2011年06月19日

127時間3

陽気さとタフネスが生んだ奇跡
127hours公式サイト。原題:127 Hours。ダニー・ボイル監督、ジェームズ・フランコ、アンバー・タンブリン、ケイト・マーラ、クレマンス・ポエジー、ケイト・バートン、リジー・キャプラン。登山家・アーロン・ラルストンが体験した実話を基にしている。陽気過ぎるくらい陽気でタフな男が孤立無援の絶体絶命のピンチに陥ったら、何を考え、どんな行動をするのか。答はシンプルで「最後まで諦めない」。
アメリカ・ユタ州のブルージョン・キャニオンに一人でロッククライミングに出かけ、カズム(岩の深い割れ目)の中で巨礫に右手を挟まれて身動きが取れなくなったアーロン(ジェームズ・フランコ)。ナイフで巨礫を削ろうとするが、削れば削るほど逆に手にかかる負荷が大きくなる。残された選択は論理的に一つしかない。
その選択をするまでの絶対の苦境の中でまずアーロンがやるのは、ついさっきビデオで撮った地下池のジャンプの再生。出会った若い女性2人との楽しい一時。諦めて思い出に耽るのではなく、楽しいことができる状況に戻りたいという意志だ。彼女らと約束した「明日、パーティに一緒に行く」という楽しい約束を果たすこと。
しかし、やがてその思いは夢や幻想に変わる。雨が降った時、アーロンの脳内では、とんでもない豪雨に変化し、雨水はアーロンの舌を濡らすばかりか、カズム全体に溢れ、動かなかった巨礫に浮力がついたためにアーロンは自由になる。後は一目散にパーティーに向かう――。もはや幻覚が出る状態だから、相当弱っている筈なのに幻覚の中身はあくまで前向き過ぎるくらい前向き。
やがてさすがのアーロンにも死の影がじわりじわりと近づいてくる。しかし、それでも前向きにビデオで遺言を残す。自分がここで死ぬのなら、自分がいかに死んだことを伝えなければならない。が、「Oops!」とか、岩壁に自分の誕生年と死亡年を書くのもどこか楽しんでいる風。しかも負け惜しみでも何でもなく。「最後まで諦めない」を裏返せば「最後まで楽しむ」だ。それでも、まだ未来の息子を幻覚で見るのは生きる意志がまだ負けてない証拠。
そして究極の選択を実行する。アーロンは絶叫するが、実はそんなに痛くなかったのではなかったのじゃないかとさえ思える。幻覚で神経が麻痺していてそれが麻酔になってたりして。痛みは生きている証拠とか、前向きに、陽気に立ち向かえば痛みだって耐えられるかもしれない。陽気さとタフネスが生んだ奇跡。何よりも、ディスクジョッキー風のノリがそのことを物語っている。
太陽の直射日光が1日で15分しか当たらないという割れ目が幸いしたこともあったのだろう。4月下旬の太陽は結構きつい。もし、もっと直射日光を受ける時間が長かったらアーロンは脱水症で死んでいたかもしれない。
幻想もまじえて色々な描写があるが、唯一不可解なのは夜空が映ってないこと。あんな状態で割れ目から仰ぎ見る満天の星というのはどんなに美しいのだろうか。あるいは、アーロンの陽気さが夜空の星というある意味後ろ向きなものを拒否していたのかもしれないのだけれど。
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Posted by y0780121 at 21:15│Comments(3)TrackBack(26)clip!映画数字 | ★3

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この記事へのコメント
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観たい映画ですが、うちでは何と公開は9月になるようです(涙)。
Posted by ペルゼウス at 2011年06月23日 06:46
インドア万歳と叫びたくなるような映画でした(笑)
Posted by Quest at 2012年03月25日 16:58
違う。アウトドアがインドアになった悲劇だ。
Posted by 佐藤秀 at 2012年03月25日 19:24