2011年01月18日

僕と妻の1778の物語4

竹内結子の今際の美しさ
1778公式サイト。眉村卓原作、星護監督、草なぎ剛、竹内結子、谷原章介、吉瀬美智子、大杉漣、風吹ジュン、陰山泰、小日向文世、浅野和之、佐々木すみ江。SF作家眉村卓の実人生の体験に基づくが、眉村が妻に先立たれたのは68歳ぐらいの時なので、約30年ぐらいサバを読んでいる。そうでもしなければ、映画にならないからだろうけれど、“余命”物もだんだんネタ涸れになってきたみたい。それはそれとして、全く実人生と関係ないドラマとして見れば、それはまた結構いけているのだ。
時代設定も結構有耶無耶で建物などは1960年代設定な感じだが、眉村卓に相当する牧村朔太郎=サク(草なぎ剛)と節子(竹内結子)の恋人時代の節子の服装は今ぽいし、当時と言ってもいつの時代か分からないけれど、入院してからはこの10年くらいに出たブラックの缶コーヒーも出て来る。値段も120円で今と同じ。なら携帯電話も出てきそうで怖いくらい。しかし、この有耶無耶な時代設定が却ってこのドラマのファンタジー性を高めているように見える。
サクは昏睡状態になっていよいよ今わの際の妻節子のベッドの傍で1775番目あたりだったかのショートショートを朗読してあげる。サク自身が「寝ている間に節子が息を引き取るのが怖い」からと、不眠不休で超寝不足。ほとんど朦朧状態で幻覚を見ているような状態になる。もはや小説ではなく、目の前の夢現をそのままなぞっただけの記述。原稿用紙には既に「風で原稿用紙が散る」と書いてあるのに、その原稿用紙が書いてある通りに風に煽られて床に落ちる。もはや現実が小説に従っている状態。
その時、奇跡的に節子は瞼を開け、サクを見つめる。
その時の竹内結子ときたら、文字通りこの世のものとも思えないほどの美しさでゾクッとする。変な言い方だが「生きている」時の竹内とは性質の違う美しさが現れている。暗い病室の中で憔悴している筈の竹内の眼だけがまるで美しい20代の若い女性のようで目を疑うほど。どこか1970年代のアイドル、アグネス・ラムの面影に似ている。
このシーンは2度繰り返されるのだけれど、一体どうしたら、幻のような美しさを表現できたのか。この演技だけで竹内は主演女優賞ものだろう。
節子は「物語」の最初の篇を書いた時に言った「これ、でエッセイじゃない」と再び言う。もちろん幻聴のようなものなのだけれど、「1778の物語」の最初と最後は端無くもエッセイなのだ。「死」が決定的に告知された時と死が現実に迫った時、もはや小説は現実と交わり、夢も現も同じになってエッセイが即小説になってしまう。
一体あの眼は何を語っていたのか。いつも夢見がちで子供ぽいサクに対して、しっかり者で、自分の死をとっくに悟り、自分の死後の夫がうまく生きていけるか心配する節子。小説の中で独りぼっちになった旧式ロボットに死後の夫を見てしまう節子はやはり夫の小説の1番の読者で評者だった。サクが節子を笑わせて免疫力を高めるつもりで始めたショートショートだったが、実は逆に節子がサクの人生を乗り切る力を高めようとしていたのかとさえ思える。
あの眼は「もう私はあなたの小説の評者になれないけれど、大丈夫?」と言っているかのようで、妻の眼ばかりか、子供を心配する慈母の眼のようでもある。
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Posted by y0780121 at 20:36│Comments(1)TrackBack(18)clip!邦画ベ、ボ | ★4

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この記事へのコメント
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TB有難うございました。
>眉村が妻に先立たれたのは68歳ぐらいの時なので、
>約30年ぐらいサバを読んでいる。
そうなんですね。私は逆に朔太郎が無事に30年近く
一人で過ごせてきたと思っていました。(汗)
Posted by Hiro at 2011年12月17日 20:55