2011年02月03日

グーグーだって猫である(2008)3

googoo公式サイト。大島弓子原作、犬童一心監督、小泉今日子、上野樹里、加瀬亮、林直次郎、森三中、田中哲司、楳図かずお、大後寿々花、伊阪達也、大島美幸、村上知子、黒沢かずこ、高部あい、小林亜星、でんでん、山本浩司、江口のりこ、マーティ・フリードマン、松原智恵子。原作者の自伝的エッセイに基づいた所謂Based on a true storyものだけれど、原作者の空想もそういう空想した事実に基づくということでいいのだろうか。
モデルの原作者大島弓子は現実に50歳の時に悪性腫瘍を患い手術のため約半年間入院している。原作者に擬せられた小島麻子を演ずる小泉今日子は冒頭から体調不良のようで視線の焦点が定まらない様子。最初は愛猫サバが死んだための精神的ショックからと思わされるが、次第にそれだけではないことが伺える。それに対応するように周辺の助手や井の頭公園の人々にまつわるストーリーも、何か焦点がソフトフォーカスでとりとめがない。まるで精神の焦点が定まらなくなった麻子の目線でそのまま描かれているような風情だ。
猫は人間の3倍の速度で生を駆け抜けると麻子は思う。それと重なる形で早老症の一種、ウェルナー症候群という病気を連想する。これは大抵は4、50歳で悪性腫瘍などを発症して死に至るという病だから麻子の現状と重なる。なぜなら中年になるまでわき目もふらずに少女漫画を描いて大家になった麻子にとって、漫画が描けなくなるぐらいに精神的に落ち込むことは、少女から一気に中年に老けてしまったという感覚に襲われるだろうから。麻子は現実にも少女時代から一気に30年経ったという光陰矢のごとし感覚に愕然としている。それは麻子の周辺の人々がゆっくり成長するのに自分だけが特殊な人生を生きてしまったという孤立感も重なっているようだ。
ナオミ(上野樹里)ら助手たちが「天才の血を絶やさない」ために立ち上げた麻子の花婿を探す会を結成したり、現にその候補者青自(加瀬亮)ともうまく行きそうだし、麻子もウェルナー症候をネタに新たな漫画に着手し、助手たちと高齢者体験実験をするのだけれど、そうした再起と矛盾することをしてきた事実にも思い至っている。
麻子は自分が冒されている病気を勘で予知したかのように避妊手術を施したサバのことや新たに買った若い子猫のグーグーに避妊手術した罪悪感に苛まれる。
麻子は卵巣がんと診断され、子宮を摘出しなければならない事態になる。自分自身が避妊手術を施された猫のようになった麻子は才能と引き換えの天罰とでも思ったのかもしれない。
そのためか、麻子がグーグーを可愛がるシーンは意外と少ない。むしろ箱入り然としたサバと違って自由にどこかへ行っていいよ、という感じでさえある。しかし、行方不明になったと思われたグーグーは健気に自宅に戻っているではないか。麻子が描いた漫画の主人公も急速に老化し、失禁し、徘徊するが家に帰って来る。まるで愛猫と重なっているストーリー。
そして、主人公は回復するのだが、それは回復というより赤子が成長するかのようなのだという。それはグーグーそのものだ。Good,goodなのだけれど、本当のグーグーの意味は「麻子だって猫である」もしくは「キョンキョンだって猫である」ではないだろうか。
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Posted by y0780121 at 21:36│Comments(2)TrackBack(5)clip!邦画ガ行 | ★3

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この記事へのコメント
今佐藤さんの記事の出演者のところを観ていて、錚々たる面々が出ていたのだなぁと驚いていました。
何処に出ていたのかまでは記憶にないのですが…
Posted by KLY at 2011年02月04日 00:11
大後寿々花は何とネコの幽霊役でしたよ。
Posted by 佐藤秀 at 2011年02月04日 21:03