会
第十四条 地方公共団体が設置する学校(小学校(特別支援学校の小学部を含む。以下この項において同じ。)及び中学校(中等教育学校の前期課程及び特別支援学校の中学部を含む。以下この項において同じ。)に限る。以下この項、次項、第四項から第六項まで及び第八項において同じ。)には、当該学校の運営に関する重要事項を協議する機関として、学校理事会を置かなければならない。ただし、小学校及び中学校において一貫した教育を実施するため必要がある場合その他の政令で定める場合には、政令で定めるところにより、他の小学校又は中学校と共同して学校理事会を置くことをもって代えることができる。
2 学校理事会の構成員は、次に掲げる者(政令で定める規模以下の学校で地方公共団体の長が指定するものに置かれる学校理事会にあっては、第五号に掲げる者を除く。)について、地方公共団体の長が任命する。ただし、その過半数は、第一号及び第二号に掲げる者について任命しなければならない。
 一 当該学校(前項ただし書の規定の適用がある場合にあっては、当該各学校のうち少なくとも一の学校。以下この項において同じ。)に在籍する児童又は生徒の保護者(親権を行う者及び未成年後見人をいう。第十九条第五項及び第六項において同じ。)
 二 当該学校の所在する地域の住民
 三 当該学校の校長
 四 当該学校の教員
 五 教育に関し専門的な知識又は経験を有する者
 六 その他地方公共団体の長が必要と認める者
3 地方公共団体の長は、前項第一号、第二号及び第四号に掲げる者について、学校理事会の構成員を任命するに当たっては、これらの号に掲げる者に係る団体その他の関係者の意向を考慮するものとする。
4 校長は、当該学校の学級の編制、当該学校の教育課程の編成その他当該学校の運営に関し当該地方公共団体の規則で定める事項について基本的な方針を作成し、学校理事会の承認を得なければならない。
5 学校理事会は、当該学校(第一項ただし書の規定の適用がある場合にあっては、当該各学校。次項及び第八項において同じ。)の運営に関する事項について、校長に対して、報告を求めることができる。
6 学校理事会は、当該学校の運営に関する事項について、地方公共団体の長又は校長に対して、意見を述べることができる。
7 地方公共団体の長又は校長は、前項の規定により述べられた意見を尊重するものとする。
8 学校理事会は、必要があると認めるときは、当該学校に在籍する児童又は生徒の意見を聴くことができる。
9 学校理事会の構成員の任免の手続及び任期、学校理事会の議事の手続その他学校理事会の運営に関し必要な事項については、当該地方公共団体の規則で定める。
10 第一項に定めるもののほか、地方公共団体が設置する学校(幼稚園(特別支援学校の幼稚部を含む。)及び高等学校(中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部を含む。)に限る。以下この項において同じ。)には、当該学校の運営に関する重要事項を協議する機関として、学校理事会を置くことができる。この場合においては、第二項から前項までの規定を準用する。
   第四章 教育監査委員会
 (設置)
第十五条 都道府県、市町村及び学校教育等に関する事務(地方公共団体が設置する学校における教育に関する事務及び地方公共団体が行う社会教育に関する事務をいう。以下同じ。)の全部又は一部を処理する地方公共団体の組合に教育監査委員会(以下この章において「委員会」という。)を置く。
 (権限)
第十六条 委員会は、次に掲げる事務を処理する。
 一 当該地方公共団体の長が処理する学校教育等に関する事務の実施状況に関し必要な評価及び監視を行うこと。
 二 前号の規定による評価又は監視(次条において「評価又は監視」という。)の結果に基づき、当該地方公共団体の長に対し、学校教育等に関する事務の改善のために必要な勧告をすること。
 三 当該地方公共団体の長が処理する学校教育等に関する事務に係る苦情の申出について必要なあっせんを行うこと。
 四 前三号に掲げるもののほか、法令に基づき委員会に属させられた事務
2 委員会は、前項第二号の規定による勧告をしたときは、遅滞なく、その勧告の内容を当該地方公共団体の議会に報告するとともに、公表しなければならない。
3 当該地方公共団体の長は、第一項第二号の規定による勧告に基づいてとった措置について委員会に報告しなければならない。この場合においては、委員会は、当該報告に係る事項を公表しなければならない。
4 委員会は、毎年、その事務の処理状況を当該地方公共団体の議会に報告するとともに、公表しなければならない。
 (資料の提出の要求等)
第十七条 委員会は、評価又は監視を行うため必要な範囲において、当該地方公共団体の長に対し資料の提出及び説明を求め、又はその業務について実地に調査することができる。
2 委員会は、評価又は監視の実施上の必要により、公私の団体その他の関係者に対し、必要な資料の提出に関し、協力を求めることができる。
 (組織)
第十八条 委員会は、五人以上(町村又は地方公共団体の組合のうち町村のみが加入するものの委員会にあっては、三人以上)で条例で定める人数の委員をもって組織する。
 (委員及び補充員の選挙等)
第十九条 委員は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の議会においてこれを選挙する。
2 議会は、前項の規定による選挙を行う場合においては、同時に、同項に規定する者のうちから委員と同数の補充員を選挙しなければならない。補充員が全てなくなったときも、同様とする。
3 委員中に欠員があるときは、委員長は、補充員のうちからこれを補欠する。その順序は、選挙の時が異なるときは選挙の前後により、選挙の時が同時であるときは得票数により、得票数が同じであるときはくじにより、これを定める。
4 次のいずれかに該当する者は、委員又は補充員となることができない。
 一 破産者で復権を得ない者
 二 禁錮以上の刑に処せられた者
5 委員又は補充員は、それぞれ、そのうちの半数以上が同時に同一の政党その他の政治団体に属する者となることとなってはならず、かつ、そのうちに保護者である者が含まれなければならない。
6 第一項若しくは第二項の規定による選挙が行われた場合、委員若しくは補充員の政党その他の政治団体の所属関係に異動があった場合又は委員のいずれか若しくは補充員のいずれかが保護者でなくなった場合において前項の要件を満たさないこととなったとき、及び第三項の規定により委員の補欠を行い、又は第二十八条第六項の規定により臨時に補充員を委員に充てたならば前項の要件を満たさないこととなる場合に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
7 委員又は補充員の選挙を行うべき事由が生じたときは、委員長は、直ちにその旨を当該地方公共団体の議会及び長に通知しなければならない。
 (任期)
第二十条 委員の任期は、四年とする。ただし、後任者が就任する時まで在任する。
2 補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 補充員の任期は、委員の任期による。
4 委員及び補充員は、その選挙に関し地方自治法第百十八条第五項の規定による裁決又は判決が確定するまでは、その職を失わない。
 (兼職禁止)
第二十一条 委員は、地方公共団体の議会の議員若しくは長、地方公共団体に執行機関として置かれる委員会の委員若しくは委員又は地方公共団体の常勤の職員若しくは地方公務員法第二十八条の五第一項に規定する短時間勤務の職を占める職員と兼ねることができない。
 (罷免)
第二十二条 地方公共団体の議会は、委員が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認めるとき、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めるときは、議決によりこれを罷免することができる。この場合においては、議会の常任委員会又は特別委員会において公聴会を開かなければならない。
2 委員は、前項の規定による場合を除くほか、その意に反して罷免されることがない。
 (解職請求)
第二十三条 地方公共団体の長の選挙権を有する者は、政令で定めるところにより、その総数の三分の一(その総数が四十万を超え八十万以下の場合にあってはその四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が八十万を超える場合にあってはその八十万を超える数に八分の一を乗じて得た数と四十万に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもって、その代表者から、当該地方公共団体の長に対し、委員の解職を請求することができる。
2 地方自治法第八十六条第二項、第三項及び第四項前段、第八十七条並びに第八十八条第二項の規定は、前項の規定による委員の解職の請求について準用する。この場合において、同法第八十七条第一項中「前条第一項に掲げる職に在る者」とあるのは「教育監査委員会の委員」と、同法第八十八条第二項中「第八十六条第一項の規定による選挙管理委員若しくは監査委員又は公安委員会の委員の解職の請求」とあるのは「地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律(平成二十五年法律第   号)第二十三条第一項の規定による教育監査委員会の委員の解職の請求」と読み替えるものとする。
 (失職)
第二十四条 委員は、次のいずれかに該当する場合においては、その職を失う。
 一 第十九条第四項各号のいずれかに該当するに至った場合
 二 前号に掲げる場合のほか、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者でなくなった場合
2 地方自治法第百四十三条第一項後段及び第二項から第四項までの規定は、前項第二号に掲げる場合における地方公共団体の長の被選挙権の有無の決定及びその決定に関する争訟について準用する。
3 委員に対する地方自治法第百八十条の五第七項の規定の適用については、同項中「その選任権者」とあるのは、「教育監査委員会」とする。
 (退職)
第二十五条 委員長が退職しようとするときは、委員会の承認を得なければならない。
2 委員が退職しようとするときは、委員長の承認を得なければならない。
 (服務)
第二十六条 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
2 委員又は委員であった者が法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、委員会の許可を受けなければならない。
3 前項の許可は、法律に特別の定めがある場合を除き、これを拒むことができない。
4 委員は、政党その他の政治団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。
 (委員長等)
第二十七条 委員会に委員長を置き、委員のうちから互選する。
2 委員長は、委員会の会務を総理し、委員会を代表する。
3 委員長に事故があるとき、又は委員長が欠けたときは、あらかじめ委員長の指定する委員がその職務を代理する。
4 委員会は、委員の互選をもって、一人以上で条例で定める人数の常勤の委員を定めなければならない。
 (会議)
第二十八条 委員会の会議は、委員長が招集する。委員から委員会の会議の招集の請求があるときは、委員長は、これを招集しなければならない。
2 委員会は、委員長及び委員の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決をすることができない。
3 委員会の議事は、第七項ただし書の発議に係るものを除き、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
4 前二項の規定による会議若しくは議事又は第七項ただし書の発議に係る議事の定足数については、委員長は、委員として計算するものとする。
5 委員は、自己、配偶者若しくは三親等以内の親族の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、その議事に参与することができない。ただし、委員会の同意があるときは、会議に出席し、発言することができる。
6 前項の規定により委員の数が減少してその過半数に達しないときは、委員長は、補充員でその事件に関係のないものをもって第十九条第三項の順序により、臨時にこれに充てなければならない。委員の事故により委員の数が過半数に達しないときも、同様とする。
7 委員会の会議は、公開する。ただし、委員長又は委員の発議により、出席委員の三分の二以上の多数で議決したときは、これを公開しないことができる。
8 前項ただし書の委員長又は委員の発議は、討論を行わないでその可否を決しなければならない。
 (教育監査委員会規則の制定等)
第二十九条 委員会は、法令又は条例に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、教育監査委員会規則を制定することができる。
2 教育監査委員会規則その他委員会の定める規程で公表を要するものの公布に関し必要な事項は、教育監査委員会規則で定める。
 (委員会の議事運営)
第三十条 この法律に定めるもののほか、委員会の会議その他委員会の議事の運営に関し必要な事項は、教育監査委員会規則で定める。
 (事務局)
第三十一条 委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置く。
2 事務局に事務局長その他の職員を置く。
3 事務局長は、委員会の指揮監督を受け、事務局の局務を掌理する。
4 第二項に規定する職員は、委員会が任免する。
5 第二項に規定する職員の定数は、当該地方公共団体の条例で定める。ただし、臨時又は非常勤の職員については、この限りでない。
 (事務局職員の身分取扱い)
第三十二条 前条第二項に規定する職員の任免、給与、懲戒、服務その他の身分取扱いに関する事項は、この法律に定めるもののほか、地方公務員法の定めるところによる。
 (抗告訴訟の取扱い)
第三十三条 委員会は、その処分(行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第三条第二項に規定する処分をいう。)又は裁決(同条第三項に規定する裁決をいう。)に係る同法第十一条第一項(同法第三十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による地方公共団体を被告とする訴訟について、当該地方公共団体を代表する。
   第五章 文部科学大臣及び地方公共団体の長相互間の関係等
 (文部科学大臣又は都道府県知事の指導、助言及び援助)
第三十四条 地方自治法第二百四十五条の四第一項の規定によるほか、文部科学大臣は地方公共団体の長に対し、都道府県知事は市町村長に対し、都道府県又は市町村の教育に関する事務の適正な処理を図るため、必要な指導、助言又は援助を行うことができる。
2 前項の指導、助言又は援助を例示すると、おおむね次のとおりである。
 一 学校その他の教育機関の設置及び管理並びに整備に関し、指導及び助言を与えること。
 二 学校の組織編制、教育課程、学習指導、生徒指導、職業指導、教科書その他の教材の取扱いその他学校運営に関し、指導及び助言を与えること。
 三 学校における保健及び安全並びに学校給食に関し、指導及び助言を与えること。
 四 校長、教員その他の教育関係職員の研究集会、講習会その他研修に関し、指導及び助言を与え、又はこれらを主催すること。
 五 生徒及び児童の就学に関する事務に関し、指導及び助言を与えること。
 六 青少年教育、女性教育及び公民館の事業その他社会教育の振興並びに芸術の普及及び向上に関し、指導及び助言を与えること。
 七 スポーツの振興に関し、指導及び助言を与えること。
 八 指導主事、社会教育主事その他の職員を派遣すること。
 九 教育及び教育行政に関する資料、手引書等を作成し、利用に供すること。
 十 教育に係る調査及び統計並びに広報及び教育行政に関する相談に関し、指導及び助言を与えること。
 十一 教育に関する事務を担当する部局の組織及び運営に関し、指導及び助言を与えること。
3 文部科学大臣は、都道府県知事に対し、第一項の規定による市町村長に対する指導、助言又は援助に関し、必要な指示をすることができる。
4 地方自治法第二百四十五条の四第三項の規定によるほか、都道府県知事は文部科学大臣に対し、市町村長は文部科学大臣又は都道府県知事に対し、教育に関する事務の処理について必要な指導、助言又は援助を求めることができる。
 (是正の要求の方式)
第三十五条 文部科学大臣は、地方公共団体の長の教育に関する事務の管理及び執行が法令の規定に違反するものがある場合又は当該事務の管理及び執行を怠るものがある場合において、児童、生徒等の教育を受ける機会が妨げられていることその他の教育を受ける権利が侵害されていることが明らかであるとして地方自治法第二百四十五条の五第一項若しくは第四項の規定による求め又は同条第二項の指示を行うときは、当該地方公共団体の長が講ずべき措置の内容を示して行うものとする。
 (文部科学大臣の指示)
第三十六条 文部科学大臣は、地方公共団体の長の教育に関する事務の管理及び執行が法令の規定に違反するものがある場合又は当該事務の管理及び執行を怠るものがある場合において、児童、生徒等の生命又は身体の保護のため、緊急の必要があるときは、当該地方公共団体の長に対し、当該違反を是正し、又は当該怠る事務の管理及び執行を改めるべきことを指示することができる。ただし、他の措置によっては、その是正を図ることが困難である場合に限る。
 (文部科学大臣の通知)
第三十七条 文部科学大臣は、第三十五条に規定する求め若しくは指示又は前条の規定による指示を行ったときは、遅滞なく、当該地方公共団体(第三十五条に規定する指示を行ったときにあっては、当該指示に係る市町村)の議会に対して、その旨を通知するものとする。
 (文部科学大臣及び地方公共団体の長相互間の関係)
第三十八条 文部科学大臣は都道府県知事又は市町村長相互の間の、都道府県知事は市町村長相互の間の連絡調整を図り、並びに地方公共団体の長は、相互の間の連絡を密にし、及び文部科学大臣又は他の地方公共団体の長と協力し、教職員の適正な配置と円滑な交流及び教職員の勤務能率の増進を図り、もってそれぞれその所掌する教育に関する事務の適正な執行と管理に努めなければならない。
 (調査)
第三十九条 文部科学大臣又は都道府県知事は、第三十四条第一項及び前条の規定による権限を行うため必要があるときは、地方公共団体の長が管理し、及び執行する教育に関する事務について、必要な調査を行うことができる。
2 文部科学大臣は、前項の調査に関し、都道府県知事に対し、市町村長が管理し、及び執行する教育に関する事務について、その特に指定する事項の調査を行うよう指示をすることができる。
 (資料及び報告)
第四十条 教育行政機関は、的確な調査、統計その他の資料に基づいて、その所掌する事務の適切かつ合理的な処理に努めなければならない。
2 文部科学大臣は地方公共団体の長に対し、都道府県知事は市町村長に対し、それぞれ都道府県又は市町村の区域内の教育に関する事務に関し、必要な調査、統計その他の資料又は報告の提出を求めることができる。
 (市町村の教育行政の体制の整備及び充実)
第四十一条 市町村は、近隣の市町村と協力して地域における教育の振興を図るため、地方自治法第二百五十二条の七第一項の規定による教育に関する事務を担当する内部組織の共同設置その他の連携を進め、地域における教育行政の体制の整備及び充実に努めるものとする。
2 文部科学大臣及び都道府県知事は、市町村の教育行政の体制の整備及び充実に資するため、必要な助言、情報の提供その他の援助を行うよう努めなければならない。
   第六章 雑則
 (指導主事等)
第四十二条 都道府県に、指導主事を置く。
2 市町村に、指導主事を置くことができる。
3 指導主事は、上司の命を受け、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項の指導に関する事務に従事する。
4 指導主事は、教育に関し識見を有し、かつ、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項について教養と経験がある者でなければならない。指導主事は、地方公共団体が設置する学校の教員をもって充てることができる。
5 前各項に定めるもののほか、指導主事に関し必要な事項は、政令で定める。
6 地方公共団体の長は、その教育行政に関する相談に関する事務を行う職員を指定するものとする。
 (保健所との関係)
第四十三条 地方公共団体の長(当該地方公共団体の設置する学校の所在地その他当該学校の教育が行われる場所をその所管区域に含む保健所を設置しない地方公共団体の長に限る。)は、健康診断その他当該学校における保健に関し、政令で定めるところにより、当該保健所を設置する地方公共団体の長に対し、保健所の協力を求めるものとする。
2 保健所は、学校の環境衛生の維持、保健衛生に関する資料の提供その他学校における保健に関し、政令で定めるところにより、その所管区域内にある学校を設置する地方公共団体の長(当該保健所を設置する地方公共団体の長を除く。)に対し、助言と援助を与えるものとする。
 (組合に関する特例)
第四十四条 総務大臣は、教育に関する事務の全部又は一部を処理する地方公共団体の組合の設置について、地方自治法第二百八十四条第二項の許可の処分をする前に、文部科学大臣の意見を聴かなければならない。
2 地方公共団体が教育に関する事務の全部を処理する組合を設ける場合においては、当該組合を組織する地方公共団体には教育長を置かず、当該組合に教育長を置くものとする。
3 教育に関する事務の一部を処理する地方公共団体の組合に置かれる教育長は、第四条第三項において準用する地方自治法第百四十一条第二項の規定にかかわらず、その組合を組織する地方公共団体の教育長と兼ねることができる。
4 地方公共団体が学校教育等に関する事務の全部を処理する組合を設ける場合においては、当該組合を組織する地方公共団体には教育監査委員会を置かず、当該組合に教育監査委員会を置くものとする。
5 地方公共団体が学校教育等に関する事務に関する事務の全部又は一部を処理する組合を設けようとする場合において、当該地方公共団体に教育監査委員会が置かれているときは、当該地方公共団体の議会は、地方自治法第二百九十条又は第二百九十一条の十一の議決をする前に、当該教育監査委員会の意見を聴かなければならない。
6 学校教育等に関する事務に関する事務の一部を処理する地方公共団体の組合に置かれる教育監査委員会の委員は、第二十一条の規定にかかわらず、その組合を組織する地方公共団体の教育監査委員会の委員と兼ねることができる。
7 前各項に定めるもののほか、教育に関する事務の全部又は一部を処理する地方公共団体の組合の設置、解散その他の事項については、地方自治法第三編第三章の規定によるほか、政令で特別の定めをすることができる。
 (政令への委任)
第四十五条 この法律に定めるもののほか、市町村の廃置分合があった場合におけるこの法律の規定の適用の特例その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
 (事務の区分)
第四十六条 都道府県が第三十四条第一項の規定により処理することとされている事務(市町村が処理する事務が地方自治法第二条第八項に規定する自治事務又は同条第九項第二号に規定する第二号法定受託事務である場合においては、第三十四条第三項に規定する文部科学大臣の指示を受けて行うものに限る。)及び第三十九条第二項の規定により処理することとされている事務は、同法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
   附 則
 (施行期日)
1 この法律は、平成二十六年四月一日から施行する。
 (地方教育行政の組織及び運営に関する法律の廃止)
2 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)は、廃止する。
 (経過措置等)
3 前項に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置及び関係法律の整備については、別に法律で定める。
 (検討)
4 政府は、この法律の施行後三年を目途として、市町村立学校職員給与負担法(昭和二十三年法律第百三十五号)第一条及び第二条に規定する職員に係る人件費の負担の在り方について、義務教育費国庫負担法(昭和二十七年法律第三百三号)第二条第一号に規定する教職員の給与及び報酬等に要する経費に係る国の負担の在り方を含めた検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

     理 由
 地方公共団体における教育行政の適正な運営の確保を図るため、教育長の設置、地方公共団体による教育機関の設置及び学校理事会、教育監査委員会等に関し必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。