2012年05月29日

私が、生きる肌〜仮面のかけら5

ザ・ピーナッツをオマージュ?
TSILI公式サイト。スペイン映画、原題:La piel que habito。英題:The Skin I Live In。ペドロ・アルモドバル監督、アントニオ・バンデラス、エレナ・アナヤ、マリサ・パレデス、ヤン・コルネット。その形成外科病院はスペインのトレドにあるらしい。美術のコラージュを思わせる人間の肌のコラージュのような芸術的技術を持った形成外科医ロベル(アントニオ・バンデラス)。
その医院の部屋に飾られている顔のない球形の頭のマネキンのような人物がいる絵画。確か「ミッドナイト・イン・パリ」にも作品が出ていたピカソらと時代をともにした画家のものだったと思うが、以前似たような絵画を見たのに画家の名前が思い出せない。本作も遺伝子工学に基づいたマッドサイエンティストもののように見えて、この絵画同様、芸術至上主義的サイエンティストの物語のようだ。
一見全裸に見えるボディ・ストッキングを着たベラ(エレナ・アヤナ)。ベラがその姿でベッドに横たわるとスペインの画家ゴヤの「裸のマハ」のようにも見える。一方で6年前の若い衣料品仕立屋職人ビセンテ(ヤン・コルネット)は一見ボディ・ストッキングのような木屑でできたようなマネキンに衣装を付けている。この相似性はどうだろう。
その衣装をベラがハサミでズタズタに切り裂いてバラバラにするシーンは同じアルモドバル監督の「抱擁のかけら」のバラバラに破られた写真の集積を思い出させる。一方、妻を交通事故で亡くした野心的なロベルは妻の記憶のかけらをつなぎ合わせて妻を“再生”しようとする。よく考えれば、テーマは変わっていない。ただ、ベラがなぜあの衣装を持っていたのかよく分からなかった。誘拐された筈なのに。
“素材”を手に入れると、妻という「仮面」が人工皮膚で付けられる。実は性転換手術も世間を欺くための「仮面」のようだ。仲間内には内密の性転換手術にしておけば納得してもらえるだろう。天才形成外科医ならそれぐらいお安い手間だ。
「仮面」と言えば、彼女が監禁されている部屋はテレビモニターという「仮面」を被った監視モニターで監視されている。そもそもお手伝いの「仮面」をかぶった母親マリリア(マリサ・パレデス)とは。もう一人タイガーマスク(笑)の仮面姿で現れる人物が登場する。マドリードではちょうど仮面カーニバルで仮面で偽装できるシーズンなのだ。思えば、ボディ・ストッキングも、マネキンも、人工皮膚も、衣装も全て「仮面」のようなものだ。
そう考えると、ロベルだけでなくみんな同じような仮面祭りをしていることになる。そして、最終的にロベル自身がベラという「仮面」に欺かれることになる。そもそもベラは外に出してはいけない仮面の筈なのについつい気を許してしまったのだろう。
そして、「仮面」になってしまったベラは6年前の自分だということを店の人間に証明するために衣装という「仮面」を使わなければならないという皮肉。思えば人間、何らかの「仮面」なしでは生きられないようだ。
ところで、本作に出て来るジャズ音楽、どこかで聞いたことのある曲だと思ったらザ・ピーナッツのデビュー曲「可愛い花」のオリジナル曲“Petite Fleur”だった。


まさか、瓜二つの妻を作ったから双子のザ・ピーナッツをリスペクト? ザ・ピーナッツは外国でも知られていたからひょっとして? そう言えば、あのボディー・ストッキング、微妙にピーナッツの殻に似てなくもない。
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Posted by y0780121 at 20:52│Comments(0)TrackBack(27)clip!映画ワ行 | ★5

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