2010年02月23日

人間失格

nlh公式サイト。太宰治原作、荒戸源次郎監督、生田斗真、伊勢谷友介、寺島しのぶ、大楠道代、小池栄子、坂井真紀、室井滋、石原さとみ、三田佳子、石橋蓮司、森田剛。静子役の小池栄子が「あの人はお酒を飲んでいると言うよりお酒に飲まれているのかも」と言う台詞があるが、この映画も太宰治を飲んでいるつもりで、太宰治に飲まれて酩酊している印象がある。一人相撲して勝手にこけたような。
とにかくあらゆる映像テクニックを駆使してことごとく滑っている。喀血を雪が積もった路上に吐かせて映像効果を強調したり、メルヘンチックに空から炎をが降ってきたり、桜吹雪が舞ったり、いちいちわざとらしい。ラストの三田佳子との裸のツーショットはもうやめてくれ、という感じ。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いで、岩木山にまで八つ当たりしたくなる。
葉蔵(生田斗真)自身が、いきなりただのアル中、ヤク中、性格破綻者にしか見えない。その結果、「生まれてすみません」とか重い言葉が全部浮いてしまっている。堀木(伊勢谷友介)がまた下手なギャグみたいに最初から最後まで「5円貸してくれないか」と、もういい加減にしろ、と言いたくなるくらいしつこい。堀木をだらだら出させるくらいなら少年時代、跳び箱で葉蔵のわざとらしい演技を見抜いた少年をもう少し引っ張った方が良かった。どもりの彼と世の中に違和感を感じる葉蔵は同類であることの表現なのだから。中原中也(森田剛)もいかにもゲスト出演です然としていてまるで独立した挿入部分のようで噛み合っていない。
女性陣にしても、モデルの太宰治は一応芥川賞候補作家ということで、女性が言い寄って来た側面があり、映画のように漫画家志望じゃあの当時では見向きもされなかった可能性がある。
その中で一番光ったのは下宿先の娘礼子(坂井真紀)だろうか。そんなに目立たず片思いに終わるが、もし一緒になっていたら葉蔵はこうも堕落していなかっただろうなあ、と思わせる、ほっとけない感を表現している。その後ものにする女性はどんどんダウングレードするのは気のせいだろうか。ちょっと女性陣が多過ぎる。
エピソードとしてシンパシーを感じていたという横綱男女ノ川が出て来るのはいいけれど、何かとって付けた感じ。むしろ、同じ時代の力士出羽ヶ嶽をモデルにした蔵王山が登場する北杜夫の大河小説「楡家の人びと」を思い出してしまった。ことほど左様に何か「人間失格」というより、当時の時代を背景にして色々な物を交ぜ込んだオムニバスムービーのようだった。特に「前畑頑張れ」とか日米開戦の放送などは、どういうつもりか知らないが、ただ映画を散漫にする効果しかなかった。
原作が1ページ目から引き込まれるのに対して、この映画は終わるまでやたら長く感じた。エンドロール後に出て来る「お断り」が言い訳がましい。
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Posted by y0780121 at 21:27│Comments(4)TrackBack(15)clip!邦画ナ、ニ | ★0

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この記事へのコメント
原作は未読ですし読む気もないのですが、映画だけ観ていても何のことやら解らん部分が多くて。読んだ人対象なら最初からそう言ってくれたら観なかったんですけどねぇ。
Posted by KLY at 2010年02月23日 23:17
結局、主人公の性格形成を充分に描ききれなかったんでしょうね。ちょっと色々な女性が出過ぎてかえってわけわからなくなった感じ。
Posted by 佐藤秀 at 2010年02月23日 23:52
こんばんは〜♪
私も同じような感想を持ちました。
映像で魅せようとしたようですが、そのレベルまでいっていないので(汗)、何が何だか分からないところがありましたよね〜

>葉蔵のわざとらしい演技を見抜いた少年をもう少し引っ張った方が良かった
そうですよね。
というか、幼少時よりの葉蔵の内面を描いていないので、葉蔵がただのボンボンに見えてしまったことが残念です。
Posted by 由香 at 2010年02月28日 23:12
一部では饒舌をやめて沈黙の映像を味わってほしいなんて話もありますけれど、映像的にもだめですね。
Posted by 佐藤秀 at 2010年03月01日 00:08