公式サイト。ドイツ/トルコ合作。ドイツ語原題:Auf der anderen Seite(あちら側で)、英題:THE EDGE OF HEAVEN。ファティ・アキン監督、バーキ・ダヴラク、トゥンジェル・クルティズ、ヌルギュル・イェシルチャイ、ハンナ・シグラ、ヌルセル・キョセ、パトリシア・ジオクロースカ。監督はトルコ系ドイツ人で、オムニバス映画「
ニューヨーク,アイ ラブ ユー」にも参加している。この映画もドイツとトルコ、それぞれのカウンターパートの邂逅とリフレイン、フーガの組み合わせが織りなすオムニバスとなっている。ドイツ国内のトルコ系人口は281万人とされ、ドイツ全人口の3%以上にもなる。カンヌ映画祭脚本賞受賞作品。
3部に分かれ最終部のサブタイトルが原題だが日本語訳は英題に合わせて「天国のほとりで」になっている。確かに2人が死に、他にも2人死んだようだが、本来はドイツから見てトルコが「あちら側で」あり、トルコから見ればドイツが「あちら側で」しかるべきだ。また拘置所の内と外という関係や、トルコがEUに加盟申請中で、加盟、非加盟という境界も含意されているようだ。けれど、EUが「天国」だという保証などない。
ドイツのブレーメンで年金暮らしする男やもめのトルコ人アリ(トゥンジェル・クルティズ)はトルコの大学にいる27歳の娘アイテン(ヌルギュル・イェシルチャイ)の学費を稼ぐために娼婦をしているトルコ人のイェテル(ヌルセル・キョセ)と昵懇になり、同棲するようになるが、つまらないいさかいでイェテルを殴り倒して死亡させる。
アリの息子でハンブルグの大学でドイツ文学の教授をしているネジャット(バーキ・ダヴラク)の愛読書はトルコ系ドイツ人の作家らしい。ネジャットはアイテンを探しにトルコのイスタンブールに行くが、そこで言われたのは「そんなことするならクルド人の子供を助けろよ。彼らは貧しく悪さばかりしている」。街で売りに出ているドイツ語書店を見つけるが、その店主がネジャットをそのまま老けさせたようなそっくりさんのドイツ人で「博物館の展示物のようなドイツ語」に嫌気をさし、生きたドイツ語が恋しくて帰国したいのだという。ネジャットはドイツの大学で正に「博物館の展示物のようなドイツ語」を教え、「ゲーテは当初フランス革命に反対していた。新しいものを生み出すが古き良きものを破壊するから」と講義していたのだ。
そして、正にその講義中にネジャットが探すことになるアイテンは講義室で居眠りしていた。しかも反政府組織の革命の闘士としてドイツに潜伏中。
安い学食を食べるためなのだが、アイテンは知り合ってレズの関係になったロッテ(パトリシア・ジオクロースカ)に「お腹がぺこぺ」と母イェテルがアリ言った同じ台詞を吐いている。アイテンはロッテの母スザンヌ(ハンナ・シグラ)に「トルコもEUに加盟すれば状況が変わるかも」と言われ、「EUなんてクソ。私は反グローバリズム、イギリスも・・・スペインも植民地政策の国だったじゃない」とぶちまける。しかし、皮肉なことにロッテはスペイン語と英語を専攻している。そして、スザンヌもロッテもインド滞在旅行という植民地宗主国的な流行を体験している。
アイテンはトルコに強制送還され、ロッテがネジャット同様、アイテンを助けようとイスタンブールに行き、ネジャットの書店に立ち寄る。ここでも「チャーイ2つを」がリフレインされ、トルコの司法書ばかりかアパートまで斡旋してもらう。やっと拘置所を訊ねるが、ロッテはアイテンが亡命前に隠ぺいした拳銃を盗んだあのクルド人の子供たちに撃たれて死亡する。ロッテはイェテルと同じような不条理な死を遂げる。
娘の訃報でスザンヌがイスタンブールに来て同時にアリも強制送還される。アリはネジャットの愛読書を持っている。ネジャットはアリには合わず、スザンヌに会い、そこに乳児期に死亡した母の面影を見いだす。そしてまたスザンヌは「お腹ぺこぺ」をリフレインする。映画では出て来ないがスザンヌの夫も実はトルコ人男性だったのではと思わせる。彼女はインド旅行に行く途中、イスタンブールに立ち寄っているのだ。
夥しい人間の組み合わせが時空を超えて織りなし、まるでトルコ絨毯のようだ。ただアイテンは書店に貼ってあったイェテルの写真を偶々の気まぐれでネジャットが破り捨てたため、消息を知ることはないので、未完成で終わる。
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Posted by y0780121 at 23:35│
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洋画セ、ソ |
★4
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