2009年08月19日

縞模様のパジャマの少年3

pyjamas_公式サイト。原題:THE BOY IN THE STRIPED PYJAMAS。マーク・ハーマン監督、エイサ・バターフィールド、ジャック・スキャンロン、デヴィッド・シューリス、アンバー・ビーティー、ヴェラ・ファーミガ、ルパ−ト・フレンド。ナチスのエリート将校(デヴィッド・シューリス)の息子ブルーノ(エイサ・バターフィールド)は8歳。恵まれた家庭育ち故にか、世間知らずで目の前の現実をなかなか理解できないという悲劇。
世慣れていないのは、息子だけでなく12歳の長女グレーテル(アンバー・ビーティー)もそう。世の中を分かっているつもりで時代の空気に同調するが、それが何を意味するかを理解していない点で同じ。ばかりか、母(ヴェラ・ファーミガ)も気が付くのが遅すぎる。父が言葉で説明しなくても周囲の雰囲気で一体何が進行しているか大体察しがつきそうなものだ。においで感じ取るというか。ましてや変なにおいがしている煙まで出ているというのに。
多分、家来の中尉(ルパ−ト・フレンド)だけでなく、元医者のじゃがいもの皮むきユダヤ人だって、その他周りの人間たちは知っていて知らない振りしていただけだろう。
8歳だから分別がない、と冒頭で断られているけれど、もしもブルーノの引越し前の友達なら空気読んで察知していたろう。8歳でも何となく理解して警戒するものだ。子どもは大人が思い込んでいる以上にしたたかなものだ。
恵まれた家庭と過酷な運命を強いられた少年の環境の差。収容所の鉄条網越しの同じ8歳の友達シュムエル(ジャック・スキャンロン)はブルーノに教えようとするが、気付いてくれない。彼は最後、本当に友情をブルーノに感じていたかさえ疑問。友情があるのなら、ブルーノをキャンプ内に招き入れなかったろう。既に彼はブルーノが恵まれた家庭の子息と知っていたから何とか取り入って助けてもらおうとしていたのかとさえ思える。
最後は2人にとっても想定外だったのだけれど、実はちょうど焼くだけではもったいないので遺体から石鹸だの、毛織物などにしてリサイクルを始めた時期だったのだろう。
ストーリーは皮肉な悲劇へと突き進むのだけれど、あまりにも登場人物の気持ちのブレがなさ過ぎるような印象があって、それぞれステレオタイプ化されていて、まっしぐらに話がうまく行き過ぎているきらいがある。鉄条網にしても子供が少し掘って出入りできるというのは強制収容所にしては警備が甘すぎる。何度も特定の少年同士がフェンス越しに会話していたら警備兵に見つかっているはずだ。悲劇のための小道具に無理があるというか。
実は皮肉にも、一番そのことで人間らしく悩んでいたのは収容所所長になった父ではなかったとさえ思わせる。ラストの表情は多分「息子にしっかり教え込んでおくべきだった」あるいは「ここに連れてくるべきじゃなかった」というものだろう。彼も8歳の少年を思い違いしていたのだろう。自分の8歳の時よりもっと純粋だったとは思わなかったという思い違いを。
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Posted by y0780121 at 21:44│Comments(2)TrackBack(19)clip!洋画シ〜マ | ★3

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のどかな印象のタイトルとは裏腹に物語は極めてシビアなものだ。縞模様のパジャマとは、強制収容所内のユダヤ人が着る服のこと。第二次大戦下、8歳のブルーノはナチス将校である父の昇進に伴い、ベルリン郊外に越してくる。ある日、屋敷の裏庭で、鉄条網で覆われた場所にい....
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[映画『縞模様のパジャマの少年』を観た]【『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭】at 2009年08月20日 04:50
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縞模様のパジャマの少年 / THE BOY IN THE STRIPED PYJAMAS【我想一個人映画美的女人blog】at 2009年08月20日 10:02
□作品オフィシャルサイト 「縞模様のパジャマの少年」□監督・脚本 マーク・ハーマン □原作 ジョン・ボイン □キャスト エイサ・バターフィールド、ジャック・スキャンロン、アンバー・ビーティー、デヴィッド・シューリス、ヴェラ・ファーミガ、、ルパート・フレン...
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あらすじ第二次世界大戦下、8歳の少年ブルーノはナチス将校の父の栄転でベルリン郊外に引っ越し縞模様のパジャマを着た少年と出会う・・・。感想黒柳徹子号泣『リトル・ヴォイス』...
『縞模様のパジャマの少年』'08・英・米【虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映...】at 2010年11月11日 22:33
この記事へのコメント
グレーテルの部分に触れる方はあまりいないのですが、彼女は確かに何も解っていないですよね。ただ単に中尉に気に入られたいがためであって、いわゆる恋愛の一つの形でしかない訳で。つまり娘は何も解ってない、妻は解るのが遅すぎる、母親はとっくに解っていたと、人生経験が長いほどナチスに懐疑的になってるところがまた微妙かと。
Posted by KLY at 2009年08月19日 23:56
父親というか、所長の父も分かっていたけれど、なすすべもなく、時流に従わざるを得なかったんですね。夫のデヴィッド・シューリスは、言葉ではなく表情で複雑な自分の立場をよく表現していたように思いましたよ。
Posted by 佐藤秀 at 2009年08月20日 00:12