2010年03月13日

時をかける少女(2010)4

tokikake公式サイト。筒井康隆原作、谷口正晃監督、仲里依紗、中尾明慶、安田成美、青木崇高、石橋杏奈、千代将太、柄本時生、キタキマユ、田島ゆみか、松下優也、加藤康起、勝村政信、石丸幹二。もうすぐ桜の季節なのだ。桜と弓道と仲里依紗を合わせたら「ちーちゃんは悠久の向こう」になる。その桜のような簡素な儚い美しさも共通している。
これまでの1983年版2006年アニメ版の姉妹作品であると同時に「ちーちゃん」の姉妹作品とも言える。アニメ版は同じく仲里依紗が声優で出演しているサイバーをかける少女、「サマーウォーズ」とも姉妹作品なので、いつの間にか大ファミリーになってしまった。「ちーちゃん」が自分が死んだことを忘れてしまった少女という「時をかける少女」だったから本当に違和感なく姉妹作品と言える。
こんなタイムトラベルものはそれ自体ご都合主義がぷんぷんするのだけれど、ドスのきいた可愛さの仲さんがそれを演じると、物の見事にそうした違和感を吹っ飛ばしてくれる。なにせタイムリープの途中で「何だこりゃあ!」なんて豪快に叫んでかけた人は恐らく世界映画史上、仲さんが初めてだろう。
tokikake2この一言でタイムトラベルという非合理から解放されるのだ。その疾走は薬学部合格者発表の時、タイムリープの時、夜行バスを追いかける時と、3度見せてくれるのだけれど、3度とも同じ位相だということが分かる。すなわち「失われた時を求めて」の疾走。
かと言って、最終的には合理的にできているということでも共通している。これは本来の主人公、芳山和子(安田成美)の一炊の夢なのだから。娘のあかり(仲さん)が母と同じ薬学部に合格するのもただの偶然ではない。あかりが1974年2月の、まだ桜の花が蕾の頃に間違ってタイムリープしている間、和子は目覚めない。目覚めるのは全てがリセットされた時だ。
そもそもなぜ本来の1972年4月の桜が満開になる季節にタイムリープ出来なかったのだろうか。これは単なる数字の並びの間違いのようには思えない。2月はまだ桜が花開かない季節。そのためにあかりと涼太(中尾明慶)との恋が蕾のままに終わらなければならないことが運命づけられている。2月はまだスキーのシーズンで、その中に悲劇がインプットされている。雪と桜という簡素で日本的な季節感を巧みに織り込ませている。
tokikake3未来から来たという深町一夫は実は「ちーちゃん」と同様、自分が死んだことを忘れてしまった少年ではないのか。そう考えると、和子は桜の花が散る季節でもある切ない1972年4月に戻らずに、まだ桜の季節じゃない数字違いの1974年2月にタイムリープしたのではないか。そこで吉田拓郎は「春だったね」と思い出を歌っているのだ。
しかし、結局、最後は同じことになるという悲痛さが待っているだけだった。「歴史を変えるわけにはいかない」という規則を諭す深町一夫(石丸幹二)の言葉はそういう意味だろう。実際に桜が満開になるのはあかりが現代に戻って来てからだ。あかりが残された8ミリ映画で泣くのは、自分の消された記憶ではなく、母の後ろ姿の切ない記憶なのだ。
もう一つの共通点「弓」は「時間の矢」を放つ道具。ところが、あかりは、あろうことか放つ瞬間に矢を落として「失敗」し、「間違い」が予告されている。
Clickで救えるblogがある⇒人気blogランキングにほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ



Posted by y0780121 at 21:08│Comments(1)TrackBack(28)clip!邦画ト | ★4

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/y0780121/50460275
この記事へのトラックバック
言わずと知れた筒井康隆の不朽の名作を今再び映画化。母の代わりにタイムリープした主人公の切ない恋の行方を描いた青春ドラマだ。主演は2006年のアニメ版『時をかける少女』で主人公・真琴の声を演じた仲里依紗。共演に『ROOKIES -卒業-』の中尾明慶、安田成美。監督は...
時をかける少女(2010)【時をかける少女(2010): LOVE Cinemas 調布】at 2010年03月13日 21:46
時をかける少女オリジナル・サウンドトラック「時をかける少女」を鑑賞してきました筒井康隆の名作SFを、2006年のアニメ版でもヒロインの声を務めた仲里依紗を主演に迎えて実写映画化した青春ファンタジー。今度は母・芳山和子に願いを託されたヒロインが70年代に...
劇場鑑賞「時をかける少女」【日々“是”精進!】at 2010年03月13日 21:48
3/13の「時かけ」公開を前に、1983年原田知世版「時をかける少女」、2006年細田守アニメ版「時をかける少女」、2010年仲里依紗版「時をかける少女」の3本が一挙上映される「時かけ映画祭」が2/27に開催された15:30〜16:10 ゲストトーク16:15〜18:00 1983年版 『時をかけ....
「時をかける少女」一挙上映!7時間耐久『時かけ映画祭』@新宿ピカデリー【|あんぱ的日々放談|∇ ̄●)ο】at 2010年03月13日 22:47
出張から帰ってきたばかりでお疲れだけど、今晩も試写会があるんで家に荷物を置いてすぐにまた出て、よみうりホールで「時をかける少女」を観てきました学生時代にガチガチの筒井康隆ファンで、原田知世バージョンの映画をリアルタイムで観てる世代にとっては、それだけで...
試写会「時をかける少女」【流れ流れて八丈島】at 2010年03月14日 01:53
☆私にとっての『時をかける少女』は、原田知代なのだが、  この作品、リメイクではなく、これまでの繰り返されて作られた作品の続編体裁となっている。  で、主演の美少女・仲里依紗の個性ともども、少なくとも私のイメージとはかけ離れた「時をかける少女」が展開され...
[映画『時をかける少女』を観た]【『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭】at 2010年03月14日 04:24
時代と世代を超えて、多くの人々を魅了してきた「時をかける少女」。原作者・筒井康隆氏自らの「ダイナミックに過去へ時をかけてみれば?」というアイデアと、「原作発表当時の感動...
時をかける少女【やっぱり邦画好き…】at 2010年03月14日 09:53
【2010年・日本】試写会で鑑賞(★★★★☆) 筒井康隆の名作SFジュブナイルを実写映画化した青春ファンタジー映画。 2010年東京。大学で薬学者をする芳山和子(安田成美)は、ある研究を密かに続けていた。娘の芳山あかり(仲里依紗)が大学受験に成功した春、幼馴染み...
時をかける少女(2010年)【ともやの映画大好きっ!】at 2010年03月14日 09:57
薬学者の母・和子が勤める大学に合格した芳山あかり。 しかし母は交通事故に遭ってしまう。 昏睡状態から目覚め「1972年4月の土曜日。 深町一夫に会うため、中学の理科実験室に行かなくては」と動かない身体を起こそうとする母に、あかりは「あたしが代わりに行く!」と言...
時をかける少女【象のロケット】at 2010年03月15日 02:01
2010年版『時をかける少女』。 オリジナルの1983年版『時をかける少女』は子供のころから何度かテレビで観た記憶程度ですが、数年前のアニメ版『時かけ』が超絶面白かったので、アニメ版でヒロインの声を担当してた子が主演する今度の『時かけ』にも期待して観てきました。 ...
時をかける少女【そーれりぽーと】at 2010年03月16日 21:00
監督、谷口正晃。脚本、菅野友恵。原作、筒井康隆。主題歌、いきものがかり「ノスタル
映画『時をかける少女』(お薦め度★★★)【erabu】at 2010年03月17日 00:33
原作筒井康隆さんの小説をもとに現代風にアレンジした 作品、映画化第4弾 最近のところではアニメ版時をかける少女が有名。 そのアニメ版の??.
時をかける少女(2010)【単館系】at 2010年03月17日 21:39
「時かけ」が何度も映画化されるのは、物語の骨格が魅力的な上に何通りものバリエーションが可能なためだ。高校3年生の芳山あかりは、薬学者の母・和子が交通事故に遭ったと聞いて病院に駆けつける。母は「1972年4月の土曜日の実験室、深町一夫に会いにいく」とうわ言のよ....
時をかける少女【映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子公式HP】at 2010年03月17日 23:45
  □作品オフィシャルサイト 「時をかける少女」□監督 谷口正晃□脚本 菅野友恵 □原作 筒井康隆 □キャスト 仲 里依紗、中尾明慶、安田成美、勝村政信、石丸幹二■鑑賞日 3月13日(土)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5...
『時をかける少女』【京の昼寝〜♪】at 2010年03月18日 06:54
★★★  今までこのタイトルの映画を何度観ただろうか。筒井康隆の原作が初めて世に出たのは昭和40年代であるが、昭和58年の大林監督作品を皮切りに、なんと4回も映画化されているのだ。 SFファンタジーなので、余り時の経過が長過ぎると陳腐化してしまう。それで4
時をかける少女【ケントのたそがれ劇場】at 2010年03月20日 20:37
あなたに、会いにいく。 記憶は消えても、 この想いは消えない。 上映時間 122分 原作 筒井康隆 脚本 菅野友恵 監督 谷口正晃 出演 仲里依紗/中尾明慶/石丸幹二/青木崇高/石橋杏奈/千代将太/柄本時生/キタキマユ/勝村政信/安田成美 筒井康隆の名作SFを実写映画化した青...
時をかける少女【to Heart】at 2010年03月20日 22:01
◆仲里依紗さん(のつもり) 仲里依紗さんは、筒井康隆原作の小説『時をかける少女』の続編的な位置づけで映画化された同名映画に芳山あかり 役で出演しています。先日、劇場に観に行きました。●導入部のあらすじと感想
時をかける少女 (仲里依紗さん)【yanajunのイラスト・まんが道】at 2010年03月20日 22:54
 日本  ファンタジー&青春&ロマンス  監督:谷口正晃  出演:仲里依紗      中尾明慶      安田成美      勝村政信 【物語】  母娘二人暮らしのあかりは、母の和子が薬学者として研究を続けている 大学に見事合格する。そんな折り、突然母が交通事故に遭....
時をかける少女【小泉寝具 ☆ Cosmic Thing】at 2010年03月21日 11:55
 2006年のアニメ版の“時をかける少女”がおもしろかったのと(アニメ版の記事はこちら。)、先着でプレゼントがあるということで、時をかける少女を観てきました。
映画:時をかける少女【よしなしごと】at 2010年03月22日 13:56
 2006年のアニメ版の“時をかける少女”がおもしろかったのと(アニメ版の記事はこちら。)、先着でプレゼントがあるということで、時をかける少女を観てきました。
映画:時をかける少女【よしなしごと】at 2010年03月22日 14:31
タイムトラベルものの成否は伏線の張り方とその結実がドラマにどのような影響を与えるか、そして、ほのかに感じさせるセンチメンタリズムであろう。その点ではこの作品は成功作である。オリジナルの主演者・原田知世は透明感のある美少女タイプであったのに対して今回の主...
時をかける少女■原田知世と正反対の仲里依紗をうまく活かした佳作【映画と出会う・世界が変わる】at 2010年03月25日 07:34
<<ストーリー>>母娘二人暮らしのあかり(仲里依紗)は、母の和子(安田成美)が薬学者として研究を続けている大学に見事合格する。そん...
時をかける少女【ゴリラも寄り道】at 2010年03月27日 01:37
一昨日、新宿ピカデリーで見てきました。これは2月中旬の監督ティーチイン付き試写会券が来てたのですが、都合合わずどうにも気忙しいし見送っていたのでした。やはりドラマ「タイム・トラベラー」('72)や大林版元祖「時をかける少女」('83)からの愛着+今回いきものがかり...
時をかける少女(’10)【Something Impressive(KYOKO??)】at 2010年04月19日 10:15
3月13日公開の映画「時をかける少女」を観賞した。 この映画は1983年に公開された 原田知世主演の映画「時をかける少女」の続編に当たる作品で、 芳山和子の娘あかりが1972年に出会った深町カズオに 伝えたいメッセージを託して過去へ向かうが、 そこは19....
「時をかける少女」時代を超えて継承された母から娘への恋の物語【オールマイティにコメンテート】at 2010年05月09日 11:16
と〜きを かける少女♪ 【Story】 母娘二人暮らしのあかり(仲里依紗)は、母の和子(安田成美)が薬学者として研究を続けている大学に見事...
時をかける少女【Memoirs_of_dai】at 2010年10月18日 00:02
今まで何度も映像化・映画化されてきた筒井康隆原作のSF短編小説「時をかける少女」を新たな視点で映画化した上質の青春映画。母の代わりに1970年代にタイム・リープした娘の切ない体験を丁寧に描写...
mini review 10496「時をかける少女」★★★★★☆☆☆☆☆【サーカスな日々】at 2010年10月29日 23:37
「プレシャス」 「時をかける少女」 
プレシャスタイム【Akira's VOICE】at 2010年11月17日 10:36
10年/日本/122分/青春ファンタジー・ロマンス/劇場公開 監督:谷口正晃 原作:筒井康隆 主題歌:いきものがかり『ノスタルジア』 挿入歌:いきものがかり『時をかける少女』 出演:仲里依紗、中尾明慶、安田成美、勝村政信、石丸幹二 <ストーリー> 高校卒業...
時をかける少女【銀幕大帝α】at 2011年03月15日 00:35
そういえば「時をかける少女」ってオリジナルもアニメも見てないことに気づいた。内容は同じなんだろうか? 母親が事故で意識不明になり、母の研究実験から間違って72年の2月に飛ぶつもりが1974年の2月にタイムリープすることになったあかり。そこで出会ったのが涼太
時をかける少女【いやいやえん】at 2012年01月20日 10:45
この記事へのコメント
はじめまして
TBさせていただきました
これはも不朽の名作ですね
私は原田知世版をリアルタイムで観た世代なので
かなりリンクもあり嬉しく楽しめました
Posted by かわ at 2010年10月21日 23:43