2006年05月04日

鄭和と現代中国

NHK「偉大なる旅人・鄭和鄭和小平が再評価し、今では歴史的英雄だ。
ちょうど胡錦濤主席が先月、アフリカ諸国を歴訪、Livedoorニュース[中国主席]中東アフリカ訪問 原油確保へ積極攻勢を行ったばかりだ。胡錦濤のアフリカ訪問は主席として2度目、副主席時代を含めると3度目だ。
この番組自体はGW埋め草用再放送のようで、それなりに面白い。ただ、(後から来た西洋の艦隊と異なり)、侵略せず、友好的で平和的な外交をしたと露骨に対照的に描くきらいがあったのはどうだろう。
鄭和の南海遠征は朝貢貿易が目的で、鄭和自身、イスラム教徒でメッカ巡礼を夢見ていた。キリスト教徒とは根本的に違うし、明にはヨーロッパのような領土拡大の動機付けもなかったので、これをもって侵略的・平和的と区別するのはちょっと。少なくとも資源確保の動機を持った現代中国と同一視するような構成は誤解を生む。
中国が難破した鄭和艦隊乗組員の子孫というアフリカ住民の家族(イスラム教徒のようだ)を中国に招待留学させたことなどを紹介しているが、政治的意図はみえみえだ。
また番組ではあたかも鄭和がインドなどの新しい文化を中国にもたらしたかのように構成しているが、海のシルクロードを通じて7世紀には多くのイスラム商人が中国に居留していたことを考えると、あまりに鄭和を持ち上げすぎているきらいがある。
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Posted by y0780121 at 19:45│Comments(1)TrackBack(0)clip!

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この記事へのコメント
TB有難うございました。「インド洋はチャイナの海」だった!と思えるような大作でしたね。英国の潜水艦艦長さんの「かも知れない本」まで引っ張り出して、「大西洋もチャイアンの海だった」と印象付けるような番組でもありましたね。テーマが鄭和艦隊なので、海の話になるのは仕方が無いのですが、永楽帝がキー・パーソンとなっているのなら、中央アジアを席捲して東に向かいつつあったチムール帝国の圧力にまったく触れないというのは、歴史の半分だけを強調する悪質な「教養番組」だと言えるでしょうなあ。
Posted by 旅限無 at 2006年05月06日 13:50