2012年06月03日

11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち2

25mishima公式サイト。若松孝二監督、井浦新(ARATA)、満島真之介、タモト清嵐、岩間天嗣、永岡佑、鈴之助、渋川清彦、大西信満、地曵豪、中沢青六、韓英恵、小倉一郎、篠原勝之、寺島しのぶ、吉澤健、岡部尚、森岡龍、安部智凛、安田暁、寺井文孝。三島由紀夫自決後、出版された様々な三島由紀夫の評伝などをベースにしたドキュメンタリー風再現ドラマ。
三島由紀夫本人役は井浦新なのだけれど、それまでの芸名ARATAのローマ字表記ではふさわしくないとわざわざ改名したそうだ。けれど、そんなこと言っていれば、本作でも出て来る三島邸は完全な西洋趣味だし、ボディビルを始めてからの三島の好物はビフテキだったことを考えれば、ローマ字表記のままでも良かったと思う。
で、井浦が合っているかと言えば、どちらかと言えば濃い顔の三島とは違和感がある。三島役の理想を言えば、多分適役なのは伊勢谷友介だと思う。彼が角刈りにすればかなり三島本人と似ている。三島は大笑いするので有名だったが、目の下の頬に皺を寄せる笑い方もよく似ているし、真似ればそっくりの笑い方ができたろう。三島が大好きだった「あしたのジョー」にも力石徹役で出演し、肉体的にも三島に近い筋肉をしていた。
こう書くと井浦が駄目のように見えるかもしれないが、あくまで理想論。井浦は本作の予告編のような事後編のような「海燕ホテル・ブルー」では森田必勝(まさかつ)を擬したかのような正和役だった。ただ、いかんせん井浦の実年齢37歳では25歳の森田を演じるには不自然感は免れない。
配役は若松孝二作品ではお馴染みの人が多く、その俳優で塩梅するには結局、井浦が三島を演ずるしかなかったのだろう。少し生真面目過ぎる三島の印象で、無邪気な笑いをするお茶目な三島の側面が表現しきれていなかったように思う。
自決前、ファンだという少年が三島邸を訪ねて来て「いつ死ぬんですか?」と尋ねる有名な逸話も挿入されているが、その少年役は浅沼稲次郎暗殺事件の右翼の山口二矢を演じた少年と同じなのはどうか。三島邸に訪ねた少年は三島が書いたエッセイに基づいており、事実というより三島の創作ぽい。三島の中の分身たる文学少年を借りて自問自答したのが真相のようで、山口二矢と重ね合わせるのは唐突だ。記憶する限り三島が山口二矢について言及したことはなかったと思うし、そもそも当時、三島は右翼から脅迫状を受けており、テロルされる側だった。見当違いだろう。
また、金嬉老事件が決起のヒントになったかのような描写もあるが、三島由紀夫が金嬉老事件について感想を述べたのは、人質の中の血気盛んな筈の20代の青年たちが、金嬉老に対して何の抵抗も企てることすらしなかったことに呆れたというものだったと思う。もし、本作通りなら「自衛隊もこの青年たちと同じように抵抗できないだろう」と考えていたことになり、甚だ違和感がある。

若松孝二監督の他作品
水のないプール」、「キャタピラー」、「海燕ホテル・ブルー」、「千年の愉楽
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Posted by y0780121 at 20:13│Comments(0)TrackBack(7)clip!映画数字 | ★2

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先日閉幕となったカンヌ国際映画祭「ある視点」部門で上映され、話題を呼んだ若松孝二監督の新作『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』。本作で三島由紀夫役を演じ、新しい解釈の三島像を打ち出した井浦新さんにお話を伺った。【page1/4】
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