d7f6a2b4.JPGコンソーシアム市民公開講座で開会挨拶をする寺岡靖剛九州大学教授。(撮影:徳島達朗、10月28日) 【PJニュース 2009年10月30日】10月28日、福岡天神・エルガーラホールで、国公私立大コンソーシアム・福岡市民講座(3回目)が開催された。テーマは「海と地球環境問題―玄海灘沿岸域の環境保全と開発」だった。主催者を代表して寺岡靖剛氏(九州大学総合理工学研究院教授)が開会挨拶。演題と講師は以下の通りであった。

(1)「玄海灘の海流変化と地球温暖化」 尹宗煥氏(九州大学応用力学研究所教授)
(2)「水族館における海洋保全の役割」 岩田知彦氏(海の中道海洋生態科学館課長)
(3)「水資源開発と節水型社会の実現」 岡本正美氏(福岡市水資源対策担当部長)

尹氏は玄海灘の海流、対馬暖流の変動のメカニズム、日本海における温暖化の影響などについて、実験・観測データをもとにパワーポイントで以下のように説明した。

博多・釜山間のフェリーに実測装置を搭載して研究を続けているが、日本周辺海域では過去20年間に季節風が弱化し、著しい気温、海面温度の上昇がみられる。

日本海の深層では温暖化の影響が顕著。深層水の形成が停止し、深層水温の上昇、溶存酸素が減少している。日本海の深層は世界の海の深層に先駆けて温暖化の影響を受けている。地球の海洋の未来が投影されているかもしれない。日本海深層の監視が必要だ。

岩田氏は水族館の役割、環境保護、水族館の環境保全活動、啓発活動などについて、次のように説明した。カブトガニは昔は博多湾全域で生息していたが、現在は今津湾でしか見られない。市民を対象に今津干潟で観察会を実施しカブトガニの姿を子供たちに、見せている。

時には、アカウミガメが産卵上陸したという情報を寄せられることもある。周辺で工事があるとか危険が顕著な場合を除き、静観することにしている。卵の向きを変えたりして、人間が手を出すと産卵に失敗することもあるからだ。

志賀島、津屋崎海岸には、イルカ、クジラが迷い込んだり、打ち上げられたりすることもある。オオギハクジラが漂着したことがあるが、その胃の中からプラスチック、ビニールなどがでてきた。それらにはハングル文字が読み取れた。ヒナモロコという淡水魚がいる。この魚は福岡と朝鮮半島だけに生息するが、昔は陸続きだった証拠だろう。

1970年代までは、福岡県の多々良川、御笠川、那珂川、筑後川の水系に見られたが、現在では筑後川の田主丸にしか生息しない。ヒナモロコの放流などで絶滅を防いでいるが、田主丸以外では成功していない。

岡本氏は、近年の気象変動に伴う現象、福岡市の降水量の変遷、福岡市の近年の渇水、人口推移と水資源開発、節水型都市づくりなど、行政の取組を以下のように説明した。

近年の降雨の特徴としては、「長期的に見ると少雨と多雨の変動幅が増大し、治水上も利水上もリスクが増大している」と、異常降雨の被害状況を紹介した。しかし、人口一人当たりの降雨量では、福岡市は全国平均並の十分の一以下で、渇水被害が起こりやすい地域である。

1978(昭和53)年の大渇水では、南畑ダムが干上がり、制限給水日数は287日、平均断水時間は14時間であった。1994(平成6)年の大渇水では、瑞梅寺ダムの貯水率が11.4%、背振ダムの貯水率が32.75%となり、制限給水日数は、295日間、平均断水時間は、8時間であった。

福岡市の貯水施設は、水道専用ダムは、曲淵ダム(大正12年)、久原ダム(昭和46年)、背振ダム(昭和51年)、長谷ダム(平成5年)があり、多目的ダムとしては、南畑ダム(昭和42年)、江川ダム(昭和50年)、瑞梅寺ダム(昭和53年)、狩野ダム(平成13年)がある。

平成17年6月から海の中道の海水淡水化施設が稼働している。福岡市は都市圏の水の三分の一は筑後川からの取水である恩恵を忘れてはならない。異常渇水対策として、平成29年度完成予定の渇水対策ダム(五ヶ山ダム)を建設中である。

その他、節水意識の啓発、節水型給水器具の使用、雨水タンクの利用などを推奨している。以上が、三人の講師の講演である。

興味深い話であった。広い意味で、「海と地球の環境問題」と関連する話ではあるが、「玄海灘沿岸域の環境保全と開発」との関連では必ずしも一致する講話にはなっていない。テーマと講演の内容に乖離がある気がした。【了】

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