2010年07月03日

レポゼッション・メン2

repomen公式サイト。原題:REPO MEN。ミゲル・サポチニク監督、ジュード・ロウ、フォレスト・ウィッテカー、リーヴ・シュレイバー、アリシー・ブラガ。ウィリアム・シェイクスピアの「ヴェニスの商人」と「サロゲート」を組み合わせて「ブレードランナー」の雰囲気を加味したような近未来SF。人工臓器がテーマだが、万能細胞が話題になっている昨今、SFとしてもちょっと古い気がしないでもない。
ハイウェイのゲートに「高速道路」という漢字の電光表示があったり、広告がやたら多い街の風景とか、何となく「ブレードランナー」テイスト。地下鉄の駅の壁一面に熱帯のリゾートの大きな広告写真が貼られているシーンが出てくるが、これが曲者。そして、人工臓器ローン返済延滞者が隠れているスラムの建物の壁には“PARADISE”という落書のようなものが書かれている。この二つのイメージを組み合わせると・・・・。
冒頭には、量子論の有名な思考実験、シュレーディンガーの猫の話が出てくる。それは、人工臓器会社「ザ・ユニオン」で最高の実績を上げているレポマン(人工臓器回収担当)のレミー(ジュード・ロウ)が書いている著作という形で表されている。一体、どんな哲学的展開になるのかと思いきや、要は「半分生きていて、半分死んでいる」という極めて通俗的な解釈なので脱力してしまう。好意的に解釈すれば、この映画のどの部分が現実でどの部分が夢なのかは不確定ということだろうか。何度かレミーが気絶する場面があるので、そのたびに不確定性が問われているようだし。
ちなみにこれに関連して相棒ジェイク(フォレスト・ウィテカー)が「神は配線をしない」なんて台詞を吐くが、これは不確定性原理に否定的だったアインシュタインの「神はサイコロを振らない」という有名な言葉のもじりだろうか。その時、ジェイクはレミーを「アインシュタイン」と呼んでいる。
実際の彼の仕事、レポマンは高利貸の取り立て屋とそう変わらない。いや、それ以上だ。その場で外科手術して臓器を回収してしまうのだから。
人工臓器は心臓、肺臓、肝臓、膵臓、それから耳、喉、膝、それから大脳辺縁系と多岐に渡っている。種類によって値段も違うが6800万円というのもあり、ちょっとした高級マンションを買うくらいの値段。住宅ローンが延滞すれば差し押さえすればいいし、本人が完済前に死ねば生命保険で返済する手があるが、人工臓器の場合、そもそも死亡すれば人工臓器は当然回収されるだろうから意味ないだろう、とか色々勝手なことを想像してしまう。
経済学的に言えば、限りなくナンセンスで、大量生産しているからそんな高額にはならないだろう。映画では他の人工臓器製造会社も出てくるから競争原理が働いて尚更だ。健康保険だって効くだろう。大体、長寿が約束されているのだからもっと長期で低利のローンが組めるはずだ。その方が利用者が増えるから会社は儲かるだろう。面倒な回収業務のコストを減らせるのだから。
そもそも回収する意味が分からない。多分、手術費用も高いから製品そのものはそんなに高くない筈。不動産じゃなくて耐久消費財を無理矢理回収して何の意味があるんだろう。リサイクル? ハァ? 第一、こんなえげつないことしたら社会的にバッシングを受け、「ヴェニスの商人」同様、裁判官にキツイ判決食らうこと必定だ。そんな損なことしないって。企業はもっと賢い。
という訳で全てにおいて中途半端で緊張感が保てない。ラストの“衝撃”もはっきり言って、映画全体のトーンの中で浮いている。結局、SFというよりも、ストレスのかかる仕事に嫌気がさし、女房にも愛想尽かしされた男の現実逃避の現実的なドラマにした方が良かったかも。実際に現実逃避させられる訳だけれど、そのローンは誰が払う気なのだろう。相棒のジェイクが支払うとも思えないし。ディストピアを描いたつもりなら、ちょっと間が抜けている。
ところで、ジュード・ロウやフォレスト・ウィッテカーに本当に必要な人工臓器は人工毛じゃなかろうか。
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Posted by y0780121 at 20:38│Comments(0)TrackBack(18)clip!洋画ル-ロ | ★2

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