2010年06月19日

ザ・ウォーカー4

walker公式サイト。原題:THE BOOK OF ELI。アレン・ヒューズ、アルバート・ヒューズ監督、デンゼル・ワシントン、ゲイリー・オールドマン、ミラ・クニス、レイ・スティーヴンソン、ジェニファー・ビールス、フランシス・デ・ラ・トゥーア、マイケル・ガンボン、トム・ウェイツ。近未来、30年前に起きた「空に穴が開いて光が放たれた」兵器で世界のほとんどの人間が死滅した世界。
“ウォーカー”ことイーライ(デンゼル・ワシントン)が持っている本はその戦争の原因でもあり、また暴力を治め、世界を秩序化する働きもすると言われている。

産めよ、増やせよ、地に満ちよ

という聖書の言葉の最終形態が、戦争前の物が溢れた時代で、やがてそのことが戦争という自爆をもたらしたということ。また、フリードリヒ・ニーチェのキリスト教批判、

来世での報酬のために現世での幸福を犠牲にすることを強いるキリスト教的世界観と真っ向から対立するものである。
永劫回帰説もさることながら、『悦ばしき知識』を最も有名にしたのは、伝統的宗教からの自然主義的・美学的離別を決定づける「神は死んだ」という主張であろう。


まで絡んでいるように見える。
要は、原題のTHE BOOK OF ELIというのは聖書のこと。焚書を描いたSFには「華氏451」などがお馴染だけれど、この究極の焚書の後の世界がテーマ。盲人の女性が出て来るが、この人、約30年前の「フラッシュダンス」で名をはせたジェニファー・ビールス。全然雰囲気変わっている。30年前の“閃光”ってこのことかいな、とか、色々余計な想像もできるが、多分、30年前はその“フラッシュ”で世界の大多数が盲人になったと想像される。それはまた「本を読むな」のメタファーでもあるのだけれど、映像がセピア調なのも、映像自体がサングラス目線でまだ浴びると目が潰れる光線が降り注いでいることを表現するためだろう。
滅ぶにしても世界を秩序化するにしても、いずれにせよ、聖書はなくてはならない、ということになる微妙な本なのだ。途中の戦闘シーンで聖書と思わせたものが実は爆弾だったというのも気が効いた演出。実はその本物の聖書も点字で、そのことは盲目というメタファーで表される弱い人間こそが実は聖書に頼っているということでもある。
世界を支配するために焚書で失われた聖書を手に入れようとするカーネギー(ゲイリー・オールドマン)。カーネギーはイーライを撃って倒し、「ただの人間だろ」とキリスト教を否定しつつ、キリスト教を支配の道具と考えているのは明らか。ちなみに、カーネギーという名前「頭を使って豊かになれ(思考は現実化する)」の著者ナポレオン・ヒルに元祖成功哲学を書かせたアンドリュー・カーネギーや元祖自己啓発本「人を動かす」の著者デール・カーネギーのパロディなのかと思える。つまり人の心を操る大家ということ。ちなみに聖書は史上最強の自己啓発本だという説もある。
けれど、イーライが聖書を西へ運ぶ理由は何だろうか。世界を滅ぼすでもなく、支配するわけでもない、“第3の道”を選んだわけでもない。ただ単に文化の伝承者ということだろう。イーライ(Eli)の名前は旧約聖書に出て来るエリエリヤからだろうか。
いずれにしろ、この2人が世界最大のベストセラー聖書の聖俗二面性を表していることは間違いない。
この伝承者が実はKマートの店員だったという“衝撃のラスト”はかなりのオチ。実はKマートは同じポストアポカリプス系の「バイオハザードIII」にKマートと名乗る女性が登場しており、オマージュぽい。やがてその人が将来“聖人”として崇められることになるのだろうから。今、聖人扱いされている人々も元々は「ただの人間だろ」というカーネギーの言葉が再び思い起こされる。そして、敷衍すれば、聖書そのものも、結局「ただの本だろ」ということになる。
その聖書の行きつく先が「アルカトラズからの脱出」でお馴染の監獄島と呼ばれるアルカトラズ島というのもワサビが効いている。
アルカトラズが未来のエルサレムになるだろうから。
“姉妹作品”「ザ・ロード」も。
The Book Of Eli - Soundtrack Al Green How can you mend a broken heart?↓がまたいい。

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Posted by y0780121 at 20:20│Comments(4)TrackBack(31)clip!洋画ザ | ★4

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世界滅亡後のアメリカ大陸。 世界に一冊しかない“本”を運ぶため、“ウォーカー”と呼ばれる男は、30年間、西へ向かって歩み続けている。 ある町の独裁者カーネギーは、真の支配者となるためにその本を必死で探していた。 カーネギーの情婦の娘ソラーラはウォーカーと本...
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{/hikari_blue/}{/heratss_blue/}ランキングクリックしてね{/heratss_blue/}{/hikari_blue/} ←please click ゲイリー目当て{/3hearts/} だったけど、最高にカッコよかったのはデンゼルの方{/kaminari/} 期待はしてないまでも、ずーっと楽しみだったから初日に観てきまし...
ザ・ウォーカー/ THE BOOK OF ELI【我想一個人映画美的女人blog】at 2010年06月21日 23:48
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ザ・ウォーカー 感想書いたらネタバレなるから自粛・・・【労組書記長社労士のブログ】at 2010年06月28日 11:40
先日、映画「ザ・ウォーカー」を鑑賞しました。
映画「ザ・ウォーカー」【FREE TIME】at 2010年07月01日 22:34
レビューを更新しました。 当HP↓からどうぞ。 Review→映画レビュー、から見れます
ザ・ウォーカー 評価:★★【20XX年問題】at 2010年07月04日 22:58
★★★★  ネットでの評判が思ったより良くなかったので、今まで見送っていたのだが、終映間近になってやはり観ておこうと思い直した。 終末戦争後の荒れ果てた世界で、この世に一冊だけ残った「ある本」を届けようとする旅人が、ひたすら西に向って歩き続ける。そしてある
ザ・ウォーカー【ケントのたそがれ劇場】at 2010年07月09日 12:47
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西へ旅する者〜『ザ・ウォーカー』【真紅のthinkingdays】at 2010年07月12日 18:33
かなり予告編が謎が多くて、期待を煽られた作品。 デンゼル・ワシントン主演ということで、さらに期待も大きくなった「ザ・ウォーカー」を、金曜日の夕方に鑑賞。「UCとしまえん」は、平日の夕方としては、普通かなぁ。 「ザ・ウォーカー」は、大きめのスクリーンで、3〜...
ザ・ウォーカー/THE BOOK OF ELI【いい加減社長の映画日記】at 2010年07月19日 23:13
総論:この映画が描くのは、信念と忍耐を貫いた一人の男の生き様。世界が崩壊した近未来を舞台に、この世に一冊だけ残った本を運び、ひたすら西へと孤独に旅する男の姿を描くサスペヮ...
ザ・ウォーカー(80点)評価:○【映画批評OX】at 2010年11月03日 20:55
世界が崩壊した近未来を舞台に、この世に一冊だけ残った本を運び、ひたすら西へと孤独に旅する男の姿を描くサスペンス・アクション。主人公イーライを演じるのは『クリムゾン・タイド』のデンゼル・ワシントン。本...
mini review 10507「ザ・ウォーカー」★★★★★★☆☆☆☆【サーカスな日々】at 2010年12月04日 02:42
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ザ・ウォーカー / THE BOOK OF ELI 文明が崩壊した近未来。 弱者は強盗の餌食となり、食糧難から人肉に手を出すことも厭わない悲惨な世界。 そんななか、一人の男が歩き続ける。 「俺に触れるなよ 死ぬ...
世紀末救世主デンゼル ザ・ウォーカー【RISING STEEL】at 2011年05月30日 12:11
監督アルバート・ヒューズ アレン・ヒューズ 出演デンゼル・ワシントン(Eli) ゲイリー・オールドマン(Carnegie) ミラ・クニス(Solara) レイ・スティーヴンソン(Redridge) ジェニファー・ビールス(Claudia) 30年前の戦争により荒廃した世界。 人
ザ・ウォーカー/The Book of Eli【tom's garden】at 2011年06月07日 22:31
この記事へのコメント
あら、彼女が「フラッシュダンス」の主演の彼女だったんですね。30年もたってたら変わるのでしょうけど、なんだかえらく枯れたといったら失礼ですが…。
Posted by KLY at 2010年06月20日 21:47
というか、別人と思えるほど上品に美しくなっていたので一番のサプライズでしたよ。
Posted by 佐藤秀 at 2010年06月20日 22:06
こんにちは〜♪

フラッシュダンスの方だったんですね〜
似てるなぁ〜と思ったのですが。

イーライは、どういう訳であんなに強くなったんでしょうね。元々ではないと思うんだけど・・・
Posted by 由香 at 2010年06月23日 09:45
>似てるなぁ〜と思ったのですが。

えぇぇ! 全然そう見えなかったです。別人みたいで過去のイメージと一致しませんでした。
Posted by 佐藤秀 at 2010年06月24日 08:11