2010年08月27日

カラフル4

colorful公式サイト。森絵都原作、原恵一監督、(声)冨澤風斗、宮崎あおい、南明奈、まいける、入江甚儀、藤原啓治、中尾明慶、麻生久美子、高橋克実。冒頭、白い光が遠くに光っているだけの世界がだんだんぼんやり浮かび上がって来る。そこはおよそカラフルではない駅だ。いったんここから乗車する人は輪廻からも「はぐられる」。 「はぐられる」とは無視される、シカトされる、疎外される、という意味らしい。
二子玉川の「ショボ」い住宅に住むサラリーマン家庭の、自殺した次男中学3年生真(冨澤風斗)の体を借りて人生やりなおす試験期間「ホームステイ」のチャンスをプラプラ(まいける=天国のボスのパシリ)に与えられた<ボク>=真。
自殺未遂から退院して学校に戻ると、クラスメートはまるで幽霊でも見るように真から視線をそらす。確か自殺とは生徒たちに知らされていないはずなのに。たとえ噂が広まっていても、あんな態度は普通とらない。何となく居心地悪い気持を隠しながらも自然さを装う知恵ぐらい中学生にだってある。
その中で、不思議にも人生で初めて、早乙女という目立たないクラスメートと仲良くなり、友達になる。その早乙女は鉄ちゃんで1969年まで走っていた玉川電気鉄道(玉電)の線路跡の道を真と一緒に辿る。彼らが最後に辿り着いた終点の駅は公園になっているが、振り返ると往時の電車がやってきて停車する。この駅から電車に乗ったらどこへ行くのだろう? 、と思わず考えてしまうシーンだ。というか、既にこの駅に辿り着いた2人って・・・。
玉電ばかりじゃなくてクラスメートで真が憧れていたひろか(南明奈)は「秘密」という名の今はありそうにない古い駄菓子屋から出てくるが、何かこの世でない世界の出入口を想像させる。
真が所属していた美術部部室に入ると、自殺直前まで真が描いていた絵がそのままにされている。冒頭の白い光と同じような上の光に向かって上る馬。ひろかは空に駈け上がる馬と解釈し、同じクラスメートで暗くてウザい唱子(宮崎あおい)は空ではなく海の中で海面に向かっている馬だと言う。前者の解釈は昇天、後者の解釈は生き返ることで、全く真逆の解釈になる。
ちなみに宮崎あおいのどもり台詞、堂に入ってうまい。
この4人は、共通点がある。目立たない、暗い、オタクぽい、自殺願望、浮いている、飛んじゃってる、と、およそイジメの対象になりそうな性格な人間ばかり。実際、真は再生後もいじめられてボコられる。
あれれ、真は基本的にビフォーアフターで変わっていないのじゃないか。自殺の理由が母(麻生久美子)の不倫や憧れていたひろかの援助交際の秘密を知って人生に幻滅したというのも妙に嘘っぽい。それも背景にはあるのかもしれないが、真には以前から自殺願望があったとしか思えないあの絵は何だ。真の絵には人を描いた物はなく、全体に暗い絵ばかりだ。そもそも人が援助交際しようが、不倫しようが人に興味なくしているから「別に」でおしまいのはずだ。
兄満(中尾明慶)が真を思い遣って勧めたことになっている美術を専攻できる高校というのも、どうも違和感がある。パンフレットはカラフルでまるで“天国”のような楽園に見える。特に“NEXT STAGE”というパンフに書かれた言葉は何気にか「この世の次に行きなさい」のように取れる。親切心のようで「お前早く死んでしまえ」という隠れた悪意のようなものが仄見える。真は拒否し、早乙女の志望校に決める。
とすると、あの3人の友達は。思い切り拡大解釈すれば集団自殺? いや、少なくとも唱子は生きているようだ。空気読んで偽装する技術あるし、あの絵も「生きる」と解釈していたので。何よりプラプラのリストから漏れていた。
この映画はタイトルとは裏腹に全編暗欝に覆われている。「カラフル」とは皮肉にも「死の世界」のことなのだ。真の家族が再生した途端、真を思い遣るようになるのは出来過ぎとしか言いようがない。真の願望の反映だろう。
ラストが学校の屋上。実は学校の校舎の屋上という場所は、よく「死」と隣り合わせの場所として使われることが多い。「青い鳥」「ちーちゃんは悠久の向こう」とか、校舎の屋上が出てくるとあまりいい想像をしない。プラプラが真の分身なんてことは最初からお見通しだ。

真はやっぱり死んだのだ、と考えるしかない。生きていたら「生きている?」なんてメール来ないだろう。
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Posted by y0780121 at 22:00│Comments(0)TrackBack(14)clip!アニメ邦画アーサ | ★4

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