2010年12月28日

ばかもの〜片品の森3

bakamono公式サイト。絲山秋子原作、金子修介監督、内田有紀、成宮寛貴、小林隆、岡本奈月、池内博之、古手川祐子、浅田美代子、中村ゆり、白石美帆、浅見れいな。額子(内田有紀)が群馬県片品村でヒデ(成宮寛貴)と再会した時、銀色に染髪しているのかと思ったら、よく見ると白髪だった。普通に考えれば髪を染めて隠す筈なのだが、敢えてそうしていないのは、37歳にして隠棲する覚悟があったからだろうか。
10年前の1998年、群馬県高崎市の「偏差値低い」大学生の19歳のヒデはふとしたことから飲み屋の娘額子に生まれて初めて酒を飲まされ、生まれて初めてアレをする。額子の名は万葉女流歌人で恋多き女とされる額田王から取られている。

熟田津に 船乗りせむと 月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな

なんてのは、春歌の戯れ歌としてよく歌われる。
出会った頃の額子はセックス依存症のような状態で、最初の方はもうやりまくり。そんなにやりまくるのなら、せめてお尻くらい出してもいいだろ、内田有紀。
結婚を理由にした唐突な、かなり残酷な別れ方をするのだけれど、後で出て来る亭主の顔や態度を見ると、額子が最初から望まぬ相手だったことは雰囲気で分かる。つまりやけになって不満をヒデにぶつけていたのだ。後に左手を失う事故もある意味、自傷のようにも見える。無意識に夫から逃げたかったのではないか。
一方のヒデは精神的ショックから額子に教えてもらったもう一つの酒に溺れてしまい、アルコール依存症になってしまう。姉(浅見れいな)の結婚式では「おとうと」の笑福亭鶴瓶状態になってしまう。更に高じて「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」状態に。
bakamono2ヒデの職歴は在学中のアルバイトを除くと家電量販店の店員、アルコール依存症治療してからは中華料理店の見習い。その間も、大学のアブなそうな同級生(中村ゆり)、学校の先生(白石美帆)などと美人ばかりにもてまくる。何やら「ノルウェイの森」ではないか。しかし、ヒデも彼女らも結局「ばかもの」で終わる。
10年後の再会の地、片品村も何か「ノルウェイ」の京都奥地の療養所を思わせ、タイトルを「片品の森」に変えてもいいくらい。片品村の森はそうした自分たちの「ばかもの」ぶりをも優しく包んでいるようだ。今も失った左手の指が痛むという額子の幻肢痛はそのまま取り返しのつかぬ過去の過ちの痛みの隠喩だろう。映画では、片手を失った人が自炊できるように工夫された様々な調理具が紹介されるが、額子が唯一できないのは右腕をしっかり洗うこと。ヒデが浴室で右腕を洗ってあげる時、額子は今のあるがままの自分を認めてもらえた喜びに溢れているようだ。
ところで、バックに流れていた音楽、「いそしぎ」のテーマソング“The shadow of your smile”によく似ていた。
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Posted by y0780121 at 21:51│Comments(1)TrackBack(7)clip!邦画バーブ | ★3

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この記事へのコメント
申し訳ありません。TB間違えました。ブラウザを変えた影響で過去の履歴が全部消えてしまいまして^^;
削除してもらえるとありがたいです。お手数かけてすいません。
Posted by KLY at 2011年01月16日 23:48