2012年06月18日

図書館戦争 革命のつばさ3

日常の中のソフトファシズム
toshokansenso公式サイト。有川浩原作の劇場版。浜名孝行監督、(声)井上麻里奈、前野智昭、石田彰、鈴木達央、沢城みゆき、鈴森勘司、佐藤晴男、田中理恵、吉野裕行、小野大輔、イッセー尾形。2019年(正化31年)の近未来の日本。元号が平成ではなく正化なので、昭和が終わってから日本はパラレルワールドに突入したらしいが、本質は同じ。
いきなり日本国憲法第21条の表現の自由、検閲の禁止が出て来る。憲法自体は改正されてないらしく、表現を取り締まるメディア良化委員会といういかにもソフトなイメージを装った名前の検閲組織と、本を守る側の、自主的な図書特殊部隊との抗争という有り得ないけれど有り得る事態になっている。裁判所も一応機能していて検閲に対して訴訟も起こされている。日本国憲法そのものは改正されていないらしい。
これまでの近未来ディストピアの焚書ものでは、ビッグ・ブラザーのような絶対的独裁者の力で抑えつけられているというのが多いが、本作は現代をコピーしたようないかにも裁量行政風、柔かいファシズム風で、空気の支配が絶対的な日本ならではの、今現在の日本をそのまま何となく延長してソフトに内乱化したような雰囲気がある。自衛隊の治安出動はないが、自主的を装った「事実上の」という曖昧な形での治安出動が描かれ、守る側も「事実上の」自衛隊風。言わば事実上の左派自衛隊と右派自衛隊の内乱。
物語の基調も、敦賀原発がテロを受けるというちょっと今風な騒乱のトピックスを取り入れながらも、見て見ぬふりをすれば、一応平和というのも今現在とそっくり。隊員同士がお茶したり、いたって長閑だ。
そもそも検閲自体が利権化しているらしく、検閲の実行部隊メディア良化委員会の隊員すら、使命感というより、ただ組織がそういう組織だから命令に従っているだけ、といたってサラリーマン的。大義なんてそもそもない。だけど組織としては士気が落ちている訳でもなく一応機能している。何となくファシズム、何気にかファシズムだ。
という訳で本作のストーリー自体は有り得ないくらいほんわかムード。もっぱら図書特殊部隊の笠原郁と憧れの先輩班長堂上篤とのどこにでもありそうな可愛いラブロマンがメインで、事態の深刻さを考えれば、有り得ないのだけれど、それが有り得てしまうこと自体が本作のモチーフなんだろう。高級天ぷら店での「一体何をしたのか」という密談で、「鱚(キス)でございます」というタイミングの良さには思わずクスッとなる。キスも検閲と同等に重要問題だ。
最終的に外圧を利用するというのも今現在の現実に対応している。年輩層には現実離れした退屈な恋愛アクションにしか見えないのかもしれないが、今現在の10代にはこれがガチにリアルなのかもしれない。

関連エントリー:実写版「図書館戦争
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Posted by y0780121 at 16:25│Comments(0)TrackBack(6)clip!アニメ邦画ターワ | ★3

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