2011年11月24日

小説家を見つけたら(2000)3

forrester原題:Finding Forrester。ガス・ヴァン・サント監督、ショーン・コネリー、ロブ・ブラウン、F・マーリー・エイブラハム、アンナ・パキン、バスタ・ライムス、マット・デイモン。J・D・サリンジャーを思わせる隠遁作家ウィリアム・フォレスター(ショーン・コネリー)と出逢うニューヨーク・ブロンクスに住む16歳の黒人少年ジャマール・ウォレス(ロブ・ブラウン)。ジャマールはバスケットボールにも文学的才能にも秀でている。
ジャマールの家の部屋には世界の作家の名作が堆く積まれていて、その中には三島由紀夫の「暁の寺」もある。しかし、家族と話すのはバスケの話ばかり。兄はスポーツの試合のチケットの周旋屋もやっている。アメリカの作家はスポーツも大好きなようで、ジャマールと伝説の作家の邂逅もスポーツが橋渡し役になっている。ちなみに、そのアメリカの作家たちを真似て作家になろうと村上春樹が思い立ったのは神宮球場でヤクルト戦を観戦していた時のことらしい。
いつものように仲間とバスケの練習していると、古ぼけたマンションの窓から彼らを双眼鏡で観察している男がいる。仲間は幽霊みたいな人間らしいから近付かない方がいいと言うが、ある夜、仲間が潜入して正体を突き止めようとジャマールが代表で突撃侵入する。寝ていたと思った男は突然起き上がり、仰天したジャマールは自分が書きだめていた小説の入ったバックパックを置き去りにしてトンヅラする。
その男が、処女作の傑作「アヴァロンを求めて」を書いて隠遁してしまった作家のフォレスターなのだけれど、この構成、同じガス・ヴァン・サント監督の「パラノイドパーク」によく似ている。同じ16歳のスケボー少年が「世界の秘密」を垣間見てしまうところが。
実はフォレスターの40年近い隠遁の秘密がジャマールに明かされるのもヤンキースタジアムのマウンド。兄と毎日行っていたヤンキースタジアム。ブロンクスの人々にとってスポーツは正に生であり、栄光の場のようだ。そのことは、ジャマールに剽窃の嫌疑をかけられるフォレスターのエッセイ「完全なる信義の季節」という副題を持った「野球が輝いた年」からも見てとれる。
フォレスターは兄が兵役後、酒におぼれ、酔っ払い運転で交通事故を起こし、その兄が死んだそばで看護師はフォレスターに「あなたの本が好き」と言われ、絶望して筆を折ったのだ。批評家に対する絶望などは表向きの話に過ぎなかった。そして、そのフォレスター自身にも死が近づき、ジャマールに文章作法を教えるのは自分を引き継いでもらいたいという希望があったことが分かる。ガス・ヴァン・サント監督の作品には核に「死」が添えられているようで、来月公開の「永遠の僕たち」もそのような作品だ。
フォレスターのことをよく知るクロフォード教授役は「アマデウス」でサリエリ役を演じたF・マーリー・エイブラハム。サリエリがモーツァルトの才能に嫉妬していた同じ構図がここでも活かされている。
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Posted by y0780121 at 19:49│Comments(0)TrackBack(1)clip!洋画シヤ〜 | ★3

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