2010年10月02日

パンドラム4

pandorum公式サイト。ポール・W・S・アンダーソン製作、クリスチャン・アルバート監督、デニス・クエイド、ベン・フォスター、カム・ジガンデイ、アンチュ・トラウェ、カン・リー、エディ・ローズ、ノーマン・リーダス。観る前にまず英語のお勉強。Pandora's box=パンドラの箱、pandemonium=伏魔殿。原題の“Pandorum”は恐らくこの二つから合成した造語だろう。そして西暦2174年に人口爆発で滅亡しかけている地球から地球そっくりの惑星タニスへ移住するための巨大な人類移動宇宙船「エリジウム」の“Elysium”はギリシャ神話で英雄・善人が死後に住む極楽、楽土のこと。
一見、宇宙船内でのゾンビとの戦いで、「エイリアン」の劣化コピーのようでチープに見えてしまう。実際、そのようなシーンが延々と続き食傷する。停電のためか原子炉を再起動させるためにわざわざ原子炉棟まで歩いて行かなければならないというのも22世紀の割に遅れているなあ、という印象。
延々と観ていると、ある違和感に気付く。宇宙空間を飛行している筈なのに外部の宇宙空間の描写が全くない。時々揺れたりするのだが、それが何に起因するのかも定かでない。
バウアー(ベン・フォスター)とペイトン(デニス・クエイド)は長期睡眠カプセルで目覚めるが、しばらく記憶喪失の状態。長い宇宙飛行のために宇宙船管理隊員が交代で目覚めるシステムになっているらしい。
しかし、彼らが目覚めた時、既に他の班の違う交代要員たちの一部も目覚めていて、ゾンビたちと戦っている。それがまた数人ではなくうじゃうじゃいるのだ。この宇宙船の定員は6万人。外部から侵入してきたのではなく、内部の“人間”であることは明らか。
覚醒して長い隊員が解説するには、乗員は新しく住む惑星の環境に慣らすために外部環境適応剤を飲まされている。そのために遺伝子が変異し易い状態なのだという。しかし、肉体的に適応能力がついても精神の適応は難しい。
「パンドラム」の意味も解説され、以前、やはり長期航行中の「エデン」という乗員5000人の宇宙船で乗員の精神が変異し、恐怖から宇宙空間で脱出のためにカプセルを放出してしまい、全員死亡という惨劇が起きていたことが分かる。本来はそのための脱出カプセルではないのだが、このカプセルが単に長期睡眠のためだけでないことが暗示されている。
「パンドラム」というのはそうした長期宇宙旅行に伴う乗員の精神病理による船内混乱の意味なのだと分かる。とすると、地球が航行中に消滅したというのも幻想だろうか。少なくとも物理的に地球そのものが消えるなんてことは有り得ないが、そのことは意外にラストへの伏線になっているようだ。
結局、長い長い宇宙航海の果てに、船内でも進化論、適者生存の法則が急速に働き、大部分は既にゾンビに食われたか、精神に異常を来たし、ほとんどが死亡していたことが明らかになる。
乗員と同様、観客も長い退屈なシーンに付き合わなければならないのだが、これも試練の共有を訴えているのかも。
その果てに劇的な展開が待ち受ける。無数のカプセルが惑星タニスの海中から放たれるシーンはまるで海中生物が胞子を吐き出すようで壮観。それでも存命者約1200人、生存率2%だ。地球人口240億との比較で言えば、わずか0.000005%に過ぎない。この数字はある意味生物進化的にリアルだ。開かれたパンドラの箱に残った1200人だけが“希望”なのだ。
アポロ11号的に言えば、この“胞子放出”はわずかだが、生物にとって海から陸への進出に続く次の進出への巨大な放出だった。
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Posted by y0780121 at 21:15│Comments(0)TrackBack(9)clip!洋画パ行 | ★4

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