2011年05月28日

マイ・バック・ページ3

mybackpage公式サイト。 川本三郎原作、 山下敦弘監督、妻夫木聡、松山ケンイチ、忽那汐里、山内圭哉、中村蒼、韓英恵、長塚圭史、石橋杏奈、あがた森魚、三浦友和。 評論家川本三郎の自伝的ノンフィクションから脚本。タイトルはボブ・ディラン"My Back Pages"からの引用。1971年の朝霞自衛官殺害事件がメインの実話に基づく。登場する「東都新聞」をはじめ、全て実在する朝日新聞、朝日ジャーナル、週刊朝日がモデル。
気になるのが忽那汐里演じる保倉幸恵(1953-1975)をモデルにした週刊東都のカバーガール倉田眞子。映画では、商業主義の典型のように記者たちから冷笑されているが、そんな彼女がなぜそれほどまでに目立つのだろうか。単なる添え物には見えない。
メインテーマにそぐわない感じがするが、実はメインテーマに合っていると思う。表のテーマは暴力革命だが、隠れたテーマはいかにメディアに露出して目立つかということ。自衛隊から武器奪取を企てる梅山(松山ケンイチ)も、メディアを利用して武装闘争の牽引車役として目立つことが目的だった。取材する側の沢田(妻夫木聡)もスクープを取って名をあげたいという願望がある。有り体に言えば出世欲。
彼らの師匠格、滝田修こと竹本信弘がモデルの前園勇(山内圭哉)は「三島に先を越された。我々の陣営にも第二、第三の三島由紀夫三島由紀夫を」という有名な発言が引用されており、目立つことがまず優先されている。前園は彼らに「ここ2、3年が勝負や。爪痕を残すには」とも言っている。実はこれも三島の発言の引用のようで三島は「地球に爪跡を残して死にたい」と言っている。
暴力革命を志す者も、それを取材する人間も、実は倉田の立場と基本的に変わらない。「名を残す」が何より最優先されるべき“闘争”というゲームだ。どうせ死ねば名しか残らないのだから、死後も自分を残そうと思えば、手段なんて二の次で目的も手段化され、究極の目標は「名を残す」だ。ある意味全ての情熱はそのためにあるのかとさえ思える。誰かを愛するのも自分を覚えていてほしい、が究極の目的なのかもしれない。
mybackpage2ちなみに三島は自決し、保倉幸恵も自殺したらしい。だが竹本信弘も、川本三郎も自殺していない。彼らは少なくとも自分の命を賭けておらず、人を殺すことにはなにがしかの影響を与えた。もし勝利者はどちら側にあるかと考えれば、三島や保倉だろう。
そう考えると、沢田が映画「真夜中のカーボーイ」や「ファイブ・イージー・ピーセズ」を真似てラストで泣くのもなんだか嘘っぽい感じがする。川本は当時、オールナイトの映画を見まくっていたようだが、恐らく大手新聞記者の特権で記者用フリーパスで金も払わずに見まくっていたのだろうか。それで映画評論家になったとしたら、どうしても覚悟について甘くなるのではないか。沢田は倉田との会話でも男が泣くことについて議論しているが、沢田が格好悪いと言うのに対し、倉田は「きちんと泣ける男の人が好き」と理解を持ち、暗に覚悟のある人間の生きざまに思いをはせている風情。議論でも倉田が勝っている。つまり、川本は保倉には叶わない何かがある、と思っていて今も思っているのではないか。それにしても画像を検索したら保倉は本当に美しい女性だ。

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