2009年04月05日

ザ・バンク−堕ちた巨像−3

the international公式サイト。原題:THE INTERNATIONAL。 トム・ティクヴァ監督、クライヴ・オーウェン、ナオミ・ワッツ、アーミン・ミューラー=スタール、ブライアン・F・オバーン。今日の世界の金融危機を予言したという触れ込みよりも、より正確には金融による世界の制御を後講釈していると言うべきか。エルサレム賞受賞講演で村上春樹氏が言った「壁」あるいは「システム」に近い。
映画に登場するInternational Bank of Business and Credit (IBBC)は実際に存在したBCCI(国際商業信用銀行)をベースにしている。アルカイダのオサマ・ビンラーデンもBCCIから資金援助を受け、CIAも協力を受けていたという。
IBBCについてイタリアの武器メーカー会長でイタリア首相候補のウンベルト・カルビニは「彼らは利益を得るためというより債務をばらまいて世界を支配しようとする」とインターポールのサリンジャー(クライヴ・オーウェン)とエレノア検事(ナオミ・ワッツ)に教える。
確かにアフリカ諸国は武器を消費しては借金まみれになってしまい、いつまでも自立できないままでいる。そして、「みんなグルだ」と。
その中で、お爺ちゃんと呼ばれる元東ドイツの軍人のメッセンジャー(アーミン・ミューラー=スタール)と美術館を会合場所に選ぶハゲの殺し屋。この2人は、システムも全てを知って、恐らく一度は絶望し、後はニヒリズムを糧に粛々と仕事をこなすプロ。彼らは、IBBCに忠誠を尽くすわけでもなく、「正義」のサリンジャーを鬱陶しく感じるわけでもなく、ただ無意味にあるがままに仕事をこなしているだけのようだ。
ニューヨークの美術館での死闘では、敵のはずのサリンジャーと殺し屋が協力するのも、殺し屋には元々敵も味方もないからだ。
ラストのイスタンブール、サリンジャーにイスタンブールのトプカピ宮殿の屋根上に追い詰められたスカーセンIBBC議長は「殺しても別の人間に代わるだけだ。分かっているだろう」と“世界のシステム”を説く。
しかし、殺しても何もならない、ことはない。彼らだって殺したいから殺してきたのだろう。自分が殺されそうになって、“システム”を持ち出すのは、所詮彼らは“世界のシステム”という概念ををご都合主義的に、自己利益のために実用主義的に使っているに過ぎない。
殺したい時は殺すのが世界の真のシステムだ。そこでスカーセンを殺すのはサリンジャーではなく、システムにはノイズと見なされそうなイタリア・マフィア風義侠心というなんとも古風なカルビーニの手下。とどめを刺した後、「グラッチェ」(ありがとう)とサリンジャーに言って立ち去るシーンがなかなかいい。
あのカルビニ暗殺は「ジャッカルの日」を思い出させるが、より複雑性が増している。ちょっとアクションやり過ぎというか、もうちょと粛々と表現した方がもっと怖さを増したのだろうけれど。
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Posted by y0780121 at 22:29│Comments(4)TrackBack(19)clip!洋画ザ | ★3

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この記事へのコメント
> この2人は、システムも全てを知って、恐らく一度は絶望し、後はニヒリズムを糧に粛々と仕事をこなすプロ。

■ちょうど私も、「希望」のいやらしさについて考えていたので、興味深く読まさせていただきました。
私の『ザ・バンク』批評はここです。

http://www42.tok2.com/home/kyouhanshinbun/movie-2009-04.htm

> 自分が殺されそうになって、“システム”を持ち出すのは、所詮彼らは“世界のシステム”という概念ををご都合主義的に、自己利益のために実用主義的に使っているに過ぎない。

■ここ、すばらしいです♪
Posted by 久保AB−ST元宏 at 2009年04月07日 10:52
久保AB−ST元宏さん、そちらのレビュー拝読しました。

>映画の最中、突然、ブッチ・キャシディーとサンダンス・キッドの1970年の映画『明日に向かって撃て!』になる場面がある。

私も観たのですけど、なにせ昔々なのでどこのシーンだったか思い出せませんでした。
それにしても「脳味噌共犯」って凄いタイトルですねえ。
Posted by 佐藤秀 at 2009年04月07日 16:03
>どこのシーンだったか

■あは(笑)。
佐藤さま、お忙しい中、読んでいただきありがとうございます。
あれは、グッゲンハイム美術館で主人公と、ついさっきまで敵だった義足の殺し屋が二人して並んで走りながら銃を撃ちまくる絵づらが、です(笑)。
違います(笑)〜?

>「脳味噌共犯」って凄いタイトル

■私のホームページのメインのタイトルが『共犯新聞』で、
キャッチフレーズ(?)が、「脳味噌の解放は可能か?」なもんで(笑)。
でも、映画館の暗闇で、無数の他人が椅子に身を沈ませて、同じ光を見続けるのって、「脳味噌共犯」な感じしませんか(笑)?
Posted by 久保AB-ST元宏 at 2009年04月08日 23:24
ああ、そう言えば、ポール・ニューマンとレッドフォードがそんなことしていたような。
ここらへん、共犯者になりきれなくてすみませんでした(笑)
Posted by 佐藤秀 at 2009年04月09日 19:38